府省横断会議でのペーパーレス会議の試行

なかなか書く時間がなくて、ちょっと遅くなりましたが取り組みの報告です。

アイディアボックスで「行政業務プロセス改革とペーパーレス化」としてご提案いただいたペーパーレス会議のアイデアを、7/20のCIO補佐官等連絡会議で提案しました。
(CIO補佐官等連絡会議とは)


ここで提案した趣旨は、以下の通りです。
 ・府省横断の会議は、ほとんど紙で行われている
 ・アイディアボックスで指摘されたように、会議室に大量の紙が持ち込まれている
 ・会議準備のコピーや配布が大変
 ・CIO補佐官等連絡会議は、民間からの外部専門家が中心であり、しかもIT分野が専門であるので導入が最も容易
 ・毎回会議前にCIO補佐官専用サイトで査読用に資料のダウンロードが可能になる
 ・資料の容量は大量ではない
 ・会議終了後しばらくして公開される資料であり、セキュリティレベルが著しく高いものではない(ペーパーレスにしなくても紙で持ち歩いている)
 ・ちまたでは電子書籍が議論されるほど技術が進んできている


提案内容は以下です。
 ・次回会議でペーパーレス会議を試行
 ・ペーパーレス化できない人は各自印刷して持ち込む


結論として、提案は通りペーパーレス会議を試行実施することになりましたが、多くの課題も指摘されました。
・府省のセキュリティポリシーにより、端末にダウンロードできない
・個人のPCを業務で使うのは問題
・電源の用意が必要
・自分のPCのバッテリーが持たない
・セキュリティが重要
総論賛成ですが、各論では課題が多いようです。また、心理的に反対な感じのコメントをしている人もいました。


一方で、ここで課題を洗い出して前に進まないと、「IT専門家でもできないのであれば政府内でペーパーレスなんてできない」と言うことになりますので、積極派からは、民間、学会、国際会議などの例を引き合いに、無線LANを仮設したらどうかなど積極的な提案も行われていました。

そして2回の試行が行われました。8/2に第1回試行では、23人中8人がペーパーレス化、8/3の第2回試行では24人中9人がペーパーレス化という結果でした。(総務省、経済産業省、環境省、・・)
民間では考えられないくらい低い電子化率ですが、論点は整理できたので次へ進むステップはできたと、前向きにとらえたいと思います。

論点
 ・セキュリティポリシーが過剰な運用がされているのではないか
   紙はOKで電子はダメという矛盾、モバイルPCの扱い・・・
 ・運営側もペーパーレス会議に合わせた運用、環境整備が必要
   資料配付、プロジェクタ利用、資料構成・・・
 ・CIO補佐官の意識の壁も厚い
   批評ベースの後ろ向きな指摘(考え方が古い)・・・


アイディア実現に時間がかかりますが、前向きに頑張っていきたいと思います。

ちなみに、会議終了後にもCIO補佐官のメーリングリストで若干の議論がありました。

第1期アイディアボックス、その後の取組状況

昨年10月に実施した第1期アイディアボックスでは、456のアイディアをいただきました。頂いたアイディアに対するこれまでの取組状況は、以下の通りとなっています。

第1位 住民票や戸籍はネットで取れるようにして欲しい→構想段階
本アイディアのコメントにおける議論で、将来的には、住民票等が紙でいらなくなるようにしていくべきとの御意見がありましたが、「新たな情報通信技術戦略」(以下、新たなIT戦略。H22.5.11IT戦略本部決定)でも、「既に行政機関が保有している情報については、原則として記載・添付が不要となるよう行政機関における適切な情報の活用を推進」するとしているところです。具体的な取組はこれからですが、政府全体で利便性の高い社会を目指していきます。

第3位 電子政府に限らず→実現
「電子政府」のテーマ以外に、本年2月には「IT政策」のテーマでアイディアボックスを実施しました。また、現在、文部科学省でも「熟議カケアイ」として、教育政策についてネット上の議論が行われています。今後も、様々な政策テーマでアイディアボックスを実施するべく準備を進めています。

第5位 申請のワンストップサービスについて→構想段階
「新たなIT戦略」において「行政手続に係る電子的フォーマットの全国的な共通化や地方自治体相互間における標準仕様を活用したバックオフィス連携と業務プロセスの改革等を推進」としており、申請のワンストップサービスに向け政府全体で取り組んでいきます。

第6位 もっとPRを→取組中
PRがたりないとの指摘を受け、本年2月に実施した第2期アイディアボックスでは、新聞(朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、日経新聞、東京新聞)へ記事を掲載いただいたり、twitterを使った宣伝や、Yahooやlivedoorで取り上げていただくなど、より広報に力を入れ、第1期の3倍以上の方にご参加いただきました。今後も、広報に力を入れていきます。

