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🐜概要

膜翅目のうちアリ科に分類される昆虫のこと。

(=蟻以外の膜翅類)から派生したグループで、具体的にいうとスズメバチ等よりアナバチミツバチ等が属する系統に近い。

硬い外骨格、発達した大の間がくびれるなど、基本の体制は蜂と大して変わらないが、各部位の比率や形、光沢や棘などの有無は種類により様々。触角はL字状に折り曲げて、色は黒や赤茶色、黄色のものが多い。

黒い種は時おり「クロアリ」と呼ばれるが、あくまで便宜上の総称で、この名の種類のアリは存在しない。

極地や一部の孤島以外の地上であればどこでも見つかり、最も身近なの一つである。1万3,000以上の種が知られているが、実際は2万以上いると予想される。

主に地表で活動する社会性昆虫である。個体の姿は後述の通り、同種でも群れでの役割により異なる。

最も一般に見られ、群れの多数を占める個体は「働き蟻」である。働き蟻はを持たず、多くの場合は1cmも満たさないほど小さく、頭頂部にあるはずの3つの単眼もない。中には「兵隊蟻」という、頭部が特別に大きく武装した大型個体が点在する種類もいる。

擬人化で少年に描かれることもあるが働き蟻は全てメスである。働き蟻は通常は繁殖できず、群れの中で様々なタスクを担っている。

群れの中枢である「女王蟻」は少数(通常1匹、数匹以上の種類もいる)しかないが、多くのを産み続ける体が働き蟻より大きく、頭部に単眼があり、複眼も働き蟻より発達である。本来は蜂のように翅を持っているが、妊娠した次期翅が不要となり削ぎ落される。

雄蟻」も翅や単眼を持つが、女王蟻よりも小さく弱々しい姿で、胸部に対して頭部や顎が小さい場合が多い。

メスがから蟻酸と呼ばれるを放つ種が多いが、蜂の様に毒針を持つ種類も多い。

シロアリは名前に反して蟻や蜂の仲間ではなく、ゴキブリの間から派生し、蟻と似た社会性を収斂進化した別系統の昆虫である。当然ながら前述した「クロアリ」の対義語(白い蟻)でもない。

生態

どの種類も社会性の群れで暮らす。多くの種類が特定の場所(地下上)にを作り、その内部にを溜め込み、幼虫を育てる。

匂い(フェロモン)で同じ巣の仲間を識別し、触角同士を触れ合わせコミュニケーションしたり、口移しで餌を運ぶ。童謡の「ごっつんこ」とはこの行動の様子を表している。

俳句季語では夏に分類されるが、四季のある地域ではからの暖かい頃に食料を集め、が近づき寒くなると巣で越冬する。

この生態を元に「アリとキリギリスギリシャではセミ)」の話が生まれた。

ほぼ全てが女王蟻を主体とする真社会性を持つ。働き蟻のうち若者は巣の中で、年配者は外で労働する。雄蟻はほぼ何もせず、女王蟻に一生使える量の精子を捧げるのが役目で交尾が終わると死ぬ。

このような社会性は同じ膜翅類スズメバチミツバチ、果ては膜翅類ですらないシロアリにも見られるが、全てが別々に収斂進化した特徴である。

繁殖は前述した社会性昆虫と似て「結婚飛行」という段階があり、この時期に処女の女王蟻と雄蟻が巣立ちして空を飛びながら交尾する。結婚飛行で妊娠した女王蟻は新たな場所で翅を削ぎ落して巣を作り、自分の群れを立ち上がる。女王蟻の繁殖力は凄まじく、多いものでは一日に100ほどの卵を産める。

多くは肉食寄りの雑食性で、捕食者兼腐肉食者の力が強く、体重の百倍の木の実を軽々と引きずる。例えるならおばちゃんカバを引きずり回せると考えれば分かるだろう。

動きも素早く、腹部には攻防用の蟻酸もしくは毒針があり、物量作戦が得意。小型種なら関節などの隙間から侵入できるのでカマキリやスズメバチ、タランチュラ等、虫で屈指のハンターも一方的に倒せる。

一般的に砂糖に寄ってくるイメージがあるが、砂糖を好む種類がいるというだけで、アブラムシの甘い汁を好む蟻が良く似た砂糖を好むというのが実態。

また、甘いものと虫の死体を並べてどちらを好むか観察すると、虫の死体を優先的に砂粒で埋めたり、巣穴近くまで運搬して処理することが多い。炭水化物より、死体から得られるタンパク質(体を作るために必要)の方が自然界での供給は少ないという事かもしれない。

