■ SSDを使うニャ!! とか焦ってプチ失敗
前回書いた静音PCの件だが、オリオスペックのミニタワー静音型PCのSilverStone SST-SG04 Micro Silentの購入と同時期に、SSDも購入した。新しいマシンが来たらドライブをSSDにするニャ!! と張り切っていたのだ。
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オリオスペックの静音PC、SilverStone SST-SG04 Micro Silent。CPUをIntel Core2 Duo E8500(3.16GHz)、メモリを2GB×4の8GBという構成にして購入した
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勢いで買っちゃったOCZのOCZSSD2-2C120G。容量120GBの2.5インチSSD(MLC)だ
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ここのところ話題豊富なSSD。フラッシュメモリを使ったストレージですな。HDDの代わりにSSDを使えば、HDDよりもデータの読み書きが高速化するケースが多い。SSDにOSをインストールすると、OSの起動/挙動が高速化するケースも多く、SSD自体の容量単価もガガガッと下がってきているので、右肩上がりで話題が増えている。
さておき、拙者もそのSSDを使うゼ!! と。新しいマシン買ったらストレージはSSDにするニャ!! とか燃えたり萌えたりしていた。ので、上記のとおり、新マシン購入とほぼ同時にSSDも購入。2台購入。SSDを物色していたら、OCZの120GB SSDが2万5000円で売られていたので「安ッ!!」と思って激購入した。
ホントはSSDを1台買って、システムドライブ(C:)だけSSD化しようと思っていたのだが、上記の価格であり、なんか「残り:2台」とか書いてあったので、衝動買いしちゃったわけですな。でも、2台のSSD、1台をシステムドライブ、もう1台をデータ保存用ドライブにするから問題ナシ、と考えていた。
しかし、その衝動買いのすぐ後、非常に重要な事柄を知った。
なんか、一部のSSDでは“プチフリ”という現象が起きるらしい。具体的には、SSDに対するデータの書き込みが一時的に集中したことから起きる、短時間(数秒から十秒程度だそうだ)のフリーズのような状態が、プチフリ。で、コレを起こすのはJMicron製のJMF601またはJMF602コントローラを搭載したMLCチップ採用のSSDなんだそうで。
くぅ~ッ!! 俺が買ったSSDがまさにソレだ!! 超該当!! イヤ~ん!! イキナリ地雷!! しかも2コも踏んだ!! 前線偵察せず突進した貴様っていうか下調べせず買った拙者!! 猛省せよ!! みたいな。ともかく、買ったモノはしょうがない。どうにかしないと……てなわけで以降、この件に関して拙者がヤッたことなどをレポートしてみたい。
■ 落ち着け俺!! 工夫しろ拙者!!
OCZの120GB SSDであるOCZSSD2-2C120Gは、どーもプチフリ該当品。じゃあ齋藤商店プチフリ祭り極悪セール「話題のプチフリ完全対応120GB SSDが今だけナンと1万9800円!! 2台限りのご奉仕品!!」といったスパムメールを送信しまくろうかしら? と思ったが、どーにかナリそーな予感も。
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プチフリしちゃうかもしんないSSDことOCZのOCZSSD2-2C120G。現在はOCZをはじめ各社から、プチフリを起こす可能性の低いコントローラやファームウェアを搭載したSSDが多々発売されている
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プチフリSSD×2台だーゼ~!! 合計240GBもだーゼ~!! って時期遅れでありかつ今さら感&残念感満載な拙者ですけど、最近発売された多くのSSDならプチフリ問題回避可能かと思います~
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プチフリすると言われているSSDを使っていても、プチフリが起きまくる人とそうでない人がいる様子。当該SSDを使っていてもプチフリ未経験な方もあるようだ。また、プチフリっちゃうSSDをRAID 0構成(ストライピング/複数台のHDDやSSDにデータを分散書き込みして高速化するというもの)にして使えばプチフリの悪影響が減ったりしているという報告もあった。
