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現在書いているもののまとめです

■書籍

『まじめに生きるって損ですか?』(ポット出版/2016年6月27日発売)



愚痴を聞く連載「穴の底でお待ちしています」の書籍化です。おひとりおひとりの方の愚痴が濃く、それに沿ってこちらも全力で言葉を尽くさなくてはならない連載になってしまいましたが、不思議と風通しのいい一冊になったのでは? と思っています。
わたしにもそういう本がありますが、落ち込んだときにふと開くような本になってくれたら嬉しいです。

 

 

『自信のない部屋へようこそ』(ワニブックス/2015年9月18日発売)


「モチイエ女子」のサイトの連載「理想の部屋まで何マイル?」に、大幅に書き下ろしを加えたものです。
「素敵な暮らし本のような暮らしに憧れるけど、挫折するよね……でも半歩だけでも前に進めたらいつかはかなりいい感じになれるかもしれないよね!?」というスタンスの本です。
あとがきでたっぷり書いてますが、この本のために自宅撮影が入ることになり、書き下ろしとともに部屋をどうするかで相当テンパりました。表紙の写真も我が家です。

個人的には、エッセイ修行になった感がすごくあった本です。こうした本はとても多く、もっとセンスのある人は山ほどいるし、片付け本とかもたくさんあるし、じゃあ自分はどうすればいいんだろう……と思っていたところに自宅撮影が来ることになり、もうウソもつけなければ盛ることもできない(写真はかなり素敵に盛っていただいてますが!)と覚悟を決めました。
気軽に読みやすい本を久しぶりに出せたような気がします。
網中いづるさんにイラスト、ワタナベアニさんに写真を担当していただいてます。


『東京を生きる』(大和書房/2015年4月22日発売)


大和書房のサイトで連載していた「東京」の書籍化です。
今書ける最善を尽くしました。読んでください。

 


『女子をこじらせて』(幻冬舎/2015年4月10日発売) 

文庫化されました。文庫版あとがきが加わっています。

解説は上野千鶴子先生にお願いしました。

『タカラヅカ・ハンドブック』(新潮社/2014年9月30日発売)

宝塚を好きになって約二年になります。「なんでこんなに好きなんだろう」「なんでこんなに楽しいんだろう」と考えに考えた宝塚の魅力について書いております。
わたし自身がファン歴が浅いこともあり、自分が最初戸惑ったこと、不安に感じたことや劇場案内などについても書いており、初心者の方や、未見の方を意識した内容になっています。
はるな檸檬さんのすばらしい1コママンガが一章ごとに入っておりますので、キャッキャした気持ちを共有したい宝塚ファンの皆様にも、お読みいただけるとありがたいです。

 

 

『女の子よ銃を取れ』(平凡社/2014年5月発売)


『ずっと独身でいるつもり?』(KKベストセラーズ/2013年10月発売)


(kindle版はこちらです↓)


『だって、女子だもん!! 雨宮まみ対談集』(ポット出版/2012年11月発売)峰なゆかさん、湯山玲子さん、能町みね子さん、小島慶子さん、おかざき真里さんと対談しています。

 (kindle版はこちらです↓)



『女子をこじらせて』(ポット出版/2011年12月発売)


(kindle版はこちらです↓)



■WEB連載

モチイエ女子『理想の部屋まで何マイル?』『私でもマンション買えますか?』(不定期更新)
http://www.mochiiejoshi.com/mj/


ココロニプロロ『穴の底でお待ちしています』(月一回更新)
http://cocoloni.jp/culture/24940/

夜オンナ(22:00〜朝までの間しか読めないサイトです)『恋と下半身』ペヤンヌマキさんと対談形式でお悩み相談に答えています。
http://woman.excite.co.jp/night/article/author/list/wn_mamimaki/

『40歳がくる!』

http://www.daiwashobo.co.jp/web/html/amamiya40/backnumber.html
バックバンバーのページを貼っていますが、最新回はサイドバーの「ESSAY」という部分をクリックして読んでください。

 


■雑誌

『音楽と人』(月刊 毎月5日発売)※土日などの関係で多少前後することもあります
『音楽とこじらせ系』という、こじらせた女子と音楽のつきあいかたについて書くコラムの連載です。1/2ページですが文字量けっこうあります。