切り取ったを巣に持ち帰ってを植え付け、キノコを育てて食べるハキリアリもいるため、種によって農業牧畜を行っているとも言える。

特定の種類の女王を殺して巣を乗っ取り、残りの働き蟻を奴隷にするサムライアリトゲアリ等、恐ろしい生態を持つ種類もいる。

硬い外骨格や高い防衛性、団結力があるので天敵は少なく、いても多くが蟻を専門に捕食/寄生する種類(アリクイアリタケ等)。

そのため蟻に擬態する虫や、蟻と共生関係を結ぶ生物も少なくない(後述参照)。

擬態モデルとして

蟻は小さいながらも前述した性質により天敵が少ない。そのため蟻はよく他の無防備な小さなの擬態モデルとされ、蟻に擬態することで自分も蟻のように天敵に襲われにくくなる(防御擬態)。中ではアリグモ代表的で、8本脚の蜘蛛でありだならも蟻のような体型を有し、第1脚を蟻の触角と見せかけて持ち上げる。他にもヒメカマキリの若い幼虫が蟻に擬態し、一部のツノゼミの奇妙な形の角も蟻に擬態すると言われている。

なお、蟻を捕食するためその姿や匂い(フェロモン)に擬態する虫もいて、これにはアオオビハエトリ(姿)や一部のシジミチョウ(匂い)が挙げられる。これは攻撃擬態だが、姿の擬態であれば前述した防御擬態の効果も兼ね備えている。また、後述の好蟻性の虫のように、蟻との共生が狙いで擬態する種類もいる。

好蟻性

他の生物が蟻に頼って生活する性質は「好蟻性」(こうぎせい)といい、動物であれば「好蟻性動物」(蟻以外の昆虫は「好蟻性昆虫」とも)、植物であれば「好蟻性植物」ないし「アリ植物」という。これらの生物の蟻との関係性は、種類により互利共生から捕食寄生まで多様である。

典型的なものは蟻のフェロモンに擬態し、仲間として巣で暮らすタイプである。彼らは蟻の巣で外敵から守られて蟻に世話され、蟻やその幼虫等を捕食する者もいる。

この方法で好蟻性として知られている者には甲虫アリヅカムシヒゲブトオサムシ等)やクロシジミ)、アリヅカコオロギ蜘蛛ダニヤスデ等様々な節足動物が含まれる。

蟻と共生するアブラムシカイガラムシは蟻の巣に住んでいないが、蟻に天敵から守ってもらい、代わりに甘露をアリに提供する。「アリマキ」の異名はここに由来。それだけでなく、蟻が自らアブラムシなど植物に棲む虫の卵を持ってきて、育てる事も多い。

植物害虫に覆われた場合、蟻の存在が疑われる為、害虫として駆除される事も多い。

植物の場合、海外にはアカシアやアリノトリデ等、自分のに空洞やトンネルを形成し蟻を住まわせて天敵を追い払う者がいる。

代表的な蟻

日本産

海外産

文化・イメージ

伝承

『アリとキリギリス』の説話のようにアリの持つ社会性から古くから「勤勉さ」のイメージが投影されており、世界中の様々な伝承でも登場する。

ギリシャ神話ではアキレウスに仕えるアリから転生した民族としてミュルミドンアステカ神話ではケツァルコアトルを導くアリとしてアスカトルが登場する。

イギリスのコーンウォール地方ではキリスト教に改宗する前の民族の生まれ変わりと信じられた。

中世ヨーロッパではアリは草食性の生き物とも考えられたせいで肉食のライオンと組み合わされ、ミルメコレオなる珍妙なキメラが考え出された。

お互いの持つ食性を中途半端に受け継いだために長生きできないという寓話じみた存在だが、実際の食性はどちらも肉食性(※アリは雑食性)である。現実的に考えるならば、生存に不向きな身体の作りなのだろう多分。

ことわざ

その体の小ささをクローズアップしたものがいくつか存在する。

  • 千里の堤も蟻の穴から
    • 強固な堤も蟻の穴から崩壊が始まるように些細なきっかけが大きな失敗を生むこと。
  • 蟻の思いも天に届く
    • 蟻のように小さな存在でも願い続ければ思いは通じるという意味。

その他

一部のアリは食用にも利用され、オーストラリアの先住民族アボリジニは腹部に甘露な蜜を溜め込むミツツボアリを食べる文化がある。

なお、タイ王国ではかなり馴染みのある昆虫らしく、仮面ライダーは本来はバッタの改造人間であるにもかかわらず「アイモッドデーン」(赤蟻野郎)のあだ名で呼ばれている。

日本

日本では夏の季語とされる。

フィクションでは社会性やグンタイアリのイメージから集団で活動するキャラクター(特に特撮作品の怪人や戦闘員)が多数見受けられるが、もちろん単独で活動するキャラクターもいる。

武器としては蟻酸が採用される傾向にあり、灯台すら倒壊するほどの溶解性を見せたり、人間を溺死させるなど単なる毒物の枠を超えた使い方をされることも珍しくない。

フィクション・創作関連

仮面ライダー

ゲーム

表記揺れ

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