ワキガ(腋臭症)と多汗症の治療に使用されるミラドライの効果やリスク

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腋臭症(えきしゅうしょう)はワキガとも呼ばれていて、汗によって脇の下が独特な悪臭を放つ病気 のことをいいます。また、多汗症は体温調節に必要な量以上の汗をかく病気のことです。

ワキガと多汗症を改善するには、メスを使用して汗を排出する汗腺を物理的に除去する外科手術、メスを使用せずにマシンを使用して汗腺を破壊、または焼却・凝固する方法、薬剤を注入することで一時的に発汗を抑える方法があります。

ミラドライは汗腺を焼灼・凝固するマシンの一つで、水に反応して熱を発生させるマイクロ波を照射することができます。マイクロ波を施術部位に照射することでワキガや多汗症の改善に期待ができます。

ミラドライの施術をおこなう前にダウンタイムやリスク、注意点などを確認することで、安心して施術を受けることができます。

汗を排出するエクリン腺とアポクリン腺

ヒトの体は、運動や高温環境による体温の上昇によって、痙攣(けいれん)や頭痛などのさまざまな症状を引き起こす熱中症になるのを防ぐため、汗を排出して体温を調節する働きがあります。

欧米では運動や高温環境による汗の排出は、生理現象として認識されていることが多いため、汗による「臭い」や「衣服の黄ばみ・汗ジミ」に嫌悪感を抱く人は少ないといわれています。

しかし、アジアでは欧米との汗による臭いの違いや文化などの違いにより、汗による臭いや衣服の黄ばみ・汗ジミなどに嫌悪感を抱く方が多いといわれています。

汗による臭い・衣服の黄ばみ・汗ジミは、汗を排出するエクリン腺とアポクリン腺と呼ばれる汗腺が原因です。

そのため、多くのアジア人が汗による臭いや黄ばみ・汗ジミを改善させるために、汗を排出する汗腺を除去したり、マシンを使用して汗腺を破壊または焼却・凝固したり、薬剤を注入して一時的に汗の排出を止める施術をおこなう人が多いといわれています。

多汗症が起こる原因と発症する部位

多汗症とは運動、高温環境、自立神経失調症などにより通常よりも多い汗を排出して日常生活に支障をきたす状態のことをいいます。

多汗症には比較的軽度の症状から重度の症状があります。比較的軽度の症状は運動、高温環境、自立神経失調症などによる通常よりも多い汗を排出することで、重度の場合は運動や高温環境、自立神経失調症などの有無にかかわらず脇から大量の汗を排出することです。

重度の多汗症の場合、原発性腋窩多汗症があります。

多汗症になる原因は汗を排出するエクリン腺と呼ばれる汗腺が原因です。エクリン腺はヒトの体で特に発達した汗腺です。表皮に汗を排出する出口(開口部)があり、ほぼ体全体に分布していて、汗の排出量が多い汗腺です。

また、エクリン腺から排出される汗は、99%が水で残り1%が塩分からできています。汗腺から排出される汗はおもに体温調節や皮膚の保湿の役割があります。

エクリン腺から出た汗は無色無臭といわれていますが、食事で摂取したニンニクや香辛料などが汗に含まれていると悪臭の原因となるとされています。

汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺とがあり、ヒトでとくに発達したのはエクリン腺で、汗分泌能が高く、ほぼ体表全面に分布する。

引用元:汗と健康

多汗症が発症しやすい部位

  • 頭部
  • 脇の下
  • 足裏など

ワキガが起こる原因と発症する部位

毛根付近に開口部があるアポクリン腺は脇下、外陰部などの限られた部位に分布していて汗の排出量も少ない汗腺です。アポクリン汗腺から排出されたばかりの汗は無臭ですが、汗の中に「中性脂肪」「脂肪酸」「たんぱく質」「アンモニア」「鉄分」などを含んでいるため汗の色が乳白色です。

