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2015年1月

2015年1月30日 (金)

プリンタブルエレクトロニクス

 
 
きょうは東京ビッグサイトで開催されている「プリンタブルエレクトロニクス展」へ。
 
プリンタブルエレクトロニクスとは、印刷で製造するエレクトロニクスの意味。
これまで半導体というと、シリコン結晶を微細加工して製造したり、真空装置で製造したり、とにかく複雑な方法で製造されてたんだけど、有機半導体という分子状の半導体を使うことで、溶液状にして印刷で半導体素子ができる。それを次世代の半導体と呼んでいて、これまでにない半導体素子ができるということで研究が盛んになってきた。
その展示会で山形大学もブースを出展して各種試作品を展示。
 
 
まずは、有機エレクトロニクスイノベーションセンター(INOEL)のブースから。
 
 
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ここでは、有機ELと有機太陽電池が中心の展示。
 
 
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青色のフレキシブル有機ELパネルが曲がって展示してあります。
青色というと青色LED。
LEDは点光源でちっちゃい粒が光るのに対して、有機ELは面光源。
しかも、薄くて曲げられる。
 
 
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これは、壁にかかった有機ELパネル。
緑、青、オレンジに光ってますね。
 
 
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あーら不思議。
緑をオレンジが青に変わってます。
しかも、壁から離すと消えちゃいます。
 
なんでかっていうと、これらのパネルには電池が付いてなくて、壁から電力を受けて光ってるのです。
非接触給電ってやつです。
 
しかも、加速度センサー内蔵で、回転させるとそれを察知して発光色が変わります。
 
おもしろいでしょ。
 
 
INOELでは、有機薄膜デバイスコンソーシアムというプロジェクトが走っていて、多くの会社が参画されてます。
 
その開発テーマの一つが、 ITO(インジウムースズ酸化物)という透明の半導体電極をもっと安いもので置き換えようという研究開発。
 
 
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銀のナノワイヤーを用いたり、導電性高分子を用いたり、しかもそういう透明電極を印刷で作製したり、とにかく高価なITOがいらなくなるので、近い将来、有機ELパネルの値段もぐぐっと下がる見込み。  
 
また、基板には樹脂、ステンレスホイル、薄いガラス、など曲げられるものを用いたパネルの試作も。
 
たとえば、ガラスも50ミクロンまで薄くなると、こうやって丸められます。
そして、その上には印刷でパターン化された透明電極が形成されてるわけです。
実はすごく有用な技術なんです。
 
 
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他にもまだまだおもしろパネルがありました。
 
 
で、
有機エレクトロニクス研究センターのブース。   
 
 
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こちらでは、有機トランジスタ中心の展示。
 
たとえば、超薄いラップの上に印刷で電子回路を形成するとこうなります。
 
 
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しかも、センサーの機能を加えると、
絆創膏のようなもので、肌に貼って血糖値を測ったり、
ストレスを感知したり、
 
と、
 
病気になる前に知らせてくれるわけです。
 
 
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実用化にはまだ時間はかかりそうだけど、世の中変わりますね。
 
 
で、
実は、S-イノベと呼んでる文部科学省の科学技術振興機構(JST)のプロジェクトの展示も近くにあって、
 
うちの「印刷で製造する有機EL照明パネルの開発」プロジェクトのコーナーも。
 
 
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説明は研究員のチバです。
うちの学部を出て、修士を取得し、博士号もうち、そして今は博士研究員としてテーマを仕切る。
 
成長しました。
 
 
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展示品は、印刷で作製した有機ELパネル。
見た目は普通の有機ELですけど、
 
実は、中身がすごいんです。
 
 
 
という感じで、ブースを見学したあとで、お仕事。
S-イノベの成果報告会です。
 
 
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一般向けに成果を報告するのはこれが初めてということで、立ち見が出るほど盛況。
JOLEDが設立され、印刷で有機ELディスプレイを製造しようと国が立ち上がったもんだから、印刷有機ELが注目されてるわけです。
 
 
何を隠そう、印刷タイプは日本そして世界でも山形大学がその先頭を走っていて、1993年に高分子に色素を混ぜて白色にしたのが、世界初の塗布型白色ELで、うちの研究室が発表。
 
今回の講演では、先日、Nature Communicationsに掲載され、新聞発表した「多層構造塗布型高効率有機EL素子」など、この分野の最先端の情報を提供した。
 
とにかく、何度も言いますが、
印刷で作製する有機ELは、大日本印刷 、コニカミノルタ、山形大学からなるSイノベオールジャパンチームは世界のトップです。
 
JOLEDでディスプレイにも使っていただけるなら喜んで協力いたしますよ。 
 
 
そんなわけで、試作に次ぐ試作でめちゃめちゃ忙しかったINOEL、ROEL、Sイノベチームの皆さんでした。
 
お疲れ様でした。
すばらしい展示品の数々でした。
 
 
 
 

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2015年1月29日 (木)

