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「国家主権にかかわる『検疫』が他国にゆだねている日米地位協定を、部分的にでも改定する必要性は感じないか?」IWJ記者の質問に、岸大臣は「考えていない」!~1.7岸信夫 防衛大臣 定例会見 2022.1.7

記事公開日:2022.1.7取材地: テキスト動画
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(取材、文・木原匡康)

 2022年1月7日(金)午前11時25分頃より、岸信夫防衛大臣の定例会見が、防衛省にて開催され、IWJが生中継した。

 はじめに岸大臣が、前回の定例会見(2021年12月28日)以降、30名の自衛隊員が新たに新型コロナに感染したことが確認され、合計4920名の隊員が感染、うち8名がオミクロン株だったことを報告した。

 次に岸大臣は、同日朝テレビ会議で開催された、日米の外相・防衛相による日米2+2(日米安全保障協議委員会)について報告。大きく3点の成果があったとした。

 「変化する地域の安全保障環境に関する認識」として、中国と北朝鮮への対処。そして日米の戦略文書の策定などによる「日米同盟の抑止力・対処力の強化」をあげ、ミサイルの脅威に対抗する能力整備等に言及。そして「在日米軍再編の推進」として、普天間飛行場の辺野古移設、馬毛島の施設整備、米海兵隊のグアム移転、在日米軍の新型コロナ対応等をあげた。

 また前日、日豪両首脳(岸田総理とモリソン首相)がテレビ会談で「日豪円滑化協定」の署名を行ったと報告。同協定は、日豪の一方の国の部隊が他方の国を訪問して協力活動する際の手続きや法的地位を定めたものである。

 質疑応答で、IWJ記者は以下の質問を行い、岸防衛大臣から回答を得た。

IWJ記者「在日米軍基地の新型コロナが急増し、岩国は5日182人、6日115人の新規感染が確認されました。沖縄、山口、広島各県に蔓延防止等重点措置が適用の見込みですが、これらの感染拡大は米軍由来の面が明白です。

 林芳正外務大臣は昨日ブリンケン国務長官に、在日米軍の外出制限を求めましたが、本日、2+2で防衛大臣はお話しされたということで、その時に、先ほどコロナについてお話しされたとうかがいましたが、たとえば米軍の外出制限等については具体的に申し入れ等をされたでしょうか?

 ブリンケン氏は昨日林大臣に『できる限りのことをしたい』と答えましたが、具体的な制限内容を防衛省として把握・公表いただけますか?

 また、こうした事態の根底に、日米地位協定により米軍の検疫を日本側が行えない問題が指摘されます。『検疫』といういわば国家の主権にかかわる国家の免疫機構の一部が、他国の裁量にゆだねられていることは問題ではないでしょうか? 防衛大臣は、日米地位協定を部分的にでも改定する必要性をお感じになっていますか?」

岸防衛大臣「最近の在日米軍の新型コロナ感染状況を踏まえまして、私からも地元の方々の不安解消に向けて、外出制限の導入も含めて、感染症拡大防止の措置の強化と徹底を米側に強く求めました。

 これに対しまして、米側からは、米側としても新型コロナ感染事案を深刻にとらえており、地域住民と米軍兵士の安全をたいへん重視をしているという反応があったところです。政府としては、地元の方々の不安解消に向けて、日米間での連携をより一層強めてまいります。

 また、キャンプ・ハンセンでの多数の感染の判明以降、政府としては、地元の方々の不安解消に向けて最大限の努力を行っているところですが、様々なルートで米側に対して、水際措置の強化や行動制限の強化、迅速な情報提供などを求めています。これを受けて、在日米軍は、随時、水際措置や行動制限の強化を図ってきています。

 具体的には、日本に向けて出国するすべての在日米軍関係者を対象に、出国72時間以内の検査を実施すること。日本に入国するすべての在日米軍関係者を対象に、入国後24時間以内の検査を実施すること。入国後の行動制限期間については、14日間とすること。という強化が図られました。この結果、日本に入国するすべての在日米軍関係者が、入出国前後に加えて、入国後5日目以降の第3段階の検査を実施していると承知をしています。

 また、水際措置に加えた行動制限の強化としては、たとえば、在沖縄海兵隊が、施設区域外における常時マスク着用に加えて、施設区域内の屋内でのマスク着用を義務化していると承知をしています。さらに昨日、全国の在日米軍施設における、現行保護体制レベルを引き上げたと承知をしております。

 引き続き米側に対しまして、感染症拡大防止のための措置を一層徹底するよう求め、地元の方々の不安解消に向けて防衛省、外務省を中心に、政府として最大限努力をしてまいります。

 地位協定については、これまでも、さまざまな課題に適応の柔軟性をもって対応してきているものであります。政府として、地位協定の改定というものを現在考えているところではありません」

IWJ記者「先ほど、(全国の在日米軍施設の)現行保護体制を引き上げたとおっしゃいましたが、具体的にはどういう風に引き上げられたのでしょうか?」

岸大臣「具体的には事務方から聞いていただきたいと思います」

 上記の全国の在日米軍施設の保護体制引き上げについては、IWJから防衛省にあらためて問い合わせ中のため、回答があり次第ご紹介したい。

 またIWJ記者は、防衛省がミサイル迎撃のために、電磁力で弾を発射する「レールガン」を、2020年代後半に実用化しようとしている計画についても、質問を用意して手を上げ続けたが、指されなかったため、あらためて防衛大臣会見で質問を行うことを想定している。

 他社の質問は2+2に関する内容がほとんどだった。しかし岸大臣は多くの質問で、細部については「お答えを差し控えたい」との回答が目立った。

 会見の最後に、共同通信の記者が以下のように質問した。

共同通信「(日米の)共同作戦計画が進展というふうにありますが、朝鮮半島有事の共同作戦計画ははるか前にできていて、つい最近、尖閣有事の共同作戦計画が完成しました。ということは、この進展というのは台湾有事についても、共同作戦計画の原案と解釈してよろしいでしょうか?」

岸大臣「先ほども申しましたが、共同計画に関するさらなる詳細については、お答えを差し控えさせていただきたいと思います」

共同通信「その原案の中には、南西諸島に米軍の砲撃用の軍事拠点を臨時に設けるということが含まれていますが、そういったことを答えられないというのは、南西諸島の住民に対してたいへん失礼な話だと思うんですが、いかがでしょうか?」

岸大臣「申し訳ありませんが、お答えは差し控えさせていただきたい…」

共同通信「住民の生活とか人生とか生命がかかっているのに、それでも答えられないんですか?」

岸大臣「お答えは差し控えさせていただきたいと思います」

 詳しくは、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2022年1月7日(金)11:10メド~ 
  • 場所 防衛省 A棟11階 第1省議室a(東京都新宿区)

 

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