そして今年もまた流れていく調査結果

ここ数年の傾向と同じく、年末、数日にわたって結果が公表されている「2024年企業法務税務・弁護士調査」。

まだ記事の掲載は続いているようではあるが、主要なところは概ね出揃ったようなので、備忘がてらのエントリーとしてまずはランキングから。

<企業法務全般(会社法)>
1.太田洋(西村あさひ)25票
2.石綿学(森・濱田松本)16票
3.中村直人(中村)13票
3.塚本英巨(アンダーソン・毛利・友常)13票
3.倉橋雄作(倉橋)13票
6.沢口実(森・濱田松本)12票
7.柳田一宏(柳田国際)11票
8.三浦亮太(三浦)9票
9.野村晋右(野村綜合)8票
9.武井一浩(西村あさひ)8票

「企業法務全般」というタイトルと、ランキング上位の方と結び付けられて語られる取扱分野の尖り具合がマッチしていないんじゃないか、という思いは年々強くなっているが、それでも伝統的なオールラウンダーの先生方が依然上位で健闘されている、という点にこの企画にもまだ希望の光は残っているのかな、と。

それ以外のランキングについては、カテゴリー分けも含めていろいろ突っ込みどころはあるところだと思うが、特段コメントはしない。

なお、今回の企画で気になった記事を挙げるとしたら、今朝の朝刊にも載っていた以下の切り口の記事。

「国内の主要企業の約8割で法務人材が不足していることが日本経済新聞社の「企業法務税務・弁護士調査」でわかった。国際的なM&A(合併・買収)への対応など法務部門の担当業務量が増える一方、人材の採用難が続いている。デジタル技術を生かす「リーガルテック」による効率化で補う動きもあるが、効果はまだ限定的だ。」
「調査は10月に536社に聞き、277社から回答を得た。弁護士資格のない一般の法務部員の状況について聞いたところ、「人手不足」の状態にあるとの内容の答えが79%を占めた。社内弁護士については46%が「不足」の状態だった。」
(日本経済新聞2024年12月23日付朝刊・第16面、強調筆者)

まず、「社内弁護士」については、既に不足感を訴える会社が半数を割り込んでおり、統計的に見ても欠乏感はとっくの昔に解消されているのだろうな、と思ったのが一点*1。

そして、自分が企業の中でどっぷりとやっていた頃から唱え続けられている「法務人手不足」の呪文がいまだに唱え続けられていて、しかも、有益な処方箋も未だに提示されていない、ということを再確認できたことが、この記事から得られる最大の収穫だろうか。

こういうのは、まずは自分が手の届くところからしっかりやっていくしかないよなぁ・・・と今は思っているところである。

*1:個人的には、多くの会社の方から”過剰感”を訴えられることの方が多かった一年でもあった。

最後まで主役になれなかった4歳馬。

これがフィクションの世界だったら、ここまで残酷な結末は用意しなかっただろう・・・というくらい、「4歳馬」にとっては過酷な結果となった2024年の中央競馬。

最後の有馬記念で、この秋、上の世代の壁、として立ちはだかっていたドウデュースがまさかの出走取消(そのまま引退)という展開になった時点で、もしかしたら・・・という期待が一瞬生まれたのは確かだが、そもそも出走する16頭の中に、4歳馬は僅か1頭・べラジオオペラしかいない・・・。

それでも、確固たる逃げ馬不在のメンバー構成の中、先行型で中山コースの実績もあるべラジオオペラなら、この世代の代表として最後の最後に輝いてくれる、と信じたのは自分だけではなかったはず。

蓋を開けてみたら、横山典弘騎手騎乗の3歳、今年のダービー馬・ダノンデサイルがこれまた定石を覆すような逃げの手に出て、場内をざわつかせたが、その後ろにピッタリ2番手に付けたのはべラジオオペラ。

この1年、ずっと手綱を取ってきた横山和生騎手が、最後にきっちり父親をかわして最後のグランプリで頂点に・・・という微かな希望は、だが、最後の直線、追い込んできた2頭の馬の前にあっさりと打ち砕かれた。

6歳馬、数少なくなったディープインパクト産駒のシャフリヤール、そして、規格外の3歳牝馬・レガレイラ。

2頭の壮絶な叩き合いの前に、逃げたダノンデサイルは3着に退き、そして、べラジオオペラはさらに下がって馬券圏外の4着・・・。

かくして、”期待に応えられない4歳馬”伝説は、見事に一年を通じて貫徹されることとなったのである。

ダノンデサイルはともかく、上位2頭は5番人気と10番人気。

このレースで3歳馬が来るのは決して珍しいことではないが、抜群の相性を誇る菊花賞組*1ではなく、路線を迷走気味だった牝馬、レガレイラが勝ってしまった、というのは一種の珍事だったし、その後ろに、これまた滅多に来ない6歳以上の古馬が来る、という展開も全くの想定外。

