名取川
名取川 | |
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名取川河口 | |
水系 | 一級水系 名取川 |
種別 | 一級河川 |
延長 | 55 km |
平均流量 |
16.3 m3/s (余方観測所:2000年) |
流域面積 | 939 km2 |
水源 | 神室岳(仙台市) |
水源の標高 | 1,356 m |
河口・合流先 | 仙台湾(仙台市、名取市) |
流域 | 日本 宮城県 |
青.名取川、薄青.鳴瀬川 |
画像外部リンク | |
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名取川水系流域界[1] |
名取川(なとりがわ)は、宮城県仙台市および名取市を流れ、太平洋に注ぐ一級河川。名取川水系の本流である。
流路と地形
[編集]宮城県仙台市太白区西部の奥羽山脈神室岳(かむろだけ、標高1,356m)に源を発し概ね東へ流れ、太白区山田付近で仙台平野に出る。仙台市若林区日辺で広瀬川を合わせ、仙台市若林区と名取市の境界から仙台湾に注ぐ。
流域の大部分を占める仙台市南部と名取市のほか、支流碁石川の柴田郡川崎町、坪沼川の柴田郡村田町北東部の菅生、川内沢川の岩沼市北端が名取川水系の流域である。
上流域は渓谷で、二口温泉がある。秋保大滝を経てからは川にそって馬場、長袋、境野、湯元と細長い盆地が数珠繋ぎに連なる。そのうちの湯元地区にある秋保温泉は、仙台市中心部から近く人気のある温泉地である。この中流部の東側は仙台市の郊外として宅地化が進んでいる。
仙台平野を流れる下流部では、両岸に堤防が作られている。川からみた内側、居住地からみた堤防の向こう側(堤外地)では、ところどころ畑が作られているが、台風により数年に一度の頻度で大きな被害を受ける[2]。下流部では、海から約5.5キロメートル遡ったところにある広瀬川合流点を境にして、異なる様相がある。合流点より川上での勾配は、平均約0.002で、河床は礫である[3]。両岸の平地では宅地化が進んでいる。合流点より川下の勾配は平均約0.0003で、河床は海水面より低く、砂でできている[4]。堤防の両岸には水田が広がる。
河口付近では貞山運河と連絡し、その下流で井戸浦に通じる。もとは南の閖上漁港と広浦にも通じていたが、今では漁港が海に出口を設けたため遮断された。河口の閖上(ゆりあげ)漁港は、中世以来の歴史を持つ港町である。
語源
[編集]大まかに2つの説があるが、どちらもアイヌ語が由来とされている[5]。
- アイヌ語の「ナイトリベツ」(渓谷)に由来する。
- 昔、下流部に入江があったため、アイヌ語の「ニットリトン」(静かな海)に由来する。
歴史
[編集]平安時代から陸奥の歌枕の一つとして知られた。名取川を見たことがない人が「名を取る」という言葉を様々な状況にかけた歌が多いが、実景を詠んだものもある。
江戸時代には鮎(アユ)や鱒(マス)をとる漁業が盛んであった。『奥州名所図絵』は、滝を登ろうとして落ちてきた鱒をとる、という変わった漁法を紹介している[6]。鮎は梁(やな)で大量に漁獲された[7]。
2011年の東北地方太平洋沖地震では、巨大津波が逆流し周辺で大きな被害が発生した[8]。NHKのヘリコプターから鉾井喬によって撮影された空撮映像は、世界的に報道され衝撃を与えた[9]。
生物
[編集]上・中流部に生息する魚には、ウグイ、ハヤ、ヤマメ、アユ、マス、サケ、ウナギ、カジカ、コイがある[10]。
水質
[編集]2011年(平成23年)度調査でのBOD75%値は、上流の深野橋で 0.6 mg/Lと下流の名取橋で1.8 mg/Lの間におさまった[11]。2018年(平成30年)度には、調査した12地点のBODが深野橋から最下流の閖上大橋まで0.5から0.9mg/Lになった[12]。
流域の自治体
[編集]支流
[編集]橋梁
