六進法
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六進法(ろくしんほう、英: senary、独: Sechsersystem)とは、6 を底とし、底およびその冪を基準に数を表す方法である。英語名の"senary"は、ラテン語で「六個一組」を意味する"senarius"にちなむ。
記数法
[編集]整数
[編集]整数の表記
[編集]六進記数法とは、六を底とする位取り記数法である。慣用に従い、通常のアラビア数字は十進数で表記し、六進記数法の表記は括弧および下付の 6 で表す。六進記数法で表された数を六進数と呼ぶ。通常は、0, 1, 2, 3, 4, 5 の計 6 個の数字を用い、六を 10、七を 11、八を 12 …と表記する。
六進法 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 30 | 31 | 32 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
十進法 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
六進法 | 33 | 34 | 35 | 40 | 41 | 42 | 43 | 44 | 45 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 | 55 | 100 | 101 | 102 | 103 | 104 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
十進法 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40 |
倍数判定と素数
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十進法と六進法は、「6と10はともに2と素数の積」2の冪数の扱いは同じになる。しかし、六進法では「5+1 = 10」「2×3 = 10」となるので、十進法と比べた時に、3と5の立場が逆転するだけではなく、9(=13(6)=32)と5の立場も逆転する。更に、2と3の冪指数が同じなので、2の冪数と3の冪数が同等の地位になる。
- 3と5が逆転する例
- 六進法では、3の倍数は一の位が3か0のどれかになる。一の位が3ならば3の倍数であり、素数にはならない。
- 六進法では、11(七)以後の素数は、一の位が1か5のどれかである。
- 十進法では1/5が0.2(つまり十分の二)だが、六進法では1/3が0.2(つまり六分の二)になる。同じく、六進法では、2の冪数の逆数は3の冪数になり、3の冪数の逆数は2の冪数になる。
- 「3×5」の数は、十進法では「15」「十五」となり5の倍数の仲間だが、六進法では「23」「二六三」となり3の倍数の仲間になる。
- 3×5/100の小数は、十進法では0.15、六進法では0.23となるが、既約分数が十進法では「二十分の三」「素因数分解すると3/22×5」になるが、六進法では「二六分の五」「素因数分解すると5/22×3」になる。仲間になる冪数も、十進数0.15は25 (=52)だけに対して、六進数0.23は13 (=32)と43 (=33)の計二つになる。
- 小数に変えると37(10) = 101(6)の倍数が循環する無限小数になる単位分数は、十進法が1/3、1/32 (= 1/9)、1/33 (= 1/27(10)) に対して、六進法では 1/5 や 1/11(6) (= 1/7) になる。
- 例:2/5 = 0.2222…(2222 = 518(10))、4/11 = 0.3232…(3232 = 740(10))
- 六進数では、5p ÷ 3p(pは同じ冪指数)の小数点を消した値は、十の冪数になる。
- 例:52÷32 = 41÷13 = 2.44(244(6)=100(10))
- 例:53÷33 = 325÷43 = 4.344(4344(6)=1000(10))
- 9と5が逆転する例
- 六進数では、5の倍数は各位の数の和も5の倍数になる。
- 3の冪数は一の位も3になる。「100のm/4」となる整数は全て9の倍数で、「100のm/9」となる整数は全て4の倍数である。
- 十進法では乗算表が81(10)(34=81)種類になるが、六進法では16(10)(24=24)の倍数が81(10)(34=213)種類になる。同じく、81(10)(213)の倍数も16(10)(24)種類になる。
- 81(10)(213)の倍数のうち奇数は、下四桁が 0213, 1043, 1513, 2343, 3213, 4043, 4513, 5343 のどれかになる。
倍数判定法
[編集]六進法では2と3の倍数が一目で判る上に、割り切れない5の倍数の判定も可能になる。十進法では 5n×3 と 5n×32 が判定可能なのに対して、六進法では 3n や 3n×5 が判定可能になる。また、2n と 2n×5 の倍数は、十進法では 5n 種類になるが、六進法では 3n 種類になる。
