処理水の放出なんて、嫌がられて当然なのでは?

忙しい人のためのこの記事のまとめ。

 処理水放出が、計画上は安全なのはわかる。
 今のところ安全なのもわかる。
 
 でも、これまでの東京電力と日本政府の「廃炉ロードマップ」の進捗や、汚染水の管理状況を見てたら、
「2051年までには放出は終わります!」
「それまで安全に管理します!」
 なんて言われても信じられない人がいて当然なのでは?
 
 そもそも東電の計画通りに進むものなら、今頃は処理水は増えてないはずだったのに。
 風評被害対策は必要だけど、そのためにはまず東京電力が
「ちゃんと計画通りに進みます」
 というところを見せることが先決。
 
 現状ではもはや他に処分方法がないんだろうけど、それはあくまで政府と東京電力の手落ち、日本の国内問題で、諸外国には何の責任もない。
 そして、たとえ計画通りに進んだとしても、「安全な処理水放出」を受け入れることに、周辺地域や周辺国には何の利益もない。
 
 そう考えると、疑ったり反対したりする人が国内外にいるのは当然。
 それを疑似科学だの反日だの共産主義者だの言うのはおかしいのでは?
 
 もはや放出はやむを得ないにしても、そうなる前に国内でなんとかできなかったのは実に残念なこと。
 そして、このような状況なのに、処理水放出を(積極的に賛成はしないまでも)容認してくれる国が多いことにこそ、我々は感謝すべきなのでは?
 
(フランスや中国のトリチウムの話も、自然界のトリチウムやバナナのカリウムの話も、本筋とは関係ないけどちゃんと書いてあるので安心して下さい)

 どうも、長すぎて主旨がつかめない文章だったようなので。
 タイトルしか読んでないらしい人には何をどうしても伝わらないでしょうけど……。
 でも、これでも下書きからだいぶ削ったんです(下書きには食品輸出の話とか原子力船「むつ」の話とか書いてあった)。
 
 残りの部分に書いてあるのは、デブリ取り出しの話とか、フォーク准将とか、「ALPS処理水を矢木沢ダムに流したって安全なのは同じだけど嫌でしょ? それと同じよ」とか。
 あと追記部分には、なんか「解釈が間違ってますよ」みたいな指摘ブコメがスター集めてるけどどこが間違ってるんですかって反問したら通報されましたみたいな話が書いてあります。
 

ここから本文

 なんか最近、
「処理水放出に反対するのは疑似科学! 反日勢力! 共産主義者!」
 みたいなことを言ってる人をよく見かけますが、ちょっとおかしいんじゃないですか?
 
 だって、どう言い繕ったって、結局は事故原発の放射性廃水を海に捨ててるわけじゃないですか。
 
 もちろん、
「処理水は汚染水ではなく、ALPSで処理した~」
 という話は知っています。
 
 しかし、その「ALPS処理水」からして、
「トリチウム以外の放射性物質を、安全基準を満たすまで浄化した水のこと」
 が公式の定義なわけで、トリチウムは安全基準を満たしていないわけです。
(「ALPS処理水」とは何?「基準を超えている」のは本当?|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁)
 
 基準値を満たしてないものを、
「海水で薄めたら基準値以下になったから海に捨ててオッケー!」
 って、工場排水とかでやったら一発で操業停止になるやつだと思うんですが。
 それを政府が率先してやっているの、酷いインチキなのでは?
 
(2023/08/30追記)
 ……と書いたのですが、複数の方から
「工場排水においては、濾過・吸着などの処理工程を経た上で、最終的に希釈して放出することはあり得る」
 というご指摘をいただきました。
 
「ええ? それじゃあ『カドミウムの排水基準は0.03mg/L』とか定めてる意味がなくない?」
 と思ったのですが、あれこれググったところ、一般社団法人日本バルブ工業会が
「水質汚濁防止法での規制では排水基準が濃度で管理されるため、希釈して排出すれば規制に抵触せずに大量の汚濁水を排出することが可能となってしまいます」
一般社団法人日本バルブ工業会 - 環境関連情報:水質汚濁防止法と水質総量規制
 って言って総量規制を提案してるので、なるほど事実なのですね……。
(大量の工業用水を使って希釈して下水に流すより、浄化した方が安上がりになる……と言ってる浄化設備会社のサイトもあったので、一般の工場においては実用的にはそうなのかなとも思います)
 
