日本最後のトロリーバスが役目を終えた。富山県と長野県にまたがる観光ルート「立山黒部アルペンルート」を走っていた「立山トンネルトロリーバス」が、2024年11月30日の運行を最後に廃止となった。
これにより、日本から現役のトロリーバスはすべて姿を消したことになる。25年春からは充電式の電気バスに置き換えられ、運行を再開する予定だ。
見た目も名前も「バス」だが…
トロリーバスは法令上「無軌条電車」と呼ばれ、鉄道の一種だ。架線からの電力でモーターを回して走行するが、車体はバスそのものであるため、鉄道とは認識しにくい。レールを用いないため建設費が安価、排ガスを出さない、といった利点があり、日本でもかつて、路面電車に代わる「都市交通の新たな主役」と目された時期があった。
一方、海外では現在も多くの都市で採用されており、地下鉄やバスなどとともに都市交通を担う姿を確認できる。中国のほか、ロシアや東欧諸国といった旧社会主義国でよく見かけるのも興味深い。
ではなぜ、日本では衰退してしまったのだろうか。
戦後日本の大都市で流行
トロリーバスの歴史は古く、日本では明治時代の末ごろには研究が始まっている。初の実用的なトロリーバスの路線は、1928年開業の日本無軌道電車線だ。阪神急行電鉄(阪急電鉄の前身)の花屋敷…
この記事は有料記事です。
残り1189文字(全文1740文字)
投稿にはログインが必要です。
注目コンテンツ