大学教授はそんなにワルか
「不正経理防止対策に係る学内説明会」が工学部で開かれた。
簡単にいうと、大学教授は放っとくと不正を働くので、物品の購入やら出張旅費の支出なんかは、これから厳しくチェックするからね、ということなのだ。
会計事務運用マニュアルなんかが配られて、5月1日から実施すると言う。
えっ、明日やないか。
実は、4月22日にも開催されたんだけど、出張とか会議で出席しなかった人向けに再度開催されたのだった。
まあ、社保庁のいい加減ぶりやら、防衛省での不正、文部科学省での不正と公務員による不正が次から次へと明るみに出るきょうこの頃、本省では自分たちですら不正してるんだから大学教員も絶対悪さをしているに違いない、と大学教授性悪説に基づき、大学事務にお達しでもあったのだろう。
日頃、本省(文科省ね)を向いて仕事そしている事務部門としては大本営の命令をそのままスルーして教員に押し付けてきたのだ。
きょうの説明会では、テニス焼けの石井事務長自ら説明されたのでいわゆる役人的な答弁ではなく、まともな質疑応答をしてくれた。逆に、事務の人達はヒヤヒヤもんやったんやないかなと思う。
全質問のうち、ひょっとしたら半分ぐらい管理人がさせてもらったかも知れないんだけど、最も気になったのが旅費の取り扱い。
とにかく、空出張を取り締まる目的で、出張したら打ち合わせの場合は相手の名刺の提出とか、宿泊したら領収書とか、とにかく旅行した証しを提出しなければならなくなった。
面倒くさいけど、まあ、これはええ。
おかしいのが、出張の際に友人宅や実家に泊まっても宿泊代は定額支給されると言う。
住所を「旅行確認シート」とやらに書けばいいらしい。
「娘が東京の自分名義のマンションに暮らしていて、そこに泊まったら、宿泊費はでますか?」
と訪ねたら、
「でます」との答えだった。
よし、それならウチの娘は東京の大学に進学させて、マンションをローンで購入して、その月々の返済を出張旅費で支払ってやるぞ。
今、小学4年だけど。
「旅費の定額支給はやめて、実費精算にしてくれませんか?」
と訪ねたら、
「反対が多くて変更できませんでした」
と答えられた。
誰や反対したのは。
少なくとも、オレのところに、アンケート調査は来なかったぞ。
賛成や、賛成。
「教授の先生達は、学会なんかで定額支給してもらい、安ホテルに泊まって出張費を浮かして、学生との会食代にしたりするので、定額の方がいいのでしょう」
とのコメントだったけど、それなら学生との会食代を会議費として研究費の中から支出すれば済むことである。
その方が、情報公開やで。
結局は、事務が単に旅費の計算を簡単にしたいからだろう。
交通費に関しては、新幹線の場合は領収書を出さなくても「普通の指定席」の料金が支給される。
飛行機を使った場合は、領収書を提出して実際に払った額だけ支給される。
要するに「何とか割」で差額をポッポナイナイするのを防ぐためだ。
「学生と飲むのには飛行機代も定額支払ってもらった方が有り難いんですけどね」
と発言したら、みんな笑ってくれた。
笑いとってる場合か。
「新幹線でグリーン車に乗ったら、グリーン料金は支払ってもらえますか?」
と少々お馬鹿さんな質問をしたら、やっぱり
「ダメです」
と言われた。
「学内ではどなたが乗れますか?」
と聞いたら
「役員以上でしょうね」
との答え。
「学長がグリーンに乗れて、教授は乗れないのですか?」
とひつこく聞いたら
「学長が乗れるかどうかわかりません」
と答えられたので、
「グリーン車で学長見ました」
といったら、
「それは料金をご自分で負担されてるのかもしれません」
と苦しい事務長。
そんなハズないでしょ!
