本棚という限られた空間が自省を促す

価値観は常に移り変わりゆく。
時代と共に、年齢と共に、経験と共に、状況と共に。

20年のスパンを超えると、「そうでもない」が出てくる。


ちょっと釣られる:finalventの日記

読むと得をする本だと言ってもいいが、長期的に見れば、私がいい例だけど、今は反省している。


ウエイン・W・ダイアーのこと:極東ブログ

この長期的視野を修得するに至るまでいったいどれほどの年月を費やせばいいのだろう。
いくつもの自己欺瞞と無知ゆえの手痛い失敗。
心中密かに捲土重来を期す内にゆくりなく訪れる幸運。
大切なことがなにかを識るには、経験とそこから熟考し学ぶ時間が必要だ。




時は西暦2004年。横浜から現在の地に移転する際、
後生大事に蒐集していた幻想文学関連の書籍約500冊をほぼ全て売り払った。
メルセデス・ベンツのCクラスが買えるほど
お金を注ぎ込んだそれらは引越し費用にも満たなかった。
しかし、百人を超える友人が住む関東を離れ、
心機一転し生活を新たにするのには大英断であったと思う。


新居では真っ先に本棚を買い求めた。
約300冊が入るほどのそれほど大きくもない本棚を選んだ。
丁度その頃から始めていたベジタリアン生活に伴い、
ベジタリアン料理や健康情報に関する書籍をそこに並べた。
あわせて、その頃熱心に買い集めていた自己啓発や聖書研究の書籍も
目立つ位置に並べた。
当時はまだまぐまぐのメルマガを幾つか購読いたのでその影響が残っていたのだと思う。


価値観は常に移り変わりゆく。
時代と共に、年齢と共に、経験と共に、状況と共に。


本棚の中身はそれから1年も経たずに全て入れ替わることになる。
いつしか膨大な時間をブログを見ることと書くことに費やすことに
生活をシフトするようになり、それと共に集める書籍のジャンルは
文章術やコミュニケーション術関連に変わっていったからだ。


情報を得、発信し、共有すること。
それこそが最も重要で有益であることと信じるようになっていった。
きっかけは「EPIC 2014」だったように思う。
「アルファギークのブックマーク」ã‚„「英語で読むITトレンド」等を
RSSリーダーで読み漁った。


ここ数週間、プライベートで大きな変化があったこともあり、
本棚の中身を久々に一新した。
いまだ処分しきれていなかった自己啓発関連の書籍169冊を処分した。
現在、近所のBOOKOFFの新書コーナーには、「心を癒す○○」とか
「自分を好きになる○○」というメンヘル御用達の本が占められている。


価値観が移り変わるに連れ、本棚の中身も様変わりする。
最新の本棚には、純文学、翻訳文学、SF、ミステリ、詩歌、日本語研究、
少女漫画、映画・音楽・絵画のガイドブック、量子力学等が並んでいる。
300冊しか収められない限られた空間だからこそ、
そこに並ぶべき本を常に厳選せざるを得ないという制約が
自省の念を産み、拘泥した考えや思考からの解放を促した。
100冊でもなく、500冊でもない。
300冊という数字に意味は無かったが、
積読にならずに現実的に消化していくのにいかにも丁度良かった。


価値観は常に移り変わりゆく。
時代と共に、年齢と共に、経験と共に、状況と共に。
興味のあるものは、目まぐるしく変わっていった。
しかし、本棚の整理だけは、変わることなく、いつも生活の中心にある。


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