不思議な教科書観

世界中どこを見渡してみても、価値中立な教科書はない。偏向していない教科書もない。けれど、最近の日本には不思議な教科書観が広がりつつある。価値中立で偏向していない教科書という教科書観だ。ついでに言えば、学習指導要領も価値中立ではないし、偏向…

まだいる全国学力テスト万能主義の人たち

なぜこれほど「学力テスト」について無理解なのだろうか。静岡県知事が「責任の所在を明確化するため」として成績上位校の校長名を公表するという話。学力テストの成績の責任と言うけれど、そもそも、その学力テストは何を評価するためのものだろうか。子ど…

国定教科書への道

「教科書法」制定を検討 自民部会、自虐史観を問題視 - MSN産経ニュース この道はいつか来た道。国定教科書への道。

予算委員会 2013年4月10日 議事録より引用

○山内委員みんなの党の山内康一です。最初に、下村大臣に、道徳教育の教科化についてお尋ねをします。世界で、道徳教育のカリキュラムを国が定めて、全国一律でやっている、そういう先進国はありますでしょうか。○下村国務大臣諸外国の道徳教育については、…

公教育ということ

学校は「公教育」を担っている。だから、税金が投入される。それは、公立、私立を問わない。学校が担う公教育は「公益」のために行われる。公益を追求するための税金投入であり、税金投入が先にあるのではない。 税金を投入しているから口を出すのは当然とい…

国定教科書への道

学習指導要領で教科書の内容を規定し、どの教科書会社の記述もほとんど変わらない。そういう状況を強めていくようだ。それは事実上の国定教科書化。でも国定教科書とはいわない。あくまで「教科書検定」だという。教育への介入はいつもこういうやり方で行わ…

おかしな日本語

最近、おかしな日本語を見聞きした。 「過剰な体罰」 「体罰ではなく暴力だ」 体罰に過剰も適当もないし、体罰イコール暴力のはず。 こういう言葉は体罰を容認する土壌を作るだけ。

今年はこの本から

今年はこの本を読むことから始まった。それは、 [asin:4902163527:detail] という本だ。 安倍内閣が教育改革を行う。そのときに彼らが参考にするのが、 [asin:4569641350:detail] で紹介したようにサッチャーの教育改革だろう。だから大田氏の本を読んでおこ…

今年も最後の日

今年はほとんどブログが書けなかった。時間を見つけて来年は今年よりもたくさん書いていこうかな。 さて、来年から教育は試練の時代を迎える。教育について短絡的な意見を言い。それが実行されていく。そういう時代を迎える。そうした時代が来るなら、こちら…

なんか変だよ泉佐野市

学力向上策を予算に反映 大阪・泉佐野市長が表明 ある問題があります。それを改善するためには何が必要だろうか。それは原因を探ること。そして、対処すること。それがうまくできなければ問題は解決しない。学力が向上しないと嘆く。改善しろと言われる。け…

全国学力テストに期待過剰な人たち

全国学力テスト 日教組が無能を暴露したくないため骨抜きに 全国学力テストが悉皆調査になれば、教師や教育委員会の能力が判明するという幻想を抱く期待過剰な人たち。そういうことを期待しても全国学力テストではそんなことはできない。もし、悉皆調査にす…

学校の役割

いじめの問題で語られないのは学校の役割について。いじめられた子どもが学校に通わなくなる。けれど、それは将来大きな不利益を子どもにもたらすことになる。逆にいじめた子どもを学校から排除する。それもまた子どもの不利益になる。学校はそういう子ども…

いじめの問題について少しだけ

子どもたちに正しく「競争」を体験させ教えないといじめもなくならない この記事を読みながら考えたことと、いじめの問題について少し書いておきたい。 学校に限らないのだけど「正しい競争」というものは存在しないのではないかと思う。「ルール」は誰が作…

井の中の蛙は誰か

「井の中の蛙」の危険 この記事にあるような話をたまに見聞きする。井の中の蛙なのはこの記事を書いた記者ではないのか。日本が経済発展をしていた頃、アメリカでは日本の経済発展の背景に日本の教育があるとし、日本の教育を手本に教育改革を進めた。この記…

「公教育」という言葉の意味

【エディターズEye】私立校が国旗・国歌を教えない理由+(1/2ページ) - MSN産経ニュース この産経新聞の記事に 私立男子校御三家の一つ、麻布中学・高校(東京都港区)校長の「国旗・国歌発言」が話題を呼んでいる。 麻布の氷上信広校長は小学館のニュ…

こういう議論はやめるべき

【主張】全国学力テスト 「全員参加」になぜ戻さぬ+(1/2ページ) - MSN産経ニュース 産経新聞のこの社説を書いた記者の頭の中は「対民主党」「対日教組」しかないらしい。そういう視点でしか全国学力テストを捉えない、語れないのはおかしい。全国学力テス…

