前回記事「『そんなに食べていないのにやせない』人が、まずやるべきこと」では、「太ることを警戒して食べる量を減らし過ぎると、かえって肥満を招く」という話をした。代謝のいい体をつくるためのステップ1は「食事のリズムを見直す」ことだったが、今回はステップ2の「食事の内容を見直す」と、ステップ3の「不足している栄養素を補う」について解説する。食べる量を減らさずに内臓脂肪を減らすダイエット法に詳しい管理栄養士の小島美和子さんらに話を聞いた。
おやつがやめられない人は栄養バランスを疑って
「お菓子を食べたいからごはんは食べない」「お酒を飲む日はごはんを抜く」。こんなふうに、間食や飲酒をごはんと置き換えていないだろうか?
「これらは、エネルギーだけなら交換できますが、栄養素的には全く交換できません。1日の摂取エネルギーの中で、食事以外の割合が増えるほど、栄養バランスは悪くなり、結果的に内臓脂肪が増えてしまいます。栄養バランスに悪影響を与えないお酒と間食の量は、両者合わせて総摂取エネルギーの1割までです」(小島さん)
「甘いものがやめられない」という人は、栄養素やエネルギーが不足していることが多いと小島さん。栄養素やエネルギーが不足した状態だと、すぐにエネルギーになる糖を欲するようになるのだという。
「こういう人には、『甘いものをやめましょう』ではなく、『3食きちんと食べましょう。太らないから心配しないで』とアドバイスします。実際に、食事をきちんと食べるようになると、甘いものが欲しくなくなるケースが多い」という。
甘いものがやめられないときは体が正常な状態ではないと考えて、それらをがまんしようとするより、食事の量や内容を見直したほうがいいと小島さんは言う。
最優先はエネルギーの確保
そもそも栄養バランスのいい食事とは何だろう。野菜をたくさん食べること? と思いがちだが、何から改善したらいいのだろうか。
「栄養バランスを整える際の優先順位は、まず、エネルギーの確保です。エネルギーに変わるのは、たんぱく質、脂質、炭水化物(*1)の三大栄養素だけ。エネルギーがない状態で他の栄養素をとってもうまく機能しません。三大栄養素がバランスよくとれていると、ビタミン、ミネラルなどの微量栄養素が効果的に機能します」(小島さん)
最近、やせるために糖質を制限している人が多いが、小島さんは、食事の総エネルギーのうち、60%を糖質でとることを勧めている。
糖質をとるべき、これだけの理由
「食事の糖質を減らし過ぎると、体は筋肉を削ってたんぱく質から糖をつくり出し、エネルギーにします。すると、筋肉が減って基礎代謝が落ち、太りやすい体になってしまいます。糖質制限で体重が減っても、減った中身は脂肪だけでなく筋肉が含まれているので、リバウンドしやすいのです」(小島さん)
また、人は食事をとって血糖値が上がることで満腹感を得ているため、糖質をとらないと血糖値が上がらず、満腹感が得にくくなるという。それが過食を招く要因にもなると小島さんは指摘する。
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