リンツ

  
今週はヨーロッパ対応が続いてて、
昨日はオーストリアのリンツなどから大勢のお客様。
 
リンツ大学のサリチフチ教授らと、山形大の吉田司教授らを中心に、今後、研究者の交流を積極的にしましょうというプロジェクトが採択されて、そのキックオフシンポジウム。
 
サリ教授は有機太陽電池の中でもポリマー太陽電池の第一人者で、地域卓越プロジェクトでも学外メンバーとして協力してくれた。もう長いお付き合い。
 
他にも、ドイツなどからこの分野の研究者が月曜日から山大に滞在されていて、施設見学や二日間のシンポジウムを行っている。
 
日本側も山形大だけじゃなくて、他大学の若手研究者を中心においでいただき、講演いただいた。
 
 
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工学部100周年記念会館でのシンポジウム。
昨日、城戸からは有機ELの最新状況をお話しさせていただきました。
 
 
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懇親会では、飯塚学部長(右)からご挨拶。
その左が吉田教授。
その左がサリチフチ教授。
 
 
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有機エレクトロニクス分野の若手たち。  
と言っても、一番左の中山准教授は当年とって確か58歳。
53歳くらいに見えますけどね。
 
 
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京大の若宮先生とは、しばしゴルフ談義。
拙著の「1年で90を切る」ゴルフ本を読んで、100が切れるようになったとか。
 
 
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今は、パッティングが課題です、ということなので、パッティングの極意の30%くらいを無料で伝授した。
半年以内に90を切られると思う。
 
 
そんなワケで、ここ山形大学にはドイツのドレスデンやら、オーストリアのリンツやら、世界中から有機エレクトロニクスの研究者が集まるのです。
地方大学で、ここまでやってるところはないでしょう。
 
 
地域に根ざし、世界とともに。
 
 
いい若手研究者が育ってます。
石破大臣、一度、見学においでください。
 
 
 
 

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2015年1月28日 (水)

ドレスデン

 
 
月曜日。
朝はやく、家を出て東京へ。
 
まず、午前中は、  
田町にある大学のサテライトオフィスにてドイツのドレスデンから来られた人たちと打ち合わせ。
私の担当は照明デザーナーの意見交換。
日本を代表する有機EL照明器具デザイナーのイチカワさん(左手前)とソノベさん(左奥)が出席。
ドレスデンのNOVALED社の照明器具デザインを担当されたデザイン会社の方と有機EL照明器具のあり方、仕事の手法などなど、約2時間話し合った。
 
大きな違いとして、
日本はデザイナー一人で仕事してるのに対して、あちらではチームでブレストしながら進めるのだとか。
 
ほほう、と関心。
 
 
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午後からは東京国際フォーラムに移動して、今回で3回目になるドイツー日本ジョイントワークショップに出席そして講演。
 
これは、山形大学の城戸とドレスデン工科大学のレオ教授の長い付き合いの中から自然発生的にスタートした山形とドレスデンの交流プログラム。
大学だけではなく、企業の方々もビジネスの面から交流する。
 
ドレスデンから米沢へ、米沢からもドレスデンへ、見学会など催してて、すでに商談が進んでいたりして、ぼちぼちと成果が見え始めた。  
 
 
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講演会での技術紹介も重要だけど、ちょっとアルコールを加えてのざっくばらんなお話し合いが洋の東西を問わずとても重要。
ということで、ドイツビールをいただいた。
 
昨年はドレスデンのあるザクセン州の知事が米沢を訪問されたり、年々、その関係が深まってる。
 
 
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最近、地方創生ということばをよく見たり、聞いたりするけど、こうやって地域間の交流を活発に行い、お互いから学び、お互いの良さを生かし、お互いを活性化すると言うのも重要。
 
米沢には山形大工学部があり、世界一の有機エレクトロニクスの研究拠点であり、また、東北パイオニアやルミオテックなど有機ELパネルの生産地でもある。また、ドレスデンはドレスデン工科大を中心に有機エレクトロニクス産業の集約を進めている。
いわば、ライバルだけれでもそれぞれ特徴があり、強みも違う。
だからこそ、お互い学ぶでき所が多く、Win-Winの関係になれる。
 
 
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地方創生というのは、決して方程式があるんじゃなくて、その地域に合った方法がある。
しかも、即効性のある方法なんかなくて、このように時間をかけてその地域の特色を強化していくということが最も効果的だと思う。
 
 
石破大臣、おわかりなのかなあ。
 
 
 
 

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2015年1月25日 (日)

 
 
米沢は豪雪地帯です。
一冬で3メートルは積もります。
 
子供、喜びます。
 
 
昨日のこと、家の真裏にあるうちにとっては裏庭のような公園を覗いたら捨てられた雪で大きな山ができていて、子供がスキーを楽しんでた。
他にも穴を掘って秘密基地にして遊んだり、かまくら作ったり、とにかく近所には子供の遊び場には事欠かない。
 