 

『ウォーA組』(月刊 毎月2日前後発売)

熟女系AV女優さんのインタビュー連載をしてます。4ページ。

 

『DMM』(月刊 毎月22日前後発売)
AV雑誌です。ベテランの女優さん、引退後の女優さんにインタビューするページを担当してます。2ページ。


■単発

『仕事文脈vol.3』というミニコミで、「インターネットと有名税」という原稿を書きました。(amazonでも買えます)

幻冬舎『PONTOON』5月号の「忘れられないメロディー」というコーナーにコラム書いてます。2ページです。『Gimme Shelter』について書きました。

『上村一夫 愛の世界』という小冊子で、上村一夫について書きました。
(取り扱い店舗はこちらから http://www.kamimurakazuo.com/news/post_58.html)

■web連載終了

マイナビニュース『失恋の残りもの』
http://news.mynavi.jp/series/shitsuren/menu.html

大和書房ウェブ『東京』

http://www.daiwashobo.co.jp/web/html/amamiya/index.html

メンズナウ『AV監督への33の質問』
http://www.mens-now.jp/


マイナビニュース『ずっと独身でいるつもり?』(単行本に収録されていない回もこちらから読めます)
http://news.mynavi.jp/series/dokushin/menu.html

ココロニプロロ『女はみんな占いがお好き』

http://cocoloni.jp/ktai/15246/

死にたくなる夜のこと

死にたくなる夜というのが、やってくる。
たいていはそのたびに、薬を飲んで、寝ようとして、

眠れなかったり、でもほかのことでは気を散らすことができなかったり、

朝日がのぼるまでの時間を、苦しいまま過ごすことになる。

「死んでもいいですか?」と、誰かに訊きたくなる。

否定してほしいわけじゃない。死んじゃダメだと言われたいわけじゃない。心配なんか、かけたくない。
でも、その言葉は甘えだと、よくわかっている。

死んでもなにも起こらない。
あとに残された人がいろいろ面倒だろうから、申し訳ないだけで。
それでも、この苦しさがあとどれだけ続くのかと思うと、耐えられなくなって、
ベランダからじっと地面を見つめるときがある。

冷たい手すりを握って、いつでもこの苦しみと決別しようと思えばできるのだ、と心に言い聞かせる。

死んだら、みんな、「わたしたちと一緒にいる時間は楽しくなかったの?」と思うだろう。
「笑っていたけど、あれは嘘だったの?」「苦しんでいることに気づいてあげられなかったの?」
そんなことない。全部本当で、楽しくて、愛されていることも知っていて、ただ、わたしにはわたしの、どうしようもない傷がある、というだけのことなんだ。

時間が経てば、こんな傷、何も感じなくなるときが来る。
経験でわかっていても、人の心は、なぜこんなふうに揺れるようにできているんだろう。

「この先の景色を見たい」という気持ちが、わたしにはない。

いつも、ずっと、一度もない。
「この人と一緒の時間を過ごすには、残りの人生は短すぎる」と思ったことは、一度だけある。

誰かと出会ったり、ものすごい才能を見たり、ひどいものに触れたり、そういうことがあるたびにまた、あの冷たい手すりを握りしめて、「もうここまででいい」と思うんだろう。
いつも、手すりから引き返した日常を生きている。普通に笑って、話して、食べて、仕事をして。
そうじゃない日常が、どこかにあるんじゃないか。
手すりを引き返すなら、もっと、思い切り、もっと、何か、強烈な何かが欲しい。
たまらなくそう思うときがある。

感情が、すこし、過多なのだろう。

明日が、強烈な一日であるように。
「これでいいんだ」と思えるような決断ができるように。
引き返した先のほうが、ずっといいんだと実感できるように。

 

夜が過ぎるのを待つ。

新訳『風と共に去りぬ』

去年買っていた『風と共に去りぬ』(鴻巣友季子訳/新潮文庫/全5巻)を、
旅の行き帰りに読んだ。

翻訳ものの苦手なわたしが、全5巻もある本を買ったのは、
こんな名作を未読であることを恥だと思う気持ちもあったし、
宝塚で舞台版を何度も観ていて、それが大好きだったからでもあった。

