2008年 01月 13日
額で画像を認識させる
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一年前に「”舌”で画像を認識させる」というものを紹介したが、これは「”額”で画像を認識させる」というもの。いずれも視覚障がい者へのサポート用途である。
「Aux Deco(オー・デコ)」 EyePlusPlus,Inc.






認識のフローは以下の通り
1)サングラス中央のカメラで前景を撮影する。
2)撮影画像の”エッジ(輪郭)”を強調する画像処理を行う。
・画像処理は上写真のグレーのボックス内で行われる。
3)”エッジ画像”を、バンダナの”金属部分”に電気信号として送る。
・画像の解像度は金属部分のドット数に既定される。
・ドットは3mmピッチ(額で感じる触覚精度に沿って設定したもの)
・電気刺激の強さは調節できる。
さて実際の使用感覚としては”ピリピリッ”と感じる肩こり電気治療器のような印象。モノの形までは認識できないが、人が動いたりするのはおぼろげに認識できる。人が目の前に大勢いる等、要素が多いと全く何がなんだか分からない。ある程度シンプルな前景に対しては有効だが、日常生活では果たして使えるのかという印象だった。
メーカーによれば、視覚情報の完全な代替にはならないが白状を併用したサポートツールとしてならば使用可能という。視覚障がい者では多少意見が分かれる。使えそう(使いたい)という方もいれば、私と同じように実用性に欠けるとの印象を持った方もいる。ただ、あのグレーのBoxはもっと小さくして欲しいところだ。日常使うツールとしては大きすぎる。
使用するには事前訓練が必要とのことだが、その観点が目から鱗だった。先天性の視覚障がい者は”モノの見え方の概念”がない。例えば”パース”がついて見えるモノが、現実空間でどのように構成されているかが理解できない。まっすぐ伸びた道は、上方向に窄まってパースが付いてみるが、それがまっすぐ伸びた道だと分からない。認識した電気信号と現実空間との紐付けをする必要があるという。
予断だが、手術によって”視覚”を取り戻した視覚障がい者は、「また見えなくしてくれ」と懇願するなど精神不安定になるケースがあるそうだ。”視覚の世界”と”視覚以外(聴覚/触覚/嗅覚)の世界”には大きなギャップがあり戸惑うそうだ。目の前にだされたものが、今までだったら聴覚/触覚/嗅覚で理解していたのが、視覚があるために逆に混乱して理解できないという。
メーカーの本社所在地は、東京大学のアントレプレナープラザ内。研究開発には東京大学でバーチャルリアリティ・ロボティクス・コミュニケーション に関する研究を中心に行っている舘研究室が関わっているという。カミさんの友人がこの研究室の秘書をやっていたと聞いたが、世の中狭いものである。
東京大学では研究活動の事業展開を促進していると思うが、本件もその一つか。大学におけるバーチャルリアリティの研究が、こうした福祉機器を応用先とするケースは多い。あとはゲームだろうか。”体験”程度ならば”おもしろい”でいいのだが、なかなか実用レベルに達しないのが常だろう。そして限定的な用途だと、売り上げ予測も立てにくく、投資回収のシナリオが描けず、価格設定が高くなりがち。これがまた普及にブレーキをかける。この技術も視覚障がい者だけでなく、もっと広がりが出るといいのだか。
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「Aux Deco(オー・デコ)」 EyePlusPlus,Inc.






認識のフローは以下の通り
1)サングラス中央のカメラで前景を撮影する。
2)撮影画像の”エッジ(輪郭)”を強調する画像処理を行う。
・画像処理は上写真のグレーのボックス内で行われる。
3)”エッジ画像”を、バンダナの”金属部分”に電気信号として送る。
・画像の解像度は金属部分のドット数に既定される。
・ドットは3mmピッチ(額で感じる触覚精度に沿って設定したもの)
・電気刺激の強さは調節できる。
さて実際の使用感覚としては”ピリピリッ”と感じる肩こり電気治療器のような印象。モノの形までは認識できないが、人が動いたりするのはおぼろげに認識できる。人が目の前に大勢いる等、要素が多いと全く何がなんだか分からない。ある程度シンプルな前景に対しては有効だが、日常生活では果たして使えるのかという印象だった。
メーカーによれば、視覚情報の完全な代替にはならないが白状を併用したサポートツールとしてならば使用可能という。視覚障がい者では多少意見が分かれる。使えそう(使いたい)という方もいれば、私と同じように実用性に欠けるとの印象を持った方もいる。ただ、あのグレーのBoxはもっと小さくして欲しいところだ。日常使うツールとしては大きすぎる。
使用するには事前訓練が必要とのことだが、その観点が目から鱗だった。先天性の視覚障がい者は”モノの見え方の概念”がない。例えば”パース”がついて見えるモノが、現実空間でどのように構成されているかが理解できない。まっすぐ伸びた道は、上方向に窄まってパースが付いてみるが、それがまっすぐ伸びた道だと分からない。認識した電気信号と現実空間との紐付けをする必要があるという。
予断だが、手術によって”視覚”を取り戻した視覚障がい者は、「また見えなくしてくれ」と懇願するなど精神不安定になるケースがあるそうだ。”視覚の世界”と”視覚以外(聴覚/触覚/嗅覚)の世界”には大きなギャップがあり戸惑うそうだ。目の前にだされたものが、今までだったら聴覚/触覚/嗅覚で理解していたのが、視覚があるために逆に混乱して理解できないという。
メーカーの本社所在地は、東京大学のアントレプレナープラザ内。研究開発には東京大学でバーチャルリアリティ・ロボティクス・コミュニケーション に関する研究を中心に行っている舘研究室が関わっているという。カミさんの友人がこの研究室の秘書をやっていたと聞いたが、世の中狭いものである。
東京大学では研究活動の事業展開を促進していると思うが、本件もその一つか。大学におけるバーチャルリアリティの研究が、こうした福祉機器を応用先とするケースは多い。あとはゲームだろうか。”体験”程度ならば”おもしろい”でいいのだが、なかなか実用レベルに達しないのが常だろう。そして限定的な用途だと、売り上げ予測も立てにくく、投資回収のシナリオが描けず、価格設定が高くなりがち。これがまた普及にブレーキをかける。この技術も視覚障がい者だけでなく、もっと広がりが出るといいのだか。




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by isoamu
| 2008-01-13 12:52
| 福祉