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六進法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

六進法(ろくしんほう、: senary: Sechsersystem)とは、6とし、底およびその冪を基準に数を表す方法である。英語名の"senary"は、ラテン語で「六個一組」を意味する"senarius"にちなむ。

記数法

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整数

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整数の表記

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サイコロの六つの面。
丸が六つある面が「10」となる。
小数も、0.1が六つ集まると「1」になる。

六進記数法とは、を底とする位取り記数法である。慣用に従い、通常のアラビア数字十進数で表記し、六進記数法の表記は括弧および下付の 6 で表す。六進記数法で表された数を六進数と呼ぶ。通常は、0, 1, 2, 3, 4, 5 の計 6 個の数字を用い、六を 10、を 11、を 12 …と表記する。

数列の進み方(四十まで)
六進法 0 1 2 3 4 5 10 11 12 13 14 15 20 21 22 23 24 25 30 31 32
十進法 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
六進法 33 34 35 40 41 42 43 44 45 50 51 52 53 54 55 100 101 102 103 104
十進法 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40

倍数判定と素数

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十進法と六進法は、「6と10はともに2と素数の積」2の冪数の扱いは同じになる。しかし、六進法では「5+1 = 10」「2×3 = 10」となるので、十進法と比べた時に、35の立場が逆転するだけではなく、9(=13(6)=32)と5の立場も逆転する。更に、2と3の冪指数が同じなので、2の冪数と3の冪数が同等の地位になる。

3と5が逆転する例
  • 六進法では、3の倍数は一の位が3か0のどれかになる。一の位が3ならば3の倍数であり、素数にはならない。
  • 六進法では、11()以後の素数は、一の位が1か5のどれかである。
  • 十進法では1/5が0.2(つまり十分の二)だが、六進法では1/3が0.2(つまり六分の二)になる。同じく、六進法では、2の冪数の逆数は3の冪数になり、3の冪数の逆数は2の冪数になる。
  • 「3×5」の数は、十進法では「15」「十五」となり5の倍数の仲間だが、六進法では「23」「二六三」となり3の倍数の仲間になる。
    • 3×5/100の小数は、十進法では0.15、六進法では0.23となるが、既約分数が十進法では「二十分の三」「素因数分解すると3/22×5」になるが、六進法では「二六分の五」「素因数分解すると5/22×3」になる。仲間になる冪数も、十進数0.15は25 (=52)だけに対して、六進数0.23は13 (=32)と43 (=33)の計二つになる。
  • 小数に変えると37(10) = 101(6)の倍数が循環する無限小数になる単位分数は、十進法が1/3、1/32 (= 1/9)、1/33 (= 1/27(10)) に対して、六進法では 1/5 や 1/11(6) (= 1/7) になる。
    • 例:2/5 = 0.2222…(2222 = 518(10))、4/11 = 0.3232…(3232 = 740(10)
  • 六進数では、5p ÷ 3p(pは同じ冪指数)の小数点を消した値は、十の冪数になる。
    • 例:52÷32 = 41÷13 = 2.44(244(6)=100(10)
    • 例:53÷33 = 325÷43 = 4.344(4344(6)=1000(10)
9と5が逆転する例
  • 六進数では、5の倍数は各位の数の和も5の倍数になる。
  • 3の冪数は一の位も3になる。「100のm/4」となる整数は全て9の倍数で、「100のm/9」となる整数は全て4の倍数である。
  • 十進法では乗算表が81(10)(34=81)種類になるが、六進法では16(10)(24=24)の倍数が81(10)(34=213)種類になる。同じく、81(10)(213)の倍数も16(10)(24)種類になる。
    • 81(10)(213)の倍数のうち奇数は、下四桁が 0213, 1043, 1513, 2343, 3213, 4043, 4513, 5343 のどれかになる。

倍数判定法

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六進法では23の倍数が一目で判る上に、割り切れない5の倍数の判定も可能になる。十進法では 5n×3 と 5n×32 が判定可能なのに対して、六進法では 3n や 3n×5 が判定可能になる。また、2n と 2n×5 の倍数は、十進法では 5n 種類になるが、六進法では 3n 種類になる。