買ったはいいけれど、物語の長さに気後れしたり、
集中して本を読む気分になれなかったりで、なかなか読めずにいたところ、
宝塚でリンカーンを題材にした舞台を観て、
南北戦争から連想し、この旅で読もうと決めた。

読み始めてみると、これは、長い物語を必死で読むようなものじゃなく、
朝ドラのように、毎日少しずつ「どうなってしまうんだろう?」とハラハラしつつ日常を読んでいくようなところのある、
重厚だけれど軽く、人の興味を惹く展開が絶え間なく用意されている大変楽しめる小説だった。
本といえば、ひと息で読むか、読みづらくて時間がかかりすぎるなら途中で放り出すか、どちらかの読書しかしたことのなかったわたしには、この読書がとても新鮮だった。

宝塚版が好きな人に保証できるのは、バトラー船長は原作でも非常に、いや舞台以上にセクシーで、もう手に負えないほど魅力的な男だということだ。
それが、たまのご褒美程度にしか登場しないんだから、たまらない。

あんな男とベッドを共にするのと拒むなんて、スカーレット……お嬢さんはちょっとどうかしてるんじゃないのかね!? とわたしがマミーに代わって言ってやりたいものだ(マミーはそんなことは言わないけれど)。

もちろん舞台にするからには、大きくはしょっている部分があるのだが、
(第一部、第四部はほぼ無視している)
最後の有名な一文は、宝塚では一幕の終わりに、スカーレットの不屈の精神を讃えるかのような、感動的な歌になって登場する。
物語の最後にこの一文を読むと、とても絶望的なフレーズに読めてしまい、
気絶したくなるほど切なかった。

舞台と違うところといえば、スカーレットは三度の結婚で三人の子供を得ているが、
それがまったく出てこないこと。
とはいえ、バトラーとの子供以外は、産んでもまったく興味ゼロという感じで、
夫のことも、子供のことも、ほんの数行しか書いてないんじゃない? というくらい、
途中までほったらかしである。
妊娠するたび、うんざりしている。
 

いつも話題にされるのはスカーレット・オハラという女性のことで、
そしてスカーレットは確かに面白い女に違いないのだけど、
読んでいると、スカーレットも自分であり、メラニーも自分であり、
アシュレも、バトラーも、みんながみんな、自分の思うようなことを思っている、と感じる瞬間がある。
全員のことが他人事ではなくなっていく。

スカーレットは、時代の流れの中で、一家の長として父のように

周りの人の食い扶持を心配し、どんなことをしてでも飢えさせないよう心を砕く。
金至上主義のスカーレットは、非常に現代的で、
理想と、食べていくための現実がせめぎあうあたりも、この物語は今の物語のようでもある。
夫婦関係や、人付き合いについても、今も目を向けるべき真実が書いてあると思う。

と、りっぱなことを言っているようだけど、時代が劇的に変わってゆく中で、
怖いものなんかもう知り尽くしてしまった女が、これまでの美徳をかなぐり捨てたり、
怖がりだった女が、必要なときには勇気を発揮し、美徳を守り続けたり、
いつか、どうでもいいと思って捨ててきた良心や美徳をなつかしく思うときが来たり、
人生でいったい、何をどう選んでいくのが良いのか、考えさせられる本でもあった。

今で言うと、炎上商法みたいなことをやってる女なのだ。スカーレットって。
「だってお金が欲しいんだもの。お金があれば素敵なドレスも、豪華な家も建てられる!」
こんな暴れ馬みたいな女を、レット・バトラーは愛し、金だけでは得られないもののことを考えている。
そして、こんなスカーレットと、本物の貴婦人と呼ばれるメラニーの奇妙な友情は、ずっと、続いていくのだ。

他人は、決して、思い通りにならない。
そして、他人に決して、自分が望むような衣装を着せて、その幻をあがめるようなことをしてはいけない。

ああ、そんなつまらないことが言いたいんじゃなくて、ただ、この、とてつもなく面白い物語を読んだ喜びを、わたしは今、かみしめている。

 