一の位が0 | 2と3で割り切れる(10(=6)の倍数) |
一の位が1か5 | 2でも3でも割り切れない |
一の位が2か4 | 2で割り切れるが、3で割り切れない |
一の位が3 | 2で割り切れないが、3で割り切れる |
下二桁が00 | 4でも13(=9)でも割り切れる(100(=36(10))の倍数) |
下二桁が 04,12,20,24,32,40,44,52,00 のどれか | 4の倍数(複偶数) |
下二桁が 02,10,14,22,30,34,42,50,54 のどれか | 2で割り切れるが、4では割り切れない(単偶数) |
下二桁が 13,30,43,00 のどれか | 13(=9)の倍数 |
一の位が 03,10,20,23,33,40,50,53 のどれか | 3で割り切れるが、13(=9)では割り切れない |
個別の倍数判定も、以下のようになる。素因数分解を左に【】で示す。
- 基本的な倍数判定
- 【2】2:一の位が2か4か0
- 【3】3:一の位が3か0
- 【22】4:下二桁が{04,12,20,24,32,40,44,52,00}のどれか。計9 (= 32) 種類。
- 【5】5:各位の数字和が5の倍数
- 【2×3】10(=6(10)):一の位が0
- 【32】13(=9(10)):下二桁が{13,30,43,00}のどれか。計4 (= 22) 種類。
- 【2×5】14(=10(10)):各位の数字和が5の倍数、かつ一の位が 2か4か0。
- 【3×5】23(=15(10)):各位の数字和が5の倍数、かつ一の位が 3か0 。
- 【22×32】100(=36(10)):下二桁が00 。
- その他の主要な数
- 【11】11(=7(10)):二桁のゾロ目、あるいは二桁ゾロ目に0がいくつも付く。{例:220(=84(10))、3311(=763(10))}
- 【23】12(=8(10)):下三桁が12の倍数{012,024,040 … 532,544,000}。{計43(=27(10)) 種類。例:1224(=304(10))}
- 【22×3】20(=12(10)):下二桁が{20,40,00}のどれか。{例:3440=580(12)=816(10)}
- 【24】24(=16(10)):下四桁が24の倍数。{計213(=81(10)) 種類。例:12544=1936(10)}
- 【2×32】30(=18(10)):下二桁が 30 か00 。
- 【22×5】32(=20(10)):各位の数字和が5の倍数、かつ下二桁が{04,12,20,24,32,40,44,52,00}のどれか。{例:13204=510(20)=2020(10)}
- 【23×3】40(=24(10)):一の位が0、かつ整数第三位〜第二位が{04,12,20,24,32,40,44,52,00}のどれか。{例:1520=408(10)}
- 【52】41(=25(10)):「一の位以外」から「一の位を4倍」を引き、その差が0か、その差を41で割って余りが0。{例:13051 = 1975(10)}
- 【33】43(=27(10)):下三桁が{043,130,213,300,343,430,513,000}のどれか。{例:1213 = 297(10)}
- 【2×3×5】50(=30(10)):各位の数字和が5の倍数、かつ一の位が0。
- 【23×5】104(=40(10)):各位の数字和が5の倍数、かつ下三桁が12の倍数。{計43(=27(10)) 種類。例:2012(=440(10))}
- 【22×3×5】140(=60(10)):各位の数字和が5の倍数、かつ下二桁が{20,40,00}のどれか。{例:13100=1980(10)}
- 【34】213(=81(10)):下四桁が213の倍数。{計24(=16(10)) 種類。例:14043=2187(10)}
- 【22×52】244(=100(10)):「一の位以外」から「一の位を4倍」を引き、その差が0か、その差を41で割って余りが0になり、その上で下二桁が4の倍数。{例:3412 = 800(10)}
小数と除算
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小数の位取り
[編集]六進法では「5 + 1 = 10」「2×3 = 10」になるので、2と3という基本的な数による演算が非常に容易である。 小数の位取りは、0.1が「六分の一」に続いて、0.01は「三十六分の一」、0.001は「二百十六分の一」となる。
整数の除算
[編集]六進法の整数の除算では、100や1000など桁上がりの冪数も三分割が可能になり、10(六)の冪指数と同じ2の冪数と3の冪数で割り切れることになる。例えば、1000ならば23と33の両方で割り切れ、かつ2と3の冪指数が同じになる。
- 100 ÷ 3 = 20
十進法の整数の除算では、「四分割(2-2)は百(100)まで待たねばならない」上に、100は三分割も九分割(3-2)もできない。しかし、六進法の整数の除算では、「四分割は三十六(100)まで待たねばならない」が、「九分割も三十六(100)まで待てばいい」。「100個の饅頭」が、六進法では以下のように分けることができる。
