法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダムAGE』を『映像の原則』と照らし合わせた感想について少し異論

上手と下手しか考えていないのは、いくらなんでも片手落ちとしか思えない。
機動戦士ガンダムAGE第1話 映像の原則1stと比較して地味 - 旧玖足手帖-日記帳-

とりあえず、映像の原則の基本概念。↓

落ちるアクシズ、右から見るか?左から見るか?<『逆襲のシャア』にみる『映像の原則』>


フリットが弱い方の立場に立っている。小さいし、あんまり主人公らしく感じない。

『映像の原則』にも左右だけでなく、上下の位置関係について書いてあるはず。その「原則」は、簡単にいうと上にあることと上手にあること、下にあることと下手にあることが同じくらいの意味を持つ。力の拮抗を表現したいなら、同じ高さで左右からぶつかる構図にするのではなく、左上からと右下からの力がぶつかる構図で演出するべきとなる。
この原則にそった作品として『FF:U 〜ファイナルファンタジー:アンリミテッド〜』初回の米たにヨシトモコンテが興味深かったのだが、公式での無料配信をしていないので、GONZOサイトから画像を一枚だけ引用。
http://gonzo.co.jp/works/0101.html

まず別の怪物が暴れまわっていて、そこに上記の怪物が現れて左上から攻撃をしかけてくる。別の怪物は右下から応戦、中央で光線が激突して、決着がつかないままアバンタイトルが終了。その力の拮抗が表現された怪物2体は、後に本編で登場する主人公とライバルに近しい存在であり、つまり本編の互角なライバル関係を前振りしているといえる。


いずれにせよ、当該のフリットは上手下手よりも通常の上下関係が強調されていて、「弱い方の立場」とはいえないだろう。
どちらかといえば、主人公を上に置きつつ*1、視点を主人公に置かない意図を感じるべきカットではないだろうか。他にも『機動戦士ガンダムAGE』は、ロングショットでキャラクターをとらえるカットが多く、ガンダムの機動場面すら背後から映し、モニター上に映るガンダムを他のキャラクターがまなざすカットが終盤にはさまれる。

少なくとも第1話は、主人公ではなく少女の視点で見ている物語と解釈していいのではないかと思う。立ち上がるガンダムを背後から映すカットは他のシリーズでも散見されるが*2、見つめる人物を手前に置いた例は珍しいのではないかと思う。

*1:ヒーローが上から登場するのは特撮でも基本。

*2:具体的には『機動戦士ガンダムSEED』第1話等。