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いろはす/芭蕉(Twitter:Irohasu1230)のTwitterに収まらない話

【感想】ヒトリエ HITORI-ESCAPE TOUR 2024 10-NEN-SAI~日比谷超絶野音~【ヤオーン】

 久々に、4人のヒトリエのライブを観たような気がしました――。

 

 

 メジャーデビュー10周年記念ライブ「HITORI-ESCAPE 2024 10-NEN-SAI~日比谷超絶野音~」に行ってきました。

 

 今回はパートナーと一緒です。初報が出たのは8ヶ月も前、ヒトリエとして最大のキャパシティとなる会場でのライブとあって、公式の力の入りっぷりも凄まじかったですよね。特別なライブになる予感を覚えたファンも多かったようで、チケットは追加販売分も含めて早々にソールドしていました。

 

 ライブ自体も楽しみだったのですが、X(Twitter)で知り合ったヒトリエファンの友達が全国各地から野音への参戦を表明してくれていたこともあり、開演前に彼らと会う「オフ会」も楽しみでした。

 今回のライブレポートは、そういった開演前の話から始めようかと。

 

 私がパートナーと共に日比谷公園に到着したのは、正午よりも少し前のこと。物販の開始は13時とのことだったのですが、その1時間以上前から物販の列は伸びていました。

 思い出すのは5年前「追悼会」のこと。3人のヒトリエの初披露となったライブに参戦できたのは「Coyote Howling」ツアーの後半8公演のチケットを持っていた人ですが、日中はライブハウスにて献花と物販と写真展が開催されており、それにはチケットを持たない人にも開放されていました。

 

 5年前、私も献花と写真展に行ってきたのでした。物販は異常な長さの列が伸びていて、血の気が引いたのを覚えています。ちなみに物販では5年分のライブグッズのみならず、wowakaの同人時代のCDも販売されていました。 

 

 時は流れて2024年9月。先頭まで百mを優に超える長さの物販列を見て、今年の私も撤退を選択しました。これからちょうどお昼時。ご飯を食べて14時くらいに帰ってきたら、ある程度列もさばけていることでしょうと思い、いったん有楽町で昼食をとることにしました。

 

 さて、戻ってきて14時。物販は開始したみたいですが物販列はそれ以上に伸びていました。これは無理だと判断したので、まずファンコミュニティの有志による応援旗の企画にメッセージを書きに行きました。開場までの時間はFF諸氏とのオフ会を楽しむことに。

 

 この日のために、(私の周囲では)北は仙台から、南は福岡から日比谷に集っていました。スペースやDiscordで喋ったことがある人と直接会うのは緊張こそしますが、ヒトリエという絶対的な共通項があるおかげで会話は弾みっぱなしでした。

 何より楽しかったのが、リハーサルの音漏れを聴くこと。日比谷超絶クイズ※のこともあり、1曲1曲イントロクイズと言わんばかりに盛り上がっていたらあっという間でした。

 

※日比谷超絶クイズについては、下記ツイートを参照のこと。

(ファンミーティングですってよヤバくないですか)

 16時半、開場。私の席は後方C列。遠かったですがその分ステージ全体を広く見渡すことができました。いつも通う広島の SIX ONE と比べても明らかに広いステージですが、3人の楽器は中央近くにコンパクトにまとめられていました。

 ちなみに、チケットに付随していた特典グッズは、手拭とステッカーとバッグでした。最後まで公式から事前情報はありませんでしたよね。紺色基調のシンプルながら確かな存在感を感じるデザインです。

 定刻を少し過ぎて開演。割れんばかりの拍手と歓声。

 いつにもましてエレクトロなSEが流れるなかで3人が姿を現しました。(SEは後日ファンクラブにて公開されました。例に漏れずシノダ作曲だったようです)

 まずは日比谷超絶クイズの答え合わせ。イガラシは安定の全身ブラック。ゆーまおのボトムスは黄色、シノダのトップスは紫色でした。わからんて。

 さぁ問題の1曲目。会場に轟いたのはサイレンの如きけたたましき乱打。必殺コンボ『SisterJudy』! 続けて『モンタージュガール』! 今日は3人ともバッチバチに演奏がハマっていました。とくにシノダが絶好調。「モンタージュガール」なんていうイカレた超高速キラーチューンを大都会・東京の街中で、しかも爆音で浴びる爽快感よ。