ので、ならば、2台のSSDをRAID 0構成で使いましょう、と。拙者が買ったマシンのマザーボードことGIGABYTE GA-EG45M-UD2HはオンボードSATA RAID(RAID 0/1/5/10)対応なので、BIOSから容易にRAID構築を行える。
てなわけで早速RAID 0を構築し、OSやアプリをインストールし、使い始めてみたらビックリ!! あら速い!! こんなに速くてインカ帝国(死語ッ)!! みたいな。
当然と言えば当然だが、全てのソフトウェアの起動がズガンと速くなった。体感上明らかな速度向上。HDDからの起動の場合、ファイルなど読み出しに関してヘッドが機械的・物理的に動いたりして、それがパフォーマンスのボトルネックになっていた。が、SSDはフラッシュメモリからファイルなどを読み出すため、HDDのようなボトルネックはほとんど存在しない。ので速いんであった。
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SSD使用直前までシステムドライブとして使っていたHDDのベンチマーク結果。HDD機種はBarracuda 7200.12(ST3500418AS/500GB)で、フツーに速い感じで使えている
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SSD×2台でRAID 0構成としたドライブのベンチマーク結果。小さなファイルの読み書きは思ったほど速くないが、HDDと比べてどの動作も高速であることがわかる
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このマシン/ストレージ構成だと、例えばPhotoshop CS4(バージョン11.0.1)が3秒弱で起動する。2度目の起動だと2秒くらい。ACDSee 9 Photo Managerは1秒くらい。てかOutlookもWORDもAcrobatも1秒くらいで、ほかのソフトも全体的に1秒くらいで起動する。おまえはDOS時代の高速パソコンか!! みたいな。
非常に快適である。ソフト起動すんのがタルい、というモヤモヤが全部解消された。また、このことが静音パソコン上で起きていることもグレイト。3年前の俺にこの状況を見せたら、きっと羨ましさが過ぎて逆恨を呼んだだろう。
ちなみに、2台のSSDは親和産業の「2.5インチ⇔3.5インチ変換ブラケット」を使ってPC内に固定した。このブラケットを使うと、3.5インチのHDD取り付け部に、厚さ12.7mm以内の2.5インチサイズSSD×2台を取り付け可能だ。
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親和産業の「2.5インチ⇔3.5インチ変換ブラケット」
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こんな金具が2枚入っている。ドライブ取付ミリネジ×8本とブラケット取付インチネジ×6本も付属する
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2.5インチSSD×2台をこのように装着する。これで、3.5インチドライブ用のベイに装着できるようになる
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なお、プチフリだが、明らかなるプチフリは……2度くらい起きたかも!? マウスカーソルだけ動く状態で、あとは無反応。そんな状態が10秒前後続き、ナニも無かったように動作を再継続する。コレってプチフリ? それ以外は特に変わった現象は起きていない。
あと、プチフリなのかどうか微妙だが、細かいファイルが多量に入ったフォルダをSSDへコピーしたりすると、書き込みが超遅い状態になることが少々。試しに同じフォルダをHDDにコピーしてみると、HDDのほーがずっと速く書き込みが終了したりする。
でもまあ、ほかは全体的に非常に快適。だいたい高速で、ドライブ2台のRAID 0構成なのに無音!! 今後の拙者は次第にSSDへと移行していきたい!! と思った。
……しかし、気になるのは、この快適さがSSDという危うげなストレージによってもたらされていることだ。
■ SSD様がご長寿であるように
ご存知のように、SSDはフラッシュメモリなので、HDDよりもずっと寿命が短いと言われている。書き換え回数がウン千回とかウン万回とか言われてますな。しかし、どういう基準でSSDの寿命が表現されているのかがあやふやだったりもする。実際どのくらい使えるのよ? という問いに明確に答えているのをあんまり見たことナイ。