一の位で判定
一の位が0 2と3で割り切れる(10(=6)の倍数)
一の位が1か5 2でも3でも割り切れない
一の位が2か4 2で割り切れるが、3で割り切れない
一の位が3 2で割り切れないが、3で割り切れる
下二桁で判定
下二桁が00 4でも13(=9)でも割り切れる(100(=36(10))の倍数)
下二桁が 04,12,20,24,32,40,44,52,00 のどれか 4の倍数(複偶数
下二桁が 02,10,14,22,30,34,42,50,54 のどれか 2で割り切れるが、4では割り切れない(単偶数
下二桁が 13,30,43,00 のどれか 13(=9)の倍数
一の位が 03,10,20,23,33,40,50,53 のどれか 3で割り切れるが、13(=9)では割り切れない

個別の倍数判定も、以下のようになる。素因数分解を左に【】で示す。

基本的な倍数判定
  • 2】2:一の位が2か4か0
  • 3】3:一の位が3か0
  • 【224:下二桁が{04,12,20,24,32,40,44,52,00}のどれか。計9 (= 32) 種類。
  • 5】5:各位の数字和が5の倍数
  • 【2×3】10(=6(10)):一の位が0
  • 【32】13(=9(10)):下二桁が{13,30,43,00}のどれか。計4 (= 22) 種類。
  • 【2×5】14(=10(10)):各位の数字和が5の倍数、かつ一の位が 2か4か0。
  • 【3×5】23(=15(10)):各位の数字和が5の倍数、かつ一の位が 3か0 。
  • 【22×32】100(=36(10)):下二桁が00 。
その他の主要な数
  • 【11】11(=7(10)):二桁のゾロ目、あるいは二桁ゾロ目に0がいくつも付く。{例:220(=84(10))、3311(=763(10))}
  • 【23】12(=8(10)):下三桁が12の倍数{012,024,040 … 532,544,000}。{計43(=27(10)) 種類。例:1224(=304(10))}
  • 【22×3】20(=12(10)):下二桁が{20,40,00}のどれか。{例:3440=580(12)=816(10)
  • 【24】24(=16(10)):下四桁が24の倍数。{計213(=81(10)) 種類。例:12544=1936(10)
  • 【2×32】30(=18(10)):下二桁が 30 か00 。
  • 【22×5】32(=20(10)):各位の数字和が5の倍数、かつ下二桁が{04,12,20,24,32,40,44,52,00}のどれか。{例:13204=510(20)=2020(10)
  • 【23×3】40(=24(10)):一の位が0、かつ整数第三位〜第二位が{04,12,20,24,32,40,44,52,00}のどれか。{例:1520=408(10)
  • 【52】41(=25(10)):「一の位以外」から「一の位を4倍」を引き、その差が0か、その差を41で割って余りが0。{例:13051 = 1975(10)
  • 【33】43(=27(10)):下三桁が{043,130,213,300,343,430,513,000}のどれか。{例:1213 = 297(10)
  • 【2×3×5】50(=30(10)):各位の数字和が5の倍数、かつ一の位が0。
  • 【23×5】104(=40(10)):各位の数字和が5の倍数、かつ下三桁が12の倍数。{計43(=27(10)) 種類。例:2012(=440(10))}
  • 【22×3×5】140(=60(10)):各位の数字和が5の倍数、かつ下二桁が{20,40,00}のどれか。{例:13100=1980(10)
  • 【34】213(=81(10)):下四桁が213の倍数。{計24(=16(10)) 種類。例:14043=2187(10)
  • 【22×52】244(=100(10)):「一の位以外」から「一の位を4倍」を引き、その差が0か、その差を41で割って余りが0になり、その上で下二桁が4の倍数。{例:3412 = 800(10)

小数と除算

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小数の位取り

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六進法では「5 + 1 = 10」「2×3 = 10」になるので、2と3という基本的な数による演算が非常に容易である。 小数の位取りは、0.1が「六分の一」に続いて、0.01は「三十六分の一」、0.001は「二百十六分の一」となる。

整数の除算

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六進法の整数の除算では、100や1000など桁上がりの冪数も三分割が可能になり、10(六)の冪指数と同じ2の冪数と3の冪数で割り切れることになる。例えば、1000ならば23と33の両方で割り切れ、かつ2と3の冪指数が同じになる。

