あのアパホテルが一泊3万円!
爆買い中国人殺到で東京・大阪は泊まるところがない
熱い風呂で疲れを癒やし、ベッドでぐっすり眠る。サラリーマンの出張先での数少ない楽しみだ。だが、宿泊料金高騰でそれさえ叶わなくなっている。なぜ、そんなにまで値上げするのか。
雪が降ったら3倍
「アパも随分変わってしまいましたよ。もう使うことはありません」
こう憤慨するのは、大阪在住の弁護士のA氏だ。
アパホテルといえば、シングル一泊の通常料金が7000円程度と思い切った低価格を打ち出し、ビジネスホテル業界の低価格競争の火付け役として成長。きらびやかな姿で広告に登場する元谷芙美子社長(68歳)の奇抜さも相まって、注目されてきた業界の雄だ。
新規オープンの際には、5000円台の特別価格で部屋を提供したり、仕事で疲れた体を癒やせるサウナや大浴場を併設したりと、「サラリーマンの味方」というイメージがウリだった。
だが、それはもはや過去の事だと、A氏が言う。
「仕事で東京に出てくることが多く、もう何年も日本橋の駅前にあったアパを利用していました。1万円ちょっとのリーズナブルな料金で雰囲気も良く、フロントスタッフとも親しかった」
ところが、再開発に伴いA氏が定宿にしていたアパ日本橋駅前店は閉店。
「閉まったとはいえ、長年使ったアパへの愛着があり、新橋にあるアパを引き続き利用することにしました。対応は以前のところと違ってマニュアル的で、素っ気なかった。でも、『やっぱりアパがいい』と宿は変えませんでした」
ところが、A氏を愕然とさせる出来事が起こる。
「ある日、急な出張で訪れた際にフロントで値段を聞いたら、びっくり。なんと、一泊3万円と言われたんです。耳を疑って聞き返すと、フロントマンが涼しい顔で、『明日、雪が降りますから』と言う。大雪になれば当然、ホテルが埋まるので高値に設定したのでしょうが、なんだか悲しくなりました。
アパはビジネスマンの味方だと思っていたからこそ、ずっと利用してきた。でも、部屋が埋まるとなると、いままで支えてきた顧客に高値をふっかける。いくら商売でも、3倍はやりすぎでしょう。明らかに人の道を外れている。裏切られた気分です」
以来、A氏はアパを一切利用していないという。
こうした、ビジネスホテルの宿泊料金の理不尽とも言える値上がりは、いまやアパに限ったことではない。