[編集]上流→下流の順。mg/Lで表すのは、その地点での水質基準の一つであるBODで、数値が多いほど汚れている[13]。
- 風の洞橋 - 二口林道
- 磐司橋 - 二口林道
- 二口渓谷自然歩道木造橋(正式名称不明)
- 二口渓谷自然歩道コンクリート橋(正式名称不明)
- 昼野橋 - 宮城県道・山形県道62号仙台山寺線
- 不動滝橋
- 深野橋 - 宮城県道・山形県道62号仙台山寺線(BOD 0.6 mg/L)
- 竹之内橋 - 国道457号
- 館下橋
- 羽山橋
- 湯の橋歩道橋
- 湯の橋
- 覗橋
- 橋(正式名称不明)
- 新秋保橋
- 赤石橋 (BOD 0.8 mg/L)
- 川添橋 - 国道286号
- 生出橋 - 宮城県道31号仙台村田線
- 名取川橋 - 東北自動車道
- 名取2号橋 - 国道286号
- 名取川2号橋 - 仙台南部道路
- 栗木橋 (BOD 0.8 mg/L)
- 名取1号橋 - 国道286号
- 名取川1号橋 - 仙台南部道路
- 太白大橋 - 宮城県道258号仙台館腰線
- 名取川橋梁 - 東北新幹線
- 名取川橋梁 - 東北本線
- 名取橋 - 宮城県道273号仙台名取線(旧・国道4号陸羽街道)(BOD 1.8 mg/L)
- 名取大橋 - 国道4号(仙台バイパス)
- 名取川橋 - 仙台東部道路
- 閖上大橋 - 宮城県道10号塩釜亘理線(BOD 1.5 mg/L)
並行する交通
[編集]道路
[編集]- 宮城県道62号仙台山寺線(仙台市太白区秋保町馬場〜仙台市太白区茂庭間) - 秋保街道(二口街道)。
- 国道286号(仙台市太白区茂庭〜仙台市太白区山田間)
- 仙台南部道路(仙台市太白区茂庭〜仙台市若林区今泉間)
脚注
[編集]- ^ 水の風土記 > 水の文化 事・場ネットワーク > 宮城県仙台市(ミツカン)
- ^ 横山他「宮城県名取川堤外地における農地利用の実態と浸水リスク」。
- ^ 谷川他「https://doi.org/10.2208/prohe.47.607 名取川に見られる河床形状特性とその変遷]」、608頁。
- ^ 谷川他「名取川に見られる河床形状特性とその変遷」、608 - 609頁。
- ^ “日本の川 - 東北 - 名取川 - 国土交通省水管理・国土保全局”. www.mlit.go.jp. 2019年9月5日閲覧。
- ^ 『秋保町史』、15頁。
- ^ 『秋保町史』本編16頁。
- ^ 襲いかかる巨大津波「怖い、死にたくない」MSN産経ニュース 2011年3月12日 00時10分 Archived 2011年3月14日, at the Wayback Machine.
- ^ “「ごめんなさい 救助のヘリじゃなくてごめんなさい」|NHK”. 2023年3月10日閲覧。
- ^ 『秋保町史』本編23頁。
- ^ 仙台市環境局環境部環境企画課『仙台市の環境』杜の都環境プラン(仙台市環境基本計画)平成23年度実績報告書、2012年4月、31頁。各地点の環境基準を満たしてはいる。
- ^ 仙台市環境局環境部環境企画課『仙台市の環境』杜の都環境プラン(仙台市環境基本計画)平成30年度実績報告書、2019年11月、28頁。
- ^ 仙台市環境局環境部環境企画課『仙台市の環境』杜の都環境プラン(仙台市環境基本計画)平成23年度実績報告書、2012年4月、31頁。
関連項目
[編集]参考文献
[編集]- 秋保町史編纂委員会『秋保町史』本編、宮城県名取郡秋保町発行、1976年。
- 谷川麻子・泉典洋・田中仁「名取川に見られる河床形状特性とその変遷」、『水工学論文集』第47巻、2003年。
- 横山貴史・原将也・宇津川喬子・伊藤徹哉・島津弘「宮城県名取川堤外地における農地利用の実態と浸水リスク」、『日本地理学会発表要旨集』(2020年度日本地理学会春季学術大会)。
外部リンク
[編集]- 国土交通省東北地方整備局仙台河川国道事務所
- 名取川水系河川整備基本方針(国土交通省)
- 名取川水源地帯と水紀行(水と仙台)