第7位 公的機関発効カードの集約→構想段階
「新たなIT戦略」において「公的ICカードの整理・合理化」を行うこととしており、政府全体で進めていきます。

第7位 アイデアボックスの継続→実現
※「電子政府に限らず」の回答をご覧ください。

第12位 RSSの採用について→実現
まず、経済産業省と中小企業庁のホームページについて、RSS配信を実現しました。

第14位 経済産業省による日本版Data.GOV開設への期待→今後実施予定
経済産業省において、本年度事業で、日本版Data.govの検討を行う予定です。

第15位 外字問題の解決→今後実施予定
経済産業省において、本年度事業で、外字問題を解決する文字基盤の構築を行い、本年度中にリリースする予定です。

第18位 情報発信にTwitterを活用してみては→取組中
アイディアボックス終了後、経済産業省のオープンガバメントの取り組みの発信について、twitterの活用を開始しました。最近は、twitterを活用する省庁・自治体も増えてきています。詳しくは、オープンガバメントギャラリーをご覧ください。

第19位 電子政府のシステムの基盤部分は、統一すべきである→構想段階
「新たなIT戦略」において「クラウドコンピューティング技術を活用した『政府共通プラットフォーム』により、各府省別々に構築・運用している政府情報システムの統合・集約化を進める」としており、今後、政府全体で進めていきます。

第21位 引っ越しの際の必要手続きをすべてWebで出来るようにしてほしい。→取組中
昨年12月から1月にかけて、引っ越しの際の民間事業者の手続きをワンストップに行うことの出来る「引っ越しワンストップ」の実証実験を行いました。現在は、同実証実験は終了していますが、今後、同様の仕組みを民間で回していくことができないかの検討が進められています。

第23位 この政策アイデア募集実験を全府省に広げる仕組み「政策イノベーションの進め」→取組中
※「電子政府に限らず」の回答をご覧ください。

第26位 行政のシステムを一つに統合→構想段階
「新たなIT戦略」において「地方自治体における電子行政について、利用者の負担軽減、行政効率化の観点から、クラウドコンピューティング技術を活用した情報システムの統合・集約化を進める」としており、今後、政府全体で進めていきます。

第27位 民間のサービスを使えないか→取組中
2回にわたり実施したアイディアボックスは、民間のサービスをSaaSによって機関を区切って購入したものです。また、twitterやYoutube、ニコニコ動画などの無料民間サービスの利用も進めています。このブログも民間のはてなブログを利用しています。

第28位 国民ID化→構想段階
「新たなIT戦略」において、「2013年までに国民ID制度を導入する。」としており、今後、政府全体で取組みを進めていきます。

第30位 政府のITシステムには、関わった業者名を表記する→取組中
まず、2回にわたり実施したアイディアボックスについては、関わった業者名や契約金額等の公表を行いました。今後も、こうした取組を進めていきたいと思います。

第33位 公開されている政府統計データをPCで再利用しようとすると使いにくい(余分な空白データ)→今後実施予定
今年度において、経済産業省の統計情報を2次利用しやすくするためのデータ形式等についての検討を行う予定です。この検討を通じて得られた結果を、普及させていきたいと考えています。

第35位 アイディアボックスで集まった意見をリアルな政策に反映→取組中
このページで公開している通りの状況です。まだ、第2回のアイディアボックスでは、実際の政策を検討する審議会と連動して実施しました。

第40位 統一番号制度の導入→構想段階
現在、社会保障・税の共通番号について、国家戦略室を中心に検討が進められています。

第45位 ユーザ登録の都道府県欄に「海外」を追加しては?→実現
前回のアイディアボックス実施中に、海外欄を追加しました。2回目のアイディアボックスでは、最初から海外欄を用意しました。

第62位 政府関係機関の所有するデータの適切な公開により、新たな情報サービスを育成→構想段階
「新たなIT戦略」において「行政機関が保有する情報の活用」を推進することとしています。経済産業省でも、新たなサービス育成に資する行政情報の公開について、引き続き検討して行きたいと考えています。

コンテンツ産業の成長戦略に関する研究会の報告書について

文化情報関連産業課(メディア・コンテンツ課)でございます。
当課では平成22年1月より、今後のコンテンツ産業における諸課題について「コンテンツ産業の成長戦略に関する研究会」で検討を行ってまいりました。

このたび、2月-3月に実施された経済産業省アイディアボックス内「03.コンテンツ産業の振興」において議論された内容は、当研究会において議論させていただきました。
5月14日に報告書を取りまとめましたので、よろしければご覧ください。

