kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

自民大阪府議団を母体とする大阪維新に対し、連合を支持団体としている都ファは、都議会民主の流れも色濃いのでは?(まやや充実さんのコメント)

 都知事選に入って弊ブログの記事が少ないのはなんといっても仕事に忙殺されている体が、情勢報道記事に怪しいものが多くてあまり信用ならないということもある。一応私がある程度信頼しているのは無作為抽出によるオーソドックスな調査を行ったことがはっきりしている序盤の日経調査と中盤の共同通信、TBS、毎日などの調査だが、小池百合子が一定程度リードはしているだろうと思われるものの、どの程度の差なのかはさっぱりわからない。

 情勢調査報道が乱れている傾向は4月の衆院東京15区補選でも見られた。あの時は、結局序盤に出た日経とTBSの調査結果が一番正確で、選挙戦中には動きはほとんどなかった。しかし情勢報道は選挙戦の進行とともにエスカレートし、中でも小池百合子が応援に力を入れ始めた(それは小池陣営からの電話での応援依頼を二度受けた私自身の経験からも間違いない)ことから乙武洋匡の票の伸びを示唆する報道が多かったが、それらは全く正しくなかった。もっとも情勢報道の全てが的外れだったかといえばそうではなく、維新の金沢結衣の失速などはきっちり報じられていた。選挙戦中盤以降に行われた各社の情勢報道が大きく外したのは、選挙戦中に乙武の票がほとんど伸びなかったことと、同じく選挙戦中に須藤元気が大きく票を伸ばしたことを予測できなかったことの2点だ。このうち前者は、マスメディアの人たちが小池百合子の影響力を過大に見積もったせいではないかと思われるが、今回の都知事選ではその小池本人が出馬しているからなおさら情勢の推移が読めない。

 とはいってもある程度の感触はある。それは今回の都知事選でも選挙戦中に小池票はほとんど伸びず、その代わりに15区補選での須藤元気に対応する伸びを見せているのが石丸伸二であろうというものだ。たとえば2020年には候補者を出して供託金をぎりぎりのところで没収された維新は、それでも票数では3位の山本太郎に肉薄していたが今回は白旗を掲げて候補を立てなかった。音喜多駿がかつてのボスだった小池百合子にすり寄って、支援する代わりに衆院選や参院選の東京選挙区で維新の邪魔をしないでくれないかとの取引をもちかけたものの小池に拒絶されたとの風説があるが、それはおそらく事実だろうと私は考えている。このあたりに維新の衰勢がはっきりみて取れる。その維新が候補を出さなかったことは、当初小池にとってプラス材料と思われたが、情勢調査によれば維新支持層の4割が石丸、3割が小池に流れていて蓮舫にはほとんど流れていないらしい。このことから、石丸票が小池票をある程度食っていることが推測される(また、少なくとも東京においては立民が維新と共闘する(宥和策をとる)メリットなど全くないことも示されている)。

 ただ、15区補選でもある程度示され、都知事選でいっそうはっきりしてきたのは、支持政党内リベラル候補(15区補選での酒井菜摘)やリベラル製に支援される候補(都知事選での蓮舫)を忌避して、ことに都知事選ではあからさまに小池に流れる「立民右派支持層」の存在だ。

 この件に関して弊ブログにいただいた「まやや充実」さんのコメントを、以下に紹介する。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 まやや&充実 (id:mayaya_jujitsu)

「東京都議会における、都議会民主から都民ファーストの会への系譜」は個人的に気になるトピックです。

・自民大阪府議団を母体とする大阪維新に対し、連合を支持団体としている都ファは、都議会民主の流れも色濃いのでは?
・かつての都議会民主党は、国政の民主党以上に右派勢力が目立っていた(七生養護学校事件の土屋敬之など)。現在の都議会立憲民主は、「都議会民主の後継」と単純に言えるのか?

