ワキガや多汗症の原因はアポクリン腺・エクリン腺という汗腺から出ている汗です。
ワキガや多汗症を改善する方法として、肌を切開して物理的にアポクリン腺・エクリン腺を除去する方法や、マシンを使用して肌を切開せずにアポクリン腺・エクリン腺を破壊する方法、アポクリン腺・エクリン腺を除去したり破壊せず一時的に発汗作用を抑制する方法があります。
ビューホットは、RF(ラジオ波)と呼ばれる電磁波を使ってアポクリン腺・エクリン腺を破壊することができるとされていて、肌を切開せずにワキガや多汗症への効果が期待できるマシンです。
施術がおこなえる部位やダウンタイム・リスク・注意点などを事前に確認することで、安心して施術を受けることができます。
もくじ
汗にはエクリン腺から排出される汗とアポクリン腺から排出される汗の2種類があります。エクリン腺は全身にあり、体温調節などの為に汗を排出していて、エクリン腺から排出される汗はサラサラしています。
一方、アポクリン腺は脇の下・陰部・外耳道(耳の中)など身体の一部にしかありません。アポクリン腺の近くには必ず毛穴があり、毛穴の中の皮脂や老廃物が混ざった汗が排出されます。アポクリン腺から排出された汗は、皮膚の表面にある常在菌である腋臭菌と混ざって揮発性の物質に分解されることでワキガ独特の臭いが発生します。
腋臭は、腋に集中して存在するアポクリン腺からの分泌液が皮膚上の特定の細菌種(腋臭菌)により、揮発性の物質に代謝されて発生する。
エクリン腺やアポクリン腺から排出される汗の量が多くなるとワキガや多汗症となります。ワキガや多汗症は幼少期や思春期などの期間に限らず発症する可能性があり、ワキガは遺伝によっても発症するとされています。
しかし、ワキガ・多汗症の根本的な原因は発汗のため、エクリン腺やアポクリン腺を破壊して発汗を抑えることで症状を緩和することができるとされています。
ビューホットはRF(ラジオ波)と呼ばれる電磁波により施術をおこないます。ラジオ波を照射すると体の中の水分を振動させて熱を作り出すことができます。
ビューホットには30G(ゲージ)の針が36本装着されていて、針先からラジオ波を照射することができるようになっています。G(ゲージ)とは、針の太さの単位で、数字が大きくなるほど細くなります。点滴や採血で使われる針が17G~23Gといわれているので、ビューホットの針は極細といえます。
施術部位にビューホットの針を刺して熱を発生させることによってエクリン腺やアポクリン腺を破壊するとされています。
エクリン腺やアポクリン腺は皮膚のさまざまな深さに存在するため、ビューホットの針を刺す深さを変えながらラジオ波を照射します。針の深さは0.5mm~6.0mmまで0.1mmごとに設定でき、施術部位への出力、照射時間も細かく設定ができるようになっています。そのため、さまざまな深度にあるエクリン腺やアポクリン腺にアプローチが可能です。
また、ビューホットに装着される針は針先が尖っておらず丸くなっていて、血管や神経、他組織を傷つけにくい設計になっています。さらに皮下に与えた熱が表皮にまで達してヤケドにならないよう、ビューホットの針の根元にはクーリングプレートと呼ばれる表皮を冷やすパーツが装着できるようになっているため、安全性にも配慮されています。
ビューホットは、全身の施術が可能です。ワキだけでなく手のひらや足の裏、陰部や乳輪周辺の施術も可能です。
ビューホットは極細とはいえ36本の針を一度に刺して熱を加えるマシンのため、原則として麻酔をしたうえで施術がおこなわれます。麻酔をおこなうことで痛みは感じにくいとされています。
麻酔にはクリーム麻酔や局所麻酔などの種類があり、痛みの感じ方が違うといわれています。医療機関によって使用可能な麻酔が異なるので、希望する麻酔の種類がある場合は事前に医療機関にご確認ください。
ビューホットは、1回の施術で効果を感じる方が多いとされています。しかし、1回の施術で効果を感じられなかった場合は、2回目の施術が推奨されています。
2回目の施術をする場合、1回目の施術から2カ月~3カ月程度の期間を空けることが推奨されています。
ビューホットは皮膚に針を刺して熱を発生させるマシンです。そのため、針を刺した部位に針穴の跡が残ります。また、熱により針穴の周辺に赤みが生じたり、微量の出血によるカサブタができることがあります。いずれも数週間~1カ月程度で落ち着くとされています。
また、針穴部分が色素沈着する場合があり、色素沈着した場合は数カ月~1年程度で落ち着くといわれています。
ビューホットは国内で未承認の医療機器にあたります。そのため、施術を検討する際は次の注意点があることを理解して、医療機関でリスク・副作用などについても十分な説明を受けた上で施術をおこなうか決定してください。
ビューホットは国内未承認の医療機器です。 |
医療機器の入手経路:入手経路は各医療機関のドクターによるメーカーからの個人輸入です。 個人輸入において注意すべき医薬品等について(厚生労働省のページ) |