100 ÷ 3 = 20

十進法の整数の除算では、「四分割(2-2)は(100)まで待たねばならない」上に、100は三分割も九分割(3-2)もできない。しかし、六進法の整数の除算では、「四分割は三十六(100)まで待たねばならない」が、「九分割も三十六(100)まで待てばいい」。「100個の饅頭」が、六進法では以下のように分けることができる。

  • 二分割:100個 ÷ 2人 = 30個 → 十進換算値は「36個 ÷ 2人 = 18個」
  • 三分割:100個 ÷ 3人 = 20個 → 十進換算値は「36個 ÷ 3人 = 12個」
  • 四分割:100個 ÷ 4人 = 13個 → 十進換算値は「36個 ÷ 4人 = 9個」「62個 ÷ 22人 = 32個」
  • 六分割:100個 ÷ 10人 = 10個 → 十進換算値は「36個 ÷ 6人 = 6個」
  • 九分割:100個 ÷ 13人 = 4個 → 十進換算値は「36個 ÷ 9人 = 4個」「62個 ÷ 32人 = 22個」
1000 ÷ 3 = 200

六進法の「1000人」は十進法で「216人」、同じく「200人」は十進法で「72人」になる。

  • 二分割:1000人 ÷ 2 = 300人 → 十進換算値は「216人 ÷ 2 = 108人」
  • 三分割:1000人 ÷ 3 = 200人 → 十進換算値は「216人 ÷ 3 = 72人」
  • 四分割:1000人 ÷ 4 = 130人 → 十進換算値は「216人 ÷ 4 = 54人」
  • 六分割:1000人 ÷ 10 = 100人 → 十進換算値は「216人 ÷ 6 = 36人」
  • 八分割:1000人 ÷ 12 = 43人 → 十進換算値は「216人 ÷ 8 = 27人」「63人 ÷ 23 = 33人」
  • 九分割:1000人 ÷ 13 = 40人 → 十進換算値は「216人 ÷ 9 = 24人」
  • 二十七分割:1000人 ÷ 43 = 12人 → 十進換算値は「216人 ÷ 27 = 8人」「63人 ÷ 33 = 23人」
  • 八分の五:1000人 × (5/12) = 343人 → 十進換算値は「216人 × (5/8) = 135人」
  • 二十七分の十:1000人 × (14/43) = 212人 → 十進換算値は「216人 × (10/27) = 80人」
10000 ÷ 3 = 2000
  • 二分割:10000 ÷ 2 = 3000 → 十進換算値は「1296 ÷ 2 = 648
  • 三分割:10000 ÷ 3 = 2000 → 十進換算値は「1296 ÷ 3 = 432」
  • 四分割:10000 ÷ 4 = 1300 → 十進換算値は「1296 ÷ 4 = 324
  • 六分割:10000 ÷ 10 = 1000 → 十進換算値は「1296 ÷ 6 = 216
  • 八分割:10000 ÷ 12 = 430 → 十進換算値は「1296 ÷ 8 = 162
  • 九分割:10000 ÷ 13 = 400 → 十進換算値は「1296 ÷ 9 = 144
  • 十六分割:10000 ÷ 24 = 213 → 十進換算値は「1296 ÷ 16 = 81」「64 ÷ 24 = 34
  • 二十七分割:10000 ÷ 43 = 120 → 十進換算値は「1296 ÷ 27 = 48
  • 八十一分割:10000 ÷ 213 = 24 → 十進換算値は「1296 ÷ 81 = 16」「64 ÷ 34 = 24

小数を含めた除算

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二分割と三分割

十進法1/3が割り切れないのに対して、六進法では十の冪数も2の冪数も三分割することができる。

  • 五十一の二分割
    • 十進法:51 ÷ 2 = 25.5
    • 六進法:123 ÷ 2 = 41.3
  • 百の三分割
    • 十進法:100 ÷ 3 = 33.3333…
    • 六進法:244 ÷ 3 = 53.2
    • 十進法:100 × (2/3) = 66.6666…
    • 六進法:244 × (2/3) = 150.4
  • 千の三分割
    • 十進法:1000 ÷ 3 = 333.3333…
    • 六進法:4344 ÷ 3 = 1313.2
  • 26の三分割
    • 八進法100 ÷ 3 = 25.2525…
    • 十進法:64 ÷ 3 = 21.3333…
    • 六進法:144 ÷ 3 = 33.2
  • 28の三分割
    • 十進法:256 ÷ 3 = 85.3333…
    • 六進法:1104 ÷ 3 = 221.2
  • 28の五分割
    • 十進法:256 ÷ 5 = 51.2
    • 六進法:1104 ÷ 5 = 123.1111…
四分割と九分割(2-2と3-2