汗に含まれている中性脂肪、脂肪酸、たんぱく質、アンモニア、鉄分が皮膚の表面に付いている細菌によって分解されて小分子の脂肪酸がつくられることで、「ワキガ」の原因となります。

アポクリン腺が発達している人ほど「ワキガ」になりやすいといわれています。アポクリン腺の発達は、遺伝子的要因、性ホルモンが関係しているほかに、ワキ毛の量、ストレス、緊張などの精神的要因、運動による発汗も関係しているといわれています。

ワキガにも比較的軽度の症状から重度の症状があります。軽度の症状は、脇にガーゼを当ててそのガーゼを鼻に近づけると臭いがする場合が軽度の症状といわれています。ガーゼを手に持つだけでも臭いが分かる場合が重度の症状とされています。

ワキガが発症しやすい部位

  • 脇の下
  • 外耳道
  • まぶたの縁
  • 乳輪
  • へそ
  • 肛門
  • 外陰部

ワキガや多汗症の改善が期待できるミラドライの効果と特徴

ミラドライは電磁波の1種であるマイクロ波を使用することでワキガや多汗症の改善に期待ができる

電磁波には「波長」と「周波」があります。電磁波の山と谷を繰り返す波形一つ分の波の長さを波長といい、山と谷を繰り返す波形の波(振動)が一定のサイクルで循環することを周波といいます。

周波は、1秒間あたりに山と谷を繰り返す波形の波が出現する回数である周波数によってあらわされ、周波数は〇Hz(ヘルツ)という単位で表記されています。

電磁波は波長と周波数の違いによって、ガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、高周波のように分類されており、周波数300MHz~300GHzで波長が1mから1mmの電磁波をマイクロ波とされています

周波数 300 MHz~300 GHz(波長 1 m~1 mm)の電磁波をマイクロ波(1 cm 以下の領域はミリ波)と称する

引用元:金属のマイクロ波加熱の基礎と応用

このマイクロ波の特徴は水分に吸収されて熱を発生させることです。 例えば家庭で使用されることが多い電子レンジでもマイクロ波が使用されています。電子レンジで野菜や肉などの食品が温まる原理は、食品に含まれている水分がマイクロ波を吸収して水分子が振動・回転することで熱が発生し、食品を温めることができます。

ミラドライはマイクロ波の特徴を利用してワキガや脇の多汗症の治療をおこなうマシンです。 ワキガや多汗症の原因である汗腺は多くの水分を保有しています。

そのため、マイクロ波を照射すると汗腺が保有している水分に吸収されて熱を発生します。発生した熱で汗腺を焼灼・凝固することで、多汗症やワキガを改善に導きます

ミラドライは熱傷(やけど)を起こすリスクが低い周波数を使用

マイクロ波が最も水に反応し吸収されやすい周波数は18GHz前後といわれています。しかし、水分に反応しすぎると発生する熱量が大きくなり、熱傷(やけど)を起こすリスクが高くなるといわれています。

表皮側の組織を使用した臨床試験で、熱傷(やけど)を起こすリスクが最も低いマイクロ波の周波素は5.8GHzということがわかっています。ミラドライは、この5.8GHzという周波数のマイクロ波を使用していて、熱傷(やけど)を起こすリスクが低いといわれています 。

解析の結果、5.8GHz の周波数は、表皮側の組織に対する吸収率が他の周波数よりも低く、3つの周波数の中で熱傷を引き起こすリスクが最も低いことが示された。

引用元:ミラドライ審議報告書10ページ目

ミラドライは脇の症状に合わせて照射時間を調節できる

ミラドライは、軽度のワキガや多汗症の症状から重度のワキガや多汗症の症状に合わせてマイクロ波の照射時間を調節することができます。

マイクロ波の照射時間は2.40秒、2.55秒、2.70秒、2.85秒、3秒の5段階があります。医療機関によってはそれぞれ照射時間が短い順からレベル1、2、3、4、5と表記しているところもあります。