 
Photo
 
 
けど、
雪が降ると、
 
大人、悲しみます。
 
特に一戸建てに住む人にとっては雪下ろしやら、雪かきやらで貴重な時間を奪われます。しかも筋肉痛になります。
 
しかも、その家での立場がばれます。
家主(ボス)は家の中でぬくぬくと、店子(子分)が外で汗をかく。
外に出て雪かきしていると、どこの家ではだれが家主なのかがよくわかる。
 
うちの隣の隣に住む山形大の准教授宅。
いつも旦那さんが雪かき。
 
 
で、その雪かき。
 
実は今の住宅は強度が高かったり、自然に落ちたりして屋根に上る必要がない。
除雪が必要なのは、カーポートの前。
道路の雪をかき分けるブルドーザーが通った後にカーポートの前に残される雪の山。
車が出られないわけですよ。
 
それと、
そのカーポートの上に積もる雪。
平らな屋根なんで積もりにくいんだけど、大雪の年にはおろす必要がある。
うちの場合、この十数年で1〜2度か。
 
で、
今年、そのレアな年。
昨年12月の爆弾低気圧の時に年間の積雪量以上を落としていってくれたおかげで、2月の本格的降雪期を前にして、ほぼ限界状態。
 
ということで、昨日、雪下ろし。
 
といっても、都会育ちで雪おろしの経験なし、しかも体重増で、ひょっとしたら自分の体重で屋根が落ちるかもしれないということで、知り合いにお願い。
 
米沢育ちのお二人、
さずがに慣れていて、約1時間でカーポートの上はきれいになった。
 
 
(写真)屋根の上では、雪をほいほいっと。 
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(写真)下ではブルで雪捨て場に。
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いやあ、一人でやったら半日はゆうにかかり、しかも体が無事でいられるかどうかもあやしい。
 
こんな暖かい友人がいる限り、米沢の雪はつらくない。
有難い、有難い。
 
 
 
 
 

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ノーベル賞受賞者の憂い

 
 
2000年のノーベル化学賞受賞者の白川英樹先生のご意見です。
まず、読んでください。
 
 
・・・
 

特集ワイド:筑波大名誉教授・白川英樹さんの憂い ノーベル賞の裏で科学研究の危機が

毎日新聞 20150123日 東京夕刊

 

昨年、青色発光ダイオード(LED)の発明に貢献した日本の3人がノーベル物理学賞を受賞し、国内は「日本の科学技術の底力」に沸いた。受賞した3人に対しては、業績はもとより人柄や日常生活にも関心が集まり、その一言一句が注目された。だが、喜んでばかりでいいのか。2000年にノーベル化学賞を受賞した白川英樹さん(78)は憂いを深めている。その懸念の核心とは−−。

 

◇成果至上主義が独創性を阻害 「偶然による発見」生む環境を

「ノーベル賞ばかりが、なぜこれほど騒がれるのか。これは本当に疑問でしてね」。横浜市郊外のホテルのラウンジで会った白川さんは、そう言ってノートパソコンを開いた。見せてくれたのは、自身が受賞した00年から3年間のノーベル賞関連の新聞記事のリストだ。

「白川英樹さんが母校で講演」「授賞式へ出発、野依良治教授」「田中耕一さんが富山へ帰郷」……。日本人が受賞する度に見かける新聞記事の見出しが並ぶ。その数は軽く100本を超える。世間のフィーバーぶりがよく伝わるが、白川さんは「研究内容についての報道は最初だけで、その後はほとんどないんですよ」と苦笑する。

「今回の青色LEDの開発は『世界の人の役に立った研究をたたえる』というノーベル賞の趣旨にふさわしいものだったと思います。しかし、ノーベル賞以外にも素晴らしい賞はたくさんある。国内では明治時代に始まった日本学士院賞をはじめ、日本国際賞、京都賞。海外なら数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞、科学技術が対象のベンジャミン・フランクリンメダル、イスラエルのウルフ賞。これらは日本人も多数受賞しています。新聞では小さく報じられるだけですが、ノーベル賞と同格に扱ってほしいくらいです」

以前から、ノーベル賞だけを特別扱いする風潮に疑問を投げかけてきた。01年、国の科学技術基本計画で「今後50年間で受賞者30人」という数値目標が示されると、他の受賞者とともに異論を唱えた。その主張の根底には、ノーベル賞の華やかさに目を奪われている間に、科学から独創性が失われる現状を見過ごしてしまうのではないか−−という危機感がある。

今、若手の科学者を取り巻く環境は厳しくなっている。特に国立大学では04年の法人化以降、研究費のあり方が激変した影響が大きい。

法人化以前は、国から各大学の規模に応じて平等に配分される「積算校費」があり、これが基礎研究の財源となってきた。ところが法人化後、平等に配分する資金は減り続けている。その代わりに、優れた研究テーマを選んで配分する「競争的資金」の割合が高まっている。

考え方だけをみれば、やる気のある研究者や成果の見込まれる分野を伸ばし、研究が活性化するようにも見える。だが、白川さんは「巨額を要する大きなプロジェクトに割り当てられる比重が大きく、基礎研究に取り組む若手研究者には十分行き渡っていません。また、各大学が自由に使途を決められる運営費交付金は法人化以降の10年間で10%以上も削減され、若手の教員ポストは3~5年の任期制が増えています」と指摘する。