十進法で「100分率」を作ると「百分率」だが、六進法で「100分率」を作ると「三十六分率」になる。「三十六分率」になると、十進法の1/3の数量で、「m/4」と「m/9」を同じ桁数で実行することができる。

  • 十進法:75 ÷ 100 = 0.75 → 75 %
  • 六進法:203 ÷ 244 = 0.43 → 43 (三十六分率)
  • 十進法:2 ÷ 3 = 0.6666… → 66.6666… %
  • 六進法:2 ÷ 3 = 0.4 → 40 (三十六分率)
  • 十進法:8 ÷ 9 = 0.8888… → 88.8888… %
  • 六進法:12 ÷ 13 = 0.52 → 52 (三十六分率)
  • 十進法:90 ÷ 100 = 0.9 → 90 %
  • 六進法:230 ÷ 244 = 0.5222… → 52.2222… (三十六分率)

その他、「2の冪数」や「十の冪数」の九分割の例は以下の通りになる。

  • 六進法:144 ÷ 13 = 11.04
  • 六進法:1104 ÷ 13 = 44.24
  • 十進法:100 ÷ 9 = 11.1111…
  • 六進法:244 ÷ 13 = 15.04
八分割(2-3)と二十七分割(3-3

十進数では m/33 (= m/27(10)) は割り切れず、37(10) (= 101(6)) の倍数三桁が循環するが、六進数では m/33 (= m/43(6))は割り切れて23=12(6)8(10)の倍数になる。m/23 の小数も、十進数では 53 (= 125(10) = 325(6))の倍数だが、六進数では 33 (= 43(6) = 27(10))の倍数になる。
従って、六進数では、23 (=12(6)=8(10))で割ると被除数の33 (=43(6)=27(10))倍の数が現れ、33 (=43(6)=27(10))で割ると被除数の23 (=12(6)=8(10))倍の数が現れる。

  • 十進法:3 ÷ 10 = 0.3
  • 六進法:3 ÷ 14 = 0.14444…
  • 十進法:8 ÷ 27 = 0.296296…
  • 六進法:12 ÷ 43 = 0.144

23/33 の小数は、十進法では割り切れずに 37×8 = 296 が循環するのに対して、六進法では割り切れて 12×12 = 144 が現れ、これを十進法で換算すると 8×8 = 64 になる。「十分の三」が割り切れない一方で、その概数である「二十七分の八」は「四六三分の六二」として計数され、割り切れる小数になる。
このように、六進法は六分割で一桁下がるので、三分割、九分割、二十七分割など、3の冪数で分ける方法がかなり便利になる。

  • 十進法:3 ÷ 8 = 0.375
  • 六進法:3 ÷ 12 = 0.213

3/8の小数は、小数点を消すと十進法が 375(10) = 3×53 に対して、六進法は 213(6) = 3×33 = 81(10) が現れる。これらを分数化すると、十進法が (375/1000)10 に対して、六進法は (81/216)10 = (213/1000)6 になる。

その他、2-3、3-3、列びに5-2を伴う除算の例は、以下のようになる。

  • 28 ÷ 33
    • 十進法:256 ÷ 27 = 9.481
    • 六進法:1104 ÷ 43 = 13.252
  • 28 ÷ 52
    • 十進法:256 ÷ 25 = 10.24
    • 六進法:1104 ÷ 41 = 14.12350
2と3の冪指数が4以上