学長や副学長などは、大学の経費で出張されるのに対し、我々は自分で集めてきた研究費や寄付金を使う。
すなわち、自分が外部から得た収入の範囲内で出張するのだから、どう使おうが勝手のハズだ。
静かな空間で、ゆっくり寝て帰りたい時など、グリーンに乗ってもいいでしょ。
それに、だいたい学長と教授を旅費の面で差別するのが許せない。
結城学長、何とかしてくださいよ。
それから、みんな疑問に思ってた
「出張でタクシー代はでないのですか?」
とズバリ質問したら
「出張には旅費以外に日当もついてるので、市内の移動はそこから支出してください」
とのこと。
日当と言うのは、「昼食代が半分で、市内の交通費が半分」とのこと。
確か2〜3千円。
だから、公共交通機関であるバスや地下鉄を使おうが、タクシーを使おうが、それは教員の勝手で、足が出たら自腹を切れとのことだった。
しかも、これは外国出張でも一緒で、タクシー代は基本的にはでませんとのことだった。
チョット、待てや。
て言いそうになったけど、こらえて、
「外国は日本ほど公共交通機関が発達してないし、日が暮れたら地元の人は地下鉄には乗らないところとかあったりして、とにかく外国は日本の常識が通用しないのに、そのまま旅費の計算をするのはおかしいですよ」と、唾を飛ばした。
実は、先のサンフランシスコ出張で、空港から市内のホテルまで教員3人でタクシーに乗ったので、レシートを提出して立て替えた分を支払ってもらおうとしたけど、いまだに検討中ということで支払ってくれてない。
いつまで、だれと、検討してるんですか、担当さん。
3人でシャトルバスで行く方がタクシーよりも高いんですよ。
それに、同じ市内と言えどもアメリカと言う広大な国と日本の箱庭のような狭い国では市内の感覚が全然違うんだからね。
それから、ついでに言わしてもらえば、欧米の大都市部のホテルは学会指定で割引料金であっても、一泊3万超えるなんてのがあったりして、ニューヨークやロンドン出張では、大赤字で3泊もすれば二ヶ月は昼飯抜きや。
そのうえ、タクシー代も自腹切れって、鬼か。
自分が出張する身になって考えてね。
とにかく、一生懸命研究して、研究費をいっぱいもって来て、大学に管理費を上納しても、そんなアクティブな教員ほどもちろん出張が多くて、結局は毎月何万円も自腹を切る羽目になる。
年間で月給一月分は消えてるね。
しかも、学長はグリーンで、ヒラ教授は普通やで。
これって不公平やと思いませんか、ガクチョー。
とにかく、出張旅費は実費精算にして、タクシーも新幹線のグリーンもオッケー、領収書のとれない地下鉄やバス料金は、出張経路を提出させてかかった経費を自己申請させればいい。
民間では、常識でしょ。
とにかく、事務のための事務処理はやめて、教員が理不尽な自己負担を強いられることなく、気持ちよく仕事ができる会計事務制度に改革していただきたいと思う。
他の教員から、
「領収書など3日以内に提出しないと支出しない、なんて言いながら、旅費の精算に一ヶ月以上かかるとはどういうことか」
とまっとうな質問があって、
「それは努力します」
と珍しく役人のような答弁をされた。
別の教員から
「出張で実家に泊まっても宿泊代がでるとおっしゃいましたが、過去2年間、支給されませんでした」
と爆弾発言が飛び出した。
だれかと振り向いたら、あのN准教授だ。
出張で実家方面に行った時には実家に泊まられてたそうだけど、会計の担当からは
「実家に宿泊されては宿泊代出せません」
と言い続けられたそうだ。
N准教授には、たぶん、さかのぼって旅費不足分が支払われるだろうから、
「ボーナスやね」
と言ったら、
「飲みに行きますか」
とニコニコされた。
もし、
「過去のことだからゴメンね、許してチョ。これからは宿泊代だしてあげるから」
なんて事務から言ってきたら、すかさず、
「事務長宛に内容証明を送り、それでも支払われなかったら、大学に対して少額訴訟を起こせばいいのですよと、費用もたいしてかからないし簡易裁判所で簡単に判決が出ます」
と入れ知恵しようと思う。
とにかく、大学事務は教員と敵対するんじゃなく、教員のために仕事をして欲しいと思うきょうこの頃なのである。
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