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コモ湖畔の書斎から2 dalla finestra lariana2

2021 03 25 イタリアに住もうなどと絶対思わなくなる記事 その1
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不吉17日の財布落とし騒動の顛末記です。財布の中には現金3万円くらいと、各種カード、免許証、身分証明書などが入っていました。
1 日本では交番に届けられていたなんて話がよくありますが、イタリアでは戻ってくるかもしれない、などという可能性は全くゼロで夢のまた夢です。
2 さて、紛失届けをどこに出そうかということになります。イタリアには警察が4種類あります。内務省系のPOLIZIA DELLO STATO 国家警察、CARABINIERE 軍警察、GUARDIA DI FINANZA財務警察、VIGILE URBANO市警察。この4つです。2、3度国家警察に届け出たことがありますが、携帯電話は受け付けないとか、随分待たされたという経験があるので、今回は軍警察カラビニエレにしました。
3 ネット上で届け出ができるといううわさ話を聞いたので、検索してみるとありました。そこで住所氏名紛失物、紛失状況などを入力。エンターを押すと、届け出完了のページが開きメールが届きました。こうやってドンドンITのお陰で役所仕事が合理化され、効率化していく。ニッポンはこういうのを見習わないといけない。遅れた国イタリアでももうこうなんだから。一体、技術先進国のニッポンは何をしているのだ、という思いがよぎります。
4 そのメールには、いずれにせよ、サインが必要なので出頭してもらわないといけない、管内署から日時の確認のメールが届くから待っていろ、というメールが届きました。
5 翌日午後、メールが届かないので電話することにしました。
6 「もしもし、ネットで紛失届をしたもので、届くはずの出頭日時のメールが届かないのですが、」というと、「ああ、あれ、ウェッブ紛失届?コモの警察には繋がっていないの。」(え、じゃあちゃんとダメにしとけばいいじゃない、と思うけどもちろん沈黙)。「どこに住んでるの。」「ブレービオ村です。じゃあ、ちょっと待ってね、今どこに行かないといけないか調べるから、」しばらくして「ポニャーニャ村に行って、そこの警察署。」「でも、仕事でいつもコモに行くし、コモの方が全然近いんですけど。」「じゃあ、いいよ、コモにお出で。」「これから直ぐ、行きます。」
7 警察署に到着。受付で、「あの紛失届を出しに来たのですが。」また同じ質問。「どこに住んでるの。」「ブレービオ村です。」「じゃあ、ポニャーニャ村に行かないいけない。大体今はコロナで赤非常事態、コモには来れないはずじゃないの。」「え、どうせ、仕事でコモに来るからその自己宣言書はもってるけど。逮捕されちゃうんですか。」「逮捕はしないけど、、。」という間に同僚の他の警察官が来る。「この人、ブレービオ村と言っているけど、」と上役っぽい警官に言うと、「あああ、ダメダメ。コモじゃあ駄目。ポニャーニャ村、ブレービオ村の住人はポニャーニャ村の駐在所。」言った上司警官が席を外すと、「まあ、いいよ。はい、今用紙渡すから、書いて、」と言って用紙を渡される。
8 住所氏名、紛失物をいろいろ書いて、先の警官に渡す。しばらく何かをしているけど、そのうち、「ああ、今日は駄目だ。これで仮の免許証作るんだけど、今日は運輸局とネットが繋がってないから、仮免許証ができない。明日にしよう。明日もここで仕事してるから朝おいで。」というわけで第一ラウンドは終了しました。無免許のまま車で家に帰るのもまあ、なんだけれども、そういうものでしょう。
