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2008年11月 4日 (火)

大学発ベンチャーと地域活性化

 
 
朝早く米沢をでて、午前中は東京駅近くのホテルでコーヒーを飲みながらアメリカのベンチャーの方と情報交換。
 
この会社は太陽電池を印刷技術を用いて製造するという、かなりチャレンジングなテーマで開発を進められているこの分野のリーディングカンパニーなのだ。
もちろん材料は高分子(ポリマー)で、溶剤に溶かしてインキ状にして使う。
できたものは、このとおりペラペラ。
 
 
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通常の太陽電池はシリコンのような無機半導体を真空技術を用いて成膜するので、性能は高いけど製造装置の初期投資がバカにならない。
その点、有機半導体の場合は特に高分子を用いると印刷技術なので真空を用いず、初期投資がとても低くて製造コストも低いのだ。
  
今の課題といえば3%の変換効率を5%にまで引き上げることで、このレベルに上がれば普及させることができる。
 
  
電気を光に換える有機ELの場合は、照明市場の世界市場規模は数兆円だけど、光を電気に換える太陽電池はその数倍はあって、しかも市場は今後拡大する一方ということで社会に与えるインパクトはとても大きいとのこと。
   
それもそうだなあ、と思い山形有機エレクトロニクスバレーでもそろそろ本格的に有機太陽電池の実用化を考える時が来たかなと確信した。大学研究室では2年前から研究は始めたんだけどね。
 
 
午後は品川に移動。
 
港南口をでて三菱重工本社ビルの隣の建物に向かった。
文部科学省の外郭団体であるJST(科学技術振興機構)主催の「地域大学サミット」に出席したのだ。
 
地域大学といえば聞こえはいいけど、地方大学のこと。
要するにイナカ大学のことね。
  
地方から若者が減り続け首都圏に一極集中していること、研究費が旧帝大に集中していていい研究が地方大学でやりにくいということ、少子化問題もあって、このままでは地方大学は崩壊してしまうということ、これでは地方は活性化できないという危機感からこの会議は開催された。
  
地方大学の副学長レベルの方々の話やJSTの審議官の方、その他、管理人のようなヒラ教授から見れば雲の上の方々の話をまずお聞きした。
  
正直言って各大学の取り組みの紹介は組織図ばかり見せられて、その説明を聞いてもちっともおもしろくなかった。
やっぱ、雲の上の方がたは霞を食べておられるんだなあと実感。
 
唯一、高知工科大学の学長が地方私立大学の憂鬱を激白されて、そうだそうだとひざを叩いた。
 
  
後半はパネルディスカッションのパネラーとして壇上に座った。
山形大学の取り組みを紹介したんだけど、なにせ5分間という限られた時間ではとてもじゃないけど話しきれなくて、討論の時間にも思うところの10分の一ぐらいだけど追加でお話させていただいた。
  
要するに、今の国の地域活性化プロジェクトは所詮は箱物プロジェクトで、最も重要な人材育成の部分がすっぽ抜けている。いくら研究開発センターや理想的な研究環境を整えても、まともな学生が来なければいい研究はできないということ。
 
大学発ベンチャーによる地方の活性化も議題に上がってたけど、ベンチャーマインドを持った若者をいかにその分野に引き込み、地方大学に来てもらうか、それができれば箱物なんてなくてもベンチャーはできる。
  
それに、ベンチャーといえばその支援方法としてアメリカのSBIRのような制度抜きには語れないのに、いまだにこの国にはそれが整備されてない。
ベンチャーの社長ができる人材もいないしね。
  
とにかく、1700社できた大学発ベンチャーのほとんどが事業計画もまともに立てられない会社なんだから、補助金が切れたら潰れるのは当たり前だ。
 
行政側としても予算をばらまくのじゃなくて、選択と集中。
地域を決めたら省庁の枠を越えて横の連繋をしながらバレープロジェクトとして地域を活性化すべし。
 
徳島大学では文部科学省の予算で糖尿病関係の研究開発を行うバレー化を進めているという話があったんだけど、なぜここに厚生労働省が相乗りしないのか、これがおかしいんじゃありませんか?と疑問を投げ掛けた。
  
  
 
まあ、きょうもあいかわらず偉い方々相手に野蛮人ぶりを発揮したのであった。
 
 
 
 
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