コンテンツ指向から著作者指向へ - rel="author"はweb全てを出会いの場にする。

一ヶ月前にGoogleがよくわからないものを発表して、理解に苦しんだ。

ところが、Google+の登場とGoogle Profilesの絶対的公開を受けてGoogleが目指す検索エンジンの姿がやっとわかった。

Authorshipについて

Webmaster Tools Helpに、webページに著作者情報を記載する事について説明がある。
まずGoogleは記事(article)の同一性を確認するため、3つのページのつながりを確認する。

  • コンテンツページ
    • ニュース記事やブログ記事など、コンテンツの一部となるもの。
    • 一個人のブログに限らず、複数の執筆者がそれぞれで投稿するサイトも想定。
  • 著作者ページ
    • コンテンツページとして同一ドメイン上にある、特定の著作者について記したページ。
    • はてなダイアリーで言えば、http://d.hatena.ne.jp/はてなID/about
  • Google Profile
    • 検索結果の隣にあなたのGoogle Profileへのリンクが画像付きで表示される。
    • このような結果になる。

そこでは、3つのページはrel="author"を利用して結ばれている。

実装について

既に実装したユーザーが記事を書いてくれているので、この記事を元に説明する。

必要となるのは3つのリンク
  • コンテンツページから著作者ページへのリンク。ここではrel="author"を使う。
  • 著作者ページからGoogle Profileへのリンク。ここではrel="me"を使う。
  • Google Profileから著作者ページへのリンク。ここではrel="me"を使う。
ブログ記事(コンテンツページ)での実装について

ひとつめのリンクは、同一ドメイン上にあるブログ記事から著作者ページへのリンクを意味する*1。そのドメイン上にある記事の著作者情報について、Googleに知らせるためのものだ。複数の執筆者がいて、執筆者についてのページがそれぞれにある場合も同様。
たとえば、記事のフッターにamatanoyoという執筆者の名前を表示させて、http://d.hatena.ne.jp/amatanoyo/about へリンクさせる。このリンクにrel="author"を入れる。こんな感じに。

<a rel="author" href="http://d.hatena.ne.jp/amatanoyo/about">amatanoyo</a>


なお、著作者ページは「著作者について書き表したページ」である必要はない。個人のブログであれば、aboutページを使えばいい。*2


著作者ページ

Googleに、著作者とGoogle Profileを結びつけるために必要。著作者ページにGoogle Profilesへのリンクを入れなければならない。
ここで必要になるURLは、Google ProfileへのURL。
私の場合、これ。

ページを開くと /posts とか /about とかが最後にくっつくけど、スラッシュ以下は削除して使うこと。
つまり、この場合ここではこのように入力する。

<a rel="me" href="https://profiles.google.com/108668755561489266180">+Sekai Amata</a>

Google曰く、名前の前に+を入れろ、だそうだ。

Google Profile

Google Profileの、基本情報タブを開いて右サイドに表示されるリンクに、著作者ページへのリンクを入力する。
ここでの注意点は、

  • 著作者ページへリンクさせること。
    • /about なページにリンクさせること。
  • 「このページは自分に関するページです。」にチェックを入れること。

f:id:amatanoyo:20110711152020p:image
特に2番目はrel="me"を追加するために必要なものなので、忘れてはならない。

もうひとつの方法

コンテンツページを直接Google Profileにつなげる方法。


ヘルプにはもうひとつの方法が書かれている。
これはドメイン上に著作者ページがない場合に使うものらしい。
コンテンツページ、つまりあなたが書いた記事中に以下を入れ、rel="author"で直接Google Profilesに向ける。このように。

<a rel="author" href="https://profiles.google.com/108668755561489266180">Sekai Amata</a>


ちなみにGoogleは、この場合におけるコンテンツページ・著作者ページへのリンクを生成するためのジェネレータを既に用意している。

今後のwebは、著作者に直接つながるようになる。

検索結果に著作者情報が載る。
今までは論文でもない限り著作者が誰かなんてことは重要視されなかった。そういった意味では、rel="author"で著作者情報がわかったからといって何かよくなるかはわからない。
だが、Google+が背後に潜んでいることに目を向けると、Googleの目指すものが見えてくる。
ブログ記事を書いて、それがGoogleに拾われたら、GoogleはGoogle Profilesでもって著作者と関連付ける。そして、Google ProgilesはすなわちGoogle+の一部で、閲覧者は著作者とGoogle+を通じて関係を持つことができるようになる。書く側と読む側は限りなく近づき、webにおける人間はコンテンツでつながるだけに終わらず中の人とつながるようになる。


Google+は、上にあるバーを通じてGoogle製品すべてを取り囲んだ。
そうすることで、Googleアカウントを持つあらゆるユーザーをSNSに引っ張り込んだ。これはユーザーをGoogle+というSNSの舞台に立たせるための、前段階に過ぎない。
Googleの目論見は、従来のSNSのようなサービス内完結で終わらずに、Webにあるコンテンツ全てを対象として検索を足がかりにネットワークを構築しようとしていることにあるのだろう。どの人も必ずやる検索が、「webは人が利用している」ことを改めて引き出そうとしている。


著作者情報がわかるという利点では、人物ベースでコンテンツの評価につながるという考えが出るのは至極妥当だ。だがこのGoogleのアプローチは、(Google Profilesを利用して)Googleによる人のネットワークの構築にあるのだと私は考えた。orkutとかBuzzとかWaveとか、Friend ConnectとかJaikuとかLivelyとか、失敗したSNSは沢山あるけど今回は本気だ。マジだ。


(google.comで)rel="author"でググればわかるけど、既に導入して検索結果に表示されている人もいる。もうGoogleは動き出していた!
Google Profilesが強制的公開になる今月末を堺に、Googleによるwebソーシャル化は加速するのではないだろうか。

追記

ところで、rel="author"はGoogleが今のところ提唱し採用しているが、今後Bingが採用するかもしれない。
rel="author"を利用してGoogle Profilesに結びつけたように、BingもFacebookと連携して何らかのアクションを取ることは考えうることだ。


そうなってくると、rel="author"以降のwebは検索エンジンによって勢力図が分かれることになるだろう。
最も、この追記は単なる妄想で、どうなるかなんてことは全くわからないが。


追記

*1:ドメインが違う場合は、http://www.sem-r.com/google-2010/20110609142250.html

*2:はてなダイアリーやWordPressにある、/about。