六進法は2と3の冪指数が同じなので、十六分割(2-4)と同じく八十一分割(3-4)も容易である。その他、2と3の冪指数が4以上の計算例は、以下のようになる。

  • 38 ÷ 24
    • 十進法:6561 ÷ 16 = 410.0625(十進帯分数:410と625/10000=410と3/16)
    • 六進法:50213 ÷ 24 = 1522.0213(十進帯分数:410と81/1296=410と3/16)
  • (212)10 ÷ 34 { (220)6 ÷ 34
    • 十進法:4096 ÷ 81 = 50.567901234
    • 六進法:30544 ÷ 213 = 122.3224(十進帯分数:50と736/1296=50と46/81)
  • 十進分数 11/64(11÷26
    • 十進法 11 ÷ 64 = 0.171875
    • 六進法:15 ÷ 144 = 0.101043(十進数に換算して 8019/46656
  • 十進分数 31/729(31÷36
    • 十進法:31 ÷ 729 = 0.04252400548…
    • 六進法:51 ÷ 3213 = 0.013104(十進数に換算して 1984/46656
  • 十進分数 135/256{(33×5) ÷ 28
    • 十進法:135 ÷ 256 = 0.52734375
    • 六進法:343 ÷ 1104 = 0.30552343(十進数に換算して 885735/1679616
  • 十進分数 2000/6561{(24×53) ÷ 38
    • 十進法:2000 ÷ 6561 = 0.30483158055…
    • 六進法:13132 ÷ 50213 = 0.14545104(十進数に換算して 512000/1679616

小数表

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分数を六進法の小数に変換すると、「二分の一」と「三分の一」が小数第一位、「四分の一」と「九分の一」が小数第二位、「八分の一」と「二十七分の一」が小数第三位となる。つまり、2-nと3-nがそのまま「小数第n位」になる。しかし、五分の一だけが割り切れず、循環節が一桁になる。

小数第一位
小数第二位
  • 基本的な分数
    • 1/4 = 0.13(十進換算で 9/36 = 1/4)
    • 3/4 = 0.43(十進換算で 27/36 = 3/4)
    • (1/9)10 = 1/13 = 0.04(十進換算で 4/36 = 1/9)
    • (2/9)10 = 2/13 = 0.12(十進換算で 8/36 = 2/9)
    • (4/9)10 = 4/13 = 0.24(十進換算で 16/36 = 4/9)
    • (5/9)10 = 5/13 = 0.32(十進換算で 20/36 = 5/9)
    • (7/9)10 = 11/13 = 0.44(十進換算で 28/36 = 7/9)
    • (8/9)10 = 12/13 = 0.52(十進換算で 32/36 = 8/9)
分数の小数換算値(五分割まで)
分数 1/2 1/3 2/3 1/4 3/4 1/5 2/5 3/5 4/5
六進法 0.3 0.2 0.4 0.13 0.43 0.1111… 0.2222… 0.3333… 0.4444…
十進法 0.5 0.3333… 0.6666… 0.25 0.75 0.2 0.4 0.6 0.8
分数の小数換算値(六分割と十分割の既約分数)
六進分数 1/10 5/10 1/14 3/14 11/14 13/14
六進小数 0.1 0.5 0.0333… 0.1444… 0.4111… 0.5222…
十進小数 0.1666… 0.8333… 0.1 0.3 0.7 0.9
十進分数 1/6 5/6 1/10 3/10 7/10 9/10

従って、1/2にするには0.3を掛ける、1/3にするには0.2を掛ける、2/3にするには0.4を掛ける、3/4にするには0.43を掛ける、(4/9)10にするには0.24を掛ける、(5/8)10にするには0.343を掛ける、(8/27)10にするには0.144を掛ける、という方法でも算出できる。

単位分数と無理数

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割り切れない小数の循環節は下線で示す。六はでは割り切れるがでは割り切れないので、五で割った際に循環小数になる例が多数現れる。六進法の除算の特筆すべき点として、一桁の整数のうち、単位分数にすると割り切れない数は五だけである。六は二と三で割り切れる最小の数なので、三の累乗数である(六進法では13)や二十七(六進法では43)でも循環小数にならずに割り切れ、小数化すると割り切れない分数はかなり少なくなる。