贅沢なバッグを買った話

15年前、わたしは今より、建設的な人間だったと思う。

投げやりなところはあったが、未来には、いいことが必ずあると信じていた。

刹那的なところ、退廃的なところが、年々増してゆく。
世の中にポジティブな思想がたくさんあふれていて、そうありたいと思うのに、
いい人でいたいと思うのに、
気づけば毎日、目に入るもののほとんどが嫌いだし、
簡単に言えば、うんざりしている。
未来のことは、考えたくもない。

 

15年前、わたしは、いつか高いブランドのバッグを手に入れたいと思っていた。
いつか、これだと思うものが見つかったら、買おう。
そして、大事に使おうと思っていた。

そう思ってから15年の間、
自分よりもぜんぜん若い人、あとからデビューした人、
みんな、当たり前のようにブランドバッグを持っていた。
「いつか」なんて思ってたけど、値段を見ると、とても買えなかった。
度胸がなくて、怖くて、一生ものなんて決められない、どうでもいい、と逃げ出したくなった。

でも、人がいいバッグを持っているのを見るたびに、
「自分には、あんなバッグは買えないんだ」
「センスもないし、選ぶ勇気もないんだ」
と、小さく、卑屈な気持ちになっていた。
そんなふうに感じる自分が、とても嫌だった。

バッグを買うだけで、そんな気持ちと手が切れるのだったら、買おうと思った。

そして、気に入ったバッグに出会った。
GUCCIの、花と鳥の中国風の柄の入ったバッグで、
これを買うのがどういうことかというと、
ヴィトンのグラフィティ柄のバッグを買うようなことだ。
定番として長く使えるバッグとは言えないような、

そういうバッグである。

でも、すごく好きで、
買ってみようと思った。

銀座のお店に行ってみたら、そのバッグがあった。
いちおう、他の美しいバッグも見た。
もっと長く使えそうなもの、もっと凝ったもの、
もっと高級感のあるもの、たくさんあった。
でも、やっぱりこれだ、と思った。

今だけの流行でもいい。
今しか使えないバッグでもいい。
わたしは、先のことなんか、考えない。
いつまでも使えるバッグなんか、どうでもいい。
いま、いちばん好きなバッグを持ちたい。

わたしは、今を生きるんだから、これでいい。これがいい。

「これにします」と言ったとき、
店員さんが、
「うちは、他の店舗より1日早くこのシリーズを店頭に出しています。今日からお店に置いています。
お客様は、日本でこのバッグを買われた、最初のお客様になります」
と言った。
「わたしも、初めてのGUCCIです」
と言うと、
「それは光栄です」
と言って、どう見ても庶民のわたしに、丁寧に接客をしてくれた。

「セックス・アンド・ザ・シティ」の映画で、
バッグのレンタルばかりしていた、キャリーのアシスタントのルイーズが、
初めて自分のルイ・ヴィトンを持った場面を思い出す。

自分がこれまでしなかったこと、
できないと思っていたこと、
できるんだったら、そんなことで小さな卑屈さや劣等感が消えるなら、
どんどんすればいい。

わたしは、もっと定番のバッグを選ぶ人間だと思ってた。
賢い選択をする人間だと思ってた。
でも、違った。
こういう人間だった。

そういう些細なことが、
「自分はこうだ」と、自分を檻に閉じ込めるような気持ちを、
打ち破ってくれる。

鬱病未満の鬱屈とした人生に

春日武彦先生の『鬱屈精神科医、占いにすがる』(太田出版)という本が出た。



春日武彦さんのほかの本を読んだことがない人にとっては「ふうん」という感じのタイトルかもしれないが、

読んだことのある人には、かなり衝撃のタイトルである。
「あの、明晰で、ちょっと皮肉屋で、占いなんていちばんバカにしてそうな春日先生(一部偏見です)が、占いに!?」
タイトルを見たとき、ものすごい不穏な空気を感じた。
「あんな人が、占いにすがるなんて、よっぽど弱っていらっしゃるのでは……」
怖かった。

開いてみたら、自分のための本だった。

冒頭を引用してみる。

「不安感や不全感や迷いーーそういった黒々として不透明なものが心の中に広がってくると、耐え難い気分になる。我慢にも限度があるし、努力で乗り越えられるくらいならばそもそも問題にならない。無力感と苛立ちとよるべなさに、打ちひしがれる。