任期制で採用された教員は限られた期間に研究を仕上げて論文を作り、成果を出さなければならなくなった。「そうしないと『次』がないのです。だから成果の出やすいテーマを選択せざるを得ない。でも、本来は自分の研究室を軌道に乗せるのに1、2年はかかるものです。それから実験を始めて、論文を書くと、それだけで3年。規定の年限内に成果が上がらないことなんて、いくらでもある。結果を出すまで研究者が何十年も、場合によっては一生涯をかける場合だってある。『成果、成果』と追い立てる成果至上主義が、研究者の興味に基づいた独創的な研究を阻害しているのです」

国が支出する競争的資金の総額自体は増えている。特にバブル崩壊後の1995年、科学技術で日本の産業を支えようと「科学技術基本法」が制定されてからは顕著だ。例えば、競争的資金のうち約半分を占める科学研究費補助金(科研費)は94年に約800億円だったが、10年以降は年間2000億円を超える。

しかし、白川さんは「お金をつぎ込めば独創的な研究が増えるというものではありません。ましてやノーベル賞をとれると考えるのは間違っています」と言い切る。湯川秀樹さん以来、自然科学系の日本のノーベル賞受賞者の多くは、80年代以前の研究実績を評価された。その当時の科研費の年間総額は数十億~数百億円程度だった。

「優れた研究をするためには、条件があるんです」。それは落ち着いてじっくり取り組める環境と、自由に使える資金だ。「特に若手の場合、億単位の額はいらない。数百万円でいいから、好きなことをやれる資金が必要です」。白川さんは「電気を通すプラスチックの開発」という業績でノーベル賞を受賞したが、発見のきっかけは、プラスチックの合成中に薬品の量を間違えたミスだった。その時できた物質に金属のような光沢があったことから「電気を通すのではないか」と直感し、その後実験を繰り返して偉大な成果を手にした。

 「研究費は税金ですから、効率よく無駄のないように使うべきであるのは当然です。ただ、役に立たない研究だから無駄遣いとは決めつけないでほしい。一見成果なく終わったように見える研究が、いつ役に立つか分からないからです。そういう“知的財産”の積み重ねが科学の発展につながる」

自身の研究について語る時に「セレンディピティー」という言葉を使う。英語で「偶然による発見」との意味だ。「『研究資金を得ている以上、それに見合う成果を出さない研究はバツだ』との考え方からは、セレンディピティーは生まれない。ムシのいい話であることは承知していますが、そこは国民の皆さんにも分かってほしいんです」

成果が見込まれるプロジェクト研究ばかりが重視される現在の日本。昨年のSTAP細胞をめぐる研究不正の問題も、そのような環境に一因がなかったか。「もちろん無縁ではないと思います。ただ再発防止には大学院教育の充実も必要でしょう。実験のやり方やモラルなども含め、カリキュラムを見直すこと、そして、幅広い見識を持つ研究者を育てることを考えなくてはいけないでしょう」

独創性のある優れた科学者を育てるには、大学だけではなく、初等、中等教育も重要だ。「回り道に思えるかもしれませんが、小学校の学級の人数を減らしてほしいと言い続けてきました。児童の興味を把握し、好奇心を伸ばすには20人くらいにしてもいい。それなのに財務省は現在の小学1年生の35人学級を『効果がない』として40人に戻す案を打ち出した」。15年度予算での削減は見送られたが、こうした議論が出たことを白川さんは残念がる。

理科を教えることに自信がないという小学校教師が半数を超える、との調査もある。「教員養成系大学は師範学校の伝統を受け継いでいるため文系に位置づけられていますが、将来は文系理系にとらわれないコースを設けるべきでしょう。過渡的には理科の専任教師を増やしてもいい」

日本の科学の前途は険しそうだが、白川さんは「悲観はしていない」と言う。「よくアジアの研究者から尋ねられます。『アジア諸国の中で日本人ノーベル賞受賞者が際立って多いのはなぜか』と」。アジアの優秀な研究者は欧米などの留学先で成果を上げるが、日本人は日本国内で教育を受け、研究をしていながら受賞に結びつくケースが多い。「欧州は自然を克服、支配するとの視点で科学を発展させてきましたが、日本人はそれを受け入れる以前から、自然と共存しつつ自然を見つめ、利用するとの視点から、独自の科学を積み上げてきた。欧州にも負けないバックグラウンドがあるのです」

さらに続ける。「欧米の優れた科学教科書の多くは先達の努力で日本語に翻訳されています。母国語で科学を深く学べるのは、大きな強みなのです。欧州生まれの自然科学を英語で学んでも、私たちにはその表層しか捉えられない危険がありますから」

白川さんは筑波大退官後、全国の学校での科学教室や、日本科学未来館(東京)での定期的な実験教室の開催など、未来の研究者を育てる活動を続けている。革新的な科学技術の発見に必要なのは、目先の結果よりも、育てる熱意−−行動で、そう示している。【小林祥晃】