9 翌日朝、さて今日はどうなるやらということで、颯爽と出かけて行きました。私を見つけた昨日の警官が、「ああ、君、ちょっと中に入って入って」と部屋の中に入りました。「あのね、本当にブレーヴィオ村に住民票があるの、だって、ほら、運輸局からデーターを出したら、ネッソ村になってる、身分証明書の番号も違っている。」よく見ると、それは2016年までの住所でした。なので、「それ古い住所です」というと、「身分証明書の住所もこうなってるけど、本当にブレーヴィオ村なの。」「身分証明書は紛失してしまっているけど、パスポートじゃあ駄目なんですか、」「身分証明が必要。中国のパスポートじゃあ、駄目。イタリア発行の証明書じゃないと。」「あの、中国じゃなくて、ニッポン何ですけど。」人種差別じゃあないとは思うけど、やはり何となくやっぱり日本人でありたいから強い口調で言ったのだと思います。すると、それに感づいた警官、「ああ、ごめんごめん、でも日本のパスポートでもダメ。」「じゃあ、一体どうすれば良いのですか。」「まずはですね、ブレーヴィオ村の役所にこの紛失届をもって、身分証明書を発行してもらいに行って、その後、仮免許証をつくれるのは。紛失届は一応作っておくけど、仮免許証は、ここでなくてポニューニュア村駐在所で作ってもらって」「コロナでブレーヴィオ村役場やってるかわからないけど、じゃあともかく身分証明書作りにいきます。」
10 無免許で、ブレーヴィオ村役場に行くと幸運にも開いていました。小さな村ですから窓口のおばさんは知っています。「身分証明書紛失してしまって再発行お願いしたいのですが」「写真とかある、まあ本当はコロナ対策で予約しないと窓口業務しちゃあいけないけど、そんな事してたら遅くなるから作ってあげるわ」。コンピューターに向き合っていろんな事をやっているのを暫く待っていると、「新しい身分証明書は電子化されてて臓器の提供がどうかを入れるようになってるけどどうする? yesかnoか。あと未定ってのもあるけど」こんな質問は待っていなかったので、一瞬戸惑っていると、「どうなの」と聞いてくる。ああ、死んだら移植のために臓器を提供するかどうかということなのかと分かり、「yesです」と答えました。考えてみれば私のような年寄りの臓器では余り病気の人を助けることはできなさそうですが。「はい、これ受領書」と手渡されました。「え、身分証明書は」と聞くと、「最低一週間くらい掛かるようになったの。ローマから村役場に届くから、届いたら電話するわね」「あの、これからポニャーニャ村の駐在所で仮免許証作ってもらわないといけないけど」「じゃあ、こっちの書類もコピーしてもってきなさい。お巡りさんが、いい人なら作ってくれると思うわ。幸運を祈るわ」
11 ようやく、ポニャーニャ村の駐在所につきました。お巡りさん、軍警察カラビニエレの制服というのは、結構格好が良くて、黒をベースに赤い線が入ったりしていて、ちょっとプラダっぽく随分お巡りさんが立派に見えます。この制服に憧れて軍警官になるって人もいたりするようです。でも中は、普通の人です。
「身分証明書と免許証を無くして、紛失届は一応コモ市警察で作ってもらったのですけど、ブレーヴィオ村に住んでるから仮免許証はこちらで作ってもらえと言われたのですが」というと「分かった。じゃあ作ってやる。」お、今回は順調じゃないか、と思っていると、どこかに電話をかけています。5分くらい経っても電話が繋がりません。すると「今ローマの運輸省に電話してるけど、出ないなあ。」と言い私に、「今ローマに電話してるけど、出ない。君の免許証が、再発行できるかどうか確かめているところなんだ。」と言います。何それ、再発行できなかったらまた運転免許証の試験を受けなければならないの、と思いましたが、黙っていると、また説明しだしました。「免許証によって、ローマの運輸省が無償で再発行して送ってこれる場合と、そうではなくて、仮免許証をもってコモの街の自動車局か自動車学校に行って、お金払って再発行してもらわないといけない免許と二種類あるので、それを確かめているの」との事でした。「電話が繋がらないな、、、。ここで待たせるのも悪いから、電話するからまた明日にしよう。ローマに確認でき次第、電話するよ。」
12 一旦家に帰りました。すると夕方4時頃電話があり、「駐在所だけど(イタリア語では軍警察だけれどもとい言うので、ちょっと構えてしまいます。)、確認できたので、明日の朝来てくれれば仮免許証を作ってあげるから、写真、3枚忘れないでね。」
13 いよいよ翌朝、ポニャーニャ村駐在所のインターホンを押すと、カッチャッという音がして電気錠が開き昨日のお巡りさんが待ってたぞという顔でてきました。そして見事、仮免許証を手渡されました。