 気分転換を図ろうにも、それが気休めに過ぎないことが分かっているから踵を返してしまう。いっそ心の病気であったなら、よほど割り切ることができそうだが、病的ではあっても病気ではないらしいところがかえって出口のない事態に思える。向精神薬を服用することで、抗生物質が細菌を駆逐するように心の中の不透明なものを払拭してくれればいいのに、そんなハッピーな顛末など期待できないことは、仕事柄、熟知している。」
(※タイトルでおわかりでしょうが、春日武彦さんは精神科医です)

このあとに、物欲や性欲のあるうつ病は医学的にありえない、という話が続く。「病気ではない病的な生活」のつらさと、それを解消するための春日先生の試行錯誤と自己分析が続けて書かれていく。

わたしは、自分がまさしく、このような状態である。
物欲も性欲もある。元気なときは動ける。しかしだめなときは家から出られない。
ただの怠け病とか、気分の問題でしかないのだ、と思うから自分を責める。
楽しみにしていたことでさえ、出られないときは出られない。無駄にしたチケット、キャンセルした飲み会、お世話になっている知り合いのイベント、そういうことを思い出すと罪悪感ともったいなさで死にたくなってくる。
でも、「取材に行けなかった」ことはないので、病気ではないと思う。
化粧もできないまま、家を出るのが嫌でぐだぐだしていても、タクシーに乗ってでも取材にはなんとか行っている。

自分のだめさには、甘えがあるし、春日先生とは違うとはっきりわかるけれど、
それでも、春日先生の通ってきたきつさ、しょうもないけれどこたえる出来事のディテールを読むにつけ、
たまらない気持ちになる。

人が落ち込んでいるときに、
「なんでそんなことで」と言う人がいる。
それが効くときもあるけれど、
たいていの人のダメージは「なんでそんなことで」で起こるダメージなんじゃないかと思う。
その「なんでそんなことで」の詳細が丁寧に解きほぐされ、分析されていく。
わたしにはその過程が、「なんでそんなことで、人は生きる気力を失いかねないほど落ち込んでしまうのか?」という問いに近いと思えるし、
それはそのまま、
「人はなぜ、何のために生きるのか」という問いに近いと思える。

内容はもちろんのこと、春日先生の筆致が、今回は特に素晴らしい。

自分の恥部をえぐるような話を淡々と書かれている。
淡々と真面目な文章なのだが、それがすごいユーモアになっていて、
「書き手には『精神科医枠』というものがあって、自分はそれに入れてもらってるだけだ」というような内容の箇所など、笑ってしまった。

精神科医枠なんかじゃない。書き手としてすごい。
わたしのような、甘えて鬱々とした人間は、
季節の変わり目だから死にたくなると言い、
5月だから死にたくなると言い、
日差しがまぶしすぎて死にたくなると言い、
冬は冬期うつが来るなどと年中ほざいているが、
この冬はこれを読んでいればいいのだ。

『劇場版テレクラキャノンボール2013』を観た人に勧めたい次の一本

今年の2月、オーディトリウム渋谷での公開を皮切りに、全国津々浦々で連日満員、異例のロングラン上映となっている『劇場版テレクラキャノンボール2013』。
この作品の感想で、「AVとは思えないほど面白かった」とか、「AVの枠を超えて面白かった」という類のものを見るたびに、「そうじゃなくて、カンパニー松尾監督は、ハマジムは、ずっとこういうものを撮ってきてたし、これだけじゃないんだよ!」という気持ちを持っていました。

それで、せっかくですから『テレキャノ』が面白かった! もっと何か観てみたい! と思われた方に、ちょっといろいろおすすめしてみたいと思います。

 

■『テレクラキャノンボール』関連DVD
まずは劇場版ではない、AV版『テレクラキャノンボール2013』。

おいしいところは劇場版に詰まってる、と言ってもいいのですが、この2枚組10時間版はすごい臨場感があります。劇場版の笑いを誘う演出が不愉快だと感じられた方もいらっしゃったようですが、こちらをご覧になれば、もともとはそういう意図で撮られたものではないことがよくわかると思います。そして、劇場版がいかに劇場を意識し、別の作品だと言ってもいいほどきっちりと編集し直されているか理解でき、その手腕に震えます。ドキュメンタリー、映像編集などに興味のある方は特に見比べてみると面白いと思います。


