この国の人口はどこまで減っていくのだろうか。今年1年間の出生数が70万人割れになるかもしれず、大きな話題となっている。
そんな衝撃的な現実を前にしてもなお、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。
ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。
※本記事は河合雅司『未来の年表 業界大変化』から抜粋・編集したものです。
「信用力」を支えるIT技術が全然足りない
既存のビジネススタイルからデジタルを活用したビジネススタイルに大転換中の金融業界だが、少子高齢化が「大きな壁」となって立ちはだかりそうである。
金融機関の最大の資産は「信用力」である。しかしながら、金融各社にはデジタル化に後れを取っているところが少なくない。
メガバンクでさえ、いまだに通信障害が発生してATMが何時間も利用できないといったトラブルを頻繁に起こしている。今後、「信用力」を勝ち取りながら多様なサービスをインターネットサービスとして展開していくならば、より強固で安定的なデジタル基盤の整備が必須となる。
それには、先端IT人材が必要となるためメガバンクのみならず、地方銀行や証券会社、生命保険会社、損害保険会社といった金融業界全体でこうした人材の争奪戦がすでに激化している。
だが、先端IT技術を扱える人材がそんなに簡単に育つはずがない。しかも少子化で若い世代は急速に減ってきているので、金融各社が求める人数を計画通りに確保できるとは考え難い。