などは前から疑問に思っていました。

都議会民主から都民ファーストに移った議員の比較や、支持基盤・組織の比較などはいつか調べたいと思いながら未だ手を付けていないのですが…。

大阪維新と都民ファーストを「ネオリベ極右の第三極」と十把一絡げに見なすのではなく、東京では維新が振るわない中、2021年都議選でも自民党33議席に迫る31議席を獲得できる都民ファーストの底力(都ファは一時のブームで伸長した勢力ではなく、もはや都政に確固たる根を下ろした勢力と考えています。)の源泉、支持基盤、組織は何か。そして維新や大阪とも異なる「東京独自の政治風土と、その中における都ファの研究考察」を行うことが今後の都政、そして国政において「ネオリベ第三極」に対峙していくためにも非常に重要だと思っています。

 

 これについては、国政選挙においては2017年衆院選で「希望の党」から弾かれた旧立憲民主党が希望の党に勝ち、少なくとも2021年秋までは野党政局をリードしてきた(2021年の立民代表選で旧希望の党の泉健太が勝ったことによって、現在は流れが複雑になっている)のに対し、希望の党と同様の選別(排除)が行われたにもかかわらず、同じ年の都議選で都ファが圧勝したことによって生じた惰性力が現在もかなり有効であることが、小池百合子の票を上積みしていると考えられる。

 今回は事実上の立民候補である蓮舫が共産党などの支援を受けて選挙戦を行い、共同通信などの中盤情勢調査によれば両党の支持層をかなり固めているようだが、立民でも右派に属する野田佳彦系の蓮舫を立民支持層の左側(あるいはリベラル側)に加えて、ボリューム的には最大と思われる中間派を押さえるという、野田Gの党内権力闘争の一面もあり、それが立民右派支持層を苛立たせている一因になっているのではないかと考えている。

 今回の選挙結果がどうなるかはわからないが、勝敗もさることながら各候補(特に主要3候補とされる人たち)の得票に注目する次第。

 なお、都知事選と同日に行われる都議補選も注目される。

 たとえば足立区では期日前投票の伸びが鈍いらしいが、これは公明党の動きが鈍いことを意味する。だからこの区から立候補している立民候補はかなり有望であろうと推測される。但し足立区は江東区以上に自民党が強いと思われるので予断を許さないが。

 一方、江東区では期日前投票がかなり伸びている。これについては、都議会自民にとって中心人物の一人だったらしい山崎一輝を、水面下で公明党が相当しゃかりきになって支援しているせいではないかと私は疑っている。都議補選の情勢調査がどのくらい真面目に行われているかは知らないが、江東区では残念ながら山崎一輝と三戸安弥という右側2候補の一騎打ちとみられていて、Xを見る限り三戸は都知事選に出ている前記石丸伸二や、昨年12月の江東区長選を最後に選挙への出馬から足を洗ったらしい「おっさん東大生」猪野隆の応援なども受けて、無党派層への支持拡大に躍起になっている。

 驚いたのは自宅の郵便受けに入っていた自民党のビラで、それには山崎一輝の名前は書かれておらず、「まちの伝統と絆を守る江東 自民党」「生まれ育った江東区のために都議4期の経験を活かす!」(この文言が山崎を指している)と対処されていた。ビラには都知事選のことなどは一言も書かれていなかった。つまり江東区の自民党は、自民党という党名を全面に押し出して、都知事選には全く触れないことで小池百合子との距離感を示唆するビラを撒いている。いや、ビラだけではなく前記の文言が印刷されたポスターも貼られている。どうやら自民党江東総支部は、小池百合子ではなく江東区自民党を支持してくれと全力で訴えたいようだ。

 これは、昨年来の江東区での選挙への小池百合子の介入(あるいは小池百合子と萩生田光一との結託)が、江東区の自民党に亀裂を入れた、あるいは江東区の自民党を弱体化させつつある表れだと私はみている。

 この点からも都知事選のみならず都議補選の結果にも大いに注目している。私自身は繰り返し書いている通り山崎にも三戸にも投票しないけれども。