こちらは『テレクラキャノンボール2013』本編には収録されていない部分を収録した『裏テレクラキャノンボール2013』。「あのあといろいろどうなった!?」と気になる方はこちらをどうぞ。



「『2013』ってそもそも何? 毎年やってんの?」と思われた方、前回のテレクラキャノンボールは2009年に行われています。南下していくコースです。
参加メンバーは、カンパニー松尾、バクシーシ山下、ミスターX、アキヒト、ビーバップみのる(敬称略)の5名。

テレキャノ2013にしびれた人にいちばん観てほしいのはこの作品です。初見時、私は号泣しました。

さらに歴史を振り返りたい、若き日の松尾さんを観たいという方にはこちら。


青春っぽいし青いし熱いし、メンバーは違えどこっちはこっちで最高です。でもこのときと比べるとどんだけ撮るの上手くなってるかというのが死ぬほどわかります。また、『テレクラキャノンボール』というタイトルに対する参加メンバーの思い入れの根源も理解できると思います。


■『テレキャノ』参加監督のHMJM作品
去る2013年12月6日に、渋谷のUPLINKで「ハマジム10周年記念イベント」というのが行われました。その際に、各監督が選ぶ自作BEST3が発表されました。あくまでも2013年末での自選BESTですが、ご参考までに。

・梁井一監督


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PRIVACY MIKI | SHOP | HMJM | 面白いAVはここにある | ハマジム


面接ドキュメント 通りすがりのAV女優2 全員初出演!全員巨乳編 | SHOP | HMJM | 面白いAVはここにある | ハマジム

梁井監督からはこの三本です。私の方から付け足させていただくとすれば、梁井監督がHMJMで初めて撮ったこの作品です。18歳のジュンさんの自宅にお邪魔して、ダラダラ昼夜を問わずセックスしまくる作品です。すごく梁井さんのキャラクターがわかる一本です。


18歳、ジュン | SHOP | HMJM | 面白いAVはここにある | ハマジム


・タートル今田監督


初恋 愛里ひな | SHOP | HMJM | 面白いAVはここにある | ハマジム


ゆうあ ふたたび | SHOP | HMJM | 面白いAVはここにある | ハマジム


美熟女ドキュメント 風間ゆみのすべて | SHOP | HMJM | 面白いAVはここにある | ハマジム

『テレキャノ2013』では「ハトの人」などと呼ばれてふびんだった今田監督ですが、あれが実力だとは思わないでいただきたい。ハメ撮り隊長・カンパニー松尾の刀が折れかけている今、ハメ撮り力が最も強いのは今田監督です。あまりにねちっこく激しいセックスが熟女女優さんの間で「ねぇねぇあなた、今田さんと撮影した?」「すっごいわよねぇぇ!」と評判になっているとかいないとか……。
このBEST3に異存はないですが、今田監督とのラブラブ気分を味わいたければ『ゆうあ、ふたたび』を、がっつりエロいハメ撮り中心でお願いしたい、ということであれば『風間ゆみのすべて』を推したいところです。ただ、『風間ゆみのすべて』は、基本今田さんのハメ撮りなのですが、1パート佐川銀次さんのハメ撮りが入っている(これもたまらなくいいです!)ので、「1本まるまる今田さんがいい!」という方は、『○○のすべて』シリーズは基本的に今田さんのハメ撮り中心で、テンションの高い濃厚セックス作品が多いので、サンプルを観ながらお好みのものを選んでみてください。

『風間ゆみのすべて』は、風間ゆみさんが普段見せないようなかわいらしい姿をお見せになっているので、風間さんのファンの方や、どのような女性像を目指せばいいのかお悩みの30代女性にもおすすめしたいです。風間さんは18歳からAV女優をやってらして、現在35歳なのですが、めちゃくちゃ色っぽくて、若さを目指してないのにすっごいかわいいんですよ。自分のすれた心がいやんなるくらい、フレッシュなんです。


