Togetterで振り返る2012年の文化衝突と消えない承認欲求

カオスラウンジとか元オウムで現ひかりの輪代表である上祐氏のまとめは一例で、最近Togetterのコメント欄がずぶすぶになり、そこからが本番!な案件が増えたよなと。転機となったのは震災以降のデマの検証や、原発関係の話題なのかなと思う。Twitter自体もそれを境にキャズムを超えのだろう。
兎に角不毛なやり取りが多いよなと感じる。不毛になりがちなのは、TwitterやTogetterが文化衝突しやすい仕組みで、あたかも乾いた承認欲求を潤すように見える点にあるのだろう。

Twitterは文化衝突しやすいが炎上過程を共有しにくい

Twitterは文化衝突が起きやすい仕組みになっている。フォロー外でもRTにより異なる文化圏の話題がしばしもたらされる。炎上しやすい案件ほどRTが飛びやすい。140字では言葉足らずになりがちだし、RTは前後の文脈を容易に断ち切る。故に、ついつい脊髄反射したくなる。しかも、Twitterは@で気軽にリプライを飛ばせる。だから、容易に文化衝突が起こる。
文化衝突が起こった際の反応は様々だが、相手の文化を受け入れられず拒否反応を示すことがしばしばである。相手の文化に侵食されることなどへの不安感に起因するものだろう。シヴィライゼーションでも文化押しするとAIが戦争を仕掛けてくるしな。結果、他の文化圏を排除する方向へ進むため、攻撃的な反応になってしまうことが稀によくある。
Twitterで文化衝突した際はブロックしてしまった方が手っ取り早いだろう。ただし、シヴィライゼーションのように一国一文化ではない。それぞれのユーザーが様々な文化圏にパッチワークのように属している。Aに対する意見には賛成だが、Bに関する考え方は受け入れることすらできない場合などチャメシインシデントだ。不可分であるが故に、誰でもかれでもブロックするわけにもいかない。

一方で、Twitterでは炎上過程がよく見えない。それぞれのユーザーでTLが違うし、炎上しているユーザーのリプライ状況を把握しにくい。ブログならばエントリに集まるコメントですぐに分かる。コメント数が炎上の具合を数値化している。しかし、Twitterではどのくらいリプライが集まっているのか良くわからない。例えば、はるかぜちゃんには非常に多くのリプライが集まっていると考えられる。「@harukazechan」でTwitter検索すればそれなりに状況はわかるが、実際のリプライ欄は本人以外には理解できないだろう。はるかぜちゃん本人がブロックしているユーザーも@を飛ばしているだろうから、本人にも全容を把握できないだろう。はるかぜちゃんに関しては、脅迫めいたリプライが多かったせいか、はるかぜちゃんのリプライを取得し、違法性があるか否かでツイートを記録する はるかぜちゃんへのリプライ一覧 なるツールも作られたほどだ。誕生した経緯や、それに関する議論は はるかぜちゃんエゴサーチシステムの誕生 - Togetter などにまとめられている。

文化衝突と炎上を可視化するTogetter

Twitterは個々のユーザーによってTLが異なる。それ故に、ある出来事に関するやり取りをTwitter上で行なっても、その全容を把握するのが難しい。それを可視化するのがTogetterである。

Twitterが文化衝突が起きやすい場であったことから、Togetterは文化衝突を可視化するツールとして使われた。またTogetterはTwitterでは見えにくかった炎上を可視化することもできた。中立を装って如何にも叩いて下さいって感じのTogetterまとめとか目にしますよね!それを揶揄したのが、2010年に私がまとめた 偽論ができない困った人の○○ - Togetter なのだが、2012年でこれと同じ事をするなら役者も足りないし、毒も足りていない。先のカオスラウンジと上祐氏のまとめのように、コメント欄がずぶずぶになって別まとめが作られ、さらにそのコメント欄もずぶすぶになってからが本番という様相である。

先にも述べたように、Togetterは2011年を境として、毛色が変わったなと感じる。2010年のまとめまとめである、Togetter - トゥギャッターまとめまとめ (webarchive) と、2011年の Togetter公式イベント第2弾!「つぶやきメディアサミット2012」- トゥギャッターまとめまとめ Vol.2 - Togetter を比較してみると少々趣が異なる。

