盛夏を過ぎると急増! つらい夏バテはこう乗り切る
食事のポイントは「香り」と「彩り」、今日からできる5つの対策
梅方久仁子=ライター
夏の盛りも過ぎて、そろそろ食欲の秋が近づいて来たというのに、なんだかだるくて食欲が出ない…。そんな体調不良に悩んでいる人はいないだろうか。夏の間に少しずつ積み重なった胃腸の疲れや自律神経の乱れが、「食欲低下」や「だるさ」という形で表に出てきたものが、夏バテ。つまり、お盆を過ぎて秋へと向かうこの時期は、夏バテが最も増える時期なのだ。
つらい夏バテをどう乗り切ればいいか、管理栄養士としてテレビ出演や書籍監修、講演活動など、幅広い分野で活躍する新生暁子さんに、食事を中心とした対処法を聞いた。
夏バテは、自律神経の乱れと栄養不足の悪循環
夏バテとは、夏の暑さが元になって起こる体調不良の総称で、食欲不振、疲労感、倦怠感(だるさ)などが代表的な症状だ。「夏バテの主な原因は、栄養不足(栄養バランスの偏り)と自律神経の乱れ。そこには、様々な要因が絡み合っています」と新生さん。
まず、自律神経の乱れ。「暑い夏は、汗をかいたり血管を広げたりすることで、熱を外へ逃がし、体温を調節しています。この調節を行っているのが自律神経なのですが、炎天下と冷房の効いた室内を行き来することの多い現代は、1日に何度も体温調節を繰り返さなければならず、自律神経のバランスを崩してしまいます」(新生さん)。
自律神経は胃腸の働き(消化・吸収)もコントロールしている。自律神経が乱れると、胃腸がうまく働かなくなり、消化不良を起こして食欲が落ちてくる。また、暑さのあまり冷たい飲み物をがぶ飲みしていると、胃液が薄まって、消化能力が落ちてしまう。これも食欲不振の原因となる。胃腸の働きが低下すると、連動して働く自律神経の働きがますます悪くなり、胃腸の働きもさらに弱まって…という悪循環が生まれる。
食欲がなくなり、食べる量が減ると、栄養全般が不足してくる。栄養が不足すると、当然、疲れが取れず、元気も出ない。
さらに、大量の発汗も追い打ちをかける。「実は、汗にはビタミンやミネラルも多く含まれています。汗は目に見えて流れ落ちるだけではなく、皮膚からも直接蒸発していきますので、汗をたくさんかく夏は、ほかの季節よりもビタミンやミネラルが失われがちなのです」(新生さん)。ビタミンやミネラルは、炭水化物や脂質、たんぱく質が体内でエネルギーに変わる際に不可欠な栄養素。これらが不足すると、炭水化物や脂質、たんぱく質を十分にとっても、エネルギー源として効率的に利用できなくなり、スタミナ不足を招いてしまう。
夏らしい食べ物の食べ方にも問題がある。そうめん、蕎麦のような、冷たくてのどごしがよい麺類は、ほとんどが炭水化物だ。具の少ない麺類ばかりを食べていると、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなど、他の栄養素が不足しがちになる。
夏バテは、このような悪循環が複合的に時間をかけて起こってくる。だから、真夏よりも、暑さも盛りを過ぎた頃に表面化しやすくなるわけだ。まだ夏バテを感じていない人も、体の中で“隠れ夏バテ”が進んでいるかもしれないので、この時期は体調の変化に十分に注意したい。次ページから、夏バテを乗り切る以下の5つの対策を詳しく紹介しよう。
- まずは3食しっかり食べる
- 「香りのある料理」を選び、1日の食事で「6つの色をそろえる」
- お酒はほどほどに、水分補給とおつまみを忘れずに
- 軽めの運動と入浴で、乱れた自律神経を整え、代謝を高める
- 飲み物は1日1.5Lが目安、飲みすぎは胃に負担が