 

この記事を読んで、自分自身が今まで考えてたこと、発言してたことが、白川先生のご意見と同じということを知り、とても嬉しい。

白川先生は初等、中等教育の重要性を以前から説かれ、自らアウトリーチ活動にも力を入れられておられるので、もし先生がJSTの委員であれば、サイエンスキャンプの打ち切りにも猛烈に反対されただろうと思う。日本ではノーベル賞受賞者というのは、いい意味でも悪い意味でも特別な存在で、意見の重みが違うので、ひょっとしたら打ち切られなかったかもしれない。

研究費の配分方法に関しても、大型プロジェクト乱立で旧帝大(特に東大)重視の地方大切り捨て、外部資金の獲得に時間を費やし、挙げ句の果ては、ゼロか100。研究者がじっくりと研究に取り組める環境をどうして作ろうとしないのか。

大型プロジェクトの計画的な研究で成果を出すのもいいけど、個人で行う継続的な研究の中から生まれる予測できない結果が導くセレンディピティなんて、今後期待できるのか。白色有機ELなんて、まさしく個人による偶然の産物なんだから。

 

まあ、とにかく今の教育環境、研究環境、なんとかしないとこの国の未来はありません。

 

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2015年1月23日 (金)

日の丸有機ELディスプレイ

 
 

きょうの日経新聞より:

  

有機EL17年にも国内量産 ソニーなど出資の新会社、開発費800億円

  

ソニーやパナソニック、ジャパンディスプレイ、産業革新機構が共同出資で設立したJOLED(ジェイオーレッド)は2017年にも有機ELパネルを国内で量産する。16年までに700億~800億円かけて開発し、ノートパソコン向けに出荷する。ソニーなどがテレビ用大型パネルで断念した量産が、サイズ1020型の中型パネルに方向転換して動き出す。

6月にも量産技術を確立する試作ラインの場所を決め、16年秋に稼働する。生産開始は17年後半から18年の計画。工場建設は1千億円規模が必要とされ、資金調達のため株式上場やジャパンディスプレイとの経営統合などを検討する。

フルハイビジョンの4倍の解像度を持つ4Kの有機ELパネルを20型と12型の2サイズで開発する。将来的にはテレビ向けも視野に入れる。資金は新会社を設立した際の合意に基づき、産業革新機構やジャパンディスプレイが出す予定だ。

韓国LGグループは55型のテレビ向け大型パネル、サムスングループはスマートフォン用の小型パネルを販売している。ノートパソコン用の中型パネルは有力な競争相手がいない。

ソニーやパナソニックは生産コストの高さが響いて有機ELパネルの開発を断念した。JOLEDはソニーの半導体技術や、有機材料を効率よくガラスに塗るパナソニックの技術などを組み合わせ、コストを抑える。

 

 

有機EL研究者として、これほど心強いことはありません。

なにせ、国策として有機ELディスプレイを量産すると言ってくれてるようなものですから。

 

ただ、

 

量産するパネルの仕様、コストがその市場にマッチしているのか、 開発ターゲット自体をもっと検討すべきかと思います。

 

それと、

 

もっとも重要なのは、有機ELパネルの量産方法。

これを間違えてサムスンは痛い目にあいました。

LGの後塵を拝しました。

 

今は材料およびプロセスを一つに絞らずに、複数のアプローチを検討すべきでしょう。

 

登山と一緒です。

一つのルートしかなければ、リスクは高く、

複数のアプローチの中から最終的に最適なものを選択するような余裕がなければ、へたしたら全員遭難です。 

 

TFTバックプレーンも、有機EL素子も、現在考えられる最適な方法で開発しつつ、他の方法も検討し保険とする。

 

こうすれば、10年後のディスプレイ市場はMade in Japanの有機ELが席巻しているでしょう。

 

 

 
 

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2015年1月21日 (水)

サイエンスキャンプ

 
 
サイエンスキャンプは文部科学省の外郭団体である科学技術振興機構(JST)の実施しているアウトリーチ活動の一種で、高校生などを大学や企業などの研究機関に招いて最先端科学技術に触れさせるイベント。
 
うちの研究室でも十数年前から震災の年を除いて毎年実施していて、二泊三日で有機EL材料の合成から有機EL素子の作製、評価までを大学院生の指導のもと行う。
 
高校生たちは全国からやってきて、遠いところでは沖縄の生徒が来たことも。
そして、何よりも楽しいのは最先端科学に触れるだけじゃなく、全国の同志のような科学好きと親しくなって、キャンプ後も連絡を取り合い、お互いを刺激しあって切磋琢磨するということ 。
 
これまで、うちの研究室に来たサイエンスキャンプOB、OGの数も150~60人くらいいて、中には有機ELに魅せられて、そのまま山形大学に進学したコアな生徒も何人か。
 
 
で、
昨年も12月。
いつものように、クリスマスのころに実施。
 
男子8名、女子4名が研究室にやってきた。
最初はとまどいながら、徐々に慣れ親しみ、そして最後は和気あいあいと。
別れを惜しみながら帰って行った。
 
 
ササベ助教の説明を聞く生徒達。ちょっと緊張気味。
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お昼は大学生協へ。高校生結構食べます。
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最後にサンタからのプレゼント。有機EL素子です。(非売品)
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早速点灯させてみる高校生。
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リケジョも。
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去っていく生徒達を見送るサンタとトナカイ。
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ということで、無事終了。
高校生たち、楽しんでくれたかな。
TAの学生さんたち、お疲れさまでした。
 
 
 
と、いうことで、
 
さあ、今年ももうすぐ申請の時期かなと思っているとJSTから届いたのが、この手紙。
「サイエンスキャンプは今年度で終了です」 との内容。
 
 
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ええっ!
 