 また、地域によっては、排出水を排水基準に適合させる目的での希釈処理を禁止しているそうです。
 条例で規制するということは、法律には規定がないことの裏返しかと思います。
 
 そのほか、物質の区分によっては総量規制が存在したり、特定地域のみの基準があったり、排水の量によって基準が異なったりと、まだ法制度の全貌が理解できたとは到底言えないのですが、いずれにせよ、前段の記述は恥ずかしながら私の不勉強による勇み足だったことはお知らせしておく必要があると思い、追記します。(理解が深まったらこの「追記」も訂正するかも知れません)
 ご指摘下さった皆様、ありがとうございました。
(追記ここまで)
 
 いやまあ、トリチウム自体、生物学的半減期は10日しかなく、ALPS処理水にも大きな危険性がない、というのも知っています。
 飲んでも安全だというならそうなんでしょう。
 
 なんなら私だって、誰かが
「1000円やるからALPS処理水をコップ一杯飲んでみろ」
 って言ってくれたら毎日2Lくらい飲みます。
 ……そしたらもうそれを仕事にしてもいいな……。水って送料どのくらいになるのかしら。それを生涯の仕事にしたいとは思わないけど。
 
 でも、タダで飲めって言われたらそれはちょっと……。
 
 処理水の「安全」っていうのは、別に体にいいというわけではなくて、
「科学的には普通の水とほとんど変わらないので、健康に与える影響も事実上無視して良いレベルの水」
 という話です。
 
 だったら普通の水を飲んだ方がいいに決まってます。
 
 これがもし、ワクチンとか、水道水の滅菌とか、そういう公衆にプラスな施策への反対論であれば、社会に有害な疑似科学として批判されても当然でしょう。
 しかし、処理水の放出は、周辺地域や周辺国にとってそもそも何のプラスもありません。
 
「最大限うまくいってプラスマイナスゼロですよ、何の見返りもありませんよ、失敗したら……いやあ、管理態勢は万全だから大丈夫ですよ」
 という話に反対されて、怒ったり疑似科学扱いしたりするの、ちょっとおかしいのでは?
 
 そもそも我が国においても、海洋放出は、当初からの計画ではありませんでした。
 
 経済産業省汚染水処理対策事務局の、2015年6月の廃炉ロードマップを見てみましょう。
 
 これによると、2020年内には
「冷却水以外の建屋内の水や汚染水の増加量をほぼゼロに」
 とあります。(2ページ)

https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/takakusyu/pdf/001_02_01.pdf
 その先には
「ALPS処理水の長期的取扱いの検討」ともあります。
 
 つまり、本来の計画では、今頃は汚染水の増加は抑えられ、残った処理水は低レベル放射性廃棄物として国内で処分する予定だったわけです。
 
 海に流すなんて望ましくない、やってはいけないことだ、というのは自明だったのです。そりゃそうだ。まだ常識があった。
 
 現在「処理水の放出に『賛成』」って言ってる人だって、まさかこの2015年時点で
「保管なんかする必要ない! 全部薄めて海に流せ!」
 とは思ってなかったんじゃないでしょうか。*1
 
 それじゃあどうして今回海に流すことになったかと言えば、要は廃炉ロードマップが破綻したからです。
 
 前掲の2015年のロードマップにしてからが「改訂版」です。
 例えば、3号機の燃料取り出しが「2015年度上半期」から「2017年度」に、2年以上延期されています。
 
 そしてその後もロードマップは後退に後退を続けました。
 汚染水はゼロどころか毎日何十トンも増え続け、ついには保管しきれなくなった処理水を海に流すことになってしまった……というのが現状です。
 
 東京電力および我が政府の見通しの甘さ、我が国の技術力の不足のために、世界に通じる海に処理水を垂れ流し、原発周辺地域ならびに近隣各国に不安を与える事態になってしまったのです。
 
 この状況で
「放出に反対するのは我が国に対する敵視政策の表れ!」
 などと居丈高に言ってる人は、ちょっと日本人の美徳を思い出すべきではないでしょうか。
 
 それに、処理水って、実際のところいつまで「安全」なのでしょうか。
 
 経産省によると、遅くとも2051年には処理水の放出は終わるそうです。
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/hairo_osensui/shirou_alps/pdf/QA_seafood_jp.pdf
 
 しかし、その30年近い期間、本当にちゃんと管理できるのでしょうか?
 本当に2051年には終わるのでしょうか?
 そもそもどうして2051年なのでしょうか?
 
