重要な筋肉ほど加齢で減る! 「悪い姿勢」も固定化、スロトレで鍛え直す
第2回 ポイントは、速筋線維と遅筋線維をバランスよく鍛えること
柳本操=ライター
背骨が丸まり下腹がぽっこりと出た“老け見え姿勢”。そんな姿勢が常態化して生じる肩こりや腰痛といった不調。これらを「年のせいだから仕方ない」と放置していないだろうか。「50代以降から、筋肉の減少には拍車がかかり始め、これが姿勢の悪化を加速させ、さまざまな不調の原因にもなっていきます」と、筋肉と全身の関係を長年研究する東京大学名誉教授の石井直方氏は言う。なぜ私たちが知らないうちに姿勢は悪化していくのか。今回は、加齢による姿勢悪化のメカニズムと姿勢の維持・改善のための筋肉の鍛え直しのポイントについて詳しく聞いていく。
『筋肉博士直伝!「姿勢改善筋トレ」』 特集の内容
- 第1回筋肉博士に聞く!「姿勢改善筋トレ」で若見え、メタボ改善、便秘解消
- 第2回重要な筋肉ほど加齢で減る! 「悪い姿勢」も固定化、スロトレで鍛え直す←今回
- 第3回キング・オブ・エクササイズで筋肉を効率よく鍛える! 姿勢も改善
下腹ぽっこり、つまずきやすいのも「姿勢悪化」の一症状
気がつくと猫背になり、あごを前に突き出した老け込み姿勢でスマホを眺めてしまっている。歩いているときに何もない場所でつまずくことが多くなってきた。慢性的な肩こりや腰痛も気になる…。こうした現象を、「年のせいだから」「避けようがない不調だろう」などと半ば諦めているあなたは、ぜひこの機会に「姿勢」をイチから見直してみてはどうだろうか。
重たい頭を支えながら二本足で立つ私たち人間は、不安定な重心を支えるために常に全身の骨格、関節、筋肉を微調整している。
しかし、「姿勢を維持するために必要な筋肉は加齢の影響を受けやすく、年をとるとともに細く、弱くなっていきます。こうした加齢に伴う変化に加え、悪い姿勢を修正することなく放置していると、筋肉は“姿勢を維持する”という自分の本来の仕事を忘れ、良い姿勢を維持することがどんどんできなくなっていきます」と、「筋肉博士」として知られる東京大学名誉教授の石井直方氏は言う。
そして、前回解説した通り、悪くなった姿勢は、腰痛や肩こりなど、体のさまざまな慢性的不調の要因となってしまう。
そのため、ある程度の年齢になったら、改めて自分の姿勢を客観的に把握することが必要だ。自分では良い姿勢を保てているつもりでも、案外できていないことも多い。
前回は、「寝転んだとき」と「壁に背をくっつけて立ったとき」にできる簡単な姿勢チェックを紹介したが、今回はさらに踏み込んで、自身の姿勢の悪化についてさまざまな角度から振り返ってみよう。次に挙げる項目で当てはまるものが多い人は、姿勢の維持に必要な筋肉が衰え始めている可能性があるので要注意だ。
●姿勢を支える筋肉の衰えチェック ☆いくつ当てはまる?
□ 下腹部がぽっこり出てきた
□ 姿勢が悪いとよくいわれるようになった。猫背である
□ お尻が薄く平べったい。垂れてきた
□ 普段はほとんど運動をしない生活だ
□ 歩いているときに何もないのにつまずく
□ 階段はしんどいのでエレベーターやエスカレーターを使う
□ 以前に比べて歩く速度が遅くなった
□ 肩こりや腰痛がある
□ 冷え性である
□ 正座をするのが苦痛である
□ イスに深く腰掛けるのが苦痛で、背中をもたせかけて浅く座る
●判定
・5個以上……姿勢を支える筋肉の衰えがかなり進行している
・1~4個まで……すぐには問題のないレベルだが、放置すると姿勢はさらに悪化する可能性が大!