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・ここのところ『三国志大戦』ばかりで他のゲームを、
 ぜんぜんまったくすこしも、これっぽっちばかりも遊んでいない。
 仮にもそれはゲーマーと名乗っていてどうか。
 
・と書きまして気付きましたが、『三国志大戦』もゲームだった。そういえば。
 そうだった。なんだゲーマーではないか。
 というわけで安心して今回は、ぜんぜんまったくすこしもゲームと関係ない話。

今も幻のアキハバラメイドカフェ出店計画


・先月、大学時代の先輩が突然電話してきて曰く
 「(意訳)秋葉原でメイド喫茶を開く計画あるので金を貸せ」
 「ありません」
 ゲームにそそぐ分はあってもそんな計画に落とす金はない。
 聞けば自己資金はないらしい。
 それでひとの金を当てにして既に不動産屋へ出物を訊いて回っていると。
 爽快なほど無謀極まる話である。
 面白いので視察に行くというのに付いていきました。


・そして先日、久しぶりに降り立ちました秋葉原。誰が言ったかIT産業の中心地。
 駅前にばかでかいヨドバシカメラ巨艦店、
 新しく、地べたを這いつくばる連中にそぐわぬビルがふたつもみっつもそそり建つ。
 ゲーマーという以上、以前は良く中古ソフトを漁ったりもしたものですが
 今はそれほど。Amazonで大概買えますし。
 むしろ地元の中古ゲームチェーン店を何件か見て回る方が効率よかったり。
 それでもプレミア価格付くような、ショーケースの中に飾られているようなものは
 眼福眼福、おっ、これは私持っておりますよこの値段で売れるわけではないけれど
 この売値で足していくと私もひと財産もちですねふふふ、と意味ない優越感。誰に。


・もうひとつはゲーセンで、STGの「Hey」http://www.taito.co.jp/shisetsu/space/57.htmlと
 ちょっと古めゲームの「TRY」(http://www.toratawa.cjb.net/tower/cgi/view.cgi?strings=top)は
 双璧。このふたつで1日遊べます。
 しかしこれまた地元で大概間に合うのも事実。どうしてもTRYにしかないあのゲーム、
 Heyで注目新作のロケテストが、というでもないかぎりあまりいかないかも。
 というよりそれでもいかないかも。かもというよりいかないかも。かもかも。

・なので久しぶりだったのである。かもというか来ていなかった。
 前にはメイド喫茶というのはラジオセンターの上にある古炉奈くらししかなかった頃。
 という認識自体古い上に違う。
 メイドカフェである。メイドである。喫茶店でなくカフェである。
 この違いとはオーナーのこだわり。スターバックスやベローチェなんぞとは違う、
 こだわりの安らぎの空間演出に価値がある、らしい。



・まず行きましたのは「@home cafe」(http://www.cafe-athome.com/)。
 いきなりまた強烈。
 席代¥300、ドリンク¥500〜600、ケーキセット¥1,000。
 客席40、60分でオーダーストップ90分制限。カメラ撮影とゲームは1回¥500.
 酒が出ない時間制限のキャバクラです。ビールはメニューにあるけれども。

・しかしぼったくりとか言ってはいけない。それを言うなら飲み屋は皆そうである。
 ビールは税金高いが他は原価など知れている、特にカクテルなんか原価¥100以下、
 などとは、ろくに飲まない素人でもしっているのに
 それでもなんだかんだと皆飲みに行くのは、場所代であるから。
 場所と時間を買うのである。すなわちひとり2時間で¥5,000前後。
 90分弱で客単価¥1,000、都心の一応一等地にあるメイドカフェとしては
 比べて妥当な値段といえましょう。たぶん。
 少なくともゲーセンで連コインするより飲み屋のほうが高い。
 つまり秋葉原基準。おでん缶とか買って喜んでいる連中相手の商売だけに。

・店は長蛇の列。まったく理解の外であります。
 いかにもな男性の方々だけでなく、みたところ3割程度は女性のお客。物見高い。
 だいたい一時間に一度、ジャンケン大会などのイベントで間を持たせる仕組みらしく
 というのは注文してからでてくるのがすごく遅い。
 普通のスロベリーパフェ¥800也をたのんで出て来るのが20分後である。凄いぜ。
 最初に順に客を入れて並べすわらせ、順に注文をとって席を埋めたら
 1時間はまったく開かないからつまり一時に40名分作るので
 直ぐ出せるものからまとめて作るわけ。それでこの待ち時間。
 パフェのアイスも微妙に溶けてる。最初に出てくるお冷もぬるい。氷入ってない。
 製氷機は場所取るから節約なのだろう。
 引率者曰くこれはこの店に関わらずどこもそうらしい。言われてみれば。
 料理は基本もちろんレトルト。外注である。仕上げだけするのである。
 微妙にまずい。思っていたほどまずくないが、もちろん決して美味しくはない。
 そんな風で40席を、間を持たせつ酒は入れずに大回転。
 ある意味たいした商売技術。大繁盛で階下フロアはなんと丸々待ち席らしい。



・そういう力技のメイドカフェを見学させていただいて疲れた。
 ということで次は疲れないところとへご案内されました。いや嬉しくない。
 ゲーセンで遊んでいるほうが良いんですけれど。
 メイドというだけで疲れるですけど。