 過去を振り返ってみます。
 前述の通り、2020年内には「ほぼゼロ」にするはずだった汚染水は増え続けました。
 国内で処理するはずだった処理水は保管しきれず海に流すことになりました。
 2021年には開始されるはずだった核燃料デブリの取り出しも、今のところ全く進んでいません。
 
 東京電力のサイトを見ると、
「今後も現場の状況を勘案しながら、柔軟に方向性を調整するステップ・バイ・ステップのアプローチで検討してまいります」
 などと、フォーク准将の「高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対処する」みたいなことが堂々と書いてあります。

(「燃料デブリ」はどうやって取り出すのか?|もっと知りたい廃炉のこと|東京電力)
  
 しかし、このような、具体的な見通しがなく、何もかも遅れていく状況でも、廃炉ロードマップの最後、「廃止終了までの期間」だけは、当初からずっと「30~40年後」で変わりません。
 処理水の放出が「最長2051年まで」というのは、つまり「事故後40年で廃炉が完了する」という前提に基づいているのです。
 それは信じてもいいのでしょうか?
 
 そもそも、2011年12月に初公開されて以来、廃炉ロードマップを信じてた人なんているんですか?
 
 ALPSにしても、動かすのはタダではありませんし、故障もします。
 
 10年後、20年後に、東京電力の財務状況が悪化したり日本の財務状況が悪化したりして、浄化処理を行えなくなる可能性はないのでしょうか?
 
 よく、フランスは、あるいは中国は、今回の処理水放出(22兆Bq/年)よりもずっと多くのトリチウムを排出している、なんて言われます。(泰山第三原発が143兆Bq/年)
 まことにその通りで、例えば日本国内でも、六ヶ所村の再処理工場からは一京Bq/年を超えるトリチウムが出るので、そういう意味では処理水の放射能は少量です。
 
 しかし、原発のトリチウムは、配管を冷却水が通った結果できたものです。
 ALPS処理水のような、何か間違ったら核燃料デブリ由来の核種が出てきてしまいかねない施設とは異なります。
(もちろん、中国の原発も、事故を起こせば福島第一原発みたいな状況に陥るでしょうが、それで福島第一原発の安全性が高まるわけではない)
 
 ましてや、「トリチウムは自然界にもある」だの「バナナのカリウムの方が放射線量が高い」だのというのは比較になりません。
 店のバナナは明日事故を起こして放射能が10倍になったりはしませんから。
 
 東京電力はバナナとは違い、2014年にはタンクの操作ミスで高レベル汚染水を100トンほど漏出させています。
(福島第1原発のタンクから100トンの高濃度汚染水漏れ=東電 | ロイター)
 
 2011年には、その時点で保管しきれなくなった低レベル汚染水一万トンを海洋放出しています。(これは事故ではない)
(低レベル汚染水 4日夜放出へ | 東京電力 福島第一原発事故 関連ニュース | NHK 40年後の未来へ 福島第一原発の今)
 
 いずれも「処理水」ではない汚染水なのですが、「環境への影響はない」ということになっています。
 
 そう考えると、たとえば10年後にはALPSの運用が止まって、ただの汚染水をそのまま垂れ流して、
「環境への影響はない」
「海水で100万倍に薄めてるから環境基準を満たしている」
「予算がないんだから他に現実的な方策がない」
 とか言ってる可能性も……そしてその状況が2060年にも2080年にも続く可能性は充分あるのではないでしょうか。
 
 今日の処理水が安全だ、というのは科学的な事実でしょう。
 しかし、核燃料デブリの除去や汚染水の浄化の持続性は、科学的に予見された事実ではありません。
 ただ、核燃料デブリは2051年になっても20051年になっても人体に危険なレベルの放射線を出し続けているはずです。それは科学的に予見可能な事実です。
 