 息つく間もなくゆーまおが四つ打ちでつなぎます。「とりあえず踊っていけ」とばかりにぶちかまされた『トーキーダンス』。半年前の私へ、叶ったよ。

キメていたはずの前髪もめちゃくちゃにしながら踊り、声を出す。幸せ過ぎるぞ超絶野音。

 

 ここでMC。最近恒例となった挨拶。

「インターネットからやって来ましたヒトリエです」

野音という聖地に立った感慨深さと興奮を噛み締めているのか、シノダが「始まってしまったなぁ!」と漏らしていたのが印象的です。チケットは瞬く間にソールド。会場を埋め尽くした3000の群衆を前に、シノダが問いかけます。

「こんだけの人数、お前らいったいどこから来たんだ」

 すかさず、いたるところから「インターネット!!!」という声が上がります。そらアンタらがインターネットから来たんなら、ファンもインターネットから来てんすよ。


   改めて、「やるよ?」とゆーまおに向き直ったうえで『curved edge』。3人のヒトリエとして最初の曲でした。wowakaの曲に混じって異彩を放ってきたこの曲も、3人の曲が増えてくるにつれて最近はなかなか演奏されなくなっていましたね。今回はやや遅めで、そのぶん舐めるような色気をまとって演奏されました。 続けて「日比谷公園の長い歴史や、お前らが並んだ13時からの物販の列をぎゅーっと縮めて『3分29秒』!!!」
 続けて『風、花』。屋外で聴くからこそ、シンセサイザーの軽やかなフレーズが、夕暮れの風と絡んでとても心地よかったです。さらに荒んだ感じのイントロが追加されて『オン・ザ・フロントライン』。相変わらず切羽詰まった演奏。これアニメタイアップ3コンボでしたね。


 小休止。シノダがハンドマイクを手に取り、イガラシがベースを持ち変えました。久々の『SLEEPWALK』。定番曲のいつもの演出を拝める安心感。2度目の間奏を経て、シノダがドラムセットの土台に乗りました。5カウントで華麗にジャンプ。おかげで今日のジャンプはいつにもまして高かったです。

 続けてハンドマイクつながりで『Selfy charm』。シノダの高音が本当に綺麗。イガラシの歌唱パートはあまりにも静謐。青をベースに白くまっすぐな光に照らされているからか、「極夜灯」のベースソロを思い出すくらいの神聖さをまとっていました。

 シノダがギターを構えると、夕暮れの東京を歪んだギターが切り裂きました。『モノカラー』です。夕暮れ×屋外の相乗効果で最高の仕上がり。完璧すぎる……。「モノカラー」「Quit」のどちらかは演奏されるとは誰もが予想していたでしょうが、それが叶うだなんて、あまりにも贅沢じゃありませんか……。


  MC。「この形式で演奏するのは初めての、リーダーの曲をやります」と。スローテンポのバラード調。知らない曲でした。

 ”恋をして。”……という歌い出し。まさかの『テノヒラ』でした。この曲は弾き語りでは頻出ですが、バンドとして有観客で演奏されるのは初めてのこと。wowakaがいた頃を含めても、この曲はシノダのほうが歌っていたイメージがありますね。ステージの背景にはプロジェクションマッピングが投影されていました。YouTubeに上がんないかなコレ。速くて華がある代表曲と比べると話題に挙がりにくい曲ですが、だからこそ令和の世にこの曲にスポットライトが当たっても良いと思うんですよ。曲の終わりにシノダが深々と頭を下げていたのが目に焼き付いています。


 さらに、「久々の曲をやります」と。”ねえ!その”……。『ワンミーツハー』!!!!5年間ずっっっっっと聴きたかったやつ!!!!

