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(再掲載)沖縄を訪れる中国人観光客達は、嘉手納基地に隣接する「道の駅」で米軍戦闘機を記念撮影し大喜び!リアリティを欠いた「中国脅威論」!~岩上安身によるインタビュー 第899回 ゲスト 元沖縄タイムス論説委員、『それってどうなの?沖縄の基地の話』共著者・屋良朝博氏 2018.9.5

記事公開日:2018.9.6取材地: テキスト動画独自
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(IWJ編集部)

特集 2018年沖縄県知事選
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※2018年9月11日ハイライトを追加、9月24日テキストを追加しました。

 2018年9月5日、岩上安身は宜野湾市内で元沖縄タイムス論説委員であり、『それってどうなの? 沖縄基地の話』の共著者、屋良朝博(やら・ともひろ)氏へのインタビューをおこなった。

それってどうなの? 沖縄の基地の話。(沖縄米軍基地問題検証プロジェクト)  この冊子のPDFは自由にダウンロードできます。

 このインタビューは、沖縄の基地にまつわるネトウヨのデマに反論することが趣旨だが、それにとどまらず、沖縄知事選を同時進行で行われている自民党総裁選に絡めて取り上げるなど、非常にアクチュアルなものとなった。

▲左からIWJ代表・岩上安身、元沖縄タイムス論説委員・屋良朝博氏

 屋良氏は、沖縄タイムス出身だが、沖縄タイムスと琉球新報の違いは県外の人間にはわかりにくい。現在では両紙とも、本土のメジャー新聞とは一線を画し、反米・基地反対の論陣を張っているが、もともと、戦後米軍統治下で始まった両紙は、1950年代はともに親米的な紙面を作るしかない言論統制下にあった。

 その新聞が変質してゆくのは、1956年頃から。戦後の平時だというのに、米軍が新基地の建設を強引に進めたため、土地を奪われ、生活手段を奪われた沖縄の人々が一斉に声を上げはじめてからだ。米軍の「銃剣とブルドーザー」による土地収奪は、残酷で容赦のないものだった。

 「家屋はブルドーザーで壊し、その後は農地に海砂を入れて作物ができないようにした」(屋良氏)

 これは生存権に関わる問題だったため、左右のイデオロギーを問わず、基地反対運動が盛り上がった。沖縄の基地問題の起源には「生存権の問題」があると屋良氏は指摘している。

 しかも、この暴力を伴った基地建設は、もともと1950年代、本土に点在した米軍基地が、本土の反基地闘争の結果、日米両政府の合意によって、沖縄に持ち込まれたことが始まりだった。当時の本土の反基地闘争は、沖縄の状況への情報不足もあり、米軍統治下の沖縄まで視野に入れた運動を展開できなかった。沖縄の基地問題は本土による沖縄への「構造的差別問題」であることが、今になってよくわかる。

 インタビュー中、本土では決して見えない沖縄の現実が、屋良氏の口から語られた。官邸を中心に本土で語られる「中国脅威論」は、沖縄がもはやハワイを超える観光地であり、そこを訪れる中国人観光客の目当てが嘉手納基地に隣接する「道の駅」で米軍戦闘機を間近に見ることだという、驚くべき現実によって、くつがえされる。

 以下に実況ツイートを掲載する。

■ハイライト

  • 日時 2018年9月5日(水)14:00~
  • 場所 非公開(沖縄県那覇市)

岩上「(屋良さんが)フィリピン国立大学へ行ったわけは?」

屋良氏「外国へ出てみたかった。近場で安くて面白い体験ができそうだなということでフィリピンへ。当時、年間の国立の授業料は沖縄では4万円だった」

岩上「沖縄には二大沖縄新聞があり、遠目には同じに見える。入社するときに違いはあるんですか?」

屋良氏「中にいて違いがあまりわからない」

岩上「なぜ沖縄タイムスを選んだんですか?」

屋良氏「米軍統治下に住民よりの報道をしようということで始まったのが沖縄タイムス、琉球新報は米軍の広報誌のようなスタンスで始まった。1950年代の論調は米軍に親和的だった。1956年ごろから土地を奪われ生活手段を奪われた人々が声を上げ始めた。当時の自民党の政治家たちは、土地を奪われた人々を組織化して、右も左もなく闘った」

岩上「イデオロギーより所有権、生存権だった。それが今、同じ日本人からいろいろな言葉を投げつけられている。ネトウヨからですね。それに反論した本が『沖縄の基地の話』ですね。

 翁長さんの基地撤回表明についてご説明ください」

屋良氏「撤回をしろという圧力はこれまでにもたくさんあった。政府側の明らかな瑕疵の証拠がないと、裁判になったときに県職員へ損害賠償が来るという話もあった。辺野古の理不尽さというのは、語りつくせない。一つの県の知事が命を削って主張してきたことがなんだったのかというレビューすら、この国の中ではなされていない。