日本国内での承認の有無:ビューホットと同一の性能・作用があり、日本国内で承認を受けているほかの医療機器はありません。 |
諸外国における安全性等に関する情報:ビューホットは、ヨーロッパ・CEマーク(欧州加盟国の法的規制による基準適合表示)を取得しているとされます。 施術によって起こり得る主なリスク・副作用としては、施術部位の色素沈着・赤み・やけど・違和感などが挙げられます。 |
剪徐法はメスで施術部位を切開してエクリン腺やアポクリン腺を物理的に切除することで発汗を抑制します。目視でエクリン腺やアポクリン腺が切除できるため、再発しにくいとされています。ただし、施術後は施術部位をガーゼなどで固定する必要があります。
固定をしなければ切除部分に血液が溜まり「血腫」というかたまりになることがあります。血腫を放っておくと血行不良になり、皮膚が壊死する可能性もあるため、1週間程度は固定が必要とされています。また、切開した傷跡は目立たなくなるまでに3カ月~6カ月ほどかかるとされています。
保険適用が可能な治療ですが、稀に適用ができない場合があります。保険適用になるかどうかはドクターの診察を受けて決定されます。
電磁波の一つであるマイクロ波が照射できるマシンがミラドライです。マイクロ波は電子レンジにも使われており、体内の水分に反応して熱を発生させることができます。
ミラドライのマイクロ波を施術部位に照射することで、エクリン腺やアポクリン腺が熱で破壊できるとされています。そのため、切開は必要ありません。また表皮にまで熱が及びヤケドなどをしないようにマイクロ波を照射しながら表皮を冷却することが可能です。
ビューホットと同様にダウンタイムが短い施術で施術後の固定も必要ありません。ただし、保険適用外の治療のため、施術料金は全額自己負担になります。
ボツリヌス注射はボツリヌス菌から抽出したボツリヌストキシンという毒素を主成分にした注射です。ボツリヌストキシンには脳から筋肉やエクリン腺・アポクリン腺などに筋肉を動かしたり汗を出すように指示をするときに使われる神経物質の働きを抑制する作用があります。
ボツリヌス注射を施術をおこないたい部位に注射することで、注射部位の神経物質の働きのみを抑制することができるとされています。ワキや足の裏、手のひらなどにボツリヌス注射を注射することによって、エクリン腺・アポクリン腺が汗を出すように指示されなくなるため、ワキガや多汗症の改善に期待できます。
ただし、ボツリヌス注射の作用は永久ではなく、3カ月~6カ月程度で切れるとされています。そのため、定期的に施術を受ける必要があります。
ボツリヌス注射によるワキガや多汗症の治療は保険適用ができる場合がありますので、医療機関にご相談ください。
1)診察・カウンセリング
施術をおこないたい部位を伝えていただき、施術がおこなえるかどうか皮膚の状態を確認します。不明点や不安な点があればこの時にご相談いただき、納得したうえで施術をお受けください。
2)剃毛
施術部位に体毛が残っている場合は剃毛をおこないます。医療機関によっては来院前に剃毛してくるよう指示がある場合もあります。
3)マーキング
ビューホットの照射部位が細かく分かるようにマーキングをおこないます。マーキングをおこなうことで打ち漏らしを予防します。
4)麻酔
クリーム麻酔や局所麻酔をおこないます。麻酔によっては効果があらわれるまで20分~30分程度必要な場合があります。
5)ビューホット照射
希望する症状や施術部位に合わせてビューホットの照射をおこないます。
6)クーリング
ビューホットの照射により施術部位が熱を持つため、照射終了後にクーリングをおこないます。
ビューホットは全身の施術が可能なため、施術部位によって料金相場が異なります。
部位 | 料金相場(1回あたり) |
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両脇 | 280,000円~350,000円 |
陰部 | 280,000円~350,000円 |
乳輪周り | 140,000円~220,000円 |
両手の平 | 250,000円~330,000円 |
両足の裏 | 250,000円~330,000円 |
1回の施術で効果を感じる方が多いとされていますが、1回の施術で効果を感じなかった方は2回目の施術を受けることが可能です。2回目の施術は1回目よりも料金が下がる傾向にあります。
ビューホットは保険適用外の施術のため、施術料金は全額自己負担となります。
ビューホットは、エクリン腺やアポクリン腺の位置によって針の長さや出力、照射時間を調整して施術をおこなわなければ期待した効果が得られない可能性が高くなります。そのため、解剖学に精通していて、ビューホットの症例数の多いドクターが在籍している医療機関で施術を受けることが期待した効果を得ることにつながります。
また、ダウンタイムが長引いたり、稀にリスクや副作用がおこったりした場合、どのような対処方法があるのか事前にきちんと説明してくれる医療機関であれば安心して施術を受けることができます。
(2021年1月更新)