又、十進法と六進法に共通する特徴として、割り切れない小数に37(10)=101(6)の倍数が現れる。これは、十の三乗と六の四乗が、37(10)=101(6)の倍数の次に来るためである。実際に、十進法999 (= 1000-1) は六進法4343(十進換算で33×37=999)、六進法5555 (= 10000-1) は十進法1295(六進換算で5×11×101=5555、十進換算で5×7×37=1295)である。63までの逆数を見ても、全体的に六進法と十進法は循環節が短い傾向が見られ、十進法で3-3の循環節が3桁に対して、六進法の5-2も循環節が5桁である。

六進法の小数除算(十分割まで)
除数 2 3 4 5 10 (六) 11 (七) 12 (八) 13 (九) 14 (十)
被除数が1 0.3 0.2 0.13 0.1111… 0.1 0.0505… 0.043 0.04 0.0333…
被除数が4 2 1.2 1 0.4444… 0.4 0.3232… 0.3 0.24 0.2222…
被除数が10
(十進法の6)
3 2 1.3 1.1111… 1 0.5050… 0.43 0.4 0.3333…
被除数が14
(十進法の10
5 3.2 2.3 2 1.4 1.2323… 1.13 1.04 1
被除数が35
(十進法の23)
15.3 11.4 5.43 4.3333… 3.5 3.1414… 2.513 2.32 2.1444…
被除数が50
(十進法の30)
23 14 11.3 10 5 4.1414… 3.43 3.2 3
被除数が100
(十進法の36)
30 20 13 11.1111… 10 5.0505… 4.3 4 3.3333…
被除数が140
(十進法の60)
50 32 23 20 14 12.3232… 11.3 10.4 10
被除数が244
(十進法の100
122 53.2 41 32 24.4 22.1414… 20.3 15.04 14
被除数が325
(十進法の125
142.3 105.4 51.13 41 32.5 25.5050… 23.343 21.52 20.3
被除数が1000
(十進法の216)
300 200 130 111.1111… 100 50.5050… 43 40 33.3333…
被除数が1104
(十進法の256
332 221.2 144 123.1111… 110.4 100.3232… 52 44.24 41.3333…
被除数が4344
(十進法の1000
2152 1313.2 1054 532 434.4 354.5050… 325 303.04 244
単位分数の小数換算値(六分割以降の主要分数)
素因数分解 六進分数 六進小数 十進小数 十進分数
2×3 1/10 0.1 0.1666… 1/6
11 1/11 0.0505… 0.142857 1/7
23 1/12 0.043 0.125 1/8
32 1/13 0.04 0.1111… 1/9
2×5 1/14 0.0333… 0.1 1/10
15 1/15 0.0313452421 0.0909… 1/11
22×3 1/20 0.03 0.08333… 1/12
3×5 1/23 0.0222… 0.0666… 1/15
24 1/24 0.0213 0.0625 1/16
2×32 1/30 0.02 0.0555… 1/18
22×5 1/32 0.01444… 0.05 1/20
23×3 1/40 0.013 0.041666… 1/24
52 1/41 0.01235 0.04 1/25
33 1/43 0.012 0.037 1/27
25 1/52 0.01043 0.03125 1/32
22×32 1/100 0.01 0.02777… 1/36
23×5 1/104 0.005222… 0.025 1/40
24×3 1/120 0.0043 0.0208333… 1/48
2×52 1/122 0.004153 0.02 1/50
2×33 1/130 0.004 0.0185 1/54
210 1/144 0.003213 0.015625 1/64
23×32 1/200 0.003 0.013888… 1/72
24×5 1/212 0.0024111… 0.0125 1/80
34 1/213 0.0024 0.012345679 1/81
25×3 1/240 0.00213 0.01041666… 1/96
22×52 1/244 0.0020543 0.01 1/100
22×33 1/300 0.002 0.00925 1/108
53 1/325 0.001421125322404
3351545031
0.008 1/125
211 1/332 0.0014043 0.0078125 1/128
24×32 1/400 0.0013 0.0069444… 1/144
25×5 1/424 0.00120333… 0.00625 1/160
2×34 1/430 0.0012 0.0061728395 1/162
210×3 1/520 0.001043 0.005208333… 1/192
23×52 1/532 0.00102514 0.005 1/200
23×33 1/1000 0.001 0.004629 1/216

