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表参道で昼食を 「はてな東京本店観光ガイド 2012」移転記念特集で雨宮まみが新オフィスに来たー!



▽ 東京開発センターを立ち上げます - jkondoのはてなブログ

「はてなの東京本店が表参道に引っ越す」。そんなニュースを聞いたのは、秋の匂いがし始めた頃だったでしょうか。その引っ越し予定地のGoogle マップを見て、私は衝撃を受けました。

「えっ……表参道!? しかも根津美術館の隣!」

あまりに洗練されたロケーションに「住所だけで抱かれたい……」とヒザから崩れ落ちてしまいそうな私を尻目に、はてなの社員の方のリアクションは「ここがどこなのか、土地勘がなくてよくわからない」「表参道とかおしゃれスポットすぎて通勤するのが怖い」と、いまひとつ喜びが伝わってきません。

一瞬「はてなに真珠」という言葉が頭をよぎりました。

しかし、表参道という土地柄をよく考えてみると、この場所ほどはてなダイアリーやはてなブログのイメージにぴったりの場所もないんじゃないかと思えてきたのです。

表参道というと、ほとんどの人がイメージするのは地下鉄の表参道駅から原宿に向かう、クリスマスイルミネーションでおなじみの並木道がある、表参道ヒルズやルイ・ヴィトンのきらきらしたビルの立ち並ぶ通りでしょう。それは確かに「おしゃれすぎて怖い」というイメージかもしれません。

でも、はてなの新しい東京本店は、その通りを原宿とは反対側に進んだところにあります。実は、同じ表参道でも、青山通りのこちら側とあちら側では、かなり違う風景が広がっているのです。

■ 向田邦子の名作も、山下達郎の名曲もここで生まれた

待ち合わせはアンデルセン前で

個人的に表参道のランドマークといえば、まずは表参道交差点付近にあるパン屋さんのアンデルセン。

作家の向田邦子さんは、このアンデルセン近くのマンションにお住まいだったそうで、人に場所を説明するときは「あのアンデルセンの裏です」とおっしゃっていたそうです。「アンデルセンのメルヘン大賞」という文学賞も主催している、由緒正しいパン屋さん。

もうひとつのランドマークは、スパイラルビル。2Fにあるスパイラルマーケットという雑貨屋さんがすごいです。IDÉEやザ・コンランショップに匹敵するセンスの、ひとつの価値観をはっきりと打ち出した生活雑貨がそろっています。

品ぞろえは10年ぐらいほとんどずっと変わらないのに、いつ行っても新鮮。カード類や、デザインがかっこいいご祝儀袋なども多種あり、ラッピンググッズも豊富なので、表参道でなにかちょっといい感じの贈り物を探すには最適のお店です。

スパイラルマーケットはこちら

SICFというアートフェスティバルも主催しており、中2階ではよく展覧会が行われています。

ちなみに、表参道駅の出口は全部で10ヶ所あるのですが、山下達郎さんの名曲「スプリンクラー」は、そのうち交差点付近の出口の階段を舞台に作られたそうです。

交差点付近というとA3出口かB4出口だと思うのですが、どちらなんでしょうね。歌われている風景を想像しながら、正解はどっちなのか考えてみるのもいいかもしれません。

■ 珈琲と読書が楽しめる、路地裏のカルチャースポット

アンデルセンからはてな新オフィスに向かうには、表参道の交差点からみゆき通りに入るのが最短ルートですが、ここで少し寄り道をしましょう。みゆき通りに入らず、交差点を渡って少し歩いてみます。

表参道交差点の老舗喫茶店

古めかしいビルの2階には、1975年から営業しているという珈琲の名店、大坊珈琲店。

店内にはハヤカワ・ポケット・ミステリ(あの縦長の新書サイズで、ビニールのカバーがついている、かっこいい本です)もそろっていて、読書好きにはたまらないムード。

あの川勝正幸さんも、このお店で珈琲豆を買っていかれることがあったそうです。

脇道に入ってもカフェがたくさん

お店の手前の脇道に入ってみましょう。黒磯の本店からスタートしたカフェの名店、SHOZO COFFEE STOREの新しい支店があります。

落ち着いた通りにはケーキ屋さん、キルフェボンも

少し進んだところにあるCABANE de ZUCCaの2階のカフェには、『暮らしの手帖』の編集長としても有名な松浦弥太郎さんがセレクトした本が並んでいるCOW BOOKSが併設されています。

写真でもわかるように、駅からすぐの場所なのに緑が多く、とても静かで雰囲気のある通りです。本当に短い距離を歩いただけなのに、名店と呼べる喫茶店が並び、珈琲とともに本があるお店もいくつか。

のんびりお茶しながら本を読む楽しみが、この小さな区画にぎっしり詰まっています。珈琲の香りの中で思いがけずお気に入りの一冊に出会えるかもしれない、文学の香りも漂っている通りです。

■ 最高にカッコいい建物が並ぶ建築好き垂涎のみゆき通り

ここで右に折れて、みゆき通りへ戻ります。実はこのみゆき通りは、表参道でも名物建築が立ち並ぶ面白い通りです。

実は文化系の定番!