2010年は良くも悪くもはてな村っぽく、2011年以降は2ちゃんねるやら阿修羅やら、その他これまであまりネット上で活動していなかった層などが悪魔合体したカオスな状況になっている。調査報告 : 自称自衛官でラノベ作者の篠山半太さんに脅迫されていたノベライズ作家・高橋ショウさんの現状 | 松下響の天輪返し のようにネット揉め事を凝縮した蠱毒のような状態とでも言おうか。現在のTogetterの状況は名状しがたく、SAN値がどんどん削れるが、その原型は、はてな村っぽい状態にあるだろう。はてなむらっぽく感じられる理由は、初期Twitterにはてな村ユーザーが多かったのもあるが、Togetterとはてなに類似点があるからだろう。はてなも文化衝突しやすい構造をしている。

はてなと文化衝突

はてなダイアリーは、キーワードにより日記同士がつながり、他人のはてなダイアリーに言及すると自動的にトラックバックが送られるようになっている。そのため、他のブログサービスよりも日記同士がつながりやすい。また、はてなブックマークにより、色々な文化圏の話題が集積され、それを元に記事が書かれるためますますつながりやすい。つながりやすいのは裏返すと他の文化と衝突しやすいということだ。文化が衝突すると、パパパパウワー!ドドン!*1「貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ!」*2である。

例えば2006年頃にはトラックバックに関する文化衝突があった。現在は随分見られなくなったが「無断リンク」もしばし文化衝突が起こる案件であった。
一旦文化衝突が起こると、その模様がはてなブックマークにより収集され、そしてそれを元に新たに記事が書かれ・・・とどんどん拡散していく。拡散していく度に論点もぼやけていき、何を問題としていたのか分からなくなる。冒頭に紹介した、Togetterまとめと実に似ている状況だ。一例としては、『さくら荘のペットな彼女』サムゲタン選択的批判という問題 - 法華狼の日記 や 虚構新聞騒動とは何だったのか - 最終防衛ライン2 などが上げられるだろうか。また、2012年ならばstudygiftは外せない話題だろう。studygiftは言及が多すぎるのでとりあえず studygiftは「もったいなかった」―やまもといちろう×家入一真対談【前編】 (1/2)(BLOGOS編集部) - BLOGOS(ブロゴス) へリンクしておく。

はてなとTogetterは文化衝突しやすい点がよく似ている。そして、共に文化衝突を拡散させやすい構造になっている。もちろん類似点はそれだけではない。

禁断の承認欲求

はてなは文化衝突しやすい構造であるが、はてな、特にはてな村を語る上で絶対に欠かせないキーワードが「承認欲求」である。

人は誰かに褒められたいし、認められたいし、尊重されたい。それが「承認欲求」だ。はてなは、PVやブックマーク数、はてなスターなど「承認欲求」を満たす何かを可視化させる仕組みを有している。しかし、喉が渇いた人が塩水を飲むように、はてなで乾いた承認欲求が満たされることはない。一方で、承認欲求が強い人ほど話題を集めやすいのは確かだ。ハックル先生とか。我こそはという人は、『はてな村オンライン』の遊び方 を読んではてな村に挑戦してみよう!ただし、伝奇・はてな村 - 24時間残念営業 で語られるように脱村は難しいのであしからず。しかし、2012年は はてな村反省会にハックルさんが出ることになるまでの経緯 - Togetter などあって面白い年である。

TwitterやTogetterも承認欲求を満たす何かを可視化させる仕組みを有している。特にTwitterはふぁぼ数やRTされた数を競う人々がいる。例えば Favstarの無課金者に対する対応について - Togetter でふぁぼ勢とか。水戸黄門の印籠よろしく「私のふぁぼ数は53万です」と言えば何もかも解説できそうな感覚はちょっと良くわかりません。TwitterでふぁぼやRT数を集めても、満たされないのははてな等と同じ事です。また、Twitterで満たされないが故に賛同者を募るため、ついついTogetterでセルフまとめをしてしまうのも考えものです。多くの場合は、まとめ人が叩かれてしまう結果になり、こじらせてコメント欄でもずぶずぶになり・・・以下冒頭のまとめのような状況に陥る羽目になります。そして、ますます同じ文化圏同士で強固になり・・・無限ループって怖くね?“承認欲求の流動食”に依存する人々 - シロクマの屑籠 で語られるように何事もほどほどにということです。

まとめのような何か

これからもTwitterやTogetterにはてな以外でも文化衝突は起こるし、人の承認欲求が無くなることはないので揉め事は常に発生するのでしょう。人がいなくならない限り、ネットウォッチ勢としてはネタに困ることはないのですが、これから先はメルマガ形式が主流となり、揉め事も訴訟が発生しまくり実質お金を持ってない奴は何もできないなんて未来もありえるので、未来が分裂する可能性が微レ存。

*1:シヴィライゼーション4における開戦のSE

*2:同じくシヴィライゼーション4における宣戦布告の言葉