それはソレとして、SSDを使い続ければ、つまり書き込みを重ねれば、徐々に各メモリセルが機能停止のときに近づくのは明らかだ。拙者的には、現在のSSDは過渡的な状態なので、つまり超近い将来、より高性能だったり長寿命だったり激安だったりするSSDが登場してくると考え、ま、1年くらい使ったら交換っしょ、とか思っている。
しかし、多くのユーザーが使い始めてまだ日が浅いストレージ。もしかしたら来月、ネットのあちこちで火の手が上がるように「SSDが突然死しますた!!」とか「SSDがブッ飛んだオレが来ましたよ!!」といった報告が上がりまくるかもしれない。ま、そんなコタぁナイと思うが、そういうコワい可能性を捨てきれないようにも思う。
シロート的には、できる限りSSDの寿命を削らないようにするしかない。なるべく書き込みだけ行って、消去&上書きを極力行わないようにするのが良いと思う。ので、例えばOSが作るスワップファイル(ページファイル)や一時ファイル、アプリが使うテンポラリファイルなどを、極力SSD以外のストレージに置こうと考えた。
拙者の場合、SSDをC:ドライブとしてOSやアプリを入れており、原稿とか画像とか動画とかといったユーザーが作ったオリジナルファイルはHDDに置いている。だから、そのHDDにスワップファイルなどの一時的なファイルを書くように設定すればいい。また、Windows Vistaは自動的にC:ドライブをデフラグしてくれちゃったりする=SSDに対して大規模で細かな書き込みを行いまくるので、自動デフラグをしない設定にすることも肝心だ。
……でも、スワップファイルとか一時ファイルとかテンポラリをHDDに置くのってどうよ? それらがSSD上にあるから現在の激っ速さが得られているのに、そーゆー頻繁に読み書きされまくりのファイル群をSSDより遅いHDDに置いたら、システム全体のパフォーマンスが低下する(HDDがボトルネックとなる)ことは明らかだ。
てゅーか、SSDをシステムドライブとして使っている人、どーしてるのぉ~!! とググってみたら、答えはRAMディスクにあった。
■ OS管理外領域をRAMディスクにする
RAMディスクは、その名のとおり、RAMをドライブ(外部記憶装置)として使えるようにした記憶メディアだ。RAMなので、パソコンの電源を落とすと内容は消えちゃう。ので、一時的なドライブってコトになりますな。
拙者のマシンには8GBのメインメモリ(RAM)が載っているが、その半分以上は全く利用されていない状態にある。というのは、32bit WindowsではRAMを約3.5GBまでしか認識・利用できないという制限があるから。わしの場合は、残り約4.5GBがもったいニャい!! RAMを4GB載せてる人は、残り約500MBがもったいニャい!! というわけだ。
この物理的には搭載してるんだけどOSが使ってくれないRAM領域を活用するために、RAMディスクが使われていたりする。また、RAMディスクはHDDよりもずっと高速で、SSDと比べてもまだまだ高速なストレージ。ファイルの読み書きが超速い。圧縮ファイルの圧縮/展開場所に使ったり、頻繁な読み書きのためのテンポラリに使えば、(結局はHDDのようなボトルネックが激減するため)パソコンのパフォーマンスがググッと高まるという可能性が高い。
で、実際、RAMディスクってどーやって作るのか? 方法はイロイロとあるが、例えばアイ・オー・データのRamPhantom3ソフトウェアを使えば、簡単な操作で作れる。RAMディスクを作った後は、フツーのストレージと同様に扱える。
前述のように、RAMディスクではパソコンのメインメモリを一時的に借りてストレージとしているので、電源をオフにするとRAMディスク上のファイルも消えちゃう。が、RamPhantom3の場合、HDD感覚でRAMディスクを扱える“データ保持機能”を備えている。ので「コレはRAMディスクだ!! オフると消えるオフると消える!!」とか意識せずとも気楽に使えそうですな。
ただ、RamPhantom3の場合、OSが作るスワップファイル(ページファイル)をRAMディスク上に置けないようだ。てなわけで拙者は別のRAMディスクソフトウェアを使っている。Gavotte Ramdiskというフリーソフトだ。使用方法などはググってみて欲しい。
ちなみに、拙者がGavotte Ramdiskを選んだのは、評判が良いのでとりあえず試したら、安定して使えているから。いや~このテのモノは試してみて安定して使えれば、それが当人にとって「当たり」。「当たった」ら変えないのが吉ですな。
■ RAMディスク速ッ!! 快適!! でもバックアップ励行!!