そういえば今年は荒れる年、という話もあったなぁ…などと思った時は既に時遅しで、馬券的にはまぁ酷い目にあったりもしたのだけれど、それ以上に、今回は外れてほしかった「4歳馬神話」が”的中”してしまったことの方がよりショックだった。

*1:この日の1番人気も菊花賞馬・アーバンシックだった。

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並びの順は去年と同じでも。

華やかな東京開催が終わり、一転して冬を感じる中山最終開催に転じた12月だが、今年はいつもならここで冬将軍とともに登場する阪神競馬場が、今年は改装のため小休止。その代わりに京都競馬場がそのまま年末まで突っ走る、という変則開催となっている。

そして、変則開催といえば、ここ数年、「都合の良い時に使われる」役回りを演じることが多かった中京競馬場が、この冬はようやく定位置の”裏開催”に戻って本格稼働しているのだが、そんな中、開催中唯一「メインイベント会場」となるチャンピオンズカップが今年もやってきた*1。

前年は既にGⅠタイトルを持っていた2冠目・レモンポップに、紐で連れてきた人気薄2頭(12番人気・ウィルソンテソーロ、9番人気・ドゥラエレーデ)が絡んで馬連約30000円、3連複47万円弱、という大荒れのレースだったのだが、今年もその3頭は揃って参戦。

さらに3歳戦線を賑わせたサンライズジパングや、前走重賞勝ちのハギノアレグリアス、さらに韓国帰りのクラウンプライド、芝・ダート二刀流のガイアフォース等も絡んで、いつもながら賑やかな舞台となった。

当然ながらレモンポップは国内では依然として完全連対の盤石ぶり。そして、前年はまだ地方ローカル交流戦のタイトルしか持っていなかったウィルソンテソーロも、今年はJBCクラシックチャンピオンとしての参戦だったから、この2頭が主役になるのは容易に予想できるところで、そこに先に名を挙げたような猛者たちがどう絡むか、というのがレースのポイントとなるはずだった。

ゲートを出ても、果敢に先頭に立って逃げるレモンポップと、中盤から後方でじっくり機をうかがうウィルソンテソーロの静かなにらみ合いが続き、最後の直線で粘りこみを図るレモンポップに、ウィルソンテソーロが急追して襲い掛かったところが、まさに最大のハイライトとなった。

結果的にハナの差でレモンポップがこのレース連覇を飾り、めでたしめでたし、となったはずだったのだが・・・。

*1:前振りが長すぎて恐縮である・・・。

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2024年11月のまとめ

本当はもっと書きたいことがあった11月だった。

兵庫の知事選などは滅多にないようなエンタテインメントだったし、知財系の新着裁判例を追いかけるだけでも、それなりに楽しんでいただけるエントリーは書けたはずだ。

なのに、そこで新しいエントリーを立てる方にエネルギーが向けられないのは、いつもに増して凶悪さを増す年末進行のせい、なのかもしれない。

ページビュー5,000強、セッション4,000弱、ユニークユーザー2,300程度。当然ながら大きく落ち込んだ数字を前に、特にコメントすることもないのだけれど、「いつか思う存分書きたい」という思いが、日々のミッションと対峙する自分の動力源になっているのだとすれば、まだまだこのブログも捨てたものではないと思う。

それでは今月のランキング。

<ユーザー別市区町村(24年11月)>
1.→ 大阪市 153
2.↑ 新宿区 138
3.→ 千代田区 100
4.↓ 港区 81
5.→ 中央区 78
6.↑ 横浜市 60
7.↓ 渋谷区 59
8.→ 札幌市 45
9.圏外名古屋市 43
10.↓ 福岡市 31

全体的に下落トレンドの中でも浮上する不思議の町、名古屋である。

続いて検索ワード。

<検索アナリティクス(24年11月分) 合計クリック数 1,136回>
1.→ 企業法務戦士 56
2.→ とき325号 奇跡 15
3.圏外法務 ブログ 11
4.↑ 学研のおばちゃん 現在 10
5.→ 大欅の向こう側 パンサラッサ 10
6.↓ 学研のおばちゃん 9
7.↑ 一定の理解 9
8.圏外取扱説明書 著作権 9
9.↓ 矢井田瞳 椎名林檎 9
10.圏外企業法務 ブログ 8

こちらも特に意外感なし、か。

気づけば今年も残り1か月。悔いを残すな・・・といっても毎年土台無理な話ではあるので、とにかくできることを精一杯、怒涛の日々の中でこなしていこう・・・そう思っている。