患者がワキガなのか多汗症なのか、また症状の重症度合に合わせて照射時間を調節することでさまざまな状態の患者のワキガや多汗症の改善が目指せます。

ミラドライは1度の施術で高い効果と長期的な持続期間が期待できる

ミラドライは汗腺を一つ一つ治療するのではなくて、汗腺が存在するエリア一帯にマイクロ波を照射して焼灼・凝固させることができます。そのため、1度の施術でワキガや多汗症の改善に高い効果が期待できるといわれています。

また、焼灼・凝固された汗腺は再生しないとされているため、ワキガや多汗症の改善に長期的な持続効果が期待できるといわれています。

ミラドライは厚生労働省から承認された医療機器

ミラドライ(miraDry)は米国(アメリカ)のミラマ―ラボ社(Miramar Labs)で開発された、ワキガ・多汗症治療を目的としたマシンです。日本の厚生労働省にあたるアメリカのFDA(食品医薬品局)では「原発性腋窩多汗症の治療」「腋窩の減毛に対する適応」「原発性腋窩多汗症治療時の腋臭軽減」においての効果と安全性が認められています。

日本では、2018年6月に厚生労働省から「原発性腋窩多汗症治療」における効果と安全性について承認を受けています。(医療機器承認番号:23000BZX00161000

主要な諸外国におけるミラドライの承認・許可、または使用目的

国名 許可年月日
(許可番号)
使用目的
米国 2013年10月25日
(K131162)
原発性腋窩多汗症の治療
米国 2015年6月19日
(K150419)
腋窩の減毛に対する適応を追加
米国 2016年10月31日
(K160141)
原発性腋窩多汗症治療時の腋臭軽減効果を追加
台湾 2014年3月19日 原発性腋窩多汗症の治療腋窩の減毛
UAE 2015年9月28日 原発性腋窩多汗症の治療
中国 2015年5月20日 腋窩多汗症の治療
韓国 2012年7月11日 多汗症の治療
カナダ 2012年10月20日 原発性腋窩多汗症の治療間

ミラドライの施術が向いている方とできない方

ミラドライの施術が向いている方

  • 脇汗が多く、いつも脇が湿っている方
  • 汗ジミで、洋服が黄ばんでしまう方
  • 脇のにおいを周りの人に気付かれていないか心配な方
  • 脇汗 ・においの効果が持続する方法を探している方
  • 厚生労働省から認可されたマシンで安心して施術を受けたい方

ミラドライの施術ができない方とできない可能性がある方

ミラドライの施術ができない方

  • 広範囲リンパ節郭清手術を受けたことがある方
  • 腋窩切開による乳房再建術を受けたことがある方
  • 腋窩部の外科手術を受けたことがある方
  • 妊娠中または、授乳中の方

ミラドライの施術ができない可能性がある方

以下に当てはまる方は、ドクターの判断のもとで施術を受けられない可能性があります。

  • 脇の皮下脂肪が少ない方
  • 免疫低下、又は術後治癒の妨げとなる薬を服用している方
  • 肥満の方
  • 皮膚に広範囲のしわがあり、テンプレートの転写が難しい方
  • 湿疹又は乾癬等の広範囲にわたる皮膚疾患がある方

ミラドライ施術中の痛みや推奨される施術回数・頻度

ミラドライの施術中の痛み

ミラドライは施術前に麻酔クリームを塗る、または、笑気麻酔をおこなった後、脇に局所麻酔をおこないます。そのため局所麻酔をおこなう際の痛みや施術中の痛みはほとんど無いといわれています。

