2011年のごあいさつ

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

まずは昨年の振り返りから。2010年もいろいろなことがありました。

これまでと同様、仕事の中心はCiNiiでした。4月に著者検索をリリースし、11月にはヤフーとの共同研究の成果である「Yahoo!検索 論文検索」を出すことができました。6月に応募をスタートし、11月に発表会を開催した第2回APIコンテストもありました。個人的にはこれらを大きなトラブルなく乗り切ることができたのが大きな収穫で、これをもってCiNiiはシステムの土台作りの段階を終えたと思っています。

研究面では4月からセマンティックウェブの中でもLinked Dataに照準を絞ったLODACプロジェクトが立ち上がり、新しいメンバーとともに研究を進めています。6月には監訳書「セマンティックWebプログラミング」も出て、多少なりともこの分野への貢献ができたのではないかと思っています。また、4年間担当してきたインタラクションのローカルアレンジメント委員長の役割を無事終えることができました。

年初には想像していなかったのが行政との関わりでした。電子書籍の関連で三省懇の末席に顔を出したり、他にもいくつかの仕事をしたり、とくに役に立てているとは思いませんが、これまで自分には関係がないと思っていた世界に足を踏み入れた感があります。これも政権交代から事業仕分けに連なる大きな流れの影響なのかなと思ったりします。

グルコース社は珍しくまじめに(?)仕事した1年でした。iPhoneアプリ・iPadアプリ・Androidアプリ・ソーシャルゲームといろんな世界が一斉に花開いて技術者の需要が急速に高まり、それに応えていくことでたくさんの経験をさせていただきました。実のところ忙しければ忙しいほどぼくの出番はなく、会社も新しい段階に入ったかなと思っています。

そんなこんなで、予想通りのこともあれば予想外のこともあった1年ですが、一貫して「自分にとって公共とは何ぞや」ということを問われ続けた年だったような気がします。なぜ論文検索を提供するのか、なぜデータをオープンにするのか、なぜ電子書籍に関わっているのか…などなど、自分の中で確たる回答が出ていないのが現状です。また、図書館をはじめとして、ちょっと前までは自身がアウトサイダーだと思っていた世界がどんどんインサイダー化していく中で、新たな責任を負っていかなければならないのはもちろん、居心地のよさに安住してはいけないという思いもあります。これについては、常に外からの視線を意識するとともに、アウトサイダーになれるような分野を探し続けることも忘れないようにしていきたいと思います。

新年早々いろんな仕事が同時に動き出しててんてこ舞いなのですが、成果をお知らせできる日を楽しみにしながらひとつひとつ取り組んでいきます。それでは今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。