映画『グランド・ホテル』のモデルになったホテルは今どうなっているのか

というわけで、プアマンズ・シネシアターということで、「Yahoo!映画」の「オンラインシアター・ハリウッド見放題コース」を堪能しているわけですが*1、せっかくなので古い映画から見ようと思って、「製作年度順リスト」を参考にしています。
で、それの最初にあるのが『グランド・ホテル』なので、今日はその話をします。
いわゆる『グランド・ホテル』形式、つまり有名・大物映画スターを集めて1本の映画を作る、という名前の起源になったもので、「はてな」のキーワードではこう書かれています。
→はてな - グランドホテルとは

この映画のヒットによってハリウッドではオール・スター映画がブームとなり、限られた時間と場所でそれぞれ異なる人生ドラマが並行して描かれる群像劇がグランド・ホテル 形式 と呼ばれるようになった。

ぼくがこの言葉を知ったのは、『タワーリング・インフェルノ』とか『大空港』(お客様の中にお医者様はいませんか)といった1970年代パニック映画のほうが先だったので、いつ『グランド・ホテル』が火事になるかと思ってドキドキしながら見てました(なりません)。
もっと最近の人に分かりやすい例を言うと、三谷幸喜『THE 有頂天ホテル』の元ネタです。パクリとかアレンジじゃなくて、基本アイデアを借りて、それを三谷幸喜的に再構成した、という感じなので、元ネタとはほとんど関係ないんですが。
『グランド・ホテル』の内容については、普通に「映画情報 - goo 映画」から、
→グランド・ホテル
→グランド・ホテル(あらすじ)
メイキング的な情報は、クラシック映画に関しては多分日本一くわしいと思う以下のサイトから、
→素晴らしき哉、クラシック映画!
→グランド・ホテル Grand Hotel
で、映画のバックグラウンドの勉強をします。

映画は撮影はほとんどセットで行われたため、グランド・ホテルのモデルとなったベルリンに実在した高級ホテル・アドロンは映画には登場しなかった。

で、「ホテル・アドロン」の公式サイトはこちら。
→Kempinski Hotels | Hotel Adlon
ウンター・デン・リンデンの一等地にありますね。まぁ日本で言うとやはり「帝国ホテル」みたいな感じでしょうか。
そのホテルの、華麗なる歴史はこちら。昔の画像なんかもあります。
→Kempinski Hotels | Hotel Adlon | History

Headed by Lorenz Adlon, the Hotel Adlon soon became a place to see, but perhaps more importantly, a place to be seen. The royalty of Europe, the Tsar, the Maharajah of Patiala, Edison, Ford, Rockefeller, Rathenau, Stresemann and Briand were among those who stayed at the hotel, as well as Einstein, Sauerbruch, Strauss, Furtwangler and Karajan. Charlie Chaplin lost the buttons of his trousers to an excited Berlin crowd in front of the Hotel, and Marlene Dietrich was discovered at the Adlon. In 1929 the Berliner Morgenpost wrote "In the foyer of the Hotel you can hear the languages of all civilized countries."
In 1931, ten years after Lorenz' son Louis Adlon became the director of the hotel, he became sole owner of the Hotel Adlon. His sister had already sold her share back to the hotel. Lorenz Adlon was easily able to afford the amount due to the good turn over and occupancy. Between 1925 and 1930 between 1.5 and 1.7 million guests per year visited Berlin. Not surprisingly, a large number of them chose the Adlon. The Griebens travel guide called the Hotel Adlon a first-class-hotel, Kiesslings Reisefuhrer, predecessor of the Baedecker guide, also praised the wine restaurant as highly noble.
(試訳)
ロレンツ・アドロンのもと、ホテル・アドロンはすぐに見るための場所になったが、多分もっと重要なことは、見られるための場所になったことだった。ヨーロッパの重鎮、ツアーリ、インドのマハラジャ、エジソン、フォード、ロックフェラー、ラテナウ(注:家電メーカーAEGの創設者)、シュトレーゼマン(注:ドイツの政治家)、ブリアン(注:フランスの政治家でノーベル平和賞受賞者)というような人たちがそのホテルに宿泊した。他にはアインシュタイン、ザウエルブルーフ(注:ドイツの外科医)、シュトラウス(注:どのシュトラウスかは不明ですが、時期や話の流れから見て作曲家・指揮者のリヒャルト・シュトラウスでしょうね)、フルトヴェングラー、カラヤンなどなど。チャップリンは聴衆を興奮させるために、ホテルの前でズボンのポケットからボタンを落としてみせたし、マレーネ・ディートリッヒはホテル・アドロンで見出された。1929年、ベルリン・モルゲンポストは「ホテルの玄関ではあらゆる文明国の言葉が聞ける」と書いた。
1931年、ロレンツの息子ルイ・アドロンがホテルの支配人になって十年経ち、彼がそのホテルの唯一のオーナーになった。彼の姉はホテルの持ち株をすでに売り渡していた。ロレンツはたやすく占有するだけの量の株を集められた。1925から30年の5年間で、ベルリンを訪れた人間は毎年150万から170万人にのぼったが、その多くがアドロンを選んだのは不思議ではない。グリーベンの旅行ガイドはホテル・アドロンをファースト・クラスのホテルと言い、バエデッカー・ガイドの前任者であるキースリングス・ライゼフーラーもワイン・レストランをとても高貴であると賞賛した。