全国学力テストに必要なのは「美肌」らしい

全国学力テスト 全員参加できめ細かな検証を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞) 読売新聞の社説によれば全国学力テストには「きめの細かさ」が必要なそうだ。そして子どもたちは「美肌」を目指すらしい。効果があるのは「全員参加」という化粧品…

社会に目を向けない教育改革

大阪市の橋下市長が「教育改革」をやろうとしているようだ。でも、そこに欠落しているのは、社会へのまなざし。教育は社会と密接不可分な関係にある。教育改革の先には社会を変えるという視点があり、そこから改革を考える必要がある。学校という建物、「教…

全員参加じゃなくちゃテストじゃない

全国学力テスト 直ちに「全員参加」に戻せ 「全員参加じゃなくちゃテストじゃない」某テレビ局の夏の特番のテーマのようだ。 保護者だけでなく学校、教師らも「子供が普段の授業内容を身に付けているかを知りたい」と全員参加のテストを望む声は強い。 のだ…

「拠り所」としての学校

今日、母校の小学校の閉校式が行われる。以前、少しブログに書いたこともあるけれど、その学校は島にある学校で、過疎化で子どもの数が減って今年度で閉校することになった。中学校は数年前に閉校になっている。その小学校の閉校記念誌に文を書いて欲しいと…

PISAから学べない人たち

全国学力テスト、全員参加復活へ 文科省案「数年に1度」 「全員参加」方式から「サンプル抽出」方式に改められた「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)について、文部科学省は17日、全員参加方式を数年に1度、復活させる案をまとめた。省内に設…

もうすぐ一年が終わる

もうすぐ一年が終わる。ツイッターでも書いたけれど、今年はあまりブログの更新ができなかった。書くことはあるのに書けない。そういう状況が続いた。実は、3月に長男が生まれたのだけど、それから後は一年がザーッと過ぎたような感じ。 教育のことを少し書…

自分たちでラベリングする人たち

ゆとり教育世代:7割が学力低下実感 明大学生が同世代1000人調査 - 毎日jp(毎日新聞) 以前使っていたブログで「「ゆとり教育世代」って言うな」というエントリーを書いたことがある。そこでは、殊更に「学力低下」を取り上げることで「ゆとり教育世代…

「教科書論」無き教科書論

【金曜討論】「デジタル教科書」 宮川俊彦氏、梅沢由香里氏 【私も言いたい】「デジタル教科書」/「導入に賛成」は2割台 この二つの記事を読みながらどうしても理解出来ないところがある。それは、教科書の話をしながら「教科書って何か」「教科書の役割は…

短絡的な戦後教育観からの脱却

今日は65回目の終戦記念日。様々なところで関連したエントリーが書かれていると思う。ここで書いておきたいのはいわゆる「戦後教育」観について。 例えば, 【主張】盆の帰省 「元気かい」で絆強めたい に 昨今は、戦後教育の行き過ぎた「個」の尊重などもあ…

全国学力テスト依存症

全国学力テスト 「抽出」で失った貴重なデータ(8月2日付・読売社説) 全国学力テストが抽出に変わっても子どものことを把握する機会や方法はいくらでもある。必要ならば自治体や学校ごとに調査を行えばいい。 全国学力テストがなければ何もできないように感…

全国学力テスト依存症 その2

【主張】全国学力テスト 全員参加に戻し競い合え この社説を読むと全国学力テスト依存症の典型だなと思う。それは, 4回目の今年は民主党政権下で抽出方式に縮小され、市町村や学校レベルの学力比較ができなくなった。やはり全員参加に戻し、すべての学校、…

このグラフはどう読めばいいですか

【学力テスト】分析的読解できず グラフ見て考える力弱い この記事にグラフがついている。http://sankei.jp.msn.com/photos/life/education/100731/edc1007310036000-p1.htmこのグラフはどう読めばいいのだろう。 http://benesse.jp/berd/center/open/berd/b…

現場にいながら会議室にいる人

【学力テスト】 抽出方式に「不公平」の声も この記事の 小学6年と中学3年の全員参加から3割抽出に方式が変わって初めてとなった全国学力テスト。8月2日には国が採点した結果が各学校に届けられるが、手にするのは3割の子供のみで、全体の4割に当たる…

テストの意味を考える必要がある

【学力テスト】「当面は抽出」に不満の声「議論深められなかった」 【学力テスト】根強い批判も「抽出方式」継続へ 専門家会議が報告書案公表 ある日の会話 「全国学力テストが抽出調査になるそうですよ」 「これじゃ子どもの状況を把握できなくなりますね …