しかし、施術後に麻酔が切れはじめるとヒリヒリとした痛み、皮膚のつっぱりが生じる可能性があります。

ヒリヒリした痛みや皮膚のつっぱりは痛み止めである程度緩和することができるため、施術を受けたクリニックで痛み止めを処方して貰えるようにドクターに相談してください。

ミラドライで推奨される施術回数・頻度

ミラドライは、1回の施術で効果を感じる方が多いとされています。

しかし、1回の施術で効果を感じられなかった場合は、2回目の施術が推奨されています。

2回目の施術をする場合は、1回目の施術から3カ月程度の期間を空けることが推奨されています。

ミラドライのダウンタイムと稀におこるリスク・副作用と注意点

ミラドライのダウンタイム

ミラドライの施術後、約2週間は発赤と皮下硬結(通常は柔らかい組織が炎症などで硬くなること)を起こす可能性がありますが、徐々に落ち着くとされています。

また、脇の周辺が浮腫む、吸引痕、施術後の不快感などは約1週間程度で落ち着くとされています。

ミラドライのリスク・副作用

ドクターによるミラドライの不適切な使用方法で起こるリスクと副作用

  • 上腕三頭筋の筋力低下を伴う橈骨(とうこつ)神経の損傷
  • 2度熱傷
  • 3度熱傷

※熱傷(やけど)の重症度は大きく分けると1度、2度、3度の3段階に分類されています。

☆1度は皮膚が赤くなったり、ヒリヒリするような痛みを伴いますが表皮のみのやけどのため数日程度で落ち着くとされています。

☆2度は表皮だけでなく真皮にまでやけどが及び水ぶくれができるのが特徴です。また、2度の中でもやけどが比較的軽度の場合(浅達性)は痛みが強く出て、重度の場合(深達性)は痛みが弱いです。やけどが軽度か重度かによってことなりますが、1週間~4週間程度で落ち着くとされています。

☆3度になると表皮や真皮だけではなく、皮下組織にまでやけどが及び神経や血管も損傷するため 痛みを感じられないのが特徴です。また、皮膚に血の気がなくなり白、または黒く見えるのも特徴です。 3度のやけどになると手術が必要になり、1ヵ月以上の治療期間が必要となる場合が多いです

ミラドライの施術を受けた際に稀におこるリスクと副作用

  • 1度熱傷
  • 2度熱傷
  • 膿瘍(のうよう)
  • 手から肘にかける違和感
  • 慢性嚢胞(のうほう)
  • 感染症
  • 壊死(えし)
  • 血栓性静脈炎
  • 潰瘍(かいよう)
  • 腕や指の脱力
  • 代償性発汗
  • 皮膚炎
  • 腋窩の小腫瘤又は小結節
  • 脇の皮膚のブヨブヨやボコボコした感覚の違和感
  • 上腕又は胸部の腫脹(腫れ)
  • 局所麻酔による注射部位の内出血や出血
  • 麻酔による脇の一過性のしびれ
  • 姿勢に起因する刺激感又は不快感
  • 麻酔が切れた後の脇のしびれ感、ピリピリ感、過敏症、その他内出血、皮膚のつっぱり感
  • 施術後のしびれ、ピリピリ感、疼痛(とうつう)、圧痛(あっつう)、刺激感、リンパ浮腫(むくみ)、浮腫、水ぶくれ、発疹、熱感
  • 合併症

ミラドライの注意点

ミラドライの施術前の注意点

  • 脇をマーキングする時に使用するミラドライ専用のテンプレートは大豆インクを使用しています。そのため大豆アレルギーがある方は事前にドクターに相談してください。
  • ミラドライの施術前に脇を冷やさないこと
  • ミラドライの施術前に脇を剃毛しておくこと
  • ミラドライの施術前にピアスや時計など金属アクセサリーを外すこと
  • エクリン汗腺に隣接する毛の毛包が熱によって破壊されることで、脇の毛が減毛する可能性がある

