法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『TIGER & BUNNY』#10 The calm before the storm.(嵐の前の静けさ)

謎の男が描いていた絵に、きちんと視覚的な衝撃を与える仕掛けがされていて、滑らず素晴らしい次回への引きとなっていた。作中の絵の評価を、視聴者の絵に対する評価と整合させることは、かなり難しいものだ*1。
しかし橋の爆破テロが起きているというのに、バーナビーの個人的な因縁を優先させたのは、さすがに御都合主義がすぎる。特にミスディレクションもなく、バーナビーが戻ってくるクライマックスも見えすいていて感動がなかった。せめて虎徹がバーナビーの助けを断って自由にさせた時は、テロではなく事故と思われる状態にするべきだろう。爆煙の中へ飛び込んで、敵の存在を知って初めてテロと認識するという段階をふんでほしかった。テロの目的を直感したバーナビーが、あえて戻らずに刑務所へ直行したが、テロによる幹線道路爆破で進むことも戻ることもできなくなるという展開でも面白かったかもしれない。


作画*2も3DCGのアクションも全般的に良かったし、ヒーローが分散させられて徐々に追いつめられていく緊張感は楽しめたが、ここは少しパターンを崩してほしかったところ。ヒーロー個々人の日常を描く前半が、街全体がテロの標的となる後半に繋がったりと、王道の良さを確認させてくれた部分も少なくないのだが。

*1:一例として、ちょうど最近に見た『エスパー魔美』の「感動しない名画」は、主人公がラファエロの名画に対して感動した場面と感動しなかった場面の差異が、作中の絵を見るだけでは伝わってこなかった。主人公は画家の娘として父親のモデルをつとめているくらい美術とかかわりが深いので、一般人の視聴者に伝わらない良し悪しが評価できるのだろうと思うことはできたが。

*2:ロボット兵器が地味に緻密な手描き作画されていて、いかにもサンライズらしいロボットアニメとしての楽しみも感じられた。今回の作画監督は小林利充。