※ 素因数分解は六進表記。

分数の小数換算値(冪指数は-10 (-6)まで)
指数 -1 -2 -3 -4 -5 -10
2 0.3
(1/2)
0.13
(1/4)
0.043
(1/12 = 1/810)
0.0213
(1/24 = 1/1610)
0.01043
(1/52 = 1/3210)
0.003213
(1/144 = 1/6410)
3 0.2
(1/3)
0.04
(1/13 = 1/910)
0.012
(1/43 = 1/2710)
0.0024
(1/213 = 1/8110)
0.00052
(1/1043 = 1/24310)
0.000144
(1/3213 = 1/72910)

命数法

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六進命数法とは、6 を底とする命数法である。

命数法の基本構造

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六進命数法は、0(零)から「10」となる六までを一つの名詞として命名し、七から十一までを「6+1」「6+2」…「6+5」という形式で命名し、六の倍数は「2×6」「3×6」「4×6」「5×6」という形式で命名する。その次は、100となる三十六や、1000となる二百十六など六の冪数(6p)で新しい数詞が付けられる。「m×6p」となる数も、200となる七十二は「六の二乗の二倍」「二倍の三十六」、300となる百八は「六の二乗の三倍」、4000となる八百六十四は「六の三乗の四倍」「四倍の二百十六」、5000となる千八十は「六の三乗の五倍」として命名される。

六進命数法の仕組み(1から100まで)
六進数 六進命数法 十進命数法 六進数 六進命数法 十進命数法 六進数 六進命数法 十進命数法
1 21 二六一 十三 41 四六一 二十五
2 22 二六二 十四 42 四六二 二十六
3 23 二六三 十五 43 四六三 二十七
4 24 二六四 十六 44 四六四 二十八
5 25 二六五 十七 45 四六五 二十九
10 30 三六 十八 50 五六 三十
11 六一 31 三六一 十九 51 五六一 三十一
12 六二 32 三六二 二十 52 五六二 三十二
13 六三 33 三六三 二十一 53 五六三 三十三
14 六四 34 三六四 二十二 54 五六四 三十四
15 六五 十一 35 三六五 二十三 55 五六五 三十五
20 二六 十二 40 四六 二十四 100 (六の二乗) 三十六

数詞

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自然言語で六進命数法の数詞を持つものは少ない。ニューギニア島近くのフレデリク・ヘンドリク島のンドム語[1] (Ndom) が六進法の数詞を持つと報告されている[2]。ンドム語では、 mer が 6、 mer an thef が 12(10) (二六:6 × 2) 、tondor が 18(10)nif が 36(10) (62)、nif thef が 72(10) (62 × 2) を意味しており、六の倍数では18(10)(三六:3 × 6)だけが独立系の数詞になっている[3]

六進数 十進数 ンドム語
1 1 sas
2 2 thef
3 3 ithin
4 4 thonith
5 5 meregh
10 6 mer
11 7 mer abo sas
12 8 mer abo thef
13 9 mer abo ithin
14 10 mer abo thonith
15 11 mer abo meregh
20 12 mer an thef
21 13 mer an thef abo sas
30 18 tondor
33 21 tondor abo ithin
43 27 tondor abo mer abo ithin
52 32 tondor abo mer an thef abo thef
100 36 nif
120 48 nif abo mer an thef
200 72 nif thef
213 81 nif thef abo mer abo ithin

この他には、南ニューギニアのングコルンプ語(Ngkolmpu)[4]パプアニューギニアのヤム語(en:Yam languages)やコムンゾ語が(en:Kómnzo language)が六進法を使用しており、の倍数や六の冪数にも個別の数詞が付けられている。これらの言語で六が底になった由来として、「もう片手は桁上がりで六の位」とする指数えが挙げられている[5]

六進数 十進数 ングコルンプ語
1 1 naempr
2 2 yempoka
3 3 yuow
4 4 eser
5 5 tampui
10 6 traowo
11 7 naempr traowo naempr
12 8 naempr traowo yempoka
13 9 naempr traowo yuow
14 10 naempr traowo eser
15 11 naempr traowo tampui
20 12 yempoka traowo
21 13 yempoka traowo naempr
30 18 yuow traowo
43 27 eser traowo yuow
100 36 ptae
六進数 十進数 ングコルンプ語 コムンゾ語
100 36 ptae féta
1000 216 tarumpao tarumba
10000 1296 ntamnao ntamno
100000 7776 ulamaeke wärämäkä
1000000 46656 - wi

