新人研修に「瞑想」を導入、社員にストレス対処法を伝授する大和証券G
武田安恵=日経マネー
看過できないメンタルヘルス問題の対応に、企業が本腰を入れ始めた。大和証券グループの事例を紹介する。同社は、従業員自身がストレスにうまく対処しネガティブな思考から脱することができるよう、マインドフルネスを研修に取り入れている。
今や誰もが直面する可能性のあるメンタルヘルスの問題に対し、企業はどのようなアクションを取ればいいのだろうか。
メンタルヘルス関連の施策は、目的や対象者に応じて分類できる。
目的は主に、3段階に分けられる。まずはメンタルヘルスが悪化して発症したうつ病や不安・パニック障害、適応障害を治療を通じて改善していこうとする「医療支援」。次に職場復帰に向け、臨床心理士や公認心理師といった専門家の指導のもとでカウンセリングを受けたり、産業医と連携しながら少しずつ試し出勤や業務に慣らしていく「適応支援」。そして、ストレス要因を除去、または減らすことでメンタルヘルス不調を未然に防ぐ「予防支援」に分けられる。
中でも予防支援は、労働者自身や周囲が異変にいち早く気づくことで、合併症や自死といった不調の深刻化を防ぐための大切な取り組みだ。
誰に向けての施策かも考慮しなければならないポイントだろう。
例えば予防支援の場合、メンタルヘルス関連の適切な情報提供を通じ従業員が自分で対処できるようにするセルフケアは個人向けとなる。一方、職場の心理的安全性の確保や、相談しやすい雰囲気や環境づくり、心理的負担をかけない業務フローの作成といったものは、組織向けとなる。
瞑想でストレスをコントロール
「同じ状況でも、気分によって感情が左右されるということが共感できた」「ささいなことでストレスを感じ、イライラすることがよくありましたが、そのストレスに目を向けて一度立ち止まって考えると、違った視点から物事を見ることが出来つつあります」
これは、大和証券グループ本社が21年から新入社員向けに実施している「マインドフルネス(瞑想=めいそう)研修」受講者の、研修終了後の感想だ。