- 二分割:100個 ÷ 2人 = 30個 → 十進換算値は「36個 ÷ 2人 = 18個」
- 三分割:100個 ÷ 3人 = 20個 → 十進換算値は「36個 ÷ 3人 = 12個」
- 四分割:100個 ÷ 4人 = 13個 → 十進換算値は「36個 ÷ 4人 = 9個」「62個 ÷ 22人 = 32個」
- 六分割:100個 ÷ 10人 = 10個 → 十進換算値は「36個 ÷ 6人 = 6個」
- 九分割:100個 ÷ 13人 = 4個 → 十進換算値は「36個 ÷ 9人 = 4個」「62個 ÷ 32人 = 22個」
- 1000 ÷ 3 = 200
六進法の「1000人」は十進法で「216人」、同じく「200人」は十進法で「72人」になる。
- 二分割:1000人 ÷ 2 = 300人 → 十進換算値は「216人 ÷ 2 = 108人」
- 三分割:1000人 ÷ 3 = 200人 → 十進換算値は「216人 ÷ 3 = 72人」
- 四分割:1000人 ÷ 4 = 130人 → 十進換算値は「216人 ÷ 4 = 54人」
- 六分割:1000人 ÷ 10 = 100人 → 十進換算値は「216人 ÷ 6 = 36人」
- 八分割:1000人 ÷ 12 = 43人 → 十進換算値は「216人 ÷ 8 = 27人」「63人 ÷ 23 = 33人」
- 九分割:1000人 ÷ 13 = 40人 → 十進換算値は「216人 ÷ 9 = 24人」
- 二十七分割:1000人 ÷ 43 = 12人 → 十進換算値は「216人 ÷ 27 = 8人」「63人 ÷ 33 = 23人」
- 八分の五:1000人 × (5/12) = 343人 → 十進換算値は「216人 × (5/8) = 135人」
- 二十七分の十:1000人 × (14/43) = 212人 → 十進換算値は「216人 × (10/27) = 80人」
- 10000 ÷ 3 = 2000
- 二分割:10000 ÷ 2 = 3000 → 十進換算値は「1296 ÷ 2 = 648」
- 三分割:10000 ÷ 3 = 2000 → 十進換算値は「1296 ÷ 3 = 432」
- 四分割:10000 ÷ 4 = 1300 → 十進換算値は「1296 ÷ 4 = 324」
- 六分割:10000 ÷ 10 = 1000 → 十進換算値は「1296 ÷ 6 = 216」
- 八分割:10000 ÷ 12 = 430 → 十進換算値は「1296 ÷ 8 = 162」
- 九分割:10000 ÷ 13 = 400 → 十進換算値は「1296 ÷ 9 = 144」
- 十六分割:10000 ÷ 24 = 213 → 十進換算値は「1296 ÷ 16 = 81」「64 ÷ 24 = 34」
- 二十七分割:10000 ÷ 43 = 120 → 十進換算値は「1296 ÷ 27 = 48」
- 八十一分割:10000 ÷ 213 = 24 → 十進換算値は「1296 ÷ 81 = 16」「64 ÷ 34 = 24」
小数を含めた除算
[編集]- 二分割と三分割
十進法は1/3が割り切れないのに対して、六進法では十の冪数も2の冪数も三分割することができる。
- 五十一の二分割
- 十進法:51 ÷ 2 = 25.5
- 六進法:123 ÷ 2 = 41.3
- 百の三分割
- 十進法:100 ÷ 3 = 33.3333…
- 六進法:244 ÷ 3 = 53.2
- 十進法:100 × (2/3) = 66.6666…
- 六進法:244 × (2/3) = 150.4
- 千の三分割
- 十進法:1000 ÷ 3 = 333.3333…
- 六進法:4344 ÷ 3 = 1313.2
- 26の三分割
- 28の三分割
- 十進法:256 ÷ 3 = 85.3333…
- 六進法:1104 ÷ 3 = 221.2
- 28の五分割
- 十進法:256 ÷ 5 = 51.2
- 六進法:1104 ÷ 5 = 123.1111…
- 四分割と九分割(2-2と3-2)
十進法で「100分率」を作ると「百分率」だが、六進法で「100分率」を作ると「三十六分率」になる。「三十六分率」になると、十進法の1/3の数量で、「m/4」と「m/9」を同じ桁数で実行することができる。
- 十進法:75 ÷ 100 = 0.75 → 75 %
- 六進法:203 ÷ 244 = 0.43 → 43 (三十六分率)
- 十進法:2 ÷ 3 = 0.6666… → 66.6666… %
- 六進法:2 ÷ 3 = 0.4 → 40 (三十六分率)
- 十進法:8 ÷ 9 = 0.8888… → 88.8888… %
- 六進法:12 ÷ 13 = 0.52 → 52 (三十六分率)
- 十進法:90 ÷ 100 = 0.9 → 90 %
- 六進法:230 ÷ 244 = 0.5222… → 52.2222… (三十六分率)
その他、「2の冪数」や「十の冪数」の九分割の例は以下の通りになる。
- 六進法:144 ÷ 13 = 11.04
