肩の1分体操 「菱形筋」を刺激して腕が上がる・回るようになる!
第3回 肩甲骨を後ろに寄せ、コリや痛みを解消
田中美香=医療ジャーナリスト
左右それぞれ約5kgもする腕を常にぶら下げている肩。年齢を重ねるごとに、肩こりや五十肩など、肩のつらい症状で悩む人も増えていくが、これらは肩のインナーマッスルである「菱形筋」の働きが弱いために起きている可能性が高い。自由自在に動かせる肩を取り戻すために、毎日手軽に取り組める「肩の1分体操」を紹介しよう。
『首、肩、腰の痛みに効く! 1分体操』 特集の内容
- 第1回首、肩、腰の痛みを解決! 正しいインナーマッスルの使い方
- 第2回首の1分体操 「頸長筋」を目覚めさせて首の痛みを軽減!
- 第3回肩の1分体操 「菱形筋」を刺激して腕が上がる・回るようになる!←今回
- 第4回腰の1分体操 「腹横筋」と「多裂筋」を自在に動かし腰痛を解消!
五十肩など肩の痛みは「菱形筋」の働きの弱さが一因
首、肩、腰の痛み、コリなどの不快な症状の解消法を紹介する本特集。ポイントは、体の奥深くにある「インナーマッスル」を働かせることだ。第3回は、「肩」について解説しよう。
第2回で述べた通り、私たちは両肩から左右5kgずつ、計10kgもする腕をぶら下げている。年をとるごとに肩こりがひどくなる上、中高年になれば「五十肩(肩関節周囲炎)」を経験する人も少なくない。
これらの症状は、肩の「菱形筋(りょうけいきん)」の働きが弱いせいで起こっていることが多い。菱形筋とは、背骨と肩甲骨をつなぐインナーマッスルのこと。左右の肩甲骨を中央へと引き寄せ、安定させる役割を持っている(図1)。
肩甲骨は、実は骨に連結されているわけではなく、宙に浮いたような状態で筋肉に支えられている。そのため、菱形筋を正しく使わないと肩甲骨が不安定になり、アウターマッスルの僧帽筋に負担がかかる。僧帽筋の上部を使い過ぎて損傷するのを繰り返すうちに、回復が追いつかなくなり、首・肩の慢性的な痛みやコリに発展してしまう。