先日アップした上半期ベスト10枚に収まりきらなかった作品を20枚ほど次点としてまとめておきます。 順位は付けてませんが一応上にあるものほど印象強かったって感じです。6月終わるまでにある程度聴き込んだ作品の中から選んでます。
・Seiho『Collapse』
これは10枚のほうに入れようか最後の最後まで迷った。ミュージック・コンクレートというかコラージュっぽい曲あったりでそこかしこにエクスペリメンタル的な意匠は仕込まれてそうなんだけど、それらがむしろ印象としてはポップさを増大させる装置として機能してんじゃないかってくらいやたらめったらポップに聴こえる。根明の中の根明の中の根明の音楽?夜のドライブ中に聴くのめっちゃ好き。最高。
・秋山徹次 / 大城真 / すずえり / ロジャー・ターナー『Live at Ftarri』
車窓から見たただ通り過ぎていく風景のようだったり、その中でなぜか目に留まり琴線に触れてくる錆びれた建物のようだったり。
・Ntogn『Sathurnus』
ディープすぎて音の反復にすべての意識持っていかれる感じが怖くなってくるくらいディープなテクノ。マジで頭オカしくなるくらい最高。しかもNYPですよ…!
・Basic Rhythm『Raw Trax』
テクノっていうとどうしても四つ打ち系のミニマルテクノをイメージしちゃう人間なんでよくわからないんですけど、こういうビートの組み方ってテクノなんですかね?まあよく聴きました。
・Angharad Davies, Rhodri Davies, Michael Duch, Lina Lapelyte, John Lely, John Tilbury『Goldsmiths』
Sarah Hughesの曲は最初のほう美しいなーと思って聴いてたらいつの間にか怖い感じに。3曲目の全員での即興は特に終盤でのジョン・ティルバリーの存在が光ってる。Jurg Freyの曲は彼にしか描けない景色を見せてくれる感じでとてもいい。
・Astral Colonels『Good Times In The End Times』
Valerio Tricoli今年大活躍ですね。これはAnthony Paterasのプリペアドピアノの音色がソークールでしてそこに音響操作が絡まりコンクレート化=最高なのであります。
・相対性理論『天声ジングル』
最初と最後の曲がインパクト強いのはたしかなんだけど、聴くほどにどの曲も名曲なんじゃないかって思えてきた。っていうか名曲(断言)。ボーカルのフック、ギターのキラーフレーズ、そこかしこに仕込まれ過ぎ。めっちゃ傑作。
・Klara Lewis『Too』
前作も良かったけど今作も期待を裏切らない出来だった。この人は音楽への環境音の取り込み方が上手い。
・Phronesis『Parallax』
ピアノトリオなんだけどほんとそうとは思えないくらい情報量多すぎ。1曲目のテーマ部(2分10秒辺りまで)だけでどんだけ展開すんだよっていう。アルバム通して凄い熱演だと思うけど最初の3曲の出来が素晴らしすぎて後半の曲がちょっと霞むくらい。ドラムのこいつバカなんじゃねえかってくらいの節操のない叩きっぷりが最高。あとこれ録音の雰囲気がすごくよくて、音量思いっきり上げて聴くと演奏が盛り上がってベースとドラムが弾きまくり叩きまくりみたいになるところで音がダマになって迫ってくる感じがすげーライブ感。展開とかが凝ってるからついついそれに付いていこうとして頭で聴いてるような感じになりがちだけど、音量上げてるとあまりそういうこと考えずに聴けるというかただ音に飲み込まれるような感覚で聴ける。狭い会場でライブ観てみたいなあ。
・Thumbscrew: Michael Formanek, Tomas Fujiwara, Mary Halvorson『Convallaria』
ギタートリオ編成でのメアリー・ハルヴァーソンはほんといいっすよ。
・Yann Novak『We Love Our Parents, We Fear Snakes』
Yann Novakはやっぱ最高だって再認識させられた一作。この人の音は自分に必要。NYPでいいのか……。
・Second Woman『Second Woman』
リズムは軟体動物みたいにグニョグニョ変化するけど音は硬めで結構ビシバシくる感じがかっこいいエレクトロニック・ミュージック。マークフェル?SND?オウテカ?どれもよく知らんしもうどうでもよ~
・Linus + Økland/Van Heertum『Felt Like Old Folk』
ロングトーンを主体とした即興演奏。テナー・サックス、アルト・クラリネットを演奏するThomas Jillingsと、アコースティック・ギター、バンジョーを演奏するRuben MachtelinckxのユニットLinusに、フィドル奏者のNils Øklandとユーフォニウム奏者のNiels Van Heertumが加わった編成。ユーフォニウムなど普段あまり聴く機会のない楽器も入った柔らかい持続音の重なりがまず素晴らしく心地いいんだけど、そこに即興的にメロディアスなフレーズを絡めたりしててタイトル通りのフォークっぽさがある。なんか枯れた草原とかを連想してしまう音。ドローンっぽい即興演奏からの次なる展開として新鮮だしうまくやってると思う。
・Milena Kriegs『Human Experience』
ミニマルテクノ。深夜の森に入っていくようなやけにディープな雰囲気があって繰り返し聴いた。
・大西順子『Tea Times』
現代的なリズムアプローチを取り入れたピアノトリオの演奏も管楽器が入った曲もかっこいいけどやっぱ「Malcom Vibraphone X」につきるかな。N/K & OMSB キマりすぎ。
・Simon Scott『Floodlines』
濁った音の混ざり具合が素晴らしいドローン作品でした。
・Sergio Krakowski『Pássaros : The Foundation Of The Island』
感想はこちら。
・菊地成孔『MOBILE SUIT GUNDAM THUNDERBOLT ORIGINAL SOUNDTRACK』
自分はサントラって基本どう楽しんで聴けばいいのかわからない人間で、愛聴盤といえるものもごくわずかなんだけど、これは(ライブに行く予定があったこともあって)本当によく聴いた。ジャズ作品として聴くとちょっと文句言いたいところがないわけではないけど、サントラ作品として捉えるとかなり自分の中で大きな存在の一枚になると思う。ライブも楽しかった。
・Esperanza Spalding『Emily’s D+Evolution』
1曲目のインパクトがとにかく強くて今でもそれが一番好きなことに変わりはないんだけど、他の曲もなかなか飽きない深みのある感じで折に触れて聴き返してた。音楽性は全然違うけどなんか雰囲気(プログレっぽさ?)がSeiho『Collapse』と近いところあるような気もしないでもない。
・Radu Malfatti / Kevin Drumm / Lucio Capece『The Volume Surrounding The Task』
とても静かな即興演奏。集中して聴きましょう。
・Tony Malaby Paloma Recio『Incantation Suite』
最後のトニー・マラビー大爆発が聴けるだけで全部OK。ナシート・ウェイツのドラムもいい。