最強だった二人の関係の終わらせ方

考えた末、
完全な幕切れには、
そうするのが最善な策だと確信していた。


胸の痛みも今では、懐かしく思える。

自分の気持ちに嘘をつくのだから、
当然、苦しみはそれなりにあった。

それに、好きな人に嫌われるというのは、
あの素敵な思い出を
全て汚す手荒なやり方にも思えた。

それでも、決心が揺らがず実行できた
根幹をなすのものは、

“何かをしてあげたくても、
 何一つしてあげられないのら、
 いっそ、してもらいたいと思わせること自体
 きっぱりと無くさせればよい”

それこそが、別々の道を歩む二人が、
その一歩を躊躇わず踏み出す
決定打になるという信念。

「あなたのような人を愛した私が馬鹿だった」

そう。

それでよい。
お互いが一緒にいたいと思っていた頃は、
あれほど歯痒い思いをさせた、
二人を挟む長い距離のおかげで、
この痩せ我慢の涙を見られることもなく
終わるはずがなかった恋を、
跡形もなく終わらせられたのだから。

 

不完全燃焼な完全なる幕切れの

幕はこうして下りた。