・カンパニー松尾監督


僕の愛人を紹介します | SHOP | HMJM | 面白いAVはここにある | ハマジム


YOGA | SHOP | HMJM | 面白いAVはここにある | ハマジム


世界弾丸ハメドラー TANGO 地球の裏側で愛を踊る 真奈美 | SHOP | HMJM | 面白いAVはここにある | ハマジム


松尾監督のセレクトは、「俺の印象に残った旅」中心のセレクトのようです。個人的には『YOGA』は、インドまで行ってるので面白いんですけどエロさ的にはあまり……という感じがしますし、『世界弾丸ハメドラー TANGO』は、ウォン・カーウァイの『ブエノスアイレス』オマージュであり、松尾さんちょっとマジ惚れ気味ですかね!? みたいな作品です。『僕の愛人を紹介します 唯愛』は、大友唯愛さんがちょっと澄ました大人のイイ女ムードでこれがまた、もう! なんすか! あんな服でロングフライト経験したことないっすよ! という板についたイイ女ぶりでたまらないです。

ただ、松尾監督本人のことがもっと知りたい、という人には、『私を女優にして下さいAGAIN』シリーズをおすすめします。


私を女優にして下さいAGAIN14 | SHOP | HMJM | 面白いAVはここにある | ハマジム

これが最新作で、テレキャノその後が描かれている作品でもあります。


【DL版販売中】私を女優にして下さいAGAIN13【高画質】 | SHOP | HMJM | 面白いAVはここにある | ハマジム

 

こちらは松尾さんがずっと撮り続けている、ミュージシャンの豊田道倫さんのライブを追いかけながらのハメ撮り旅。

 

正直、カンパニー松尾監督作品はいろいろとこう、これのここがエロいとか、これのここがぐっと来て泣くとか細かくあって説明しきれないのですが、『私を女優にして下さいAGAIN』シリーズをどれか一本観ていただければ、ニュアンスは理解していただけると思います。いいときも悪いときもあるし、うまくいくときもいかないときもあるけれど、それを日記のように撮り続けているのがこのシリーズです。

松尾監督は『世界弾丸ハメドラー』(女優さんと二人きりで世界のどっかに旅しながらハメ撮りする作品)も、ロードムービーっぽいのでおすすめです。

■HMJM以外の『テレキャノ』参加監督作品
・ビーバップみのる監督


僕と企画女優の生きる道 京本かえで - アダルトビデオ動画 - DMM.R18
(amazonにもあるのですが、中古かプレミア価格の新品なので、動画DLできるのを貼ります)

ビーバップみのる監督が、京本かえでさんという女優さんの家に転がり込み、ヒモ生活を始めるドキュメンタリーです。『テレキャノ』であのキャラクターに惚れ込んだ人は、好きな作品だと思います。みのる監督には『ナンパ☆第三世代』というナンパシリーズもありますし、最近では『淫語痴女』などの淫語ものを精力的に撮影されています。

詳しくはみのる監督の所属AVメーカー、ドグマのwebサイトで観てみてください。監督名でしっかり検索できます。DMMでも取り扱いあります。

http://www.dogma.co.jp/


・嵐山みちる監督
みちる監督はh.m.pというメーカーの監督さんです。基本的に自分が出てハメ撮りをすることはありません。が、『テレキャノ』での神谷まゆさんとの関係が気になっておられる方もいらっしゃると思います。


みちる監督のご本人出演はありませんが、「普通の女の子の日常」をテーマに撮影したこの作品が、神谷さんを撮影した作品の中では評判が高いです。

こちらは、監督はカンパニー松尾さんなのですが、神谷まゆさんの引退作で、1パート嵐山みちる監督とのハメ撮りがあります。


カンパニー松尾×神谷まゆ さよならh.m.p編 - アダルトDVD通販 - DMM.R18


■バクシーシ山下監督
山下監督は、HMJM所属なのか所属でないのか微妙な感じで、HMJMから出ている作品はこの二本です。


裸の部屋 | SHOP | HMJM | 面白いAVはここにある | ハマジム


アテネマラトン | SHOP | HMJM | 面白いAVはここにある | ハマジム

 

過去の名作は、DVDで再発されているものもあります(こちらで確認できます)。

::: V&R PLANNING :::

