「12.4 黒い彗星★救援会」総括報告

 前回の更新からずいぶんと時間がたちました。私たち「12.4 黒い彗星★救援会」が消滅してからと同じくらい。この「会」は、もう存在しません。ブログ担当者(常野雄次郎:つねの・ゆうじろう)は、まずそのことを誇りに思います。「会」の結成にあたり、私たちはしかるべきときに解散し、その後は逮捕当該に対する「会」としての影響力を放棄するということを誓約しました。ほかのどんなことにいたらぬところがあったとはいえ、報告集会後の総括会議において圧倒的に確認しました。
 一方、この「跡地」において、いくつかの文章や映像などを順次公開していくことも、その会議で合意していました。これまで更新がとどこうっていたのは、ひとえにブログ担当者の怠惰によるものです。たとえばその一つ。

           「12.4 黒い彗星★救援会」総括報告 (7月版)


 「12.4 黒い彗星★救援会」は、1月23日の報告集会をもちまして解散しました。ご支援いただいた全国・全世界のみなさまに、あらためてお礼申し上げます。
 黒い彗星の愛されキャラが功を奏してか、逮捕当日からバラエティに飛んだメンバーが集まり救援会が結成されました。弁護士にも恵まれ初動からうまく連携できたこと、決定的な現場映像の存在、たくさんの激励と多額のカンパ(31万2117円)*1、そして本人のがんばり、ご家族の理解もあり、異例の早期釈放、そして不起訴決定をかちとれたことは特筆に値すると思います。
 反面、黒い彗星は、12.4当日の集団暴行・不当逮捕による身体的ダメージにくわえ、インターネット等における誹謗中傷にダイレクトにさらされることとなり、精神的負担も大きかったかもしれません。くわえて、黒い彗星をサポートする過程で、救援会のやり方や方針について多くのご意見、ご批判もいただきました。救援会は、黒い彗星の意思を最大限尊重しつつ、救援会としての独自の方針を立てました。この不当逮捕事件はひとりの在日朝鮮人への二重三重の差別によって起こったものであること。黒い彗星が問うたのはわたしたち救援会を含むこの日本社会の無惨なありようであり、救援にあたるわたしたち自身にも向けられていること。救援会自身がこれらに自覚的になることを出発点に、救援会は黒い彗星とはことなる立場にあることもまた自覚しながら、不当逮捕に反撃するキャンペーンを行ないました。
 サヨクの伝統では、救援会はまず「逮捕・拘束」という不当な事態にかかわるサポートを行なうものとされていますが、早期釈放をうけて、黒い彗星の身の安全の確保(名誉毀損、誹謗中傷、襲撃や生活圏へのいやがらせ対策など)。さらに、萩尾健太弁護士による報告集会発言にもあるように、不起訴にあたっての「嫌疑なし」明記が獲得が命題となっていきました。そのために、救援会メンバーの間でも、この方針をふまえて具体的にどう発信していくか、12.4朝鮮学校差別デモへのスタンス、救援会メンバーではない方々とどのように連携するか、ネット上での対策、報告集会の構成などについてもさまざまに意見が分かれたにもかかわらず、個々の課題で意思一致に向けた話し合いが充分であったとは言えません。
 とくに早期釈放の決め手となった現場映像をご提供いただいた方には12.4の現場で黒い彗星と同じく差別・排外主義者そして警察権力による剥き出しの暴力に強烈にさらされたにもかかわらず、救援会からは協力を仰ぐばかりで過度の精神的負担を強いてしまいました。黒い彗星への信頼あってこそ協力を申し出てくださった方々に、不信感を与える結果となってしまったことをおわびし、ご協力にあらためて感謝いたします。
 これらは、黒い彗星との間に、そしてメンバー間にも本来あるはずの考え方の違い。さらに、通常のサヨク救援とは異なるメンバーの多様性や外部協力者を意識しつつも、十分に話し合うことを怠っていたせいでもあります。ていねいな応答のやりなおしを、権力対峙のさまざまな場面で、この日本社会の中でどのように可能か、個別具体的な場で鍛えなおし実践していきたいと思います。


 3月11日、東北地方をおそった大地震と津波で、黒い彗星の生まれ育った街もまた壊滅的な被害をうけました。黒い彗星は現在、避難所ボランティアなどをしながら、被災地からツィッターをつうじて自ら発信しています。悩み迷いながらも、本来のペースをとりもどしつつあります。
 12.4黒い彗星救援会も、役割を終えました。
 わたしたちはこれからもこの事件を風化させることなく、黒い彗星のメッセージに各々応えていこうと思います。
 あたたかいご支援をよせてくださった多くのみなさまに感謝いたします。

*1:そのほとんどは、お願いからほんの数日以来に寄せられ、むしろもう十分ですという広報が必要となったくらいです。