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『大時代唐土化物』より 節分・鬼・頼光四天王・化物尽くし・団十郎・角大師 etc

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 それでは、前回予告したように、振鷺亭作・勝川春亭画『大時代唐土化物《おおじだいからのばけもの》』(文化十三[1816]刊)の巻頭のおまけページみたいな部分を読んでみましょう。

 うふ、実はこの部分しか読んでないので、他は何が書いてあるか知らなかったりします(笑)

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※国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 大時代唐土化物 3巻
6ページ目です。

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【翻刻】

せつぶん(節分)に
もふ◆春風が
ふく(福[吹く])は内
おに(鬼)は外まで
にほ(匂)ふ◆梅が香 不讀人(読み人知らず)


【現代語訳】

節分なのにもう春風が吹いてきて、あちこちに梅の香りを運んでいます。
 byどこかの誰か


【解説】

 五・七・五・七・七の短歌です。
「春風が吹く(ふく)」と節分からの連想で「福(ふく)は内」を掛けて、「鬼は外」と続けてシャレています。
 女形の役者が鬼退治をしていますが、誰なのでしょうか?
 着物の鳥の絵がヒントになっているのだとは思いますが。。。

â‘¡

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【翻刻】

擬目録《ぎもくろく》魔滅繪《まめつえ》化物盡《ばけものづくし》


【ざっくり現代語訳】

目次もどき
魔物退治絵
化物尽くし図


【解説】

 右から左に読んでくださいね♪

「擬目録」は、目次の代わりにこのページを書いたということでしょう。

「魔滅絵」は下段の、頼光四天王が土蜘蛛を退治している絵のことでしょう。
 左から、卜部季武・渡辺綱・坂田金時・碓井貞[定]光です。
 着物に書いてある文字から人物が特定できるのです♪

「化物尽」は、その上に描かれている妖怪たちのことでしょう。
 左から、すりこぎとすり鉢の化物・豆腐小僧[一つ目小僧]・見越入道・大首です。

â‘¢

【翻刻】

今こゝに
團十郎や
鬼は外
其角


【ざっくり現代語訳】

今ここに市川団十郎がやって来たから鬼は外に出て行ったよ。
by宝井其角


【解説】

 五・七・五の俳句です。
「鬼は外」が冬の季語です。
 俳人の宝井其角《たからいきかく》の句です。

 団十郎はもちろん市川団十郎のことですが、其角が生きていた時代の団十郎は二代目ですね。
 昔も今みたいに有名人が節分に豆撒きをしていたんですかね?

 下に描かれている鬼の絵は、角大師《つのだいし》です。
元三大師《がんざんだいし》[良源]が疫病神を追い払うために鬼の姿になったのを描いたものです。
 今でも厄除けのお札に描かれています。
 これも「魔滅絵」ですかね。
 何の鬼の絵か最初は思い出せなかったのですが。親切なお友達に教えていただきました♪
 なんだか西洋の悪魔みたいですよね(笑)

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【翻刻】

望之儼然
如干城之
大将就之
而不見所
畏又如優
孟之衣冠

※望之儼然如干城之大将 
 就之而不見所畏 
 又如優孟之衣冠 

【書き下し文】

これを望《のぞ》めば儼然《げんぜん》として干城《かんじょう》の大将のごとし
これに就《つ》いて畏《おそ》るる所を見ず
また優孟《ゆうもう》の衣冠《いかん》のごとし


【現代語訳】

遠くから見ると厳《いかめ》しくて武士の大将のようだが、
近づいてみると何も怖くはない。
ただの見掛け倒しだ。


【解説】

 いやあ、最初はぴったり四字ずつで改行されているので、詩かなんかだと思って騙されるところでした。
 改行は適当で、※で記したのが正しい(?)改行です(笑)
どうも『論語』や『孟子』から取った文章のようです。

 「優孟衣冠」は、優孟という人が衣と冠をつけて他人になりすましたという故事から生まれた言葉で、「見た目と中身が違うこと」「物まねや演技をする者」などという意味で使われます。
 つまり、この漢文の意味は、「化け物は見た目が怖いだけで、実態は何も怖くない」ということでしょうね。

 下には、市川団十郎に見越し入道が巻きついている絵が描かれています。
え?何で団十郎ってわかるかって?
 着物に団十郎の定紋である三升が描かれているからです♪
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 ちなみにこの作品が出版されたころの団十郎は七代目ですね♪

 

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