しかし、圧倒的に再発されてないものが多いので、こちらの動画DLサイトから探すほうがいいかもしれません。が、このサイト、探しにくい……!

https://www.vandr.net/list.php?top=1


以上、かなりざっくりしたご紹介ですみませんが、とりあえず早くテレキャノを知った人になんかもっといろいろあることを伝えたいだけですので、探す際のヒントにでもしていただければ幸いです。

『女の子よ銃を取れ』

5月22日に『女の子よ銃を取れ』(平凡社)という本を出しました。

これは、書籍にすることを前提に、webでの連載が始まりました。

始まったのは2012年9月。この日のことを、わたしはよく覚えています。
『女子をこじらせて』に続く対談集『だって、女子だもん!!』の刊行準備をしていた頃で、わたしは『だって、女子だもん!!』の打ち合わせでポット出版へ行き、その近くのカフェで、最初の原稿が平凡社のwebサイトにアップされるのを、iPhoneでずっとチェックしていました。
アップ予定時間は12時。更新された瞬間、平凡社の公式Twitterより早く、更新告知をしました。

早く読んでほしい、と強く思っていたからです。

『女子をこじらせて』以降、さまざまなリアクションがありました。
「今まで苦しかった。その苦しみの正体が『こじらせ』という言葉でわかった気がする」というリアクションや、「こじらせを直し、乗り越えていくには、どうしたらいいですか?」という質問も受けました。
「こじらせ女子」というものに対し、「人を妬んで僻んで、自分では何の努力もしない人間のことでしょ?」という、ネガティブな偏見をぶつけてくるようなものもありました。

「雨宮は見た目が普通だから、こじらせているはずがない」というバッシングもありました。

 

でも、わたしにも「自分がスカートなんかはいちゃいけない」「ヒールなんかはいちゃいけない」「化粧なんかしてはいけない」と思っていた時期はあったのです。そういうのは「女らしい、素敵な女性がすることだから、わたしなんかが踏み込んではいけない世界だし、踏み込んだら嘲笑される」と感じていたのです。
「美しさ」というものから、自分は拒まれていると強く思い込んでいました。
その壁を壊すには、長い長い時間が必要でした。極端なこともしたし、あらゆる方向に暴走もしました。
今でも、その深い深い穴に、すとん、と落ちてしまいそうなときはあるし、実際に落ちることもあります。

 

なぜ、そんなふうに自分は抑圧されていて、自分で自分を抑圧していたのか。
それを考えてみようと思ったのが、始まりでした。


わたしよりファッションに詳しい人は、山ほどいます。どうすればきれいに見えるかアドバイスできる人も。
でも、わたしはそれ以前に、自分のように「美しさ」を求める世界から「拒まれている」と感じている人のための文章を書けたら、と考えました。
昔の自分が、そうした文章に勇気づけられたように、
一歩踏み出す気持ちになれるようなものを書きたい、と思っていたのです。

「美しさ」というのは、誤解を生みやすい言葉ですが、

わたしはこの本の中で、「美しさ」というものを、その人本来の姿や魅力として考えています。
飾り立てなくても、ヒールをはいたりしなくても、その人がその人らしく、居心地よくしている状態になれること。劣等感や女失格、みたいなつらい気持ちに縛られずにいられる状態を目指すことを、本の中では目標にしています。

この連載を始めたとき、なぜあんなに必死に公開を待ったかというと、
この連載が、自分にとって、新しい挑戦になると思っていたからです。
2012年、2013年、さまざまな原稿を書きましたが、
それまで自分の中になかった文体や、文章を書く連載、という意味では、
この『女の子よ銃を取れ』と『東京』という連載が、大きな二本の柱でした。
「自分はいま、新しいチャレンジをしている」ということが、約二年の間、私を支えてくれたと思っています。

自分を拒む扉なんてないこと、一歩踏み出すことはそんなに怖いことじゃないこと、
魅力のない人間なんて一人もいないこと、
そういうこと、ただ言葉にすれば、とてもうすっぺらくなってしまうそうなことに、

なんとか説得力を持たせるために、一冊を費やしたような気もします。

いま、一冊の本になって、よかったとほっとしています。
好きな本かも、と感じた方は、ぜひ読んでみてください。
よろしくお願いいたします。