建築好きの方は、次々と現われる名建築に目がクギ付けになってしまうかもしれません。目を奪われるあまり、歩道からはみ出ないよう気をつけてくださいね。

ファッションの聖地、COMME des GARÇONS青山店! 建物もかっこよすぎて入るのに覚悟が要りますが、文化系ファッションの定番でもありますよね。

PRADAの靴を買うならこちらで

次にそびえ立つのは、かの有名なPRADAのビル!

ロンドンのテート・モダンや、北京の通称「鳥の巣」と呼ばれている北京国家体育場を設計した建築家ユニット、ヘルツォーク&ド・ムーロンが手がけた、全面ガラス張りの建物です。夜に灯りがともると、光るハチの巣のような幻想的な雰囲気に。

おやつの殿堂、ヨックモック

さらに進むと、深く鮮やかな色の青いタイルが見えてきます。スイーツ()な文化に乗り切れなくても、みんな「シガール」は大好きですよね。その「シガール」で有名なヨックモックの青山本店はこんなにモダンな建物なのですよ。

この先の、小さな看板を見落とさないように気をつけてください。

文化系女子の神! ソニア・パークさんのセレクトショップ、Over The Counter。一対一のカウンター越しの接客がコンセプトになっているお店で、生活雑貨などこまごまと楽しいものがそろっています。

その右にある看板はユトレヒト。古本と新刊を同時に扱う独特の書店です。うう……なんという文化系選民地帯なのでしょう!

小さな看板にも注目

建築家・山下和正さんによるレンガ作りのフロムファーストビルには、都内初の今治タオルの直営店や、一生使える飽きない食器の代表格・白山陶器、そして地下足袋を現代的にアレンジしたSOU・SOUなど、シンプルシックな暮らしのアイテムがそろうショップがずらり。

長く使えて、飽きが来なくて、しかも実用的……はてなのデザインに通じるものがありますよね。

▽ フロム・ファースト・ビル~山下和正の建築: 木と建築への旅~高橋正勝のブログ

■ 芸術が爆発していたあの場所もここに! 表参道のアートな顔

緑がわさっと茂った岡本太郎記念館

このまま直進し、根津美術館前の交差点で右折すれば目的地なのですが、もうひとつ寄り道をしてみましょう。フロムファーストビルの角を右に曲がり、しばらく進むと……

みんな大好き岡本太郎! ここでは太郎のアトリエ兼住居だった場所を、そのままの形で見ることができます。

太郎の作品は日本中、至るところに散らばっていますが、ここは特に太郎濃度が高く、必見です。

▽ 美術館通りで旬の展覧会を満喫。 - 山種美術館(PDF)

さりげなく良いショップがたくさん

美術館通りを左折すると、さきほども登場したソニア・パークさんが、初めて「食」をテーマに作ったDOWN THE STAIRSがあります。大きなテーブルが真ん中にある、独特なスタイルの食堂。

交差点を渡ると、根津美術館。その隣のビルが目的地です。やっとたどり着きました!

はてな東京本店に到着!

はてな東京本店に到着!

まっすぐ来れば駅から5分ぐらいなのですが……。

■ 違いのわかる文化系はてなダイアラー&ブロガーの街・表参道

はてなのまかないランチで昼食をいただきます!

はてな東京本店が引っ越してきたのは、根津美術館の庭園が見えるオフィス。夕方には虫の声も聴こえるそうです。とても都内とは思えない環境!

表参道には流行のお店や一流ブランドもたくさんありますが、こうして歩いて見てきたように、意外と古い建物が多く、このオフィスのように静かで落ち着いた雰囲気です。

こだわりのある文化人に愛されてきた土地、それが表参道です。かつては同潤会アパートもありましたし、今だって「ほかとはひと味違うもの」をそろえたショップがこんなに集まっています。

誰もが飛びつく流行のお店が並ぶ渋谷とも、お金のあるセレブリティが買い物をする六本木とも違い、その中間に位置して、独特のセンスで集められた、伝統のある「違いのわかる文化系」の街。

そんな表参道は、なんとなくはてなのイメージにぴったりだと思いませんか?

▽ 株式会社はてな

東京オフィス移転記念の手ぬぐいは、先ほど紹介したショップSOU・SOUでも扱っているこだわりの伊勢木綿でした。

雨宮まみ(あまみや・まみ)

ライター。九州生まれロキノン育ち。守備範囲は「セックス&自意識&女のあれこれ」。女子としての生きづらさに真正面から向き合った初の単著『女子をこじらせて』に続き、初の対談集『だって、女子だもん!!』を上梓したばかり。はてなダイアリー「弟よ!」から、はてなブログ「戦場のガールズ・ライフ」に移転後も絶賛更新中。

写真:草野絵美
文: 雨宮まみ

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