語彙

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六が底になった由来は二つある。一つは、前述の「もう片手は六の位」とする指数えである。もう一つは、空間の基本的な方角つである事(2 × 3 次元 = 6。上下左右前後)も挙げられる。

日本語には、「」という十進法が主流とされる中で、「三十六」という六進法に基づく語彙や名数が存在している。例として、全ての方角を指して「六合」「六方」(= 61) と呼んだり、全ての景色を指して「三十六景」「三十六峰」、全ての方策を指して「三十六策」(= 62) というように、空間や方角に関する語彙に六進法が用いられている。歌仙も「六歌仙」(= 61) や「三十六歌仙」(= 62) というように、六の累乗で数えられている。これらの数え方は、十進法が「十二乗で百」に対して、六進法は「六の二乗で三十六」という発想に基づいている。

また、「二十四時間」ではなく「四六時中」(40(6)=24(10)) といった六進命数法の語彙も用いられている。 これは江戸時代の1日を12分割する時法で「二六時中」と表現されたものを、明治以降の二十四時間制にあわせて言い直したものである。

単位系

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六進法は、まれに単位系で使われることがある。尺貫法では、1 は 6 である。

指数え

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3
2
六進指数え。32(6)で20(10)、つまり32を「三二」として数える。小数も0.32で (20/36)10=(5/9)10 を表現できる。

拳を0とすれば、0から5までの六種類の数字を片手で表現できる。六進法の指数えでは、片手(主に右手)を一の位、もう片手(主に左手)を六の位として、「五六五」すなわち、三十五(55(6)35(10))まで数える。この方法では、右手で0から5まで数えて、「左手が1」すなわち六になったら桁上がりで右手を拳に戻す。

例えば、左手が「1」と右手が「5」なら「六五」すなわち十一(15(6)=11(10))、左手が「3」で右手が「2」なら「三六二」すなわち二十(32(6)=20(10))、左手が「4」で右手が「3」なら「四六三」すなわち二十七(43(6)=27(10))を表す。

二桁で数えるので、(1)「一の位」と「六の位」、(2)「一の位」と「六分の一の位」、(3)「六分の一の位」と「三十六分の一の位」、の三種類が計算可能になり、1.1以降の小数仮分数も表現できる。小数は0.01(十進分数1/36)から5.5(5と5/6)までをカウントできる。
前述の左手が「3」で右手が「2」なら、32(6)で「20(10)」の他に、3.2(6)で「3と1/3」、それに0.32(6)で「5/9」(=十進分数20/36)を表現できる。
「75(10)パーセント」すなわち3/4も、3/4=(27/36)10=(43/100)6から、左手が「4」と右手が「3」で0.43(6) として表現できる。

両手で十進法の指数えは、「六五」すなわち十一以降の整数を表現できず、1.1以降の小数も仮分数も表現できず、十分率しか示せないので 二分割五分割しかできず、三分割四分割九分割もできない。しかし、両手で六進法の指数えは、「五六五」すなわち三十五までをカウントできる上に、1.1以降の小数も仮分数も表現できて、二分割も三分割も可能になり、両手に拡大すれば四分割と九分割も可能になる。

乗算除算では、2のp乗、3のp乗、6×mというように段階に分ける。

  • 1.2×3 = 4(十進換算:1と2/6 × 3 = 4) 、12×3 = 40(十進換算:8×3 = 24)
    左手で「1×3 = 3」を行い、右手から2ずつ加えて左手に1つ加わったら右手を0(拳)に戻す。
  • 100÷13 = 4(十進換算:36÷9 = 4)、1÷13 = 0.04(十進換算:1÷9 = 4/36)
    「10(6) ÷ 3 = 2」の動作を左手で一回、更に右手でもう一回行なって完了する。
  • 32÷2 = 14(十進換算:20÷2 = 10)
    初めに左手で「2÷2 = 1」の動作を行い、次いで「12(6)÷2 = 4」の動作を行なって完了する。

脚注

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関連項目

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外部リンク

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