 4人時代は必出だったもののこの5年間パッタリと途絶えていた、ヒトリエを牽引してきたこの曲が、リーダーを喪ってパッタリと演奏されなくなっていたの、本当に寂しかったじゃないですか。私はここでボロボロ泣きましたね。

 イガラシのクールで激しいイントロは健在。最初はシノダが歌っていた”問題の羅列”はゆーまおにスライドしました。2番のサビの後、イガラシ、シノダ、wowakaの3人が交互に鳴らすくだりは、シノダがリズムギター4拍を刻む上でイガラシが3人分の音をスラップで再現していました。最後のサビに向かって盛り上がっていく”私の裏側の…”は安定のイガラシとゆーまおが順々に加勢していく仕様。ここは5年前と変わらず。最後の最後の”歌にしたいの!”のロングトーンは妥協されていました。ここのカッティングはどうしてもシノダがやらないと締まらないわけですから。

 「3人ならこうなるよなぁ」という仕上がりでした。翌日、DEEPERの音源を聴き直して気付いたのですが、元々この曲は音が少ないですよね。シノダ、イガラシ、wowakaの3人が揃って音を鳴らしているシーンが少ない。Aメロはwowakaの歌とゆーまおのドラムしか無い部分もあるし、イントロ,アウトロはシノダのソロパートになっています。あの状態からさらに音を少なくして3人だけで演奏を成立させるのは難しかったことでしょう。だからこそ、聴けて良かったです。
 そこから間髪入れずにオンベェイスイガラシ!!!!やばいやばいやばいやばい、(私にとっては)およそ2年ぶりの『踊るマネキン、唄う阿呆』!!!指カウントや独自の手拍子も久々のこと。この曲特有のファン目線での忙しさが懐かしかったです。マネキンのアウトロ恒例の掻き鳴らしを、ドラムソロでつなげて『ジャガーノート』へ。このコンボは初めてだったはずですが、あまりにも自然過ぎて感動しました。冒頭の必殺コンボと同じくらい自然でした。「愛してる」や「おっおっおっおー」はコールが発生していました。それ以上にやばかったのがサビの花火! サビでステージの前縁から花火が噴き上がりました。メンバー3人の激しい演奏を、花火越しに拝む体験ができたのは贅沢でした。

 後のMCでシノダが言いました。「お前らもヒトリエのライブで火を観ることになろうとは思わなかっただろう!!!!」と。正直サビで急に火花が出てきたのは笑ってしまいましたが。ちなみにちょっと熱かったらしいです。

 

 ここで発声練習。3000人のシンガロング。日比谷公園の歴史上最もデカい声を出してほしい、と『アンノウン・マザーグース』。個人的にはAメロ?でマイクを持って走り回っていたのがヒヤッとしました。ギターの入りに間に合うんかという意味で。

 シノダが願うには、

「近隣住民が『あれアンノウン・マザーグースじゃね??』ってなったなじゃかろうか」

とのことですが、いやあそこの近隣”住”民て、やんごとなき人しかいなくないですか。

 

「ヒトリエに入った時、これは野音までいけるバンドだなって思った」

 すっかり日も沈んで、良い感じに外が冷えてきてたところにちょうど良い『カラノワレモノ』。

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 外がまぁ暑いので演者もファンも水分補給をしっかり摂っていました。さらに抒情的に弾き語りながら『イメージ』が演奏されました。背景の映像がMVから取ってこられていたのが印象的でした。この曲に限らず、イガラシのコーラスがまぁ全部綺麗でしたね。
 ラストの曲と前置きしてからの『ステレオジュブナイル』。七色に光る照明は野音でも健在でした。しかも今回は花火付きという豪華さ。


 3人がステージからはけるやいなや、自然発生的に「もう一回」の声が上がりました。が、3000人もいると揃わないですね。

 突如、10-NEN-SAIのロゴがステージに浮かびました。告知された情報が2つ。

  • 東名阪 10-NEN-SAI Finale tour 開催決定
  • 7th Full ALBUM 発売決定

会場からはこの日一番の歓声が上がりました。7枚目のアルバムかぁ!「PHERMACY」以来2年半ぶりですね。


 メンバーが登場。先程の情報について、シノダから改めて説明されました。アルバムの特典にはこのライブの映像も円盤化されて入るみたいです。現在絶賛制作中でタイトルは未定。半分くらいできたかな、とかなんとか。金額も何も提示されていませんが、終演後に予約が開始されるそうでした。ここで予約していった人には新しいアー写のポスターが貰えたみたいですね。
 ひととおり話し終えたシノダ。ここで舞台袖に呼ばれて一度出るものの、今度は猫のぬいぐるみを抱えて再登場。ねこ3号機が完成したそうでした。初号機、2号機を縦に匹くらい並べたくらいのサイズの超巨大な黒猫です。高さ30cmは優にありそうでした。「トップをねらえ!」に着想を得たそうです。浅学なのでよくわかりませんでしたが。