またしても主役になれなかった「4歳馬」

今年は春からずっとこの話題を引っ張ってきているのだが、古馬芝GⅠ、東京開催のトリを飾るジャパンカップでも、様相が変わることはなかった。

天皇賞・秋での苦い敗戦*1から1か月。

今回も主役は5歳馬・ドウデュースなれど、3歳になってから一度も「連勝」がない”ムラ馬”との評価もある馬だけに、前走より人気を集めてもオッズは未だ2倍台。

これに対し、4歳勢は、前走のリベンジを期すソールオリエンスに、”ダメ4歳”のレッテルを返上したい前年の菊花賞馬・ドゥレッツアが揃って参戦し、加えてオーギュストロダン、ゴリアット、ファンタスティック、という外国勢3頭(いずれも4歳)も、ここ最近では珍しいくらいの気合いを込めてこの大舞台に臨んできた。

だから、もう何度目か分からない「今度こその正直」がここで見れるかも・・・という期待は存在したのだが・・・。

*1:以下のエントリー参照。k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

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制度がたどりついた場所で、波乱なき2年目。

もはや遠い日の花火・・・という感じのニュースではあるのだが、それでも定点観測エントリー、ということで、今年もこの話題を挙げておくことにする。

「法務省は6日、2024年司法試験に1592人が合格したと発表した。23年試験から受験が認められた法科大学院在学中の合格者は680人と4割超を占めた。最年少は現行制度で最も若い17歳、最年長は70歳。全体では23年から189人減ったが、政府が掲げる1500人の合格目標を2年連続で上回った。」(日本経済新聞2024年11月7日付朝刊・第42面)

去年は、この制度変更とそれに伴うスケジュール変更が結構なインパクトで、これが最良の形なのかどうかはともかく、いよいよ「到達点」までたどり着いたのだなぁ・・・という感を強くしたものだった。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

2回目の今年も、

受験者数 3,928人→3,779人 
合格者数 1,781人→1,592人

ということで、全体的に少しスケールダウンしたものの、合格率は依然として「42.1%」というハイアベレージ。

さらに、昨年、「在学中受験資格」による合格者が637人にも上ったことで、今年は「法科大学院課程修了者」の合格者数が、817人から471人へと急減。逆に「在学中受験資格合格者」は「680人」に増加し、ますます中心的地位を占めようとしている。

今年に関して言えば、「予備試験合格者」組も327人→441人と大幅に増加しているから、当局の思惑通り「法科大学院回帰」が進んだ、と言えるのかどうかはまだ何とも言えないところはありそうだが、最近また増加傾向にあった予備試験受験者が今年は13,372人→12,569人、と減少に転じたことからすると、少なくとも法科大学院在学中の予備試験受験者はかなり減ったのではないか、と推察できるところでもあり、おそらくこの傾向がしばらくは定着することになるのだろう。

個人的には、法科大学院ルートでも予備試験ルートでも、もう少し合格者の社会人経験者比率が高くなってほしい、というのはずっと言い続けていることもあるし、状況が必ずしもそういう方向には向かっていない、ということはいささか残念なことでもあるのだが、「合格率40%強」の水準がこのまま定着するようなら、リスクを取りに行く社会人組も再び増えてくるんじゃないかな・・・ということにちょっとだけ期待して、もう少しこの試験の行く末を見守っていければ、と思っているところである。

番狂わせは忘れた頃にやってくる。

世の中が「世紀の下剋上」に沸き立っている時に変にこねた解説をするのも興ざめだろう、ということで、この日のエントリーでは、

2024年の日本シリーズで、リーグではほぼ優勝争いに絡めず、CS始まった時点でこの舞台に立てるともほとんどの人が思っていなかった、ベイスターズが優勝してしまった。

という事実だけを書き残しておくのがよさそうだ。

個人的には、ペナントレースからCSまでずっと頼りにしていたDAZN様が、この6連戦だけは全く役に立たなかった、ということに少なからず不満はあるし*1、お世辞にも”采配に長けた”とは言い難い監督同士の対戦となってしまった*2ために、昨年までと比べるといささか大味な展開となってしまったことも否めない。

ただ、ベイスターズが前回日本シリーズに出場した(そして負けた)のを見ていろいろ書いたことが、7年の歳月を越えてようやく少し現実のものになったのかもな、と思うと、まぁいろいろと感慨深いところもあるわけで、1998年の出来事も含めて忘れかけていた記憶を喚起させてくれた、という点で、この横浜の球団にはちょっとだけ感謝をしているところである。
k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

*1:これはDAZNに対してではなく、肝心なところでは昔ながらの地上波メディアに放映を委ねてしまう関係者に向けられた不満である。

*2:三浦監督の短期決戦での采配にはかねてから疑問の声も強かった(特に退任が決まった矢野監督に花を持たせてしまった22年のCSの最初のシリーズなどはブーイングされるほかない感じだった)し、小久保監督も代表チームを率いていた際の「実績」から短期決戦での監督としての能力には若干?マークがつく存在だった。

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