■コンテンツ産業の成長戦略に関する研究会
 http://www.meti.go.jp/report/data/g100514bj.html

さらなるアイディア・コメント分析を試行中

初回のアイディアボックスでテキストマイニングの試行をしましたが、さらに試行は進められています。

やはり、第二回アイディアボックス、文科省熟議を見ても、これだけの議論の中で、如何にして皆さんからの声をきちんと把握していくのかという点が課題になります。

そこで、第一回アイディアボックスと第二回アイディアボックス(政府等公的サービス)の意見を合わせて分析してみました。
単語間の関連を示す共起ネットワーク分析結果は以下の通りです

これを見るとICカード周りに意見が集中していることなどが客観的にわかります。
さらに、APIに関する議論が行われていたことがわかります。

では、APIについて何が議論されているのかと言うことで、APIに関連する文書を抽出して共起ネットワーク分析をかけると、以下のようになります。

回避と言う言葉が多く出てくるのでクローズアップされていますが、要するにAPIを整備して創意工夫により税金やムダを回避しましょうというと言った意見が多かったことがわかります。さらには、APIを活用したワンストップへの展開などもこの図からうかがえます。興味深いのは、図書館に関する単語が頻出している点です。そこで本文を見てみると、図書情報のAPIを公開すれば本が広く検索できるという意見が寄せられていることがわかり、このように読み飛ばしがちな小さな意見も発見することが可能になります。

もちろんこのような解析だけで、提案いただいたご意見をすべて活かせるわけではありませんし、きちんとタイムラインに従いアイディアやコメントを読んでもいますが、客観的に試行を整理する上で役立つ手法と考えられます。
「開発」と「構築」が結びつくなど、まだ荒削りな使い方ですが、今後も試行を進めていきたいと思います。

文部科学省webサイト「熟議カケアイ」の開始

アイディアボックスのような取り組みを他省庁でも行うべきとの意見をたくさん頂戴していましたが、本日13時より文部科学省で政策創造エンジン「熟議カケアイ」を開始しました。

http://jukugi.mext.go.jp/

教育分野でこのように政策議論をする初の取り組みです。

もちろん経済産業省も、アイディアボックスの運用ノウハウの提供や打ち合わせへの参加など、協力して進めております。

両方のサイトで同じポイントは
・誰もが政策検討過程に参加できる
・投票機能がある

両方のサイトのポイントは
経済産業省のアイディアボックス
・参加者の皆様からアイディアを頂戴して、参加者間で議論をしていただいた
・審議会と一体で運用がされた
文部科学省の熟議
・政務三役からの投げかけに対して参加者が議論する
・リアルなシンポジウムからスタートする
・議論のまとめのコーナーがある
・審議会とは両輪の位置づけ

アイディアボックスも1回目、2回目と工夫をして改善していますし、このように、様々な形態の対話サイトが出てくることは、いろんな可能性を検証することができるので、オープンガバメント立ち上げ期には非常に重要なことだと思います。
(米国もいろんな対話サイトの試行が行われています)

教育分野に関心をお持ちの皆さんは、是非議論へのご参加をお願い致します。

アイディアボックスでなぜIT政策に限定するのかとの指摘につきまして。

経済産業省アイディアボックスにおいてIT政策についての意見募集を開始して3日がたちましたが、多くの方にご参加いただきありがとうございます。
その中で、なぜIT政策に限定するのかという指摘もいただきましたので、この場で回答したいと思います。

今回の、アイディアボックスは、昨年10月に第一弾の実験として「電子政府」のテーマで行った「電子経済産業省アイディアボックス」の際の結果を活かして実施しています。
昨年の実施時にも、電子政府以外のテーマでもアイディアボックスを導入してほしいとの声は多数寄せられていました。また、前回実施時には、アイディアボックスにおいては、集まったアイディアをどう活かすかを明確にすることが必要とのご意見も多く頂きました。
こうしたご意見を踏まえ、アイディアボックスのような仕組みに対しては、期待が大きい一方で、行うに当たっては、寄せられたアイディアを受け止められる体制作りを行政側でしっかりと準備することが必要だと考えております。

今回、こうしたことを踏まえ、「IT政策」とテーマの枠を少し広げるとともに、行政における政策過程の一環である審議会(産業構造審議会情報経済分科会)とリンクさせて、経済産業省の商務情報政策局内でも職員の体制を整え、再度アイディアボックスを実施するに至ったものです。