書いていて、書くのが面倒になってしまいました。それほどイタリアではこの手の手続き、書類作成などには時間が掛かってしまいます。なので、こういうことが順調にスラスラ進む日本人には結構精神的なストレスが多く嫌になってしまう方も多いようです。滞在許可証あたりまでは何とかなりますが、医療関係もこんな感じですから、もたもたしている間に、病気の悪化、あげくには、、、などという事も起きかねません。もちろんこのような事は私が日本人だからではありません。イタリア人でも皆同じです。
一年に一度程度でおこるこの手のイヴェントに耐えられない人は、イタリアでは暮らすのはむずかしいかもしれません。でも残りの364日を楽しめれば良いという人には良い国かも知れません。
ちなみに紛失届を書いた際に、警官に「書き忘れていたので紛失届に250ユーロ現金と付け加えてください」と言ったところ、「本当にそんな事書くの」と聞かれました。「戻ってくるわけじゃないからそんな事を書いても仕方がない、書きたいなら書き加えてあげてもいいけど」、との事でした。もうひとつちなみに仮免許証をもらった際に、今は外出禁止令なんだけど、ネッソ村にも住んでいない家があるけどそちらにも行って良いのですかと聞いたところ、「駄目、住んでいる村からでちゃあ駄目です。」という答えでした。それで挨拶して行きかけると、「でも自分の責任で行くなら、もし警官に止められ聞かれた時に適当な書類でも用意しておいたら、、。」と言われました。

表題にその1とあるように、17日はまだ終わった訳ではありません。



































by kimiyasuII | 2021-03-26 06:07 | Comments(5)
Commented by passerottino at 2021-03-28 01:34 x
何はともあれ仮免許証が出来て良かったです。仰る通り、嫌な事は挙げたらキリがありませんね。それでもイタリアにいるんだから不思議なものです。(笑)ジョバンニはPolizia Municipaleに車止められてアフリカ免許証(外務省の許可証付)を取り上げられて車も拘束されました。(笑)異議を申し立てようとしたらピストルに手をかけられて留置場に移すぞと脅されました。Cermenateだったのでミラノまで車を運転してもいいけど、そこから3か月免停でした。裁判所に届け出てこちらの正当さが認められて免許を取り戻すまで(破棄されてたのでイタリアの免許を再発行してもらった)6ヶ月かかりました。今では笑い話ですね。
Commented by kimiyasuII at 2021-03-28 05:54
> passerottinoさん
それ私もあります。日本の国際免許で運転していたら、コモ市警のオッサンが、車持って行っちゃって、2,3か月分の駐車場代やら罰金やら。わたしは「あっそう」って態度だったからピストルには手を掛けられなかったけど。で、結局日本の免許をイタリアの免許に書き換えたように思います。まあ、ストレスと財布が問題ですけど、命に別状ないから良いと言えばいいけど、医療関係が時間かかるのは本当に困りますね。
Commented by passerottino at 2021-04-01 18:43 x
本当に!命にかかわらない限りは大丈夫って肝が据わった気がします。日本の家族には未だにこれだからイタリアはって言われますが💦慣れてしまうと日本も変なところ沢山ありますから。(笑)
Commented by Kopen at 2022-07-23 20:24 x
コメントをまだ見てくれると嬉しいです。
僕も先日イタリアで落とし物をしてしまいました。しかし、それに気づくのが遅く、今はイタリアにいません。ですので、軍警察にオンラインで届け出をして、後日イタリアに行こうかと思っています。そこで、よろしければネット上で届け出ができるというページのURLを教えていただけないでしょうか?
今探しているのですが、イタリア語が全くわからずに苦戦している次第です。よろしくおねがいします。
Commented by kimiyasuII at 2022-07-31 07:27
> Kopenさん
https://extranet.carabinieri.it/DenunciaViaWeb/denuncia.aspx
これがweb届出のURLです。ただ、イタリア国内からと書いてあるので、日本からはアクセスできないかもしれません。