 だからALPS処理水を飲むのを生涯の仕事にしたくはないんですよね。何年続けられる仕事かわからないから。
 
 韓国政府が
「汚染水(処理水)放出に計画上の科学的・技術的な問題はない」
 としつつも、
「実際の放出が計画と異なるように進めば日本側に中断を要請する」
 と釘を刺しているのは、まことに現実的な懸念だと思います。
(原発処理水、各国反応割れる 「科学的問題なし」「強く反対」 - 日本経済新聞)
 何しろ、東京電力および経産省の計画通りに進んだためしがないので。
 
 また、処理水放出への反対は風評被害を煽るものだ、という人もいます。
 風評被害対策大切ですね。
 
 風評被害というと1999年の所沢産ほうれん草が思い出されます。
 あの時は、ほうれん草側には何の原因もなく、メディア側に全ての責任がありました。
 
 しかし、処理水放出は
「最大限うまくいってプラスマイナスゼロですよ」
 の施策を現実にやってるんだから、まずそこに「風評」の原因があります。
 
 反対する漁民は自ら風評被害を煽っている、みたいな言説はむしろ暴力的だと思います。
「お前らに何のプラスもないけど黙って従え」
 って言ってるも同然なわけで。
 
 もちろん、そもそもの原因となった政府や東京電力は、風評被害対策に力を入れるべきです。
 まあ、一番の風評被害対策は、東京電力がちゃんと約束を守ることだと思いますけれども。
 
 こうして書いてくると、
「じゃあ保管しきれない処理水をどうしろっていうんだ、対案を出せ」
 とか言われそうです。
 
 そりゃまあどうしようもないんでしょうね。
 
 しかしそもそも「保管しきれなくてどうしようもない」というのは、あくまで日本国内の不祥事ですから、それで部外者が納得してくれたら驚きの寛容さです。
 
 っていうか、自分の都合で他人に迷惑掛けてるのに
「だってしょうがないじゃねーかよー」
 って言って押しつけてくる奴、私超嫌い(私怨)
 
 ともあれ、あえて「対案」というなら、先日、
「コンクリートの製造に使うなどしてはどうか」
 という話を聞きました。
(「福島の魚を一生食べ続けてもトリチウム摂取量はバナナひと口分」──処理水放出、海外専門家の見方|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト記事後半、「太平洋諸島フォーラム科学委員会」の話)
 
 建材に混ぜてしまうというのは一案です。
 
 それだけで全量消費するのは難しいでしょうが、国内でなんとかすべき、というのはまことに筋が通っています。
 
 なんでも、ALPS処理水のトリチウム濃度は14万Bq/Lだそうです。(常時モニタリングはしてないとかなんとか……)
ALPS処理水の第三者分析|大熊分析・研究センター|国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 福島研究開発部門
 一方、WHOの基準では、飲料水のトリチウムは1万Bq/L以下でなければならないので、14倍に希釈すれば飲料水の基準を満たすことになります。
 
 ところで、東京都水道局によると、東京都の水道使用量は一日およそ412万立方メートルだそうですから、一日100トンのALPS処理水を都民の水道に混ぜれば、41200倍に希釈することができます。
 100トンといえばせいぜい大型タンクローリー5・6台分。
 矢木沢ダムあたりに全量流してしまえば、健康被害も出ないし国外からは文句も出ないのではないでしょうか。
 
 トリチウムの生体半減期は10日しかないので大丈夫ですよ。
(それはつまり、都民に飲ませたトリチウムは下水処理場を経由してほぼそのまま東京湾に流れるということですけれども)
 
 もちろん、国内世論は大爆発して内閣が吹っ飛ぶかも知れませんが、科学的には問題ないから大丈夫です。
 
 ……いやまあ、絶対実行されないでしょうけれど。(万一やるというなら反対はしません)
 
 ダムに流して国内で世論の反発が予想されるなら、海に流して外国の世論が反発するのも予想されるだろ、という話です。
 
 結局のところ、過去の経緯を見ても、現状は反対されて当然、不安に思う人がいるのが当然なのです。
 
 放出がどうしようもないならそれは我々の無策・無力を遺憾に思うべきで、
「処理水放出に反対するのは疑似科学! 反日勢力! 共産主義者!」
 みたいなことを言ってる人たちはちょっとおかしいんじゃないか? 国内外に無駄に敵を増やしてはいないか? と思うのです。
 