無論、「IT政策」では、まだまだテーマとして狭く、様々なテーマにおいてアイディアボックスのニーズは大きいものと考えておりますし、将来的に(アイディアボックスという手法がすべてにおいて適当かどうかはさておくとして)ネットを活用した行政参加の仕組みはさらに広げていく必要があると考えています。
しかし、まだまだ実験的要素は強く、さらに広げていくには課題も多いため、現段階では、個々のケースごとにアイディアボックスの実施是非を判断していく必要があると考えています。アイディアボックスを実施するとして、政策過程とのリンクをどうするのかといったことも課題ですし、何よりも、実施にあたり対応のための人的コストが発生するのをどうするのかといったことが大きな課題です。国民の意見を聞くのをコストと表現するのは問題とのご意見もあるかと思いますが、実際に対応に関する人件費は発生するわけでして、そうしたこともよく吟味しながら、アイディアボックスの運営のあり方や募集期間の長さといったものをしっかりと考えていく必要があると考えています。
今回については、上述した通り、IT政策については、政策過程につながる回路をつくり、行政内の体制も整えたわけですが、それ以外のアイディアについては、しっかりと受け止められる回路を準備できておりません。それゆえ、「IT政策についての募集」と明示させていただいていたわけですが、実際にふたを開けてみると、IT政策以外のアイディアも目立つようになって来ました。私どもとしても、真剣に、切実にご参加いただいている方が多い中、政策過程に何らかのインプットを行っていくことが保証できる範囲について、しっかりと説明を尽くさないことは、参加者の皆様に対して不誠実と考え、改めて事務局からのお知らせとして表示させていただいたものです。
何卒、ご理解いただければ幸いです。

なお、アイディアボックスの取り組みを、今後政府内でどのように広げていくべきかについてのご意見は、IT政策に関するご意見ですので、私どもとしてもしっかりと受け止めてまいりますので、ぜひご意見頂ければ幸いです。
私どもとしても、アイディアボックスのような取り組みをぜひ広げていきたいと考え、呼びかけを行っています。(下記)
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/e-meti/opengov.html


○IT政策以外の投稿は削除されるのですか?
利用規約上、「意見募集を行うカテゴリー・テーマと関係のない投稿がなされた場合に、経済産業省は、投稿の一部または全部の削除を講じることがあります」とさせていただいており、経済産業省の判断において、投稿の削除を行うことを排除はしていません。
しかしながら、議論を深めていくためのコミュニティにおいては、管理者が強制力をもった排除を行うよりも、できるだけ自律的な運営が行われるようになった方が良いと考えているため、ことさらにITと無関係であれば全部削除するということはせずに進めていきたいと考えています。
ただし、例えばカテゴリーがITと関係ないアイディアで埋め尽くされるなど、IT政策について議論するという目的において、いちじるしい支障が生じてくるようになった際には、削除の作業をさせて頂くこともありえますので、何卒、御了解ください。

今後とも、アイディアボックスを宜しくお願い申し上げます。

「twitterでも参加できるネット審議会」という報道について

2月12日(金)の日経新聞朝刊に、「IT政策、ネットで議論 経産省、国民の意見吸い上げ」という記事が掲載され、この中に、twitterでも参加できるネット審議会との記載がありました。
このことについて、ブログやtwitterでも多数とりあげられていましたので、twitterとの関係について説明させていただきます。

今回の新アイディアボックスでは、(これは、「アフターアイディアボックス」から引き継がれた機能ですが)、(1)投稿されたアイディアをもとにtwitter上でつぶやく、(2)twitter上の#openmetiのつぶやきがサイト上に表示される、といったtwitterとの連携機能が強化されています。
これは、議論の場をアイディアボックス内だけに閉じるのではなく、ソーシャルメディアとの連携機能の強化により、ネット全体に議論の輪が広がっていくようにすれば、より多くのアイディアが生まれてくるのではないかと考えたためです。
実際、昨年のアイディアボックス実験の際にも、「アイデアボックスとTwitterを組み合わせたサイトのご提案」とのアイディアが寄せられていました。

一方、実際の政策プロセスに還元していくためには、議論を集約していくことも重要です。ネット全体で行われている議論を全て扱うのは困難であり、このため、やはり議論の会場を絞ることも必要になってきます。

今回の、情報経済分科会に国民のアイディアをインプットする試みでは、最終的に分科会に報告されるアイディアは、アイディアボックスに投稿されたアイディアになります。その意味では、アイディアボックスに投稿いただかないアイディアについては、分科会で捕捉されません。
しかし、具体的な「アイディア」という形になる前段階として、思いつきなどをtwitterでブレインストーミングし、それをもとに新たなアイディアが生まれ、アイディアボックスに提出されるというプロセスが発生すれば、非常に有意義なものになると思いますので、ぜひ、アイディアボックス以外の場においても議論をもりあげていただければと考えています。

なお、23日のアイディア募集開始までの間、アイディアボックスのプレオープンサイトでは、「twitter前夜祭」と称して、ハッシュタグ#openmetiで書かれたつぶやきが表示されるようになっています。ぜひ、オープン前の準備体操として、twitter上でアイディアの種をご議論いただき、オープン後には生まれてきたアイディアを投稿いただければと思います。よろしくお願いいたします。