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ついに「のぞみ」にも波及 新幹線から自由席が消える日

土屋武之・鉄道ライター
年末の帰省ラッシュの中、東京駅を発着する東海道新幹線=2019年12月27日、吉田航太撮影
年末の帰省ラッシュの中、東京駅を発着する東海道新幹線=2019年12月27日、吉田航太撮影

 東海道・山陽新幹線「のぞみ」が年末年始、ゴールデンウイーク、お盆の3大ピーク期に自由席をなくし、「全車指定席」になると発表された。現在は16両編成のうち1~3号車を自由席としており、これを指定席に変更する。さっそく次の年末年始(2023年12月28日~24年1月4日)から実施する予定だ。

 実はこの自由席はJR東日本でも淘汰(とうた)が進み、通常期の新幹線でも数を減らしている。料金の安さなどから一定の需要はまだあると思われるが、なぜ、じわじわと消えていくのだろうか。

「指定席派」のメリットは大きい

 まずは22年末の状況から見ていきたい。

 帰省ラッシュのさなかの22年12月29日午前、「のぞみ」の下り列車の自由席は、最大150%の混雑率となった。自由席である1~3号車の座席数は合計250なので、最混雑時で100人以上が座れない状態になっていたことになる。

 この状態で自由席を指定席にしたらどうなるか。

 指定席利用客にとっては朗報だ。「のぞみ」の普通車指定席は約870席で、ここからさらに250席も増加するのは大歓迎だろう。新横浜など途中駅から乗車する利用客は特に指定席志向が強く、メリットは大きい。

「自由席派」はどうすれば?

 では、自由席を利用していた客はどうなるのか。今回の発表によれば、全車指定席の…

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鉄道ライター

1965年、大阪府豊中市生まれ。大阪大学で演劇学を専攻し、劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。出版社勤務を経て97年に独立し、ライターに。2004年頃から鉄道を専門とし、雑誌「鉄道ジャーナル」のメイン記事などを担当した。東日本大震災で被災した鉄道路線の取材を精力的に行うほか、現在もさまざまな媒体に寄稿している。主な著書に「ここがすごい!東京メトロ」(交通新聞社)、「きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)など。