ゴーイングコンサーンとは企業がずっと事業を継続するという考え方のことを言います。これは改めて指摘されないと、特に意識しないと思います。
それというのも、逆に解散を前提とした企業って探すのが難しいですよね。という事は、現在のほとんどの企業はこのゴーイングコンサーンを前提に運営されているという事です。
それでは、事業を継続せずに解散を前提とする企業ってあるのでしょうか?これは、例えば昔の船があげられます。
昔、航海は大変危険なものでした。海賊に襲われるかもしれないし、海が荒れて二度と帰ってこれなくなるかもしれません。まさに命がけの大冒険でした。しかし、うまく商品を積んで帰れれば一攫千金も夢ではなかったのです。
そして、一攫千金を目指す計画には今も昔も、お金を出して分け前を頂戴しようと考える人間がいます。しかし、船が無事に帰ってこなかったときに無制限に責任を問われるのであれば、船が無事帰る保証がなかった時代の事ですから、怖がって誰もお金を出してくれません。
その様なことから、昔の人は、船が沈んでも出資金だけをあきらめればいいという有限責任という制度を作りました。
そして、この船に出資するという制度は、出資した船が航海から帰ってくるたびにかかった費用と収益を清算して、利益を出資者に分配していました。
このように、清算することを前提とした企業の逆に、永続することを前提としているのがこのゴーイングコンサーンです。
- 永続する事が前提となっている
企業が永続するといった前提によって現在の会計制度は成り立っています。
例えば減価償却(固定資産は将来にわたって使うことができるので徐々に費用化するという考え方)はゴーイングコンサーンが前提となった考え方です。
また、企業と取引をする場合にもその企業が永続するといった前提で取引関係を構築するはずです。そして、相手が永続する前提に立つため、企業間信用などが成り立つのです。
こういった前提に立てない場合に信用リスクが発生します。
- 会計監査人は警告してくれる
大会社や上場企業の場合会計監査人が監査しますが、このゴーイングコンサーンが疑わしい(もってまわった言い方ですが、はっきり言ってしまえば、倒産する恐れがある企業は)ゴーイングコンサーン注記がつきます。
プロがヤバいと警告しているわけですから、証券投資をする人は、ゴーイングコンサーン注記がついているような企業への投資は避けた方が賢明です。
・継続することで地域に貢献する
企業は存在するだけで基本的には地域に貢献することとなります。雇用の場を提供し、税金を納め、商取引をすることで経済を回す。また、地域の消費者に財を提供する。
基本的に企業は地域社会にとって有益な存在です。そのため、ゴーイングコンサーンが社会に対する貢献であると言うことができるのです。
解説で出てきた用語
企業間信用
減価償却
信用リスク
ゴーイングコンサーン注記