政治介入の手段である教科書検定制度を批判しないのはなぜか

【正論】集団自決と検定 高崎経済大学教授・八木秀次

 教科書検定は学習指導要領や教科書検定基準などすべて法令に基づいて行われている。数を頼んだ政治運動によって、法令に基づいた検定結果が捻(ね)じ曲げられるのであれば、教育基本法の趣旨に大きく背馳(はいち)する。昨年12月に改正された教育基本法は「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」(第16条第1項前段)と規定している。教育が、教育行政を含めてすべて法令に基づいて行われるべきものであるという法治国家として当然のことを規定したものだが、政府が教科書会社の自主訂正を容認する形であれ、事実上、検定意見を撤回するのであれば、明らかにこの規定に反する。政府が率先して法令を無視する形で「政治決着」をするのであれば、教職員に法令遵守(じゅんしゅ)を求めた教育基本法同条はもはや死文と化し、教育界を再び無法状態とする第一歩となろう。

 これは最近よく見かけるものだ。教育基本法を持ち出すまでもなく,政治介入が問題だというなら教科書検定制度そのものを批判したり,政治介入できない制度へと変えていけばいい。
 旧教育基本法の時代。彼らが主張してきたこと,やってきたことは何だったのか。彼らはそれを忘れたようだ。もう一度自分たちが何を主張してきたか,何をやってきたか思い返してみたらいい。彼らは,政治介入の手段である教科書検定制度は温存したいらしい。その彼らがこうした主張をするのは片腹痛い話だ。
 これを機会に政治介入できない制度を作りましょう。彼らならそれくらいのことは主張すると思ったけれど,都合のいいものは残しておきたいようだ。