拙者のマシンにGavotte Ramdiskをインストールした結果、ドライブが3つになった。C:ドライブとしてRAID 0構成のSSD、D:ドライブとしてHDD、それからR:ドライブとしてRAMディスク。
RAMディスク(R:)には、OSのスワップファイル(ページファイル)、ウェブブラウザなどのテンポラリファイル、それからPhotoshopの仮想記憶ディスクなど、デフォルトではC:を使っちゃいそうな設定を、できる限りRAMディスクを使うように変更している。
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Gavotte Ramdiskを使ってRAMディスクを作った。ディスク容量は約5GB。テンポラリファイル類を置くなら十分広大な領域だ
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FirefoxのキャッシュもRAMディスクに書くようにした。Firefoxの体感パフォーマンスが少し上がったような気もする
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Photoshopの仮想記憶ディスクもRAMディスクにしてみた。ら!! ファイルを多数開いても待たされることが非常に少なくなった
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結果、マシン全体のパフォーマンスはあんまり変わらない感じだが、一部アプリっていうかPhotoshopのパフォーマンスがグッと高まった。これまでは多数のファイルを連続して開くと、途中から速度が落ち、かなり待たされた。が、仮想記憶容量をRAMディスクに置いてから、その速度低下は感じられない。
つーかですね、RAMディスクのベンチマーク取ったら圧倒的なパフォーマンスで笑っちゃいますな。以下のとおり。
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HDD(機種はBarracuda 7200.12 / ST3500418AS/500GB)のベンチマーク結果
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OCZのOCZSSD2-2C120G×2台によるRAID 0アレイのベンチマーク結果
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Gavotte Ramdiskで作ったRAMディスクのベンチマーク結果。文字通り“ケタ違い”の速さだ
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RAMディスクが物凄~く激超スーパー高速ってコトが判明したが、この速さを活かす使い方があまりないような気もする。ともあれ、速いコトは良いことですな。
てな感じで、SSDとRAMディスクを併用し、SSDの寿命をなるべく延ばしつつ、多くの作業が快適化している拙者である。が、やはり肝心なのは、HDDでももちろん、SSDなら特に、こまめなバックアップだろう。
全てのストレージは消耗品であり、いずれ壊れて朽ち果てるので、そうなっても被害を最小限に抑えられるようにバックアップ励行。ちなみに最近の拙者は、RAID対応とか容易な操作感といったあたりで、アーク情報システムの「HD革命 CopyDrive Ver.3」を使っている。
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アーク情報システムの「HD革命 CopyDrive Ver.3」。RAIDアレイにも対応していたので、拙者環境マッチ
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HD革命 CopyDrive Ver.3の表示例。HDDの基本的な事柄を知っていればチョー簡単に扱えるバックアップソフトだ
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そんなわけで、SSDとかRAMディスクを使うと、いろいろなコトが快適になったりして楽しい。ただ、どの環境でもバックアップが必要なのは別にしても、SSDの寿命を心配したり、やれスワップファイルだテンポラリだと細かいコトを考えるのは面倒と言えば面倒。マシンのパフォーマンスが上がるなどのメリットと、導入や管理などの面倒(つーかコスト)をどう見るか、ですな。
でも、SSDやRAMディスクを導入すれば、HDDのボトルネックから大解放されたりして、いろいろなコトがスムーズ&快適になることは確か。興味のある方はぜひ(自己責任で)トライしてみて欲しい。
■ URL
OCZの容量120GBの2.5インチSSD(MLC)「OCZSSD2」製品情報(英文)
http://www.ocztechnology.com/products/flash_drives/ocz_core_series_v2_sata_ii_2_5-ssd
2009/05/18 11:07
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