- 六進法:1104 ÷ 13 = 44.24
- 十進法:100 ÷ 9 = 11.1111…
- 六進法:244 ÷ 13 = 15.04
- 八分割(2-3)と二十七分割(3-3)
十進数では m/33 (= m/27(10)) は割り切れず、37(10) (= 101(6)) の倍数三桁が循環するが、六進数では m/33 (= m/43(6))は割り切れて23=12(6)=8(10)の倍数になる。m/23 の小数も、十進数では 53 (= 125(10) = 325(6))の倍数だが、六進数では 33 (= 43(6) = 27(10))の倍数になる。
従って、六進数では、23 (=12(6)=8(10))で割ると被除数の33 (=43(6)=27(10))倍の数が現れ、33 (=43(6)=27(10))で割ると被除数の23 (=12(6)=8(10))倍の数が現れる。
23/33 の小数は、十進法では割り切れずに 37×8 = 296 が循環するのに対して、六進法では割り切れて 12×12 = 144 が現れ、これを十進法で換算すると 8×8 = 64 になる。「十分の三」が割り切れない一方で、その概数である「二十七分の八」は「四六三分の六二」として計数され、割り切れる小数になる。
このように、六進法は六分割で一桁下がるので、三分割、九分割、二十七分割など、3の冪数で分ける方法がかなり便利になる。
- 十進法:3 ÷ 8 = 0.375
- 六進法:3 ÷ 12 = 0.213
3/8の小数は、小数点を消すと十進法が 375(10) = 3×53 に対して、六進法は 213(6) = 3×33 = 81(10) が現れる。これらを分数化すると、十進法が (375/1000)10 に対して、六進法は (81/216)10 = (213/1000)6 になる。
その他、2-3、3-3、列びに5-2を伴う除算の例は、以下のようになる。
- 28 ÷ 33
- 十進法:256 ÷ 27 = 9.481…
- 六進法:1104 ÷ 43 = 13.252
- 28 ÷ 52
- 十進法:256 ÷ 25 = 10.24
- 六進法:1104 ÷ 41 = 14.12350…
- 2と3の冪指数が4以上
六進法は2と3の冪指数が同じなので、十六分割(2-4)と同じく八十一分割(3-4)も容易である。その他、2と3の冪指数が4以上の計算例は、以下のようになる。
- 38 ÷ 24
- 十進法:6561 ÷ 16 = 410.0625(十進帯分数:410と625/10000=410と3/16)
- 六進法:50213 ÷ 24 = 1522.0213(十進帯分数:410と81/1296=410と3/16)
- (212)10 ÷ 34 { (220)6 ÷ 34}
- 十進法:4096 ÷ 81 = 50.567901234…
- 六進法:30544 ÷ 213 = 122.3224(十進帯分数:50と736/1296=50と46/81)
- 十進分数 11/64(11÷26)
- 十進法 11 ÷ 64 = 0.171875
- 六進法:15 ÷ 144 = 0.101043(十進数に換算して 8019/46656)
- 十進分数 31/729(31÷36)
- 十進法:31 ÷ 729 = 0.04252400548…
- 六進法:51 ÷ 3213 = 0.013104(十進数に換算して 1984/46656)
- 十進分数 135/256{(33×5) ÷ 28}
- 十進法:135 ÷ 256 = 0.52734375
- 六進法:343 ÷ 1104 = 0.30552343(十進数に換算して 885735/1679616)
- 十進分数 2000/6561{(24×53) ÷ 38}
- 十進法:2000 ÷ 6561 = 0.30483158055…
- 六進法:13132 ÷ 50213 = 0.14545104(十進数に換算して 512000/1679616)
小数表
[編集]分数を六進法の小数に変換すると、「二分の一」と「三分の一」が小数第一位、「四分の一」と「九分の一」が小数第二位、「八分の一」と「二十七分の一」が小数第三位となる。つまり、2-nと3-nがそのまま「小数第n位」になる。しかし、五分の一だけが割り切れず、循環節が一桁になる。
- 小数第一位
- 小数第二位
- 基本的な分数
- 1/4 = 0.13(十進換算で 9/36 = 1/4)
- 3/4 = 0.43(十進換算で 27/36 = 3/4)
- (1/9)10 = 1/13 = 0.04(十進換算で 4/36 = 1/9)
- (2/9)10 = 2/13 = 0.12(十進換算で 8/36 = 2/9)
- (4/9)10 = 4/13 = 0.24(十進換算で 16/36 = 4/9)
- (5/9)10 = 5/13 = 0.32(十進換算で 20/36 = 5/9)
- (7/9)10 = 11/13 = 0.44(十進換算で 28/36 = 7/9)
- (8/9)10 = 12/13 = 0.52(十進換算で 32/36 = 8/9)
