法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』エイプリルフールにウソージキ/野生ペット小屋

「エイプリルフールにウソージキ」は、ウソをつかれることを恐れるのび太に対して、ドラえもんはウソを楽しめばいいとアドバイス。しかしのび太がドラえもんに贈り物をすると……
 前回*1の後半と同じく、清水東脚本に小倉宏文監督コンテのアニメオリジナルストーリー。
 エイプリルフールテーマでエイプリルフールに放送。CG素材の桜の花びらを散らして、わかりやすく季節を表現。
 アニメオリジナル秘密道具はデザインも安易で展開の意外性もないが、特定の嘘が発声できなくなったことを、そこの口パクだけ声にならなくなる開閉音にした描写がシュールで楽しい。
 ジャイアンがワニに驚く描写で、視聴者にも本物のワニと誤認させる映像的な叙述トリックをしかけていたことにも感心した。スネ夫のウソが手間ひまかけていることを視聴者の立場で実感できる。


「野生ペット小屋」は、友人たちのペット自慢に嫉妬したのび太が、自分も動物を飼おうとする。秘密道具をつかって遠くアフリカで迷子の子ゾウを育てはじめたが……
 2008年に「さよならハナちゃん」と改題してアニメ化*2した中後期短編を、原題でリメイク。
 原作よりゾウの目の白目がおおきすぎて擬人化されすぎたように感じはしたが、『野生のエルザ』を翻案したような原作をていねいに映像化して、少年のひとつの成長劇としてすがすがしく終わった。
 しっかり資料を引いているのか、サバンナの背景美術がアニメにうまく落としこまれている。地平線まで木々がぽつんと生えている広大さがよく表現されていた。
 原作では台詞だけだった秘密道具を溶かす描写を、必死でバケツをかきまぜるドラえもん描写に発展させたところも地味にいい。動物をきちんと飼うのは大変と実感させる。