ミラドライの施術後の注意点

  • 施術後はすぐにメイクは可能ですが洗髪やシャワーは翌日からおこなってください。
  • 通常は翌日から行動可能といわれていますが、脇の痛みや腫れに個人差があります。不安な方は、翌日に仕事などの予定を入れないほうがいいといわれています。
  • 施術後、2日~3日間は脇を冷やすアイシングをおこなってください。
  • 施術後4日間は、入浴、脇の剃毛・制汗剤の使用・激しい運動は控えるようにして下さい。
  • 2回目の施術をする場合は、3ヶ月程度の間隔を空けて施術効果を確認した後におこなってください。
  • 3ヶ月程度の施術間隔をあけたとしても、同じ部位への施術は3回までを上限として必要以上の施術は行わないでください。

ミラドライのメリットとデメリット

ミラドライのメリット

施術後すぐに効果が期待できる

ミラドライは汗腺を焼灼・凝固させることができるため、施術後すぐに効果を実感することができるとされています。

ミラドライのデメリット

残った汗腺が活発化して再発したように感じる場合がある

ミラドライは1回の施術でも高い効果が期待できますが、全ての汗腺が焼灼・凝固されるわけではありません

そのため、ミラドライで焼灼・凝固されずに残った汗腺が活発化することで汗の量が増えたように感じる、臭いが再発したように感じる場合があるといわれています。

代償性発汗をする可能性がある

ミラドライで脇下の汗腺を焼灼・凝固させることで、外陰部や乳輪などの汗腺が存在する部位の汗の量が増加する、または、臭いが増強する代償性発汗を起こす可能性があります。

ワキガや多汗症に効果が期待できるミラドライ以外の施術とミラドライとの違い

ミラドライとビューホットの違い

ビューホットとは、RF(ラジオ波)と呼ばれる電磁波を発生することができるマシンです。

ビューホットで使用されるハンドピースの先には針が36本装着されていて、針の大きさは30G(ゲージ)です。Gとは針の太さを表す単位で数字が大きくなるほど針は細くなります。

通常、点滴や採血で使われる針が17G~23Gといわれているので、ビューホットの針は極細といえます。この細い針を施術部位に刺してラジオ波を照射することでワキガや多汗症の原因である汗腺を破壊します。 ビューホットは、針を刺して汗腺を破壊する施術のため刺した部位に針穴の跡が残ります

しかし、針跡は数週間~1カ月程度で落ち着くとされています。またビューホットは全身どの部位でも施術することができます

対してミラドライはマイクロ波を照射することで発生する熱で汗腺を焼灼・凝固させる方法です。施術後は発赤や施術部位の周辺の浮腫み、不快感などがありますが、約1週間~2週間程度で落ち着くとされています。

また、ミラドライは脇のみの施術が推奨されています。 そのため、改善させたい症状が手や足などの場合は、ビューホットが向いているといわれています。また、脇のみの施術で針が苦手な方や、ダウンタイムが短い施術を希望する場合はミラドライが向いているといわれています。

ミラドライとボツリヌス(ボトックス)注射の違い

ボツリヌス注射は、いわゆる「ボトックス注射」として広く知られていますが、ボトックスというのはアラガン社により商標登録された製品名「ボトックスビスタ」のことで施術名ではありません。

ボツリヌス注射で使用される薬剤は、ボツリヌス菌から抽出したボツリヌストキシンという毒素を主成分にしています。ボツリヌストキシンには脳からエクリン腺・アポクリン腺に汗を出すように指示をする神経物質の働きを抑制する作用があります。

ボツリヌストキシンで神経物質の働きを抑制し、発汗を一時的に抑制することができますが、効果が4カ月~9カ月程度のため、繰り返しの施術が必要になります。また、ボツリヌス注射は、脇だけではなく、額や鼻、手のひら、足の裏などの施術ができます

対して、ミラドライはエクリン腺やアポクリン腺を焼灼・凝固させることで発汗を抑制させることができるため、施術後は長期的な持続効果が期待できます。

長期的な持続効果を希望する方はミラドライの施術が向いています。 ただし、施術できる部位は脇のみのため、額や鼻、手のひら、足の裏の発汗を抑制したい場合や、汗腺を破壊せず一時的に発汗を抑制させたい場合はボツリヌス注射が向いています。

