法華狼の日記

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昭和の国会で「昭和天皇」という言葉が使われていた事例

「天皇」の呼称について、平成の国会で「平成天皇」が使われた事例を簡単に調べたことがある。
「平成天皇」という言葉が国会で使われた事例は5件 - 法華狼の日記

数は少ないが、まんべんなく各政党の議員が口にしているといえるだろう。
そもそも、どれも「平成天皇」という言葉そのものが問題視されたようには議事録からはうかがえない。

ちなみに上記で調べた時点では、民主党と共産党の議員は「平成天皇」という言葉を使っていなかった。


今回は昭和時代の国会議事録から「昭和天皇」を探してみたわけだが、ほとんどが没後の贈り名を論じる発言ばかりだった。
ただ、社会党の議員が解散総選挙の時期を論じるにあたって、天皇在位記念式典*1に言及するという事例があった。
参議院会議録情報 第077回国会 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第23号

○寺田熊雄君 大体わかりました。もしも投げ出すようなもんじゃないというならば、これはどうしても壁にぶち当たってにっちもさっちもいかないから、まあ悪い表現だけれども野たれ死にするというようなことは万々ないと思うんですよ。そういたしますと、どうしても日程としては――十一月十日の昭和天皇在位五十周年の記念式典というのがありますね、それを越して解散になりますと、これは公選法の規定からいってどうしても総選挙の日が十二月五日にならざるを得ないんですよ。


しかし、よく考えると現在の国会議事録検索は、敗戦からしばらくたってから始まっている。
そこで帝国議会の議事録で調べてみると、敗戦後の皇室典範改正にさいして、天皇をたたえる文脈で用いられている事例がひとつ見つかった。
帝国議会会議録データベースシステム-本文表示(MAIN)

後世我が國の歴史に於て昭和天皇の御決斷を明かにし、又外世界に對して日本天皇の道義を顯揚することが出來ると私は思ふのであります

ただこれは、後世の歴史において「昭和天皇」と位置づけられるだろうという予想であり、当時の天皇をそう呼称したのとは異なるという解釈ができるかもしれない。