まじですか、
と何度読み返しても、
「終了です」。
 
まあね、
理由は書かれてないけど、
「予算が削減されたため」
なんでしょうけどね。
 
国策として超大型プロジェクトを乱立させて、それにがっぽりと取られたんだろうと思う。
 
 
文部科学大臣、JST理事長に申し上げたい。
 
 
企業は人なり、
日本の資源は人材なり、
 
それを育てる予算を削減して、
 
この国の将来はない、
と。
 
 
 
 
 

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2015年1月18日 (日)

ライティングジャパン

   
 
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先週は東京での仕事が多くて二泊三日の旅。
 
水曜日、
まず、文部科学省。
虎ノ門のこのビルに来るのは久しぶり。
来月インドに行くので、その打ち合わせ。
なにせ、初インドなもんで、興味深いやら、お腹をこわしそうやら。
 
終わってからお台場に移動。
東京ビッグサイトのライティングジャパンの会場へ。
 
基調講演のセッションでは、最初にフィリップスの方、そしてロチェスター大学のTang教授。
 
Tang教授は有機ELの生みの親。
1987年の論文が火付け役になり、この分野が実用化に突き進んだ。
トムソンロイターが昨年のノーベル化学賞候補に挙げた大御所なのだ。
 
そのTang教授、
有機ELディスプレイは液晶に勝る究極のディスプレイ技術であるという根拠を示しながらの熱弁。
そして、有機EL照明はペラペラになる面光源で次世代の光源であると言い切ってくれた。
 
 
Photo
 
 
基調講演のあと、VIPレセプションでも挨拶をされ、乾杯の音頭も。
いやあ、お疲れさまでした。
 
翌日、
午前中、展示会場へ。    
 
まずここで紹介すべきはタカハタ電子のブース。
米沢市にある有機EL照明器具を扱う会社。  
 
 
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実は、今回の展示ブースの中で有機EL器具メーカーとしては一番大きい。
 
 
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医療用とか、
 
 
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デザイン照明とか。
何を隠そう、山形県内にはタカハタ電子製の照明器具が20台以上は設置されてると思う。
 
器具以外にも照明パネルの展示としては、
ルミオテック製のパネルと、
 
 
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住友化学製。
 
 
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ルミオテックは、山形大学と関係の深いパネルメーカーで、言って見れば有機EL照明パネルの元祖であり本家。
正真正銘のMade in Japanのブランドもんです。
 
住友化学は塗布型のパネルを扱っており、印刷技術で異なる色の発光材料を塗り分ける。
だから、富士山の絵を光らせたり、いろんな模様を発光させることができる。
 
おもしろいです。  
 
 
で、
デザイン照明のエリアにはデザイナーさん達が小規模な展示をしておられる。
 
 
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その中でも、有機ELでひときわ目立つのがここ。
 
 
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ソノベデザイン。
 
 
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今回も各種新作品を展示。
小型の面光源はなかなか出来がいい。
 
 
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左がソノベさんね。
あんまり見た目はデザイナーっぽくないけど、頭の中はデザイナー。
 
そのソノベさんに引っ張られって行ったブースで見たのがこれ。
 
 
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このランプ。
ランプシェードの内側に有機ELが貼られていて、
回転させると外に漏れる光量が変わる。
 
 
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おもしろい。
 
で、
もっと面白いのが、このランプシェード。
3Dプリンターで作られたとのこと。
 
商売としてはこのシェードのデータを販売しますとのことでした。
3Dプリンタの出現で、ビジネスのやり方も変わるのか。
 
他にも、コンパクトな光源など、意欲的な作品が並び、
今後に大いに期待。
 
 
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アンノデザインオフィスでした。 
 
 
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最後にひとこと、
 
これまではルミオテックのパネルが使われてた有機EL照明、
けど、今回見かけた多くが韓国のLGケミカル製。
 
なぜなら、
安いから。
 
ざくっとルミオテック製の半額以下でしょうか。
性能も上がってきており、ルミオテック製に並ぶ。  
 
このままLG製パネルの値段が下がり続けると、市場はたちまち席巻され、液晶でしてやられたことが繰り返す。
 
どうする日本勢、
ということなんですが、
 
もちろん、有機EL照明の生みの親としては、再逆転のシナリオがあるんだけど、それをルミオテックの経営陣が聞いてくれるのか、またまた経済産業省・NEDOは受けれてくれるのか、
そこが問題。
 