・東京都心、固定資産税と資産価値の天秤で行き詰った趣深いビル立ち並ぶ通りの
 秋葉原ならではともいえる狭い入り口低い天井ぼろい階段を上がっていった先の店。
 「シャッツキステ」(http://schatz-kiste.net/index.php)。

・狭い。15席しかない。30分¥500、紅茶お変わり自由、飲み物持込可。
 先の店が酒の出ない時間制限制大回転キャバクラ秋葉原風ならば
 こちらは場所貸し特化型、レンタルスペースアキハバラ。
 天野喜孝画集とかメイド関連書籍とかマザーグースとかルイスキャロルなどの本、
 居心地良い狭さという演出。
 非電源系、テレビゲームビデオゲームでないボードゲームの貸し出しもある、
 というあたりは
 秋葉原が、デンパでラジオでデパートで会館で千石電商秋月電子、
 そして萌えとメイドで出来ているだけではないことを思い出させてくれます。
 いやメイドカフェなんですけれど。


・そこで1時間ほどくだらない話をして燃料切れてきたので
 今度はさすがにゲーセンへ引っ張る。
 お礼に『三国志大戦』の布教。個人的に本日の本題。
 GIGOもCLUBSEGAも、休みの昼間、もちろん大行列。
 人垣にげんなりしながらHEYへ行くと『虫姫さま ふたり』のロケテスト開催中。
 これは見学。と、ひとりならそこに張り付いているところですれども
 今日は布教活動の最中。残念無念諦めて、
 8台置いてあるレジャーランド(http://am.ge-sen.com/?2407)で
 時間待ちの間にも教えに専念。けれど待ち時間の割りに直ぐ負けるので効率悪過ぎ。
 ああこれが殉教者への弾圧、店は我に七難八苦を与えられたか。
 おのれ初心者狩りどもめ。けれど『1』より『2』のほうがそうでない人が多いかも。
 などとくだらない話をしていると、どんどん頭の中身も周囲に汚染されます。
 これが電脳魔都の力。でもメイドカフェでは癒されたくないのだけれども。


・朝からパフェと紅茶しか食していないのでおなかすいた。
 ゲーセンの空気に触れ、さらにスーパーポテト(http://www.superpotato.com/)で
 プレミアソフト棚に飾られた自己所有物を見て裕福な気持ちになったところで
 しかたなく3件目。「CURE MAID CAFE」(http://www.curemaid.jp/)。

・メイドカフェの老舗らしい。約40席。その様相を前の二店と比較すると
 ウェイトレスの方が「いわゆるメイドの服装」をした、ただの喫茶店である。
 本当に普通の喫茶店だ。値段もそれなり。内装もそんな。
 カレーとケーキとアイスソイラテ。どれも普通の味。
 喫茶店のカレー。COCO壱番屋のカレーより余程かましな味。
 それはまあ自分でハウスバーモンドカレーを作った方が美味いけれども。
 まともに経営している様子であるので、明らかに利益率は高くなさそう。
 最初の店も飽きられたら直ぐつぶれそうであるけれど
 代わり荒稼ぎしているに対してこの店は質実剛健はいいけれど
 合わないのではこの土地に、と思って帰ろうとしたら外に客が並んでいた。
 メイドに並んでいるのか普通であることに並んでいるのか、両方か。
 どの道、理解の外ではあるけれども。




・以上、秋葉原のメイド喫茶、もといメイドカフェ3軒はしごの感想。
 秋葉原のゲーセンは込みすぎである。
 『虫姫さまふたり』を2人プレイする率は果たしていかほどか。
 という話を帰り電車でしようかと思ったけれども引率の方は、
 それで金を貸してくれるのかとまだ仰る。貸しません。

・いまどき、いやいまどきでなくとも、自己資金ゼロの道楽に金をだせません。
 むしろサラ金に借りろ。ええ貸してくれないのはわかります。
 そしてサラ金も貸してくれない件に貸すひとはもちろんいませんとも。
 そういうこともわからなくなってしまうのがお金の恐ろしさ。
 そもそもそんな金はもともとない。
 むしろセガに貢いだり任天堂に騙し取られたりソニーにかっさわられているのである。

・今更ですが、このおはなしはフィクションです。



・けれどもメイドカフェめぐりはなかなか面白い経験でありました。
 最初のいかにもブーム便乗、馬鹿と物見高い一見から速攻でむしってたたもう戦略、
 ふたつめのオーナーこだわり空間、秋葉原の忘れべからぬ一面。
 みっつめのメイドでなくとも普通の喫茶店で問題ありませんという風経営。
 三者三様それぞれに、秋葉原に集まる特殊で多様な面々からいかにして金を取り
 そして自身の店と、それに載った自身の人生を回していくかの違い。
 どれも、会社に通勤、与えられた仕事を指示通りにこなしてゲーム遊ぶ毎日に
 満足しているへたれゲーマーとは違ういきかたであります。
 それもよきかなよきかな。


・そのうちいつかまた秋葉原に行った時、
 そこにいる連中相手の商売に何が残り、どんなものが新しく生まれているのか。
 アキハバラに今はメイドカフェの幻あり。
 それは2006年の夏も終わりのことでありました。