「産婦人科医ママと小児科医ママの らくちん授乳BOOK」は妊娠中の方にオススメです

メタモル出版の「専門医ママシリーズ」待望の新刊を紹介したいと思います。

産婦人科医ママと小児科医ママの らくちん授乳BOOK

産婦人科医ママと小児科医ママの らくちん授乳BOOK

とらねこ日誌では同シリーズのロングセラーである森戸さん、宋さんの本をそれぞれレビューしております。

「育児の不安」解決BOOKはオススメよ(書評)
http://d.hatena.ne.jp/doramao/20140608/1402205507

「妊娠・出産パーフェクトBOOK」はやっぱりよいね(書評)
http://d.hatena.ne.jp/doramao/20140625/1403676922

このシリーズのテーマとして「お母さん、お父さんはもっと安心して良いんですよ」、「お母さん頑張りすぎなくて良いのですよ」というメッセージがある(と思う)のですが、今回も同様というか、頑張りすぎてしまう人が多い母乳の問題であり、本領発揮といえるでしょう。


■シリーズらしい授乳本
本の帯にはこうあります。

「母乳信仰」でも「粉ミルク信仰」でもない初めての偏りのない授乳本です!

 そうそう、母乳も粉ミルクも赤ちゃんを育てるための手段であって目的ではありません。手段が目的化してしまう変に無理をしてしまったり、結果的に子どものためにならないということもあり得ます。大事な子どものための栄養として母乳や粉ミルクについて考えるというのは本当に大切なことだと思います。
 現状を考えると「粉ミルク信仰」というのはあまり見かけませんので、どちらかというと母乳に偏っていることで生じる問題点についての言及が参考になると思います。母乳のことは悪くいってはイケナイ、という雰囲気が一部にあるという話を先日耳にしました。しかし、実際には母乳にはメリットも多いもののデメリットも存在します。赤ちゃんの栄養としての母乳、という観点で冷静に分析をして、対策を考えることはなによりも赤ちゃんのためになることです。
 本書は現役の産婦人科医、小児科医が自身の体験も参考に書いた極めて実用的な本に仕上がっております。栄養学的にみてどうなの、ということについても根拠を示しとても分かりやすく書いてありますので、その点でも今までの授乳本にあった不満点が解消されております。(母乳は完全栄養食なので栄養素が不足する心配が無い的なことを書いてある本があったりするのです)


■赤ちゃんにやさしければ母親にはやさしくなくてもよいの?
 母乳育児をキチンと達成するためには母親が苦労するのは仕方がない、これは「赤ちゃんにやさしい」産院で出産することを選んだ場合には「赤ちゃんにだけ優しく」て「母親には優しくない」こともあるので「赤ちゃんにもお母さんにも優しい産院」なのかは施設を選ぶ目安にすると良いですよ、と宋さんは述べています(p37)。
 お母さんやお父さんも大変すぎて追い詰められた状態になれば子どもに優しく向き合うのも難しくなりますし、つらすぎて病気にでもなってしまえば、本人だけでなく赤ちゃんにも良くありません。お母さんやお父さんの健康も赤ちゃんのためには大事な要素なのです。
 こうした有用なアドバイスは妊娠中にこそ求められますから、授乳で悩んでいる人だけでなく現在妊娠中の人にもオススメです。


■おわりに
 本のあとがきにもありますが、母乳ではなく粉ミルクを与えていたり、併用していることに後ろめたい気持ちを持ってしまう人がいらっしゃいます。母乳の良さを伝えたいあまり、母乳でなければならないと思い込んでしまいつらい思いをする人がでてしまうのは不幸な話だと思います。
 森戸さんの「みなさんと大切な赤ちゃんがなるべく笑顔で楽しく過ごせることを願っています。」というメッセージが形になった一冊です。授乳指導をする行政保健師さんに読んで貰いたいなぁ。