泣いても笑っても、 
これから5年で有機EL照明市場の覇者が決まりますからね。
 
 
 
 

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2015年1月13日 (火)

 

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学生の時、競技スキーにのめり込んでました。
 
その時の夢、
いつかスキーのできるところに住みたい。
 
で、いま。
 
米沢に住んでます。
うちからスキー場まで25分。
先週末も行ってきました。
 
 
もちろん、板はいまだに準競技用。
心はいつもラムネ色。
 
 
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その時の夢、その2。
いつか家庭を持った時に、子供とスキーに行く。
 
で、 
うちの高校生の娘、
幼稚園の年長でまずソリでスキー場デビュー。
小学校からはマンtoマンレッスン。
米沢市の市民総体の競技でも活躍。
いまもスキー大好き。
 
 
で、
先週末も娘のリクエストでスキー。
中学の時の友達のヒナタちゃんを誘って。
 
 
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これこそ、Dreams come true。
 
 
 
娘よ、夢をかなえてくれて有難う。
 
 
 
 
 
 

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2015年1月11日 (日)

すき焼き

    
 
先日、こういう本をいただいた。
 
 
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日頃から、
「人類滅亡の日の前の晩はすき焼き」、とか、
「死ぬときはすき焼きの肉を頬張って前のめりに死にたい」、とか、
バカなことをまじめに言ってるので、それを覚えておられたのだろう。
興味津々だったけど、なかなか時間がなくて、  きょうの午後、雪かきを終えてイップクしながらようやく目を通した。
 
 
で、
どんなことが書いてあったかというと、すき焼きの歴史とか、各地の名店の紹介とかで、特に何か目新しい情報があったかというとそうでもなくて、単に「すき焼きガイドブック」みたいな本だった。
 
ただ、 
見逃せないのが、
紹介されてるお店の一つ、米沢の「吉亭」。
山形大工学部の近くにあって、
しばしば足を運ぶお店。
 
 
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管理人が米沢に来たのが、平成元年の3月、お店が開店したのがその年の秋。
ということで、同じ年なわけで、つきあいも26年と長い。
 
で、 
名物といえば、お肉というより大きなお屋敷を改造したそのお店そのもの。
文化財にも指定されていて、なんとも古き良き「和」を感じさせる落ち着きのある建築物。雪見障子越しに見る日本庭園もすばらしい。
 
そして、女将。
横浜から数十年前に嫁がれてきた女将さんはもともとええトコのお嬢さんで、いまもその雰囲気があって、その上品さと、その異次元異星人的会話の内容が楽しくて、ついつい話し込んでしまう。
 
 
実は、  
すき焼きというのは、料理であって料理でない。
管理人にとって、間違いなく世界で一番美味しいすき焼きというと、かつて実家で父親が鍋奉行で仕切ってくれて、いただき物の松坂の牛をたらふく食べるときなんだけど、その次はというと、何かの記念日に米沢牛を買ってきて自宅で家族や気のおけない仲間とお腹がはち切れそうになるくらい食べるすき焼きで、その次が、お店でいただくすき焼きとなる。
 
それくらい、すき焼きというのは料理人の腕よりも、肉質とか雰囲気を楽しむ要素の大きい料理なので、誰と鍋を囲むかとか、女将や仲居さんの果たす役割は大きいと思う。
 
そういう意味で、正直言ってこの本で紹介されてるお店の中でも、心の底から行ってみたい店というのは少なくて、
唯一、死ぬまでに一度は行きたいのが、松坂の「和田金」くらい。
あまりにも有名ですもんね。
 
そんなこんなで、  
すき焼きのこと、亡き父のこと、思い出した午後だった。   
 
 
 

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2015年1月10日 (土)

LED王国 

 
 
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昨日、午後、雪の米沢を出て羽田経由で徳島へ。
徳島駅のホテルにチェックイン。
 
夕食は久々に一人居酒屋。
前もって教えてもらった「とくさん」には徳島の名物が並んでいて、カウンターで金時芋から作られた焼酎なんぞをちびりちびりやっていたら、なんだか営業で出張にでているサラリーマンになったような気がしておもしろかった。
 
 
(写真)フィッシュカツ
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そんなサラリーマン風教授、
今朝、
タクシーで徳島大学へ。
何を隠そう、「LED総合フォーラム」というのが開催されていて、そこでの講演を頼まれた。
 
まあね、有機ELは有機LEDとも呼ばれるくらいだから、LEDの弟か親戚みたいなもんで、その研究者が呼ばれてもおかしくない。
 
 
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最初に、
徳島大学の香川学長が挨拶されたんだけど、徳島大学で「香川」学長というのはおもしろいなあと思った。  
 
次に、
日亜化学の坂東完次本部長が1時間ほど白色LEDについて話されたんだけど、座長の方が坂東エイジさんと紹介されたので、すこしおかしかった。
 
その次に、
有機ELの話をさせていただいだいたんだけど、単に技術の話だけじゃあ面白くないので、山形大学の取り組みとか、山形県の取り組みとか、城戸個人の取り組みとか、地域活性化とか、人材育成とか、ベンチャーとか、なんやかんやてんこ盛りにしたら予定の一時間を超えてしまった。
 