ミラドライと剪徐法(せんじょほう)の違い

剪徐法とはメスを使用してワキガや多汗症が気になる部位を切開し、エクリン腺やアポクリン腺を物理的に取り除くことで発汗を抑制する方法です。

一度除去されたエクリン腺やアポクリン腺は再生されることがないため再発しにくいとされています。 ただし、皮膚を切開する外科手術のため施術部位の傷跡が目立たなくなるまでに3カ月~6カ月ほどかかるとされています。

また、細菌感染による合併症や、切開跡が癒着しケロイド状になるのを防ぐためガーゼの塊を脇に挟む(術後固定)必要があります。そのため、脇を完全に閉じる事ができないため、日常生活での制限が必要 とされます。

対して、ミラドライは皮膚を切開しないため、傷跡が残らないとされています。ダウンタイムも1週間~2週間と短く、施術後は術後固定も必要がないため日常生活に支障はありません。

ミラドライの施術の流れと料金相場

ミラドライの施術の流れ

(1)カウンセリング・診察

改善させたい症状を伝えていただき、施術がおこなえるかどうか皮膚の状態を確認します。また、施術を受ける前のリスク・副作用、ダウンタイムや注意点の説明を受けます。その他にも、不明点や不安な点があれば診察・カウンセリング時にご相談いただき、納得したうえで施術をお受けください。

(2)剃毛

医療機関によっては来院前に剃毛してくるよう指示があります。しかし、剃毛をし忘れている場合や剃り残しがある場合は、施術前に剃毛をおこないます。

(3)テンプレートを使用してマーキング

サイズが異なる12種類のテンプレートを使用して脇に合うサイズを決めます。サイズが決まったあとは、マジックペンなどを使用してテンプレートに沿ってマーキングをおこないます。マーキングをおこなった後はマーキングした箇所に合わせて、局所麻酔をおこなう部位やマイクロ波を照射する部位が細かく記載されたミラドライ専用の転写シートを脇に貼り付けます。さらに、転写シートの上から濃度 70%以上のアルコールを含む綿で湿らせて脇に転写します。

(4)麻酔

脇に麻酔クリームを塗る、または、笑気麻酔をおこなったあと、局所麻酔をおこないます。麻酔によっては効果があらわれるまで20分~30分程度必要な場合があります。

(5)潤滑材を塗りミラドライを照射

水溶性の潤滑剤を、脇全体に薄く塗ったあと、改善させたい症状に合わせて照射時間を調節しつつミラドライを照射していきます。

(6)潤滑剤やテンプレートのインクを落としてアイシング

施術後に脇に塗った潤滑剤やテンプレートのインクを落としてからアイスパックを当ててアイシングをおこないます。施術時間の目安は、両脇で60分~75分程度です。施術後はドクターから施術後の注意点の説明を受けて終了するため、当日中に帰宅可能です。

ミラドライの料金相場

ミラドライは1回の施術が300,000円~400,000円程度です。

1回の施術で効果を感じない場合は2回目の施術を受けることが可能です。2回目の施術は1回目よりも料金が下がる傾向にあります。

また、ミラドライは保険適用外の施術のため、施術料金は全額自己負担となります。医療機関によっては、医療分割払い(ローン)と呼ばれる治療時にのみ使用できる金利の低い定額の支払い方法が選択できます。

ミラドライの施術を受ける医療機関の選び方

ミラドライは、改善させたい症状に合わせて照射時間を調節することでワキガや多汗症の改善に期待ができるマシンです。

そのため、ドクターは脇の状態を確認して、照射時間を調整する必要があります。 施術部位の状態の診断は、解剖学に精通しているドクターが安心です。

また、ミラドライを開発したMiramar Labs社では、ミラドライの施術に対して公式認定医プログラムがあります。公式認定プログラムを終了し、認定医の資格を持っているドクターの施術であればさらに安心で、期待した効果を得ることに繋がります。

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