 ゆーまおはMacBookProを買ったそうでした。「これで出先でも作曲ができる」とのこと。「現実から逃げません!!!」と叫んでいました。あなたは休んでください……。

 イガラシはゆーまおロングTの話。着ていた人は意外と少なかったことで一安心。みんなこれを着ていたらどうしようかと思っていたそうです。今回は買いたくても買えなかった人も多かったでしょうから……。
 シノダは下手側最高峰でナンバーガールを観たことがあるのだそうでした。ちょうどフルアルバムの予約ブースが構えられる辺りを指していましたね。

 

 3匹の猫をHIWATTの上に並べて、アンコールへ。バランスを崩して猫が転倒しかけるのをローディーさんがファインセーブ。何事かと振り向こうとするシノダに対し、ゆーまおは「前だけ見てろ!」と。フロアからは笑いが漏れます。

 

 まずはイントロを贅沢に9拍噛み締めて『センスレス・ワンダー』。ハンドマイクで走り回っているシノダを見てヒヤッとしたのは私だけではなかったことと思います。ステージの後ろのプロジェクションマッピングは、「10年後のセンスレス・ワンダー」のタオルの柄でした。


 さらに「リーダーの”新曲”をやります」と前置きして『NOTOK』!!!!!!!

 ギターのテケテケ感が本当にwowakaのソレでした。5年ぶりに味わえるなんて! 歌詞は事前に公開されていましたが、今回曲として聴いた感じ、やっぱりDEEPER以前のものではありそうですね。私は「Swipe, Shrink」や「バスタブと夢遊」に近い雰囲気を感じました。

 「これがwowakaの最後の曲なんだな」と、自分の中で吹っ切れた感じがありました。ある意味安心したといいますか、未練がさっぱり成仏したといいますか。誰しも、急逝を知った時は、「HOWLS」が最後なんて思っていなかったじゃないですか。

 「NOTOK」は、泣くとかノるとかじゃなくて、本当に呆然と聴いていました。耳に焼き付けて覚えたかったので。フルアルバムに音源として入ってほしいなぁ……。

 アンコール2曲目が誰も予想しえなかったであろう新曲だったからこそ、その場にいたオーディエンスは各々情緒をめちゃくちゃにされていたことと思います。これで終わられたら日常生活に帰れなかった気がします。

 最後は『ハイゲイン』が演奏されました。新時代の象徴だったなぁ。コロナ禍が明け、咆哮はシンガロングになりました。この曲の痛切な叫びに毎回涙腺をやられます。サビの花火も綺麗でした。

 掻き鳴らしの音が止んで、イガラシとゆーまおが早々に去っていった一方で、シノダは名残惜しむようにステージに立っていました。最後に一人でステージに残るのはリーダーがやっていたことじゃないですか。最後は全力疾走で下手へ帰っていきましたが。

 全力疾走のフォームが、「あぁやっぱりシノダだなぁ」という感じでした。


 名残惜しむように、フロアからまだまだ「もう一回」の声が上がりました。残念ながらダブルアンコールはありませんでした。とはいえ、帰るのがもったいなくて私もしばらく座り込んでいました。あんなライブに参戦して、夢のようなひと時を味わって、おいそれと出口に向かえるほど私は強くないので。

 人生でこれ以上のライブに出会えるのは、そうそうない気がする、そういう絶望すらも覚えていました。本当に最高の一日でした。衝撃の楽曲もあったし、定番曲も完璧でした。

 

 久々に4人のヒトリエのライブを観たようでした。これまでも、リーダーのことを大切に思っているのを感じられるライブはいくらでもありました。「追悼会」や「10年後のルームシック・ガールズエスケープ」など。

 でもそれって、リーダーを偲ぶ3人のヒトリエのライブだったじゃないですか。我々ファンも含めて。それでも、今日の日比谷超絶野音だけは、wowakaこそステージに立っていませんでしたが、アクターの一人としてそこにいたような、4人のヒトリエを久々に見たような気がしたのでした。

 

 

 Finale Tour は、参戦するなら新宿になると思います。10-NEN-SAI、まだまだ楽しんでいきましょう。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。