仕手株にご注意

みんかぶ編集室
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仕手株にご注意

仕手株とは、巨額の投資資金を用いて意図的に株価を操作された株のことをいいます。

安い株価が数日のうちに2倍、3倍、それ以上にも急騰することもあるため一見すると投資先として魅力的なものに見えます。

しかし、仕手株は急激に価格が下落し大きな損失を抱えてしまうリスクがありますので、十分注意が必要です。今回は仕手株のメカニズムや実際に仕手株化した銘柄、仕手株になりやすい傾向などについて解説していきます。

目次

仕手株・仕手筋とは

株価は決算やニュースなどの情報を元に需要と供給のバランスによって変動します。しかし、なかにはニュースの与える影響以上に株価が上昇・下落することがあります。具体的には投資家の期待度合いであったり、話題性から急激に上昇する場合などがあげられます。

中には、巨額の投資資金を用いて株価を意図的に操作されている、仕手株というものも存在します。株価が変動するような材料、つまりニュースや適時開示がないにも関わらず株価が急騰している場合は、その銘柄は仕手株となっている可能性が高いでしょう。

それでは、一体どのようにして株価は操作されるのでしょうか。

次では、そのメカニズムを解説していきます。

仕手株のメカニズム

仕手株のメカニズム

1. 操作する対象の株を集める(玉集め)

まず、仕手株は大量の投資資金を運用して株価を操作する「仕手筋(してすじ)」と呼ばれる集団によって操作されています。仕手筋がある銘柄を吊り上げて利益を得ようと考えた場合、ゆっくりと長い時間をかけて市場にある株を買い占めていきます。仕手筋が株を集めることは「玉集め」と呼ばれ、買い占めが他の投資家に見つからないよう仕手筋は少額ずつ購入していきます。

2. 株価上昇の初期段階

仕手筋が十分に株を集め終えると、一気に大口の買い注文を入れ株価を上昇させます。

一気に上昇すると市場内の値上がりランキングで注目され、個人投資家は「何か自分の知らない情報が発表されるのでは無いか」と買い注文を入れ始めます。

個人投資家が群がってくると仕手筋は保有している株を少しずつ売却し株の需給を安定させる行為を行います。

これは一般に「冷やし玉」などとよばれます。そして、次に株の売却と購入をくりかえし上昇しやすいチャートを形成していきます。

株価が上昇しやすいチャートを形成し終えるとインターネット掲示板、SNSを通じて買いを煽り、個人投資家の買い注文を誘います。

3. 株価上昇の最終段階

どんどん上昇していく株価、買いの意欲をそそられる文言にあふれたネット掲示板、「このチャンスを逃してはいけない!」と最初は静観していた個人投資家達がどんどん参入してきます。ここまで来ると新たな買いが買いを呼ぶ展開になり、株価はどんどん上がっていきます。

4. 仕手相場の終焉

株価がどんどん上昇する中、仕手筋は事前に保有していた株をどんどん売却して利益を出します。個人投資家に株が行き渡り需要が落ち着いてきたところで残りの株を一斉に売却します。

仕手筋による株式の一斉売却を受け、株価は急落、今度は新たな売りが売りを呼ぶ展開へと発展します。仕手筋によって実態の企業価値と大きく乖離した株価で、個人投資家の多くは含み損を抱え、新たに買いたい投資家も存在しない、このような状況下では株価は大幅に下落します。

損失が少ないうちに早く売りたい!という投資家の思惑から売りが殺到し、酷い場合「ストップ安」という株を売りたくても売れない状況に陥ってしまうことがあります。

以上のように、仕手株は仕手筋は儲かり、個人投資家は損する構図になることがほとんどです。

確かに、2021年米国においてGME(ゲームストップ)という企業の株を個人投資家が仕手株化し、機関投資家に莫大な損失を与えた事例もあります。しかしこのような、個人投資家が利益を出した例は極めて稀な事例です。

手株に安易に手を出してしまうと損失を出してしまうリスクが非常に高いので控えましょう。しかし、もし仕手株的な株に投資する場合は深追いすることなく利益確定をきちんと行い、損失が出た場合は失敗を受け入れ損切りをすることを心がける必要があります。

そもそも仕手的な値動きをする銘柄に投資することは「ハイリスク・ハイリターン」な投資です。したがって、「基本的に手を出さない」「資金の一部のみ投資」、「ここまで下がったら売る」などのルールを決めておくことが重要だと言えます。

仕手株になりやすい株

それでは最後に仕手株になりやすい株の傾向をご紹介します。

仕手株になりやすい株の特徴として以下の3点の特徴があります。

  • 株価が安い
  • 株式の発行数が少ない、出来高が少ない
  • 新興株

それぞれについて詳しく見ていきましょう

株価が安い

1億円の資金を利用して株を買い集める際に、株価が100円の場合ですと100万株買い集めることが可能です。一方、株価が2000円の場合ですと5万株しか買い集めできないということになります。

さらに買い集めた株価が100円上昇した場合、たくさんの株数を集めていたほうが利益も大きくなります。大きな資金を運用すると言っても仕手筋の資金は有限ですから効率良く運用するために株価の安い銘柄は狙われる傾向にあります。

株式の発行数が少ない、出来高が少ない

株価の安さに加え、株式の発行数、出来高も重要なポイントとなります。

株価は需要と供給によって決まりますから市場に供給されている株が少ない方が株価を操りやすいわけです。

株式の発行数が少なかったり、出来高が少ない銘柄ということはつまり、仕手筋にとって株価を操作しやすい銘柄ということだからです。

例えば、出来高が1日に1万株程度しかない株と100万株ある株では株価の吊り上げやすさが異なります。通常1万株程度しか出来高がない銘柄に10万株の買い注文を入れると通常の10倍もの注文が入ることになり株の需給は一気に需要過多へと傾きます

一方、出来高が100万株ある株に10万株の買い注文を入れたとしても、それほど大きな影響を与えることはできません。仕手筋は株価を吊り上げて利益を出すことを目的としているため、株価を操作しやすい方が狙われる傾向にあります。

成長途中の新興株

新興株とは上場はしているものの、未だ成長途中の企業の株のことです。

こうした企業は今後の業績の伸びに期待できる半面、業績が不安定であるという特徴があります。なぜなら、新興株は売上が小さい傾向にあり、1つでもヒット商品が出ると売上が急激に増加し、ヒット商品が売れなくなれば売上が急激に減少するからです。

業績が不安定であるという特徴から、株価が急上昇していると「何か自分の知らない情報があるのではないか?」などと個人投資家の期待を煽ることができるために、仕手筋からはより操作しやすい株として見られ新興株は仕手株になりやすいといえます。

仕手株で失敗しないために

実際の事例と、仕手株になりやすい株の特徴を解説してきました。

さきほども解説したように仕手株は手っ取り早く儲けを出すチャンスのようで魅力的に見えるかもしれませんが、基本的に個人投資家は仕手筋に損させられてしまうことが多いです。

特に株式投資初心者の頃は株価の安さに魅力を感じ、仕手株になりやすい銘柄を触ってしまうこともあります。

仕手株は初心者が購入したそこが天井なんてことも珍しくありません。無用な失敗を避けるためにも仕手株になりやすい傾向にある「株価が安い銘柄」「株式の発行数が少ない銘柄、出来高が少ない銘柄」、「株価が不安定な新興株」は初心者のうちはなるべく避けるようにしましょう。

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