分数 | 1/2 | 1/3 | 2/3 | 1/4 | 3/4 | 1/5 | 2/5 | 3/5 | 4/5 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
六進法 | 0.3 | 0.2 | 0.4 | 0.13 | 0.43 | 0.1111… | 0.2222… | 0.3333… | 0.4444… |
十進法 | 0.5 | 0.3333… | 0.6666… | 0.25 | 0.75 | 0.2 | 0.4 | 0.6 | 0.8 |
六進分数 | 1/10 | 5/10 | 1/14 | 3/14 | 11/14 | 13/14 |
---|---|---|---|---|---|---|
六進小数 | 0.1 | 0.5 | 0.0333… | 0.1444… | 0.4111… | 0.5222… |
十進小数 | 0.1666… | 0.8333… | 0.1 | 0.3 | 0.7 | 0.9 |
十進分数 | 1/6 | 5/6 | 1/10 | 3/10 | 7/10 | 9/10 |
従って、1/2にするには0.3を掛ける、1/3にするには0.2を掛ける、2/3にするには0.4を掛ける、3/4にするには0.43を掛ける、(4/9)10にするには0.24を掛ける、(5/8)10にするには0.343を掛ける、(8/27)10にするには0.144を掛ける、という方法でも算出できる。
単位分数と無理数
[編集]割り切れない小数の循環節は下線で示す。六は三では割り切れるが五では割り切れないので、五で割った際に循環小数になる例が多数現れる。六進法の除算の特筆すべき点として、一桁の整数のうち、単位分数にすると割り切れない数は五だけである。六は二と三で割り切れる最小の数なので、三の累乗数である九(六進法では13)や二十七(六進法では43)でも循環小数にならずに割り切れ、小数化すると割り切れない分数はかなり少なくなる。
又、十進法と六進法に共通する特徴として、割り切れない小数に37(10)=101(6)の倍数が現れる。これは、十の三乗と六の四乗が、37(10)=101(6)の倍数の次に来るためである。実際に、十進法999 (= 1000-1) は六進法4343(十進換算で33×37=999)、六進法5555 (= 10000-1) は十進法1295(六進換算で5×11×101=5555、十進換算で5×7×37=1295)である。63までの逆数を見ても、全体的に六進法と十進法は循環節が短い傾向が見られ、十進法で3-3の循環節が3桁に対して、六進法の5-2も循環節が5桁である。
除数 | 2 | 3 | 4 | 5 | 10 (六) | 11 (七) | 12 (八) | 13 (九) | 14 (十) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
被除数が1 | 0.3 | 0.2 | 0.13 | 0.1111… | 0.1 | 0.0505… | 0.043 | 0.04 | 0.0333… |
被除数が4 | 2 | 1.2 | 1 | 0.4444… | 0.4 | 0.3232… | 0.3 | 0.24 | 0.2222… |
被除数が10 (十進法の6) |
3 | 2 | 1.3 | 1.1111… | 1 | 0.5050… | 0.43 | 0.4 | 0.3333… |
被除数が14 (十進法の10) |
5 | 3.2 | 2.3 | 2 | 1.4 | 1.2323… | 1.13 | 1.04 | 1 |
被除数が35 (十進法の23) |
15.3 | 11.4 | 5.43 | 4.3333… | 3.5 | 3.1414… | 2.513 | 2.32 | 2.1444… |
被除数が50 (十進法の30) |
23 | 14 | 11.3 | 10 | 5 | 4.1414… | 3.43 | 3.2 | 3 |
被除数が100 (十進法の36) |
30 | 20 | 13 | 11.1111… | 10 | 5.0505… | 4.3 | 4 | 3.3333… |
被除数が140 (十進法の60) |
50 | 32 | 23 | 20 | 14 | 12.3232… | 11.3 | 10.4 | 10 |
被除数が244 (十進法の100) |
122 | 53.2 | 41 | 32 | 24.4 | 22.1414… | 20.3 | 15.04 | 14 |
被除数が325 (十進法の125) |
142.3 | 105.4 | 51.13 | 41 | 32.5 | 25.5050… | 23.343 | 21.52 | 20.3 |
被除数が1000 (十進法の216) |
300 | 200 | 130 | 111.1111… | 100 | 50.5050… | 43 | 40 | 33.3333… |
被除数が1104 (十進法の256) |
332 | 221.2 | 144 | 123.1111… | 110.4 | 100.3232… | 52 | 44.24 | 41.3333… |