 むしろ私たちは、渋々ながらも容認してくれている国が多いことに、最大限の感謝をするべきなのではないでしょうか。
 
*2023/08/28 20:56追記
 
 id:sisya氏より、ALPS処理水の解釈が間違っている、とのご指摘を頂いてしまいました。

ALPS処理水の解釈が間違っています。「トリチウムは安全基準を満たしていないわけ」ではなく、トリチウム以外を全て取り除いた物を、安全基準内まで薄めたものが処理水であり、安全基準は満たしています。

 ご教示ありがとうございます。
 スターをつけている方もたくさんいますね。(現時点ではトップブコメですね!)
 
 自分でもリンク先を何度も読み返したのですが。
東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の定義を変更しました (METI/経済産業省)

 今後は、「トリチウム以外の核種について、環境放出の際の規制基準を満たす水」のみを「ALPS処理水」と呼称することとします。 

 って書いてありませんか?
 
 これは、ALPS処理水が
「トリチウムも安全基準を満たしている」
 という意味の日本語なのでしょうか?
 
 私は、
「ALPS処理水はトリチウムの安全基準を満たしていません(だから海水で薄めて捨てます)」
 という意味に理解したのですが。
(実際の放射線量は、この記事後半で触れたとおりです)
 
 申し訳ありませんが、私の理解力が乏しく、100字のブックマークコメントだけでは理解しきれませんでしたので、記事の修正は当面保留したいと思います。
 詳しくご教示頂ければ幸いです(このブコメにスターをつけている皆さんでも構いませんのでよろしくお願いします)。
 
*さらに追記
 丁寧な返信をいただきました。

(追記への説明)「海水で薄める」という手段も安全基準を満たすための手段の一つです。ALPSと海水希釈の二段構えで安全基準を満たしているという意味です。ちなみに世界の大半の海水は処理水よりトリチウム量が多いです

 薄めてるのはもちろん私も存じております。
 
 結局、
「ALPS処理水はトリチウムの基準を満たしていない」
 ということですよね?
 
「ALPS処理水の解釈が間違って」
 はいない、ということでよろしいでしょうか?
(もっと言うと、id:sisya氏のブコメこそ、善良なはてブ民の誤解を招くものなのではありませんか?)
 
 ともあれ、申し訳ないのですが、文字数制限の厳しいブコメでご返信いただいても詳しい科学的なご説明は難しいと思いますし、メタブタワーでは読者が話を追いづらいかと思います。
 まだ私に誤解があるようでしたら、ぜひコメント欄でお返事を頂ければ幸いです。
 
 正直、私自身、この記事では、希釈する前のものを「ALPS処理水」、希釈後のものを「処理水」と呼ぶように注意して書いたつもりですので、ご指摘はいささか驚きでした。
 
*追記3
 今見たら、id:sisya氏の最初のブコメが

sisya ALPS処理水の解釈が間違っています。「トリチウムは安全基準を満たしていないわけ」ではなく、トリチウム以外を全て取り除いた物を安全基準内まで薄めたものが処理水であり、安全基準は満たしています/通報しました

 になってる!?
 
 ええ……なんか通報される要素ありましたか私……?
 
 誰だって時にはうっかり間違ったことを書くこともあるし、もしかしたら私もこの記事に科学的に間違ったことを書いてるかも知れないと思うんですよ。
 だから、私に謝罪しろとは全然思わないですけど……。
 
 でもせめて、id:sisya氏は
「私はこの記事の趣旨には賛同できませんが、最初のブコメは誤りでしたのでブコメ訂正します。スターをくれた皆さんすみません」
 とか書くのが筋であり、読んでくれた人に対する誠実さなのでは……?
 
 ブコメ訂正する手間を掛けるならさあ……。
 
*他にもブコメに返信したのですが、あまりにも追記が長くなってしまった(そしてこれからも長くなる予定)上に本筋とは逸れるので、別記事に分けることにします。

*1:いや、そういう人も多少はいるのかも知れない……翌2016年の検討会の時点で、海洋放出は地下処分や大気放出などと並ぶ選択肢の一つとして出てくる。