すいません。
 
他の講演者には、特許庁の方とか、日立製作所の東原社長とか、東芝のLED担当の方とか、おもしろそうな話が午後に予定されてたんだけど、飛行機の時間に間に合わないのでお先に失礼した。
 
中でも東原社長とは面識がなかったので、名刺交換させていただいたんだけど、いつも日立の住川さんにお世話になっているので、そのことを申しあげたら、COIですね、とご存知だった。
 
ちょっとうれしい。
 
 
で、
中村修二先生のこと。
いい機会なので、徳島大学の関係者の方に素朴な疑問をぶつけてみた。
 
JK: 中村修二先生は来られました?
 
徳島大: いえ、まだです。大学は日亜化学から多額の寄付を受けてますから。
 
JK: そうですか。両者仲悪いですもんね。
 
 
ということで、
実は来るときのタクシーの運ちゃんにも、ノーベル賞で盛り上がったでしょう、と聞いたときに、
う〜ん、特に何もなかったですね、
と答えたので、もしやと思ってたんだけど、やっぱりノーベル賞のお祭り騒ぎはなかったようだ。
 
そんなに仲が悪のね。
社長と中村先生。
 
普通だったら、名古屋大学のように「ノーベル賞通り」を作ったり、中村修二が実験した研究室見学会とか、まあとにかく騒ぎまくるわけだけども、そういうのは徳島大では一切なし。
いやあ、もったいないなあ。
 
 
徳島大の先生によると、
徳島大生の就職したい企業は、大塚と日亜というくらい、今や日亜化学の存在はとてつもなく大きいらしい。
徳島県はLED王国というよりも日亜王国みたいなもんかなあ。
 
 
そんなわけで、そんな超優良企業が二つもある徳島県はとてもラッキーでハッピーだなあと山形県民として思いつつ、逆に、大学でLEDの最先端の研究を行ってるわけでもなくて、徳島LEDバレーの中での大学としての存在感がまるでない。  
山形の有機エレクトロニクスバレーは、山形大学が中心になって研究開発からその産業集積を行ってるのとは対照的。
 
もったいないね、徳島。
せっかく大学あるのに。
 
もしも、
城戸が徳島県知事だったら、
LED王国なんて、LEDに限定せずに、「日の出づる徳島」 とか「光王国徳島」とか言って、 有機EL、QD、などなどLED以外の次世代の光関連技術の研究開発を徳島大学で行い、その産業集積を県が推進すればいいと思う。
 
県として、市として、税収があれば、余裕で有機ELなどの研究開発に資金提供できるし、地理的にも徳島は、パナソニックやシャープなどのディスプレイメーカーが橋を渡ればあるわけだし、照明メーカーも関西には多いわけですからね。
有機ELをLEDの敵と見て毛嫌いせずに、積極的に取り込めば、地域として他に敵は無くなると思う。
 
 
 
徳島県は徳島大学を中心に、今、次の一手を打つこと、
それが必要だなあ、なんて考えながら王国を後にした。
 
 
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2015年1月 6日 (火)

JOLED

 
きょうの日経新聞から: 
 
 

有機EL新会社が始動、17年にもパネル量産

 
 
中小型液晶のジャパンディスプレイ、ソニー、パナソニック、官民ファンドの産業革新機構が設立した有機ELパネル開発の新会社JOLED(ジェイオーレッド)は5日、事業を始めたと発表した。社長には液晶検査装置メーカー、日本オルボテック元会長の東入来信博氏(66)が就いた。業界経験を評価して産業革新機構が招いた。
 
・・・
 
ということで、とうとうJOLEDが始動です。
 
もともとソニーとパナソニックの大型有機ELディスプレイ事業を統合という話があって、一旦それが流れて、そして再度統合という紆余曲折のあった新会社の設立ですけど、LGが8.5世代に投資して、大型有機ELテレビ事業を積極的に進めていこうとしてる現在、まあ、遅すぎではないと思う。
これで水面下で動いてるに違いないサムスンも大型有機EL事業を活発化してくるだろうし、中国でもBOEなどが開発してるし、 ざくっと5年後には大型テレビといえば有機EL、というのが常識になるでしょう。
 
ただし、この日の丸JOLEDが、有機ELディスプレイの分野で勝ち残るには、社長である東入来氏の腕次第。
単に元ソニーやパナソニックの有機EL担当の話を聞くだけじゃなく、外部の意見を積極的に取り入れ、アウトソーシングも活発に行わないと、単なる1+1が2にもならないと思う。
それに、目標もタブレット用を開発なんて限定しちゃダメです。
目標はあくまでも大型テレビ用の有機ELディスプレイの開発です。
 
 
有機ELディスプレイの未来だけじゃなく、日本のものづくりの将来もかかっているJOLED、がんばって欲しいと思います。
 
 
 
 
 

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