被除数が4344 (十進法の1000) |
2152 | 1313.2 | 1054 | 532 | 434.4 | 354.5050… | 325 | 303.04 | 244 |
素因数分解 | 六進分数 | 六進小数 | 十進小数 | 十進分数 |
---|---|---|---|---|
2×3 | 1/10 | 0.1 | 0.1666… | 1/6 |
11 | 1/11 | 0.0505… | 0.142857… | 1/7 |
23 | 1/12 | 0.043 | 0.125 | 1/8 |
32 | 1/13 | 0.04 | 0.1111… | 1/9 |
2×5 | 1/14 | 0.0333… | 0.1 | 1/10 |
15 | 1/15 | 0.0313452421… | 0.0909… | 1/11 |
22×3 | 1/20 | 0.03 | 0.08333… | 1/12 |
3×5 | 1/23 | 0.0222… | 0.0666… | 1/15 |
24 | 1/24 | 0.0213 | 0.0625 | 1/16 |
2×32 | 1/30 | 0.02 | 0.0555… | 1/18 |
22×5 | 1/32 | 0.01444… | 0.05 | 1/20 |
23×3 | 1/40 | 0.013 | 0.041666… | 1/24 |
52 | 1/41 | 0.01235… | 0.04 | 1/25 |
33 | 1/43 | 0.012 | 0.037… | 1/27 |
25 | 1/52 | 0.01043 | 0.03125 | 1/32 |
22×32 | 1/100 | 0.01 | 0.02777… | 1/36 |
23×5 | 1/104 | 0.005222… | 0.025 | 1/40 |
24×3 | 1/120 | 0.0043 | 0.0208333… | 1/48 |
2×52 | 1/122 | 0.004153… | 0.02 | 1/50 |
2×33 | 1/130 | 0.004 | 0.0185… | 1/54 |
210 | 1/144 | 0.003213 | 0.015625 | 1/64 |
23×32 | 1/200 | 0.003 | 0.013888… | 1/72 |
24×5 | 1/212 | 0.0024111… | 0.0125 | 1/80 |
34 | 1/213 | 0.0024 | 0.012345679… | 1/81 |
25×3 | 1/240 | 0.00213 | 0.01041666… | 1/96 |
22×52 | 1/244 | 0.0020543… | 0.01 | 1/100 |
22×33 | 1/300 | 0.002 | 0.00925… | 1/108 |
53 | 1/325 | 0.001421125322404 3351545031… |
0.008 | 1/125 |
211 | 1/332 | 0.0014043 | 0.0078125 | 1/128 |
24×32 | 1/400 | 0.0013 | 0.0069444… | 1/144 |
25×5 | 1/424 | 0.00120333… | 0.00625 | 1/160 |
2×34 | 1/430 | 0.0012 | 0.0061728395… | 1/162 |
210×3 | 1/520 | 0.001043 | 0.005208333… | 1/192 |
23×52 | 1/532 | 0.00102514… | 0.005 | 1/200 |
23×33 | 1/1000 | 0.001 | 0.004629… | 1/216 |
※ 素因数分解は六進表記。
指数 | -1 | -2 | -3 | -4 | -5 | -10 |
---|---|---|---|---|---|---|
2 | 0.3 (1/2) |
0.13 (1/4) |
0.043 (1/12 = 1/810) |
0.0213 (1/24 = 1/1610) |
0.01043 (1/52 = 1/3210) |
0.003213 (1/144 = 1/6410) |
3 | 0.2 (1/3) |
0.04 (1/13 = 1/910) |
0.012 (1/43 = 1/2710) |
0.0024 (1/213 = 1/8110) |
0.00052 (1/1043 = 1/24310) |
0.000144 (1/3213 = 1/72910) |
命数法
[編集]六進命数法とは、6 を底とする命数法である。
命数法の基本構造
[編集]六進命数法は、0(零)から「10」となる六までを一つの名詞として命名し、七から十一までを「6+1」「6+2」…「6+5」という形式で命名し、六の倍数は「2×6」「3×6」「4×6」「5×6」という形式で命名する。その次は、100となる三十六や、1000となる二百十六など六の冪数(6p)で新しい数詞が付けられる。「m×6p」となる数も、200となる七十二は「六の二乗の二倍」「二倍の三十六」、300となる百八は「六の二乗の三倍」、4000となる八百六十四は「六の三乗の四倍」「四倍の二百十六」、5000となる千八十は「六の三乗の五倍」として命名される。