ワイマール体制全盛時代に、ベルリンを代表するホテルだったわけですね。
それが今、実はこんな目に。
→Yahoo!ニュース - 産経新聞 - 独ホテル とまらぬ怒り FIFA、100万泊キャンセル

【ベルリン=黒沢潤】六月九日に開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)ドイツ大会を直前に控え、国際サッカー連盟(FIFA)の関連会社がW杯関係者向けの宿泊予約を50%以上もキャンセルし、ドイツのホテル業界が“悲鳴”を上げている。手数料発生前とはいえ、その数は百万泊以上にも上る。祭典を控えた高級ホテルに大打撃を与えている。
独メディアによると、ホテルを斡旋(あっせん)するFIFA関連会社「WCAS」は大会スポンサーやVIP、各国チーム向けに数年前から二百万泊分を予約。しかし、思うように注文が取れず、五月上旬までに百万泊分以上のキャンセルを通告した。
深刻な打撃を受けているのは、ホテル計七十六カ所八千室のうち、62%の五千室がキャンセルとなったベルリンだ。アインシュタインやトーマス・マン、マレーネ・ディートリヒら著名人が投宿し東西ドイツ統一の“象徴”であるブランデンブルク門近くに位置する最高級ホテル「アドロン・ケンピンスキー」まで、“犠牲”となった。
(後略)

こういうオチかい。
日本からのツアーとかで、普通の宿泊だとこんな感じ。
→アドロン ケンピンスキー ベルリン ホテル
→アドロン ケンピンスキー ベルリン ホテル 〜 宿泊価格

2006年6月6日〜2006年7月5日 スーペリア 食事なし 665ユーロ(一名) 723ユーロ (二名)

今1ユーロ150円ぐらいだから、一人で一泊99750円! 安いのだと「エグゼクティブ ルーム」で「607ユーロ(91050円)」ですか。
2006年7月12日〜2006年8月31日だと、さらにお安くなって「280ユーロ(42000円)」。これならまぁ何とか。
ただ、ホテルの評判としては、

第13位(全15ホテル中) ベルリン ホテル

というのが気になるところです。
同じぐらいの金を出すなら、こちらのほうがいいかもです。
→シュロスホテル イム グリューネヴァルド ベルリン
だいたい2〜3万円ぐらい。
こちらが公式サイト(英語)。
→Schlosshotel im Grunewald
こちらが画像。
→Schlosshotel im Grunewald | Photo Gallery
なんかなかなか映画の感想にならないなぁ。ていうか映画の話をしてたんだっけ、俺。
一応この話はまだ続きます。

*1:さらにプアマンな人は、「Yahoo!動画」の「世界名作ライブラリー」というのもあります