M1グランプリ2023から2024

私は長らく「お笑い」をみる習慣がなかった。
かつてラーメンズを追いかけていた頃はコント番組をよくみていた気がするけれど、それも随分昔のことだし*1、M1をはじめとする、いわゆる賞レースについても評価の基準がわからず、
それでもみんなが楽しんでいるものを見てみたいというミーハー心はあるので、自分にとってM1は、年に1度の「自分が面白いと思うものと、TLのさまざまな意見を比較する日」に近かった。

そんなぼんやりとみていたものにピントが合い始めたきっかけは、昨年の春に「笑い神」を読んだことだったと思う。
ちょうど「嫌われた監督」を読んで野球を見始めた頃で、当時は、この本に出てくる笑い飯や千鳥についても「顔がわかる程度」の知識だった。でも「笑い神」を読んだことで、ああ漫才はその背景に、漫才師の人生ものっているものなんだなと(ようやく/いまさら)理解した。

目の前にある芸だけをみて笑うことと、漫才師の人となりを知って笑うこと、どちらが良いとかではないと思うのだけど、
例えば野球で考えてみると、その選手の物語を知ることは、素晴らしいプレーが起こるかもしれないという期待の補助線になるし、勝った試合/負けた試合、両方を見続けるという視聴者側の体験が感動に加算されるのは当然のことだとも思う。

そんな具合に少し興味がでてきたところで2023年のM1を見て、マユリカが面白いなと思い、ポッドキャストの過去ログを聴きあさり、youtubeの出演動画を見あさり、そうしてる間に他にも好きなコンビがたくさんできて、毎週座王を楽しみにし、あーーそうかこれも野球も、かつて追いかけていたアイドルも、みんな「群像劇」としての側面があり、私はそれが好きなんだなと腑に落ちた。

もちろんそれは補助線でしかないと思う。
でもその補助線があることでようやく見えてくるものもある。

そして今年はオフシーズンにNetflixでM1を初回からみるというのをやっていたんですが、その流れでつい最近2008年のM1を見て、オードリーの漫才*2を「新しい」と感じた。そう思ったのも補助線があったからだと思うんですよね。16年越しだけど。

そんなわけで、いろいろ見聞きして臨んだ2024年のM1はとても面白かったです。

感想は関連ラジオを聞いた後に、その感想も含めて書くかもしれないけど、いま時点での感想は、
一番面白いと思ったのはエバース、ぐっときたのはダイタク、真空ジェシカ、ヤーレンズは圧巻だった。
マユリカ、東京に出てきてしばらくは阪本さんの人見知りが見ててハラハラするくらいだったけど、「大急ぎで負けにきた」のコメント最高だったのでレベルアップを感じた。
バッテリィズとジョックロックの明るさも楽しかった。ママタルトは大喜利系の番組でみることが多くてネタをほとんどみたことがなかったんだけどダイナミックでよかった。トムブラウンは唯一無二だった。今後は扇風機見るたびに思い出すと思います。
そして令和ロマン、「漫才過剰考察」を読んで臨んだので、必ずしも優勝することが望みではないのかなあ…とか思うとこもあったけど、優勝したくるま氏がほんとうに嬉しそうにしていたのでほっとした。
新しい審査員含め、なんかみんな楽しそうにやってるように見えたのがよかった回でした。

お正月には初めて寄席というものにも行ってみる予定です。チケットはもうとった。

*1:恐ろしいことにその随分昔の記録もこの日記にはあるのだけど

*2:オードリーは知っていたけど漫才を見たのはほぼ初めて