六進数 | 六進命数法 | 十進命数法 | 六進数 | 六進命数法 | 十進命数法 | 六進数 | 六進命数法 | 十進命数法 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 一 | 一 | 21 | 二六一 | 十三 | 41 | 四六一 | 二十五 |
2 | 二 | 二 | 22 | 二六二 | 十四 | 42 | 四六二 | 二十六 |
3 | 三 | 三 | 23 | 二六三 | 十五 | 43 | 四六三 | 二十七 |
4 | 四 | 四 | 24 | 二六四 | 十六 | 44 | 四六四 | 二十八 |
5 | 五 | 五 | 25 | 二六五 | 十七 | 45 | 四六五 | 二十九 |
10 | 六 | 六 | 30 | 三六 | 十八 | 50 | 五六 | 三十 |
11 | 六一 | 七 | 31 | 三六一 | 十九 | 51 | 五六一 | 三十一 |
12 | 六二 | 八 | 32 | 三六二 | 二十 | 52 | 五六二 | 三十二 |
13 | 六三 | 九 | 33 | 三六三 | 二十一 | 53 | 五六三 | 三十三 |
14 | 六四 | 十 | 34 | 三六四 | 二十二 | 54 | 五六四 | 三十四 |
15 | 六五 | 十一 | 35 | 三六五 | 二十三 | 55 | 五六五 | 三十五 |
20 | 二六 | 十二 | 40 | 四六 | 二十四 | 100 | (六の二乗) | 三十六 |
数詞
[編集]自然言語で六進命数法の数詞を持つものは少ない。ニューギニア島近くのフレデリク・ヘンドリク島のンドム語[1] (Ndom) が六進法の数詞を持つと報告されている[2]。ンドム語では、 mer が 6、 mer an thef が 12(10) (二六:6 × 2) 、tondor が 18(10)、nif が 36(10) (62)、nif thef が 72(10) (62 × 2) を意味しており、六の倍数では18(10)(三六:3 × 6)だけが独立系の数詞になっている[3]。
六進数 | 十進数 | ンドム語 |
---|---|---|
1 | 1 | sas |
2 | 2 | thef |
3 | 3 | ithin |
4 | 4 | thonith |
5 | 5 | meregh |
10 | 6 | mer |
11 | 7 | mer abo sas |
12 | 8 | mer abo thef |
13 | 9 | mer abo ithin |
14 | 10 | mer abo thonith |
15 | 11 | mer abo meregh |
20 | 12 | mer an thef |
21 | 13 | mer an thef abo sas |
30 | 18 | tondor |
33 | 21 | tondor abo ithin |
43 | 27 | tondor abo mer abo ithin |
52 | 32 | tondor abo mer an thef abo thef |
100 | 36 | nif |
120 | 48 | nif abo mer an thef |
200 | 72 | nif thef |
213 | 81 | nif thef abo mer abo ithin |
この他には、南ニューギニアのングコルンプ語(Ngkolmpu)[4]、パプアニューギニアのヤム語(en:Yam languages)やコムンゾ語が(en:Kómnzo language)が六進法を使用しており、六の倍数や六の冪数にも個別の数詞が付けられている。これらの言語で六が底になった由来として、「もう片手は桁上がりで六の位」とする指数えが挙げられている[5]。
六進数 | 十進数 | ングコルンプ語 |
---|---|---|
1 | 1 | naempr |
2 | 2 | yempoka |
3 | 3 | yuow |
4 | 4 | eser |
5 | 5 | tampui |
10 | 6 | traowo |
11 | 7 | naempr traowo naempr |
12 | 8 | naempr traowo yempoka |
13 | 9 | naempr traowo yuow |
14 | 10 | naempr traowo eser |
15 | 11 | naempr traowo tampui |
20 | 12 | yempoka traowo |
21 | 13 | yempoka traowo naempr |
30 | 18 | yuow traowo |
43 | 27 | eser traowo yuow |
100 | 36 | ptae |
六進数 | 十進数 | ングコルンプ語 | コムンゾ語 |
---|---|---|---|
100 | 36 | ptae | féta |