 基地問題は右でも左でもなくアイデンティティーの問題。日本の国内で反基地闘争が激化し収拾がつかなくなって米軍を沖縄へ持ってきた。日本国内の構造的な差別に根差しているのが基地問題。

 本土の反基地運動が沖縄の反基地運動を許さないという状況になっている。それが少しでもこじれたら、デマが横行する。政府から国際情勢をわかっていないなどという話も出てくる」

岩上「辺野古も造るけれども、普天間も返還しないという雲行きになっているのでは?」

屋良氏「アメリカが統治していた時にはアメリカにすり寄っていた人々と、その状況から出たいという人々との対決という構図があった。今もそれがある」

岩上「(翁長知事が訪米し、自らの主張を訴えたとき、たくさんの記者に囲まれたことについて)トランプのおべっか使いと安倍総理は揶揄されてきたが、沖縄には気骨のある政治家がいるということを世界は見てくれている。

 謝花(じゃはな)副知事が8月31日に承認撤回に踏み切った」

屋良氏「この承認撤回は、裁判所に預ける。しかし、非常に厳しい。国は2000万の損害賠償をちらつかせている。裁判所は『統治行為論』なので受け付けない。前途は明るくないと思う」

岩上「翁長さんの生きざまをどう県民は受け止めているのか?」

屋良氏「政治家としての翁長武志は高く評価されている。党派を超えて敬慕される人。左の人たちだけでなく保守的な人たちからも支持を受けていた。沖縄の生存権を賭けて戦った人として記憶される」

岩上「『ヤマトンチュ』という言葉には抵抗がある。ヤマトは西。せめて(関東地方出身の自分は)『ムサシンチュ』とでも言われれば。日本の歴史は西から東を侵略していった歴史」

屋良氏「沖縄はその先端にある」

岩上「両端にアイヌと沖縄があって、東戎(アズマエビス)は差別されてきた、今でも東北への差別が残っている」

岩上「佐喜真さんはどういう人ですか。日本会議の人ですね」

屋良氏「官邸に受けがいい。去年から名前が挙がっていた。公約が一昨日(9月3日)出たが、辺野古については、推進かどうかはっきり言っていない」

岩上「創価学会の青年部の男子部がすでに6000人(選挙運動員として)沖縄に入っているという情報もある」

屋良氏「へぇ、怖いなぁ」

岩上「オール沖縄の玉城デニーさんという人選はどう見ていますか?」

屋良氏「オール沖縄は寄り合いなので、支持を受けやすい。ラジオのパーソナリティーをやりながら、冠婚葬祭の司会もずいぶんやって、よく知られている」

岩上「小沢さんの弟子なので、どぶ板式の選挙も知っていますね」

屋良氏「見た目は外人ぽく差別を経験している。差別やヘイトに敏感だと思います」

岩上「小池百合子さんから『日本語わかりますか』というヤジが国会で飛んだ。小池さんはヘイトの塊のような人」

▲小池百合子氏による玉城デニー氏への差別野次について、岩上安身から話を聞いた時、怒りと悲しみの涙で絶句した沖縄国際大学教授・佐藤学氏の一瞬の表情

岩上氏「デニーさんと佐喜真さん。どっちが勝ちますか。今はどっちが有利で最終的にどっちが勝ちますか」

屋良氏「争点はぼかし、自公とオール沖縄の対決という構図になっている。新潟県知事選でも争点ぼかしのこの方式で自公が勝っている」

岩上「官邸は昨日(9月4日関西を中心に甚大な被害をもたらした台風21号)から何もしていない。それでも、大災害のときには緊急事態条項を入れると言っている。総裁選は討論を避け直接対決を避ける人が勝つのはまずい。その方式と(この沖縄県知事選が)かぶっている」

屋良氏「正義にあぐらをかいてはいけない。正義を通していたら理解されるとは限らない」

岩上「オール沖縄は票集め乞食にならないと」

屋良氏「スローガンではもうだめで、シナリオを突きつめてゆく必要がある。佐喜真氏は『普天間の危険性を一日も早く除去する』というスローガン。それは一日も早く辺野古へ機能を移転するということ。しかし、移転には10年かかる」

岩上「そもそも、海兵隊は要りますか。ミサイル戦の時代ですよ」

屋良氏「僕も20年前から海兵隊は沖縄にも日本国内にもいる必要がないと言っているんだけど、どうもそれがなかなか浸透しない」

岩上「それはやはり、リアリティーがなかったんだと思う。でもトランプ出現以降の激変。北朝鮮がミサイル開発を始めて、それが日本に落ちるのはいいが、米本土に届くのなら、米国は本気でつぶす」

屋良氏「海兵隊の役割は、アジア太平洋にプレゼンスを示すこと。中国は、それに敵意を示しているわけではなく、アジアで行われている合同訓練にも参加している。海兵隊が出てくるときは、中国脅威論が出てくる。それはリアリティーがない」

