ストライダー飛竜


ストライダー飛竜 - PS3

http://www.capcom.co.jp/strider/


2014年2月つまり先月発売と、このサイトにしては珍しい新作。
しかしながら中身は昔ながらの2Dアクションなので
現在のゲーマーなみなさまに興味持っていただけるかと余計な心配。
前回もしてたな。
オンラインでチーム組み銃撃つだけがアクションゲームでないんだぜ、
といっても
現在についていけないから昔のものありがたがっているのでないか、
という疑念もまったくあたっていないわけでなくもないかもしれない。



もとは1989年、25年ほど前、スーパーファミコンが出る前の年に
ゲームセンター用に作られた同名作を
このたび設定をそのまま一から作られたもの。
アメリカのカプコン製。
カタカナのニンジャ風な孤高の狩人、
「ストライダー(strider:stride(闊歩、進歩の名詞形))」である
冷徹な主人公の飛竜さんが
「あのお方」こと「冥王グランドマスター」を抹殺するお話。
なるほどアメリカ受けしそうな造形。
スーパーファミコンよりメガドライブみたいな。

4gamer:プロデューサーインタビュー http://www.4gamer.net/games/220/G022033/20140220086/



ゲームとしてはもちろん25年前のままではなく
見た目は当然きれいになり
とれる攻撃や移動手段が増えたり
グランドマスターのもとへ辿り着くまでの道中も大幅拡張。
まっすぐ突き進めば1時間くらい、
強化や隠しアイテムを丹念に拾い隅々周れば10時間弱くらいの規模。
雑魚敵もそれなりに火力高く、囲まれ固められて蜂の巣になると
あっさりお亡くなりになれる一方、
敵の攻撃をしっかり覚えれば、最後まで運に頼るようなところはなく
世界の支配者とその配下組織を正面突撃で単身打ち破る、
流石の実力者たる飛竜さんの活躍を堪能できる様式。


明らかに手前にも奥にも移動できるスペースがあろうとも
かたくなに上下左右にしか移動しようとしない飛竜さん。
防御とかガードなどという守勢の行動もなく
容赦ない銃撃の雨中をかまわず突き進んで懐飛び込み
光剣サイファーでボコボコにいてこます活躍ぶりは
まこと頼もしいのですが
なぜか敵陣中ボス敵のもとにあるアイテムで
能力がパワーアップしたりします。
手前や奥の空間も使えば楽そうなのに
平面移動だけで最後まで強引に到達できてしまえるも合わせて、
3Dでないほうの『メトロイド』っぽい。すごくぽい。
やはりアメリカか。



溶岩だったりバイオ兵器だったり
ビームじゃないけれど敵を凍らせて足場にしたり、
2段ジャンプと空中ダッシュを組み合わせてしか行けない
画面隅の行く必要なく行けそうにないところへ
ご褒美アイテム配置してみたり。
もっともサムスさんはシャインスパーク覚えたあたりで
ゴールが見えるお約束ですが
こちらはもう少し過剰な能力を揮うに値する敵が用意されているのが
ややアクションアドベンチャーからアクション寄りなところ。
そういえばサムスさんも3Dの時と2Dでは銃の射程距離が違うところが
いろいろアクションとして慮られるところです。


現在の2Dアクションゲームにおいて、それなり一通り遊んでいただき
同じ値段で他の何十時間か遊べるゲームと並ぶには
2Dの『メトロイド』や本作のような規模の舞台づくりが適当なのかな、
とも思います。
別な表現手段として想起されるのが『メタルギアソリッド』シリーズ。
操作こそ2Dから3Dに変更されているものの
アクションゲームとして、現在に相応満足していただける程度、
量を用意できていると評価されているのではないか。
後ろに行くほど見ているだけの部分が増えていくけれども。
複雑に絡み合ったお話の面白さを表現したいわけではない場合、
それでも主人公が敵地最奥まで進行する動機付けをどうすれば良いか。
そしてその過程に、RPGなどと比べて劣らない程度に
量の満足を与えるにはどうすれば良いのか。
『メタルギア』は「ソリッドの1」が、
特にその範となる大きさと思えます。
二十世紀最高のシナリオだったかどうかは存じませんが。



本作は、主人公を動かして楽しむアクションゲームとしても、
現在のアクションゲームとしての大きさ表現の面でも、
今に名を残す作品を復活させ継ぐに、相応しい出来ばえか、というと
若干力不足を感じるところのないでもない。
道中、敵基地の仕掛けを利用して能力解放しつつ
張り付いたり跳び回ったりして越えていくところは
それなりに彩りあきずに楽しめるのですが
やや中ボス敵のみなさんが印象うすい。
特に後半に行くほど力尽きたのかキャラクタの演出表現が中途半端だし
実際戦っても、個性薄いからか工夫する楽しさが薄いところあります。
雑魚の冷凍弾のほうが余程脅威だったりする。


移動中でも落下中でも溜め攻撃がためられるのは良いところですが
普通に張り付いて連打でも脅威感じるところが少ないし
スーパーモードは魅せ技としても
オプションのわかりやすい活躍の場がもう少しほしかったかも。
そんな細かい粗が浮かんでしまいますが
何より全体として、ここ、という掴みが弱い。というか無い。
あまり大きな欠点はないけれど
この作品を象徴する傑出した点も思い浮かばない。
元作品は「飛竜」という主人公の魅力にあったのかもしれませんが
この作品では、それに加えての何か、が特にないように思うわけです。
アクションとして、最後まで遊ばせてくれる出来栄えではあるし
知っている場面でも何週として飛竜さんの活躍を楽しみたくなる程度の
規模と中身を備えてはいるけれど
好みの差を越えて薦めるまで至らない。


2Dだから3Dだからというみため、
またアクションゲームだからという話ではないかもしれない。
現在は少なくとも過去に充分遊びつくせないほどの同種があって
その上で、みためきれいで
細かいところが親切丁寧に整備されている、という理由で
新作だからという理由だけで、過去の名作に克し得るのだろうか。
何か今までにない新しいものが備わっていなければ
価値がないとは言わないけれども
残念には思う次第であります。