1000 | 216 | tarumpao | tarumba |
10000 | 1296 | ntamnao | ntamno |
100000 | 7776 | ulamaeke | wärämäkä |
1000000 | 46656 | - | wi |
語彙
[編集]六が底になった由来は二つある。一つは、前述の「もう片手は六の位」とする指数えである。もう一つは、空間の基本的な方角が六つである事(2 面 × 3 次元 = 6。上下・左右・前後)も挙げられる。
日本語には、「十→百」という十進法が主流とされる中で、「六→三十六」という六進法に基づく語彙や名数が存在している。例として、全ての方角を指して「六合」「六方」(= 61) と呼んだり、全ての景色を指して「三十六景」「三十六峰」、全ての方策を指して「三十六策」(= 62) というように、空間や方角に関する語彙に六進法が用いられている。歌仙も「六歌仙」(= 61) や「三十六歌仙」(= 62) というように、六の累乗で数えられている。これらの数え方は、十進法が「十指の二乗で百」に対して、六進法は「六面の二乗で三十六」という発想に基づいている。
また、「二十四時間」ではなく「四六時中」(40(6)=24(10)) といった六進命数法の語彙も用いられている。 これは江戸時代の1日を12分割する時法で「二六時中」と表現されたものを、明治以降の二十四時間制にあわせて言い直したものである。
単位系
[編集]六進法は、まれに単位系で使われることがある。尺貫法では、1 間は 6 尺である。
指数え
[編集]拳を0とすれば、0から5までの六種類の数字を片手で表現できる。六進法の指数えでは、片手(主に右手)を一の位、もう片手(主に左手)を六の位として、「五六五」すなわち、三十五(55(6)=35(10))まで数える。この方法では、右手で0から5まで数えて、「左手が1」すなわち六になったら桁上がりで右手を拳に戻す。
例えば、左手が「1」と右手が「5」なら「六五」すなわち十一(15(6)=11(10))、左手が「3」で右手が「2」なら「三六二」すなわち二十(32(6)=20(10))、左手が「4」で右手が「3」なら「四六三」すなわち二十七(43(6)=27(10))を表す。
二桁で数えるので、(1)「一の位」と「六の位」、(2)「一の位」と「六分の一の位」、(3)「六分の一の位」と「三十六分の一の位」、の三種類が計算可能になり、1.1以降の小数や仮分数も表現できる。小数は0.01(十進分数1/36)から5.5(5と5/6)までをカウントできる。
前述の左手が「3」で右手が「2」なら、32(6)で「20(10)」の他に、3.2(6)で「3と1/3」、それに0.32(6)で「5/9」(=十進分数20/36)を表現できる。
「75(10)パーセント」すなわち3/4も、3/4=(27/36)10=(43/100)6から、左手が「4」と右手が「3」で0.43(6) として表現できる。
両手で十進法の指数えは、「六五」すなわち十一以降の整数を表現できず、1.1以降の小数も仮分数も表現できず、十分率しか示せないので 二分割と五分割しかできず、三分割も四分割も九分割もできない。しかし、両手で六進法の指数えは、「五六五」すなわち三十五までをカウントできる上に、1.1以降の小数も仮分数も表現できて、二分割も三分割も可能になり、両手に拡大すれば四分割と九分割も可能になる。
乗算や除算では、2のp乗、3のp乗、6×mというように段階に分ける。
- 1.2×3 = 4(十進換算:1と2/6 × 3 = 4) 、12×3 = 40(十進換算:8×3 = 24)
- 左手で「1×3 = 3」を行い、右手から2ずつ加えて左手に1つ加わったら右手を0(拳)に戻す。
- 100÷13 = 4(十進換算:36÷9 = 4)、1÷13 = 0.04(十進換算:1÷9 = 4/36)
- 「10(6) ÷ 3 = 2」の動作を左手で一回、更に右手でもう一回行なって完了する。
- 32÷2 = 14(十進換算:20÷2 = 10)
- 初めに左手で「2÷2 = 1」の動作を行い、次いで「12(6)÷2 = 4」の動作を行なって完了する。
脚注
[編集]- ^ Gordon, Raymond G., Jr., ed. (2005), “Ndom”, Ethnologue: Languages of the World (15 ed.) 2008年3月12日閲覧。
- ^ Owens, Kay (2001), “The Work of Glendon Lean on the Counting Systems of Papua New Guinea and Oceania”, Mathematics Education Research Journal 13 (1): 47-71, オリジナルの2015年9月26日時点におけるアーカイブ。
- ^ 思索の遊び場 ンドム語の数詞
- ^ サーレイ大学(英) 「どうやって1296(10)まで数えるか」
- ^ FRANS PLANK コンスタンツ大学(独)「六進法についてのこれまでの総め」 338頁