▲元沖縄タイムス論説委員 フリージャーナリスト・屋良朝博氏

岩上「米国は今、トルコを怒らせている。クルド人に最新鋭の武器を与えている。その上で経済戦争をしかけている。トルコ、イランは(中国、ロシアが中心となって結成された事実上の軍事同盟)上海協力機構に入る。(米国は)イスラエルのためなら何でもするが、それ以外のことなら、友好国でもひっくり返してゆく。

 北朝鮮を中国の傘の下に入れ、チェチェ思想も解体する。独立独歩の北朝鮮を中国の保護国にするが米国には指一本触れさせない。こういうことを中国の学者がシンポジウムで述べている。アドバルーンかもしれないが。

 もう一つ、トーマス・カトウ氏へのインタビューで出た話。ヘルシンキ会談で、トランプがプーチンに組まないかという提案をした。中国に口を出させないで、北朝鮮をつぶして共同統治しよう。そういう提案をしたが、プーチンは『ダー』とは言っていない。

 韓国の頭越しに北朝鮮攻撃をやるという話もある。在韓米軍を撤退して、日本の基地で攻撃しようという話もある」

屋良氏「仮想的は中国だということで防衛政策はできているが、弾道ミサイルができてしまうと、ただ標的ができるだけで、南西諸島への自衛隊配備は意味がない。

 沖縄にはたくさんの観光客が来る。ハワイを超えた。今年は1000万を超える。中国人がたくさんいる。嘉手納飛行場を一望できる道の駅が人気スポット。F15が飛び立つと歓声を上げる。自撮りもしている。中国では軍事施設は見られない。米軍の最新鋭機が日本に来れば見える。

 沖縄で軍事論を考えるときは、沖縄戦になってしまう。沖縄から見える現実は実は違う。米国と中国はどれほど仲が悪いのか検証の必要がある。

 安倍さんの思考は、仮想敵がいて、安全保障環境が悪くなっている。普天間は危険だから辺野古を作ろうとしている。しかし、海兵隊は6000人から800人になってしまう。しかも、普段は沖縄にいない。共同訓練では中国軍も参加。これで、沖縄の米軍が抑止になるとしている。

 防衛省の基地問題担当者と意見交換した。なぜ沖縄に海兵隊を置いておくのか聞いてみた。その答えは沖縄は東アジアに近いから。それはだれが言っているのか聞いてみると答えられない。それは海兵隊が言っているわけではない」

岩上「50年代の反基地闘争を行った親の世代と今の日本人は別の世代。戦争を経験していないから。今、全国知事会で日米地位協定を改定すべきだという話が出ている。『似非日本』会議の強い地域、公明党の強い地域に基地を持っていけばいい。日本会議は対米従属。

 『辺野古は普天間の代替基地であり、新基地建設ではない』というのはデマ」

屋良氏「辺野古には新しい機能がたくさんつく。新基地と言っていいもの」

岩上「『キャンプシュワブは住民が誘致した』もデマ」

屋良氏「基地ができた1956年は住民を追い出して、家屋をブルドーザーで壊し、海砂を入れて、作物ができないようにしていた時期。住民は仕方なく米軍と交渉せざるを得ない状況だった」

岩上「『空陸一体の配備で分散配置できないので、海兵隊は沖縄に置いておくしかない』はデマ」

屋良氏「軍の配置は、海兵隊ではなく政治が決めている」

岩上「『辺野古はいい位置にあるから、基地がある?』」

屋良氏「1970年代、ベトナム戦争後に、沖縄の部隊を呼び戻そうという意見があった。本国から出撃した方が効率的。それを引き留めたのが日本の防衛庁」

屋良氏「『海兵隊にこだわる日本政府に対しては、海兵隊が対日戦略の一つの梃子になる』と東京から本国へ報告している」

岩上「『安全保障環境は厳しくなって、沖縄の基地は日本に必要?』」

屋良氏「安全保障とはなにか、安全を保障するあらゆる営みが安全保障で、軍事だけではない。2013年の安倍さんの靖国参拝に米国がdiappointed(失望した)と表明した。これが安全保障のもっとも厳しくなった瞬間」

屋良氏「ニクソンは70年代に、『日本には国粋主義者が必ずいるから、米国が抑える』周恩来は『北朝鮮は任せてくれ』と応じている」

岩上「緊急事態条項で、沖縄の反基地運動はすべて弾圧されて壊滅。言いがかりつけて民主主義を終わらせる」

屋良氏「それでなにをしたいのか、わかっていない」

岩上「『反基地運動をしている人には一日2万円出ている?』というデマについて」

屋良氏「現地に来てください、というしかない」

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  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    岩上安身による元沖縄タイムス論説委員、『それってどうなの?沖縄の基地の話』共著者・屋良朝博氏インタビュー https://iwj.co.jp/wj/open/archives/430860 … @iwakamiyasumi
    基地問題は右でも左でもなくアイデンティティの問題。ネトウヨのデマに騙されないためにも知っておきたい基地と沖縄の歴史的事実。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/1037822737148870656

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